2021年8月31日火曜日

第2731話 駅のホームのワンタンメン

足立区在住の友人から

メールが来信したのは去年の晩秋だった。

東武伊勢崎線・西新井駅のホームに

「西新井ラーメン」なる、立ち食いスタンドがあり、

値段(500円)のわりにイケるから試してみてとのこと。

 

翌週、明日は師走という日に赴いた。

北千住に用事があり、その前のランチに足を延ばした。

ほぼ真っ直ぐの中細多加水麺に

肩ロースのチャーシュー、シナチク、ナルト、わかめ。

その面貌はオーソドックスな昭和のラーメンだ。

確かに悪くはなかったけれど、

コク味に欠けるスープがもの足りなくて紹介を見送った。

 

月イチのペースで北千住に出掛けるが先週もそうだった。

家を出る前、ふと「西新井ラーメン」が頭をよぎる。

あすこにはワンタンメンもあったな。

方向一緒で行き掛けの駄賃、再訪してみようか―。

 

一味足りないスープのため、自宅に常備する、

youkiの化学調味料無添加ガラスープ(顆粒)を少々、

アルミホイルに忍ばせた。

これで問題は解決するだろう。

 

券売機のワンタンメン(550円)をポチッ。

逆L字形カウンターの長い辺の右端、

券売機の左隣りにポジションを得て待つこと5分。

中身が小指の先ほどのワンタンは昔ながら。

貧しかったあの時代はこれが定番だった。

 

1970年代初め、ロンドンのチャイナタウンで

初めてのワンタン・ミーを食べたとき、

てるてる坊主の頭ほどもある具材に驚いた。

密に絡みつく麺を中国娘が

ハサミでチョキチョキやり始めたのには

驚きを超えてブッタマゲやした。

 

ところ戻って西新井駅のホーム。

どんぶりにはワンタンが5つも入り、

550円だから1つ10円の計算になる。

またずいぶん安いよネ。

 

youkiのガラスープが効果を発揮して・・・

というか、今回のスープは前回よりよかったものの、

持って来といて持ち帰るのもなんだし、

パラパラと投入した次第なり。

 

今どきワンコインラーメンにはなかなか出会えないが

牛丼が400円で食べられる時代だからねェ。

しかもここは立ち食いのラーメンスタンド。

値付けは適正といえるかもしれない。

肝心の味も値段相応といったところです。

 

「西新井ラーメン」

 東京都足立区東武伊勢崎線・西新井駅3・4番線ホーム

 03-3606-1187

2021年8月30日月曜日

第2730話 定食を つまみ代わりに ガード下

飲みたくなって、またまた上野の午後1時。

ハナから酒場でもいいんだが

ランチのあとでコーヒー代わりのビールが

パターン化している。

というより、まん延化していて防止策が求められる。

 

よって定食をはじめ、御飯モノはちと重い。

なんて言っておきながら、このひと月を振り返れば

親子丼・酢豚ライス・蟹炒飯・カレーライス、

もりそば&ミニ丼等を食べ継いできてるじゃないか―。

 

思い浮かんだのは昼定食も提供する「たる松 本店」。

何度か利用したけれど、定食のデキはあまりよくない。

かといって酒のつまみもイマイチだ。

むしろ2号店の「たる松 上野店」が若干上だろう。

 

コロ助が傍若無人ぶりをいかんなく発揮する状況下。

呑ン兵衛天国の上野といえども

選り好みなどしていられない。

引き戸を開けっ放しの本店の敷居をまたいだ。

此処は御徒町と上野の中間地点、JRのガード下である。

 

先日の新橋「居酒屋 凛」でもそうしたが

定食のおかずをマミツにするつもり。

ランチメニューは

刺身・さば焼き・とり唐揚げ・あじフライ・

ミックスフライ・串かつ・豚生姜焼き

オール800円の中から串かつに白羽の矢を立て

ごはん半分弱でお願いした。

「サインはV」の范文雀が懐かしいネ。

 

ビールは生がサッポロ黒ラベル。

瓶はサッポロラガー(赤星)の大瓶。

今日は家を出る前から中ジョッキ2杯と決めてきた。

まっ、大抵そうなんだけど―。

 

20人近くの客に、女子は2人といない店内。

昼めしと昼飲みが半々だ。

串かつが整う前にジョッキのお替わり。

このペースじゃ3杯になっちまうかも・・・。

 

隣りに若いOL2人連れ着卓。

片割れが当方に軽く会釈する、その仕草がカワユい。

うん、チミはいいお嫁サンになれるヨ。

なれなかったらオジさんがもらって進ぜよう。

おっと、こいう冗談が許されない時代であった。

 

意想外に2人は揃って刺身定食。

まるで定年間近のオッサンみたいなモン食うねェ。

張サンなんか好きそうなメニューだなァ。

 

なんて思ううち、串かつ定食配膳。

やや小ぶりの3串は豚肉のみだ。

長ねぎ・玉ねぎの姿なく、いわゆるねぎま仕様に非ず。

副菜は、昆布佃煮、きざみ大根葉の漬物、

豆腐とわかめの味噌汁といった陣容なり。

 

おかずではなく、つまみとしていただくも

やはりデキはよくなかった。

それでも老舗は大手新参の攻勢下、

荒波にもまれながらも沈まずにいる。

 

オバちゃんたちの接客を含め、

滞留する古き良き空気の賜物というほかはない。

ちなみに換気はしっかりされていた。

開けっ放しだもんネ。

 

「たる松 本店」

 東京都台東区上野6-4-13

 03-3834-1361

2021年8月27日金曜日

第2729話 フォーにはレモンを搾るべし

オバアちゃんの原宿、巣鴨に出向した。

とげぬき地蔵方面には行かず、

JR山手線の内側、巣鴨橋の南にある、

ベトナム料理屋が本日の昼めし処。

彼の国の国民食、フォーが食べたくなったのだ。

 

巣鴨はJ.C.にとっていろいろ因縁のある街。

半世紀以上も以前、厚顔の、もとい、

紅顔の美少年(?)だった高校三年の夏休み。

受験勉強のため、GFと巣鴨図書館に通った。

 

6年前にも、とあるミッションに関わり、

たびたび訪れている。

その際「ハノイフォー」には幾度かお世話になった。

6年ぶりの再訪になる。

 

通したのは800円の鳥肉フォー・セット。

牛肉は850円、海鮮なら900円と

小刻みに値段が上がってゆく。

一律850円でいいじゃないかとも思うが

綿密な原価計算の結果であれば

店に対する信頼感も高まろう。

 

たっぷりのスープにたっぷりの米粉麺。

蒸した鳥胸肉のスライスが5~6切れ。

青小ねぎ、香菜(パクチー)、ゆでもやし。

別皿でエクストラもやしとサニーレタス。

これにはナンプラー、もとい、ベトナムだから

ニョクマムが振りかかっている。

そして櫛切りカットのレモン。

 

うれしいのは3つに仕切られた横長の小皿。

小冷奴にゴイ・クオン(生春巻)と

チャー・ジォ(揚げ春巻)が1切れづつ。

これをつまみに飲みたくて

ベトナム人のアンちゃんに伺いを立てるも

やはりビールは却下の運命(さだめ)なり。

ここでベートーベンとP.アンカが

同時に鳴り始めたが、やめとく。

 

気を取り直してドンブリに挑む。

途中、アンちゃんのアドバイスに従い、

レモンを搾り込むと一気に清涼感が押し寄せた。

この一搾りが夏場の熱い湯麺を美味しく食べさせる。

 

客層はリーマン&OL主体。

常連か友人と思しきベトナムの若いカップルも1組。

このご時世に廉価なフォー・ショップが

生き残ってくれていてよかった。

 

14時近くになり、若いママが幼い娘を抱いて来店。

アンちゃんの妻子で、遅い昼食を食べ始めた。

家族ならではのホッコリ感が店内に漂い、

一人残っていた日本のオッサンまで和んだことでした。

 

「ハノイフォー」

 東京都豊島区巣鴨1-17-8 NZ1178ビルB1

 03-6902-1216

2021年8月26日木曜日

第2728話 初めて渡った築地大橋

歩き始めて数分後、再び驟雨に見舞われた。

さっきよりヒドいゾ、マンションの玄関脇に逃げ込む。

これまた天気雨である。

子どもの頃、天気雨は非常に珍しく、

降った翌日は小学校の教室で話題になったほど。

陽が射したまま、雨はなかなか止まない。

 

雨宿り時はケータイをいじくってればいいんだが

テレともに電話して時間をつぶすのがベター。

テレワークならぬテレトークである。

そのための手駒を常に2~3枚確保しており、

親愛の意を込めて彼らを“雨宿り決死隊”と名付けた。

 

20分後、ようやく雨が上がった。

隅田川に架かる橋で一番好きな勝鬨橋を渡る。

月島・佃へはちょくちょく出向くが

その南側、勝どき1~6丁目にはまず来ない。

 

この日は清澄通りを南西に歩いた。

3年前に完成し、今では隅田川最下流の橋となった、

築地大橋を初めて渡るためだ。

東京五輪の出場選手を選手村から各会場に運ぶことを

重要な役目の一つとして造られた橋である。

 

橋の歩道の上流側が閉鎖されており、片肺歩行。

ここまで下ると隅田川は大河だなァ。

岸から岸まで泳げないかも・・・

(誰も泳がないって―)

 

ほかに歩行者はゼロ、ときどきチャリが行き交う。

ジリジリの陽射しもこたえたが

渡っていてつまらない退屈な橋だ。

それを慰めるのが左手に見えてくる浜離宮恩賜庭園。

脇を流れる築地川に10羽ほどの鵜が翼を休めていた。

カワウかウミウか判らんけど、たぶんカワウかな?

 

築地大橋を渡り切ったところが浜離宮の入口。

立派な石橋は大手門橋。

宮城(みやぎじゃないヨ、きゅうじょうだヨ)の

二重橋に似ているネ。

 

毎度のことでノドがヒドく渇いている。

ここまで来れば、

♪ 汽笛一声新橋を ♪  の新橋駅はもうすぐだ。

もっとも往時の新橋駅は今の汐留にあった。

ダメ元で潜った駅前ビルはやはりダメ。

線路の反対側のニュー新橋ビルに回る。

 

舞い降りたのは「居酒屋 凛」。

先月はこの地下の「えん家」と「ダイヤ菊」で飲んだ。

こうなると上野アメ横とニュー新橋ビルは

わが二大ガス・ステーションだよネ。

 

ドライの中瓶にお通しの冷奴。

店先の品書きにコレがあったので入店を決意した、

呼子のイカ一夜干しはやはり欠品だった。

コロ助下の飲み屋はこんなケースがしょっちゅう。

 

定食のアコウダイ(実際は安価な赤魚)粕漬を

単品で通し、中瓶をお替わりして

お勘定は金2400円也でした。

 

「居酒屋 凛 新橋店」

 東京都港区新橋2-16-1

 03-3519-5366

2021年8月25日水曜日

第2727話 築地の中華は そのまんま冷やし

前日から築地本願寺そばの中華と決めていた。

明暦の大火で焼失した本願寺は元あった場所、

日本橋横山町での再建かなわず、

幕府から江戸湾海上が与えられた。

 

海の上に寺を建てろ! 

乱暴な話だが佃島島民中心の埋め立て工事により、

築き上げられた土地に復興した。

地名・築地の由来である。

 

「中華 ふぢの」は初訪問。

以前、築地場内(現在は豊洲市場へ移転)に同名店があり、

そちらは何度か利用した。

通常“ふじの”と綴るべきところ、

“ふぢの”の表記はきわめて珍しい。

何らかの関係があるに決まっている。

 

メトロに揺られながら思い浮かべていたのは

五目焼きそばor冷やし中華の二択。

到着時はあまりの暑さに冷やし一択となっていた。

 

細打ちちぢれ麺が加水多めのシコシコ。

ヒタヒタのつゆは昔恋しいケレンなき味。

具材が焼き豚・錦糸玉子・きゅうりと

おなじみの御三家に紅しょうが少々。

昭和そのまんまの冷やし中華であった。

 

入れ替わり立ち代わり現れるリーマン&OLには

チャーハンが一番人気の様子。

若い娘たちも麺類&半チャーハンと食欲旺盛だ。

 

近所のオジさんが独りで入店して来て

半ラーメン&半チャーハンを通した。

ありそうでなかなかないコンビネーションを

涼しくなったら試しに来よう。

 

会計時、女将サンに旧築地店との関連を訊ねると

あちらは女将サンの母君の実家だったが

今は何の縁戚関係もないとのこと。

往時、場内の中華といえば、

「ふぢの」と「やじ満」が二枚看板だったなァ。

 

昭和そのまんま冷やしに満足して

オモテに出ると折からのにわか雨。

新大橋通りを走るクルマがしぶきを上げている。

太陽が出てるのにこの雨足はいったい何なんだ。

 

目の前のメトロ入口に逃げ込もうとも思ったが

店先にたたずむこと5分で雨は止んだ。

これならだいじょうぶだろう。

地下に潜るのをやめて散歩を決断。

勝鬨(かちどき)橋に向けて歩を進めました。

 

「中華 ふぢの」

 東京都中央区築地3-3-9

 03-3541-6989

2021年8月24日火曜日

第2726話 フォーミー&クリーミー

この日の午後は文京区・湯島。

昼めし処を求めて天神下周辺を物色していた。

ふと目についたのは「やきとん あおい」。

存在は知っていたが、ん? 昼から飲めそうだだゾ。

 

入ってみると、オネバさんのワンオペ。

先客はオッサン二人連れで卓上にホッピーあり。

黒ラベルの生を告げて品書きを手に取った。

カシラを塩、レバーとキク脂をタレでお願いすると、

当店はタレの代わりにニンニク醤油。

ちなみにキク脂は豚の小腸壁に付いた脂身だ。

 

ジョッキの泡立つフォーミー・ビヤ(foamy beer)は

落ち着くまで5分かかり、半分飲んで即お替わり。

5分もボーッと待ってたひにゃ、チコちゃんに叱られる。

滞空時間30分足らずで2軒目を目指した。

 

昼飲みならば、上野へ上野へと身体はなびく。

読者に飽きられ、呆れられるのは不本意ながら

no other choice お察しくだされ。

 

先日遠来の友と飲んだ「かのや」を再訪。

ホテル勤めのヤングカップルと出会った居酒屋だ。

すかさずドライの大瓶と

前回気に染まったカニクリームコロッケを―。

 

そおっとグラスを満たしてクイ~ッ。

やはりビールはホームレス、じゃなかった、

フォームレスに限るわ。

 

そういや最近、ホームレスに罵詈雑言を浴びせた、

メンタリストなどとワケの判らぬ商売の愚か者がいたが

あの手の生きものこそ、この惑星から消えてもらいたい。

正真正銘の“絶滅希望種”がアヤツ。

けっ、バカがっ!

 

カニクリコロを2個平らげ、黒霧島のロックに移行。

メニューを見やりながら、

何気なしに海老とマカロニグラタンを追加した。

普段はまず注文しない料理である。

 

結果としてコレが悪くなかった。

カリカリに焼かれた表面が香ばしい。

理想はビールだけど、芋焼酎にも順応する。

 

でも食べながら思うなァ、クリコロ&グラタンなんて

本人の意に反して叩かれちゃった、

「サンデー・モーニング」の張サンじゃないけど、

嫁入り前のお嬢ちゃんみたいなモン食ってるヨ。

フォーミー・ビヤのあとは

クリーミー・フードと来たもんだ。

 

それにしても今の世の中、うっかり口を滑らせたら

トンデモないことになっちゃうねェ。

冗談を冗談と受け止めない輩が世にはびこり過ぎてる。

アソビのないハンドル握ってるみたいで

安心・安全の運転なんか出来っこないヨ、まったく。

 

「やきとん あおい」

 東京都文京区湯島3-42-3

 050-5494-6375

 

「かのや」

 東京都上野台東区6-9-14

 03-5812-7710

2021年8月23日月曜日

第2725話 最新のNYリポート

離日した酌友・半チャンよりメール来信。

8月いっぱいはニューヨークに滞在し、

9月にシカゴの大学に入る、

せがれとともにイリノイ州に移動とのことだ。

 

日本とアメリカ、東京とにNY、成田とJFK、

東京ドームとヤンキースタジアム等々、彼我の差を嘆く。

ダイジェストで紹介してみたい。

 

それにしてもアメリカは別世界です。

入国はPCRも隔離もなくすんなり。

日本で苦労して入手した

コロナ陰性証明書なんか見もしない。

イミグレは完全電子化で提出の用紙もナシ。

 

滞在ホテル前の薬局でファイザーを予約無しの

パスポート提示だけで息子はワクチン打てました。

2回目は何処でも打てるので大学近くで打つ予定。

打ちたくなかったけど、授業に出られないから

しょうがないけど、これすべて無料です。

 

予約出来なくて右往左往している日本とは

何が違うのでしょうか?

有事に兵站を潤沢に準備出来る国には敵わないな。

(ホントだネ、ガダルカナル、インパールを想起させる)

 

レストラン利用はまったく問題なく、

東京やフィリピンの憂さを晴らすため、

生のブルックリンラガーを飲みまくる毎日です。

NYは9月16日からレストラン飲食にワクチンの

接種証明書が必要ですが、これは揉めるでしょう

 

ヤンキースタジアムでは

観客のほとんどがマスク無しで内野は満席

渡辺直美がエンゼルスのベンチ上で観戦。

マスク着用のわが家の周りは

ヤンキースファンの酔っ払いだらけ

 

野球場でもワクチン打てるため、

試合前にちょっと打って来るわ、てな感じ。

東京ドームでノンアルの乾杯してる友人を尻目に

ブルックリンラガーでノドを潤す半チャンでした。

 

追伸

9月中旬とアナウンスのあった

店内飲食時のワクチン証明書は突然、今週スタート。

無いと店外飲食のみでさすがに賛否両輪です。

 

来週、コネチカットでゴルフですが

こちらでもレストランの店内飲食は

ワクチンパスポートを見せる必要があり。

NYの近隣州も従うことになるのでしょうね

 

半チャン、興味深い情報をありがとうネ。

ひるがえって、Tokyo.Japan

茶坊主の想定なんざをはるかに超える、

感染爆発と医療崩壊の日々、こんな日本に誰がした。

 

しばらくの間、楽しみは独り散歩と独り飲みのみ。

近頃は飲ませてくれる店を応援したくなってきた。

二階のタヌキ親父じゃないが

“黙飲”なら文句ないだろ、“黙飲”ならよっ!