2021年12月31日金曜日

第2919話 キラキラデイ・ワンス・モア (その2)

墨田区・京島の下町人情キラキラ橘商店街。

ちなみに“橘”の由来は昭和の昔、

此処に橘館なる映画館があったから。

 

妻と義妹が営む「こばち屋」で買ったフードを

「もちこみ屋」に文字通り持ち込むと

マスターは満面の笑み。

紙袋の中身を調べなくていいのか訊ねたら

「いいんデス、いいんデス」

 

これによりドライの生が

1杯400円から200円へ一気に半額。

こんなのってありぃ?

「こばち屋」に寄らない手はないネ。

 

先客が腰を上げ、われわれ二人になったので

マスターと談笑していると奥さんが入って来た。

「あらっ、先ほどお買い上げありがとうございました」

下町人情商店街の本領発揮である。

 

彼女が店に戻って行ったあと、つぶやくマスター。

「ボクはキレイな女性が大好きなんですが

 妻を愛してますからねェ」

サンドのトミーじゃないけど、

ちょっと何言ってんだか判らない。

 

ん? そうか、納得がいった。

T子はかなり見てくれよろしきナオンだから

道理でさっきからマスター、

ヤケにはしゃいでいるワケだ。

 

生を2杯づつ飲み、彼に見送られ、手を振った。

商店街を突き抜けて明治通り。

都営バスで向かったのは。

半月前同様、三河島駅前の「立ち呑み家 正木」。

 

サッポロ赤星の大瓶で本日3回目の乾杯。

J.C.はビールが水替わりだがT子も実によく飲む。

以前はこんなじゃなかったけどなァ。

 

炒り銀杏、どんこ(椎茸)網焼きを通し、

当方、芋焼酎・田苑のロック、

相方、みぞれレモンサワーに移行した。

みぞれは凍らせた焼酎を意味する。

ほどなくこちらもレモサワに切り替え、

互いに何杯かお替わりしてお開きとした。

 

てなこって無事一年が終わり、ゆく丑くる寅。

みなさんの寅年が寅さん映画みたいに

笑いの絶えない一年でありますように―。

 

「もちこみ屋」

 東京都墨田区京島3-21-10

 080-3455-4413

 

「立ち呑み家 正木」

 東京都荒川区荒川3-63-3

 電話ナシ

2021年12月30日木曜日

第2918話 キラキラデイ・ワンス・モア (その1)

年の瀬も残り少ない或る日。

ハマのT子が二人忘年会を

やらかそうとのたまうので決行。

一風変わった東京の町を見せてやりたく、

半月前に行ったばかりの下町人情商店街へ。

キラキラデイ・ワンス・モアと相成った。

 

昼下がりでは飲める店がほとんど開いてない。

先日も利用した「たこ焼きこんこん」を再訪。

好みのビールはレギュラー缶のみ。

慎重に注いで歳納めのグラスを合わせた。

 

「スーパードライって

こんなに炭酸が強かったっけ?」

「そうじゃないヨ、泡を立てないから

 炭酸が逃げないんだ」

「あっ、そっかァ!」

 

突き出しはポテトサラダ。

こないだのNHK「ガッテン!」でやってたが

どんな食材でも料理でも相性バッチリなのは

何を置いてもポテサラなんだと―。

判ったような、判らんようなテーマだった。

 

たこ焼きはこれからタネを作るため、

つなぎに奈良漬を通す。

350mlの缶はすぐになくなる。

焼き上がった6個のたこ焼きを分け合い、

5缶空けたところで2軒目へ移動。

 

あれっ? これも先日来た、

「もつ焼 きくのや」が工事中だ。

2日休業して店内改装とのこと。

 

数軒隣りの「もちこみ屋」に流れる。

先客は単身のオジさんが二人。

コーヒーと酎ハイだったかな?

それぞれ飲んでいる。

 

ワンオペのマスターが言うには

この12日に開業した近所の惣菜店、

「こばち屋」でつまみを調達すれば、

飲みものが割引価格になるとのこと。

彼の奥さんと彼女の妹さんが営む店なのだ。

ちなみに「もちこみ屋」も

4年前の1212日が開業日。

 

本人は料理嫌いで壁の品書きに

“料理は時間がかかります”とかナントカ。

せっかくだから「こばち屋」に回り、

八宝菜もどき、玉子焼き、鮭おにぎりを購入。

みな小さいがワンコイン・ジャストであった。

 

=つづく=

 

「たこ焼きこんこん」

 東京都墨田区京島3-52-3

 03-3612-9595

 

「こばち屋」

 東京都墨田区京島3-49-1

 今のところ電話ナシ

2021年12月29日水曜日

第2917話 旧友集まり 四人飲み

この師走、最初で最後の四人飲みを敢行。

同じ顔ぶれが集まるのはおよそ10年ぶりだ。

 

カレー専門家・O野チャン。

特許事務所のOL兼パン専門家・P子。

いつの間にやら小四娘のママ・M央。

ブランクが長引いたのはM央の旦那が

デトロイトに赴任したためである。

 

神田神保町「多幸八」に集結。

O野チャン行きつけの居酒屋は

J.C.も何回か訪れたが直近は10年も前になる。

刺身、焼きとん、ともに旨い店で

ユニークな自家製シューマイなんぞも供する。

 

J.C.はここの焼きとんが大好き。

殊にタレが好く、昭和の匂いが立ちのぼる。

生も瓶もキリンだけという、

ビールの品揃えが唯一の不満だ。

 

生ビール、酎ハイ、ハイボール、

各自好みのジョッキ&グラスをガッチンコ。

さっそくそれぞれの10年リポートが始まった。

 

いやはや、みんな堰を切ったが如くに

よくまあ喋ること、しゃべること。

無口(?)な当方が口を挟む間もあらばこそ。

もっぱら聞き手に回っておりやした。

 

最初に焼きとんミックスが運ばれた。

うん、コレだヨ、これ!

小学低学年で居酒屋デビューを果たしたオヤジは

あの頃を懐かしみながら

ナンコツを噛みしめておりやした。

 

続いて刺身盛合せ。

サヨリ・赤身・中トロ・イカ・赤貝といった陣容だ。

そして炒り銀杏は

小まめなO野チャンが殻を全部、むいてくれやした。

 

隠れ名物・シューマイが登場。

精肉店のソレみたいにグリーンピースがチョコン。

つなぎ、とりわけ片栗粉が多く、

これまた昭和の風を舌上に吹かせる。

 

二次会は「多幸八」の裏手にあるバーへ流れた。

10年のブランクを埋めるように

年明け二月の再会を約し、当夜はお開き。

彼らによって「JCの会」と命名されたこの会。

しばらく続きそうな気配である。

 

振り返れば、この一年。

5年ぶり、10年ぶり、20年ぶりに

相まみえた旧く良かりし友の数は

軽く10人を超えたろう。

クラス会、同期会が無いにも関わらずだ。

 

かように貴重な年が暮れようとしている。

去りゆく丑の後ろ姿が見えるような気がした。

 

「多幸八」

 東京都千代田区神田神保町2-20-29

 03-3263-1568

2021年12月28日火曜日

第2916話 温野菜 欲しくて注文 ハンバーグ

浅草・雷門の右奥の「とん久」を出て

徒歩1分の「神谷バー」へ移動。

満席の2階は待ち客が2組、階下へ戻る。

いや、こっちもいっぱいだヨ。

 

二人だけ佇める立ち飲みスペースに先客が一人。

立ち飲み上等、どうせ長居はしないんだ。

ところが食券を買ってるあいだに

残りのスペースにオッサンが立ってやがる。

 

荷物があったら置いとくところを

いつも手ぶらのJ.C.、まさかスマフォは置けんやろ。

ホールを見回していると

中年夫婦がマスクを着けて立ち上がり、卓が空いた。

 

求めた食券はドライ大瓶&電氣ブランオールド。

どうしても泡ナシが飲みたくて瓶にしたが

此処で瓶を飲むのは人生初である。

泡のぶん少なくて構わないから

泡抜きにしてくれなんて混雑時には迷惑だろうし、

説明するのも面倒くさかった。

 

まずは1杯あおって気を静め、再び食券売り場へ。

単品とはいえ、カキフライを5個やっつけたから

そんなには食えない。

ショーケースの隅から隅まで入念にチェックする。

これといって欲しいものはないなァ。

マミツレスにしとこうか・・・。

2階はそうもいかないが1階は食券制につき、可能だ。

 

おっと、あったヨ、ありました。

狙うはハンバーグのガルニテュール(付合わせ)。

ニンジン・インゲン・ジャガイモの黄金トリオだ。

まさに洋食の王道である。

いえいえ、フランス料理も同じこと。

 

おお、いいネ、いいですネ。

トリオに加え、立派な枝ぶりの、じゃなかった、

茎ぶりのクレソンまで1本付いて来た。

麦酒と電氣を交互に味わいながら

口元がゆるんでくるのを明確に自覚していた。

 

ハンバーグは残すのか? ってか?

トンデモない、ちゃんといただきますヨ。

すっかり脇役扱いのハンバーグでしたが

良い方向に予想を裏切られました。

 

今まで食べなかったわけじゃないけれど

グループで利用したときやなんかに

みんなでいろいろ頼んだヤツを

1片か2片、つまんだだけだと思う。

それも冷めかけたヤツを―。

 

かなり濃厚なパティはビーフ100%かな?

よしんば合挽きだとしても

9:1か、せいぜい8:2どまりだろう。

「神谷」ではポテサラ&串カツが定番ながら

今後、ハンバーグを仲間に加えましょう。

 

「神谷バー」 

 東京都台東区浅草1-1-1

 03-3841-5400

2021年12月27日月曜日

第2915話 カキくへど 鐘が鳴らない 浅草寺

歳末のエンコにやって来ると

人出が無茶苦茶でござりまするがな。

インバウンド抜きでこの状態じゃ

彼らが再来襲したら、どうなっちまうんだろう。

 

人気店はどこもかしこも行列だ。

雷門のすぐ脇にありながらガラガラの洋食店、

「とん久」に18年ぶりでおジャマした。

最近は十数年ぶりの再訪が多い。

故きを温ねて新しきを知る代わりに

懐かしさを覚えるから“温故覚懐”の心持ちなり。

 

先客はおらず、店主夫婦が談笑していた。

公衆トイレのすぐ横という、

ロケーションも災いしているだろう。

二人ともお歳を召された。

まっ、18年も経ちゃ当たり前だがネ。

 

普段ならカウンターに着くところ、

アクリル板がうっとうしそうでテーブル席へ。

 

♪ ひとりぼっちの うしろ姿の

君のうなじが やけに細くて

いじらしかったよ   ♪

 

パープル・シャドウズの

「小さなスナック」がかかるなか、

ドライの中瓶、カキフライ単品を通した。

10月下旬以降、

洋食屋でカキフライを食べるのは3度目だ。

 

中ぶりのカキは5カン付け。

ずいぶん色白な揚げ上がりは

キツネ色ではなくシロクマ色。

繊切りキャベツの隣りのポテサラがうれしい。

 

カキフライの味わいは

カリカリのサクサクのシットリと

なかなかにけっこう。

卓上のソースはウスターと中濃の中間てな感じ。

 

若いカップルが入店して来た。

彼らの注文を聞くともなしに聞く。

オムハヤシ、ナポリタン、ヒレカツ定食と

コカコーラ1本にグラス1個。

 

女性がトクトク注ぎ、男性の前に滑らせた。

ふ~ん、やるじゃないの。

近頃の娘っ子にしちゃ、心根のやさしい子だ。

それはともかく若いだけによく食うネ。

 

黄昏まぢかの街に出た。

雷門から仲見世にかけ、人通りが絶えない。

2軒目はすでに決めてある。

 

「とん久」

 東京都台東区浅草1-2-8

 03-3841-8718