2025年8月14日木曜日

第3862話 シャコと毛蟹の花川戸

浅草1丁目1番地の「神谷バー」。
そこを起点に北へ1km 続くのが
馬道という名の通り。
その東側の狭い一画が花川戸で
歌舞伎「助六」の舞台だ。

其処に「助六」が灯りをともす。
屋号が歌舞伎に由来するのは
明らかだろう。
夜な夜な近隣の常連で
いっぱいになると聞き、
予約を入れて赴いた。

開店の17時に引き戸を引くと
早くも先客4名。
奥にも席があるが
みなカウンターに陣取る。
初老のご夫婦の切盛りに
好感を抱く客が多いようだ。

ビールは黒ラベルとドライ。
サッポロでもいいけれど
飲みつけてるアサヒ大瓶をー。
それに此処はアサヒのお膝元、
エンコの街だものネ。

壁の品書きを
舐めるように眺めた。
およそ40品目が並ぶ白板を
ザッと紹介してみよう。

まぐろ刺し・かつお刺し・
金目鯛刺し・あわび刺し・
シャコワサ・毛蟹半身・
目光り唐揚げ・鰯塩焼き・
鯛粕漬焼き・鮭カマ焼き・
生がき・明太子・わかめ酢・
水なす・イカキャベツ炒め・
ほたてガーリックバター
といったラインナップだ。

蝦蛄に目の無いJ.C.、
何をさておきシャコワサを発注。
小ぶりながらも
身の締まったのが3尾来た。
いにしえの名産地、
東京湾の小柴を想起させる。

ドライの生中に切り替え、
毛蟹をいってみる。
前週、西伊豆の戸田で
高足蟹を食べて来たが
やはり一番好きなのは毛蟹。
何てったって蟹は
南よりも北の海である。

「お酢を使われますか?」
女将さんに問われて
「生酢(きず)お願いします」
毛蟹もまた小ぶりながら
まことにけっこう。

立て混んできたので席を空ける。
すぐそばの「志婦や」に行くと
お盆休みの前倒しでお休み。
結局は薬局。
近頃ハマりにハマってる、
蛍烏賊沖漬けに引き寄せられ、
「神谷バー」に足を向けました。

「助六」 
 東京都台東区花川戸1-5-3 
 03-3842-6593