2017年12月28日木曜日

第1775話 聖蹟で鶏皮を (その1)

数ヶ月前に初めて訪れた高幡不動。
ヒョンなキッカケで向こう一年ほどの間、
月一のペースで出向くことに相成った。
いわゆる同好の士の集まりである。

よって帰り際には京王線沿線のどこかで
軽く1~2杯の機会に恵まれるわけだ。
J.C.以外はみな、
徒歩かチャリンコ圏内メンバーにつき、
沿線で途中下車の独酌は致し方ない。

そんなこって前回の寄り合いのあと、
寄り道したのは聖蹟桜が丘。
初めて降り立つ駅である。
”聖蹟”を冠するのは
かつて天皇陛下が行幸に及んだことを意味する。
はたして明治天皇のお狩場が近くにあった由。
でもねェ、そのたんびに聖蹟を名乗られたひにゃ、
日本全国、聖蹟だらけになっちまうヨ。

駅近くに鶏皮の串焼きをウリとする、
焼き鳥屋があると聞き及んでいたので
周辺の散策を打っちゃって直行した。
店は徒歩数分の距離、京王線の高架下にあった。
その名を「神鶏」という。
へえ~っ、神でっか!

15時半に入店すると先客はゼロ。
1時間弱の滞在だったが
後客もオッサンが一人現れただけだった。
まあ、時間が時間だけにこんなものだろう。
スタッフは20代と思しきアンちゃんが二人。
一人が焼き手、もう一人は飲み物&接客担当だ。

残念なことにビールはプレモルの生だけである。
天の代わりに天井を仰いだものの、
精神的立ち直りは早い。
間髪入れずにホッピーの白を所望した。
突き出しはうずらの玉子をポチッと落とした大根おろし。
そのまま箸休めにしてもいいし、串焼きに絡めてもいい。

焼き鳥の注文は推奨品の鶏皮を思い切って2本。
この鶏皮、品書きには博多名物とあった。
加えてハツと心残りを塩、レバーをタレでそれぞれ1本づつ。
心残りとはハツ(心臓)のそばのホルモンとのことだ。
鶏皮は二日かけて何度も焼き直しするらしい。
その手間によって絶妙な食感を生むんだそうだ。

最初に到着したソレをパクリ。
旨いか不味いか問われたら、旨いと応えるけれど、
それほどの美味というのでもない。
ちょいと拍子抜けしたというのが偽らざる感想であった。

=つづく=