2021年3月31日水曜日

第2622話 一人花見は さくら・櫻・桜 (その1)

或る夜、布団にもぐり込んで思った。

そうだ、明日は一人で花見をしよう。

寝つくまで計画を練り上げた。

 

翌朝、天気予報は曇りがちだが雨は降らなそう。

曇り空の下、花の雲を愛でるのもまたよろしき哉。

孤独の花見につき、無聊を慰めるために趣向を凝らした。

イヌやキジとはいかぬが供を引き連れて行こう。

 

そこからの行動は素早い。

まず、灘の銘酒、櫻正宗の大吟醸ワンカップを探すと、

内神田の「藤田酒店」がヒットした。

神田なら行き掛け、ルート的に都合がよい。

即電話を入れて在庫を確かめた。

 

続いて近所の「御菓子司 むさしや」へひとっぱしり。

一つだけじゃキマリが悪いから桜餅を二つ購入した。

関東風のこしあんをうどん粉の薄焼きで包んだヤツ。

関西風の道明寺もよいが酒の友は断然こっちだ。

 

隅田川河口の佃島に向かった。

都内に桜の名所は数あれど、J.C.が最も好むのは此処。

桜の木が少ないぶん人の数も少なくて、それが一番。

最寄りはメトロ・月島駅ながら築地から歩くことにした。

距離的に大して変わらないしネ。

 

花見の供は櫻正宗と桜餅、カンのペキである。

階段を軽やかに上がり、地上に出たところで

あっちゃ~、やっちまっただヨ。

神田で櫻を買うの忘れちまった。

バッカじゃないのっ! こりゃ戻るしかない。

 

でも、昇ってきた階段をそのまま降りるのはシャク。

近場で昼めしを食ってからにしよう。

一昨年の秋に来た、品のある町中華「萬福」に入店。

前回、食べそびれたポークライスと

サッポロ赤星中瓶をお願いした。

ケチャップライスと炒飯の中間みたいな味付けがいいんだ。

 

ところが出来上がった代物は昔とはまったくの別物。

どこにでもあるチキンライスの鶏肉が豚に代わっただけ。

今は昔、東銀座の中華そば御三家は

当店、馬券売り場の隣りの「共楽」、

そして歌舞伎座裏にあった、今は無き「味助」。

あゝ、昭和は遠くなりにけり。

 

傷心を引きずり、神田の「藤田酒店」へ。

ワンカップをゲットしたところで雨が降りだした。

予報は終日曇りのハズ。

最近の気象庁はよく外すねェ、ジッサイ。

まっ、悪党が大臣の座にしがみついてる、

総務省なんかより、ずっとずっとマシだがネ。

 

=つづく=

 

「萬福」

 東京都中央区銀座2-13-13

 03-3541-7210

2021年3月30日火曜日

第2621話 ザ・ウーマン・フロム・GZ (その2)

大田区・大森の「煮込 蔦八」を訪れたのは2017年の初夏。

当時は本店のみだったが現在は向かいに「はなれ」、

駅そばには焼き鳥に特化した3号店と勢力を延ばしている。

ビールはじゅうぶん飲んだから白鹿を熱めにつけてもらう。

 

つまみは煮込みの小サイズとまぐろ脳天刺し。

モツが苦手な相方は豆腐ばかりを口元に運んでいる。

まぐろ脳天の身肉自体はいいが、あまりにも筋っぽい。

 

麒麟山の冷たいのに切り替えた。

スッキリとした味わいが好みだ。

御徒町のマイ・ブレイクルーム「味の笛」でも

よく飲むのは麒麟山と越乃寒梅、冷酒は越後がシックリくる。

 

「何かほかに好きなモン頼みなヨ」

「ニンニクの丸揚げ」

耳を疑いやしたネ。

再度訊ねても応えは変わらない。

「そんなの食って、あとでキスなんかするとき、

 塩梅悪いだろうが―」

「一緒に食べればいいじゃない」

仕方なく通してやった。

 

すると奴サン、食いやした。

J.C.も1粒だけつまんだけど残り全部、

赤ん坊の拳(こぶし)くらいあるヤツを完食しやがった。

 

あの声で蜥蜴(とかげ)食らうか時鳥(ほととぎす)

先人に倣えば

その面(つら)で丸揚げ食らうか銀座ママ

てな感じ。

いや、ニンニクは好きだが丸揚げは注文したことないな。

 

麒麟山のお替わりをして3軒目に移動。

実は此処こそが今回、大森に連れ出した理由であった。

2分歩いてやって来たのは山王小路飲食店街。

通称、地獄谷である。

 

クラブの世界の頂点は銀座だろうが

スナックならば、こんな世界もあるんだぜ。

そこんところをぜひ、見せてやりたかったのだ。

 

八十路に差し掛かったママが独りで切盛りする、

「T」の店先に立つ。

ありゃあ、「T」がなくなってるヨ。

いや、物件は残っちゃいても店の名が「M」に変わってる。

 

この間の事情を知るためにも、そのまま「M」に入店した。

ところが祝日の土曜とあって本来のママの姿なく、

臨時の助っ人ママでは詳しいことが判らずじまい。

健在ではあるらしいと聞いて一安心の巻。

 

相方がハイボール2杯、当方は小瓶2本。

互いに1曲づつ歌い、

20時の閉店と同時にお開きとして帰宅の途に着いた。

 

ちなみに当夜、

くちづけが交わされることはございませんでした。

その気持ちすら、起こりませんでした。

 

「煮込 蔦八はなれ」

 東京都大田区大森北1-38-1

 電話ナシ

2021年3月29日月曜日

第2620話 ザ・ウーマン・フロム・GZ (その1)

この日、降り立ったのはJR京浜東北線・大森駅。

相方は銀座のH恵ママである。

しっかし5日間で長時間のサシ飲み3連発ってのは

コロ助襲来以前までさかのぼっても、ちょいと記憶にない。

物事は重なり出すと重なるもんですなァ。

 

駅で待合わせ、親愛の情を込めてグータッチしたら

よりによって奴サン、運動靴なんか履いてやんの。

似合わねェなァと思い、からかうと

「スニーカーって呼んで―」

「ハイ、ハイ」 と来たもんだ。

 

アーケードの商店街を抜け、

今しばらく京急・大森海岸駅方面に歩く。

ほどなく漫画「三丁目の夕日」の誌面から

抜け出て来たような町中華「満福」が見えてきた。

 

今回が2回目で前回は2009年の初秋だった。

ドライの大瓶で6年ぶりの乾杯。

有楽町の国際フォーラムにあった「レバンテ」以来になる。

ビールをガンガン飲んでると

「何か食べものが欲しいんだけど―」―そりゃそうだ。

 

カニ春巻を通したら本日は春巻&焼売ができないとのこと。

餃子をすすめられたが前回いただいたから今回は、とパス。

名物のハゼ唐揚げも食べたが、こちらは受け入れた。

店主が羽田の海で釣り上げたハゼを下処理して冷凍保存。

よって通年提供できるのだ。

 

酢豚は相方に却下され、カニ玉で合意に至る。

大きな半月形のカニオムレツがやって来た。

ケチャップを使わない餡が薄味、なかなかよろしい。

もうちょいとカニカニ感があればさらにうれしいが

毎度書くけど、カニは高価だからネ。

 

中華にせよ洋食にせよ、エビ料理にはエビがたっぷり。

反してカニ料理にはカニがちょっぴり。

これが飲食店の生きる道、まっ、仕方なかんべサ。

 

大瓶をお替わりして何か軽いものをもう1品。

前回のぬか漬けがよかった。

「お新香ください、調味料かけずに―」

大量の化調に辟易とした記憶がよみがえる。

 

ところがギッチョン、浅漬けはいつの間にか超古漬けに-。

きゅうりと大根は店内に異臭を放ちまくる。

好き嫌いの少ないJ.C.が一番苦手とするのがコレ。

得意としない琵琶湖の鮒寿司のほうが

まだマシかもしれない。

 

臭いに追い立てられるようにして、来た道を戻る。

2軒目は煮込みがウリの「蔦八はなれ」だ。

 

=つづく=

 

「満福」

 東京都大田区大森北2-10-1

 03-3764-3858

2021年3月26日金曜日

第2619話 リトル・コリアで食べる焼き肉

鶯谷駅前は尾竹橋通りの起点、真っ直ぐ北上した。

10分ほどで三河島駅到着。

目指した「焼き肉 伽耶」はほぼホームの高架下にある。

伽耶とは古代の朝鮮半島に存った小国家群だそうだ。

 

昨秋、たまたま見つけた和風ショットバーが気に染まり、

何度か利用したため、東東京のコリアン・タウン、

三河島に土地勘が生まれた。

常連客が支える小さなショットバーに

迷惑を掛けてはならじと、紹介できないのが残念だ。

 

それはそれとして「伽耶」。

入れ込みの座敷に上がり、ドライの中瓶で乾杯。

このたびM代サンのお世話になったことがあり、

そのお礼を兼ねての会食となった。

 

よってタン塩、ハラミ、カルビ、揃って()を奮発した。

もっともほかは白菜キムチとナムル盛合わせだけ。

われわれ二人、世間では少数派の少食派。

日頃より美味少量をモットーとして

日常生活を送っているため、この程度がちょうどよい。

 

リトル・コリアで焼肉を食べるのは3回目。

過去2階はともに2010年の夏だった。

「九里味」は当時のGFと

「山田屋」は漫画「キン肉マン」に実名で登場する、

中野和雄サンとご一緒した。

 

ビールを飲んでいるうち、上タン塩登場。

おしなべて女子は牛タンが好き。

そのせいもあるのだろう、男より舌の回りがよろしい。

幼児にしたってより♀のほうが言葉の覚えが早い。

森のおとっつぁんが言うように話が長くなるとは思わないが

♂より♀におしゃべり好きが多いのは紛れもない事実だ。

 

上ハラミと上カルビが揃い、相方はWハイボール、

当方はどんぶり鉢のマッコリにチェンジ。

いわゆる朝鮮半島のどぶろくだが

これを柄杓(ひしゃく)ですくって汲む。

 

アルコール度数はビールのちょい上くらい。

6~7度って感じかな。

手酌ならぬ、手杓のハイピッチだったけど、

4合ほどやっつけても全然酔わないネ。

 

いただいた3種の牛肉はいずれ劣らず上質。

この焼き肉店はオススメ、太鼓判を押したい。

煙臭さ、油臭さともまったく無縁だし―。

 

J.C.は鳥の場合は焼き鳥、肉の場合は焼肉と表記する。

すき焼き、焼き魚にも送りがなを送る。

長いこと四文字熟語の朝鮮焼肉で通してきたからだ。

当店は珍しくも自ら「焼き肉 伽耶」を名乗っている。

“き”が効いてるよネ。

 

「焼き肉 伽耶」

 東京都荒川区東日暮里1-6-5

 03-5811-8929

2021年3月25日木曜日

第2618話 偶然はまだ続く

乗り越して池袋まで行っちまった翌朝。

マフィンのトーストをかじりながら思った。

前日の逢瀬の仕掛け人、馬主の半チャンだが

彼と数年ぶりに酌交したのは2年前の3月。

 

チェックしたら驚くなかれ昨夜と同月同日だった。

彼がクラブ「U」に行ってなかったら

元ママとの再会もなかったろう。

いや、不思議だねェ、何なんだヨ、コレ?

 

この日は荒川区・三河島で焼肉の予定。

その前に待合わせたのは「晩杯屋 鶯谷店」。

相方と生ビールのジョッキを合わせたとき、

ポケットのガラケーがブルブルッときた。

即出たつもりながら、早くも留守録になっている。

 

おっと、こりゃまた珍しいヤツからだ。

掛けてきたのは元部下のA子。

元ママのA子とは別人ですので念のため。

 

オモテに出て折り返したが彼女と話すのは5年ぶり。

何でも2年前に横浜から沖縄に移住した由。

四月に上京するから飲みに連れてって、との仰せだ。

いいでしょう、いいでしょう、お連れしましょう。

 

最後に会ったのは横浜の波止場。

旧友と日本大通のウイーン料理店、

「アルテ・リーベ」でのランチ後に

チャイナタウン、山下公園を散策し、

大桟橋の入口で偶然バッタリ。

 

当夜はA子が推奨した野毛の「もつしげ」で友人と飲んだが

そのときA子からの

「よろしかったら、旦那とジョインさせて下さい」―

この着信に気づかずに会わずじまい、あれ以来なのである。

 

ここでまたまた大偶然。

横浜に一日遊んだ折の相方が

目の前でジョッキを傾けているM代サンと来たもんだ。

彼女とはそうそう会うでもなく、事実、今宵が2年ぶり。

こうなるとM代の魂がA子を呼び寄せたとしか思えない。

 

焼酎ハイボールに切り替えた。

下町で愛飲される天羽の梅入りで、つまみは炙り〆さば。

品書きに交じり、いろんな但し書きが壁に―。

 

当店!瓶ビールはありません

メニューは常に立てて下さい

暴言暴力行為 一切出入り禁止。

取り皿1枚50円 おしぼり1本70

ケータイの充電1010

テレビのチャンネル権1時間500

 

冗談半分だろうが、やり過ぎの感あって目障りだ。

近頃、躍進中のライバルチェーン「ほていちゃん」に

こんな調子じゃ駆逐される日が遠からずやって来るゾ。

3杯目の生すだちハイを飲みながら予感した次第なり。

 

「立呑み晩杯屋 鶯谷店」

 東京都台東区根岸3-5-7

 03-5849-4828

2021年3月24日水曜日

第2617話 ザ・ウーマン・フロム・NY (その4)

吾妻橋「どぜう ひら井」は通算10回目。

不動のどぜうメニューはいつも通りだが

脇役陣は普段の3分の1程度に縮小されている。

いわしの三杯酢、江戸前小魚の天ぷら、

ともにいっとき、その姿を隠していた。

これもみなコロ助野郎のせいだ。

 

互いにしこたまビールを飲んできたため、

此処ではハナから相酌で冷酒。

京都・伏見の玉乃光純米吟醸である。

突き出しは、かつおの酒盗おろし。

相方がこのわたに目がないので即発注。

どぜうは、抜き鍋→丸鍋→天ぷらの順に

三段構えでお願いし、生玉子も忘れずに―。

 

ほどよく煮えた抜きをパクリとやった元ママ。

「美味し~い! このあいだ食べたのと全然違う~ぅ!」

何処で食ったか訊ねると、千葉から来た姪っ子夫婦が

うなぎを食べたいってんで

伝法院そばのうなぎ屋に連れてったら

旦那がどぜうもリクエストした由。

 

うなぎ屋の出すどぜうはせいぜい柳川どまり。

伝法院のそばなら「K」に相違なかろうが

そもそも、どぜうはうなぎ屋で食うもんじゃないんだ。

どぜうとうなぎじゃ、施す江戸前シゴトがまったく違う。

 

抜きのどぜうは途中から溶き玉子をくぐらせる。

格好の味変になるし、

割り下が煮詰まり、しょっぱくなってくるからネ。

丸どぜうのサイズはかなり小ぶり。

頭も中骨も食べるからデカいと口中に不快感をもたらす。

天ぷらも堪能し、元ママは相好を崩していた。

 

300ml入りの冷酒を5本は空けたかな?

ほどよく酔いが回り、20時近くとなってお開き。

歩いて帰る相方に吾妻橋の西詰で

ちょいとキツめのハグをして手を振った。

 

雷門前から都営バスに乗り込む。

三ノ輪の大関横丁までは覚えていたが、そこから爆睡。

ハッと気づいたときにゃ、終点の池袋駅東口と来たもんだ。

せっかく来たんだ、酔い覚ましに美久仁小路をぶ~らぶら。

年末に迷い込んだコリアン・ママのいる、

スナックもまだ営業を再開していなかった。

 

徐々に頭と身体がシャキッとしてくる。

駅に戻って山手線外回りに乗り、帰宅の途。

車内はガラガラだがグルリ一周は勘弁と、

立ちん坊を貫いてたら頭の中で岡林信康が歌い出す。

 

♪  工事終ればそれっきり

  お払い箱のおれ達さ

  いいさ いいさ 

  山谷の立ちん坊

  世間うらんで 何になる ♪

 

明日は焼酎を飲もうっと―。

 

=おしまい=

 

TOKYO隅田川ブルーイング」

 東京都墨田区本所吾妻橋1-23-36

 03-5608-3831

2021年3月23日火曜日

第2616話 ザ・ウーマン・フロム・NY (その3)

TOKYO隅田川ブルーイング」に再度入店。

さっきの女性スタッフに迎えられ、お互い苦笑い。

「ほかに行くとこ、ございませんの?」―

とは訊かれなかったが

ちょいとばかりキマリがみっとも恥ずかしい。

でも、検温されるA子を尻目にJ.C.は検温パスである。

 

相方はヴァージン、もとい、ヴァイツェン(白ビール)、

当方はエクストラコールド、グラスをカチンと合わせた。

マスク&グラサン外したご尊顔。

おう、おう、変わってないなァ、まだまだ若いねェ。

これなら婚活も順調にいきそうだ。

 

積もりに積もった、よもやま話は山より高く、

交わす言葉は尽きるところを知らない。

ここでまた偶然の賜物だがA子のメールをもらった翌日。

銀座のクラブのママで現役バリバリのH恵から電話あり。

 

四半世紀前、J.C.がよく利用したNYのクラブは「U」と「E」。

往時、両店は人気ナンバーワンの座を競い合っていた。

「U」のママがA子、「E」のチーママがH恵だったのだ。

ライバル関係の二人を引き合わせたのはJ.C.

初顔合わせはゴルフだったと記憶する。

 

(コロナ禍でどうしてるかなァ?)

H恵の電話のワケだが彼女と最後に飲んだのは6年前。

その1年後に届いたメールを紹介すると、

 

最近、NYに出張に行かれるお客様が

「U」へ行く事が多いようで

A子ママの話しを聞きます。

一緒にゴルフに行ったのが懐かしいです。

 

こんな偶然はA子の霊、英霊ならぬA霊が

H恵を呼び寄せたとしか考えられない。

おっと、目の前でまだピンピンしておったわ。

 

せっかくだから即H恵に電話を入れ、対話を促した。

二人が話すのは二十数年ぶりだろう。

結果、四月には三人で飲み会を催すことに―。

H恵も久しぶりだから四日後のサシ飲みが決定。

 

17時を回り、店々が開く時間となった。

候補をいくつか示してリクエストを問うと、

さすがだネ、“どぜう”ときやしたヨ。

 

エンコのどぜうは「飯田屋」でも「駒形どぜう」でもなく

「どぜう ひら井」にトドメを刺す。

深川・高橋(たかばし)の「伊せ喜」亡きあと、

花のお江戸の一番星はまぎれもなく当店。

さいわい徒歩30秒の超至近距離にある。

 

「ひら井」の店先に立ち、その凛としたたたずまいに

NYでブイブイ言わせた伝説のママも

少女のようにウットリとするのであった。

 

=つづく=

2021年3月22日月曜日

第2615話 ザ・ウーマン・フロム・NY (その2)

隅田川の東、墨田区・吾妻橋にやって来たのは

このあとに始まる舞台を下見するため。

屋上に炎のオブジェが鎮座する「フラムドール」は

しばらく休んだものの、前日から営業を再開した。

隣接する「TOKYO隅田川ブルーイング」も健在。

ともにアサヒビールの直営店、

飛び切り美味い生ビールを飲ませてくれる。

 

あとで立ち寄るかも知れないが、せっかく来たから

「ブルーイング」のカウンターに止まった。

此処ではいつも摂氏マイナス2.2度のエクストラゴールド。

2杯飲み干し、吾妻橋から東駒形をぶ~らぶら。

駒形橋で隅田の水を渡り返した。

 

シャッターを下ろす「神谷バー」前で13年ぶりの再会。

その節は連れ立って歌舞伎座を訪れ、

十八代目 中村勘三郎&五代目 坂東玉三郎の踊りを観たあと、

勘三郎サンの楽屋におジャマした。

 

何となればA子嬢はNYの高級クラブ「U」のママ。

オーナーは十八代目の姉上、C江サンであるからにして

二人はじっこんの間柄なのだ。

J.C.はいわゆるオマケの付録でありました。

 

今回、A子の帰国を知り得たのは

馬主の半チャンのピラティス・インストラクター、

Nえチャンが以前、クラブ「U」に在籍したからだった。

彼女を通じてレンラクがつき、

A子からのメール到来につながった。

ところが生意気にもその文末。

 

近々この界隈に見えるようでしたら連絡下さい。

ディープな浅草ご案内します。

 

なんてあり、いったい誰に向かって言うとんの? てな感じ。

この件、半チャンに伝えたら

 

J.C.に浅草を案内するとは面白いですね!

落語でよくある半可通が通ぶって、、、

と言う様な顛末に。

 

だよねェ。

ピアノCMの財津一郎じゃないが、“その通~り!”

 

とにかく無事に再会を果たした。

サングラスにマスクじゃ、どんだけ老けたか

かいもく判らんけど、そこらはあとの楽しみとして

吾妻橋を再び渡ったら「フラムドール」は=Closed=。

中休みを取らない店だが完全復活はまだ先らしい。

結局は薬局、「ブルーイング」に舞い戻った。

 

=つづく=

 

「らぁめん めんまる」

 東京都台東区浅草2-15-2

 電話ナシ