文京区の白山から千石に抜けるバス通りに
中国料理店「留園」が出来て久しい。
15年くらいになるだろうか?
以前はフレンチだった記憶がある。
ベトナム麺のフォーを食べるため、
池袋東口行きのバスに乗っていた。
バスが「留園」を通り過ぎたところで
ふと気が変わり、次の停留所で下車。
初訪問である。
ビールはキリンラガー中瓶。
ランチメニューはこんな感じ。
A. 豚肉と玉子・キクラゲ炒め
B. レバーとキャベツ炒め
C. 鶏肉の中国塩胡椒かけ
D. 和牛肉と野菜のかきソース炒め
中華丼・麻婆丼・五目炒飯
鮭炒飯・肉糸炒飯・高菜炒飯
all ミニそば付き
五目焼麺・五目湯麺・麻婆麺・
ワンタン麺・酸辣湯麺・
海老湯麺・海老焼麺
すべて1000~1200円。
Dの和牛にしかかったが
伊勢志摩でずいぶんと
松坂牛を食べたゆえ思いとどまり、
あらためて菜譜を見直した。
ん? 中華丼かァ・・・。
しばらく食べてないなァ。
当ブログも前身の「食べる歓び」から
数えて丸19年、5千話以上を綴ったが
中華丼を書いたことは一度もないハズ。
ごはんを麺に代えた五目焼きそばは
しょっちゅう食べているのに
いったいどうしたことだろう。
よお~し、いってみようじゃないか!
ノビる前に箸をつけた細麺がよかった。
昭和の支那そばみたい。
中華丼も上品な薄味仕上げで具材は
豚肉・海老・イカ・キクラゲ・野菜。
搾菜、杏仁豆腐も水準に達している。
スタッフに訊いてみた。
「昔、東京タワーのそばに『留園』が
あったけど関係あるのかな?」
「ああ、あれは関係ありません」
港区・芝の御成門交差点に
竜宮城さながらの威容を誇った「留園」。
米・中ハーフの双子デュオ、
リンリン・ランランのCMが
懐かしく思い出されたのでした。
「留園」
東京都文京区白山5-22-11
03-5395-6693
ホテルをチェックアウトして
この日も8時半出発。
旅のメイン・イベント、
内宮に直行の巻である。
観光案内人のオジさんに連れられて
参拝の正しい作法を教え込まれ、
御正宮(ごしょうぐう)に手を合わせたら
罰当たりの J.C.はツア・コンのM山サンに
一言告げて、イチ抜けた。
おはらい町通りへまっしぐらだ。
神様を拝むのは皇族の方々にお任せし、
庶民は神より団子である。
界隈の道筋は谷中に似ている。
真っ直ぐ延びるおはらい町通りを
よみせ通りとすれば、
垂直に交わるおかげ横丁は
谷中銀座みたいなものである。
しっかし、このツアーは
昼めしも晩めしも時間が早い。
年寄りが多いせいか10時だってぇのに
もうランチタイムと来たもんだ。
おっと、まだまだ皆さんは
神楽殿だの風日祈宮だの、
ご参拝の真っ最中でありましょう。
おそらく伊勢うどんの一番人気店、
おかげ横丁の「ふくすけ」で
手打ち伊勢うどんをー。
手打ちには冷やしが無く、
この暑いのに温かいのをすする。
うん、前日よりもっちりしていいかも?
けどネ、よく冷えたドライの美味さに
到底かなうものでありません。
滞空15分で近くの「横丁いかだ荘」へ。
これは出立の前に調べてあった。
愛してやまない的矢かきの専門店である。
ところが的矢の真がきは5月で終了。
今は同じ的矢でも岩がきのみの提供。
かき好きの J.C.だが岩がきは嫌い。
しかし製法を変えることで
一年中食べられる真がきがあった。
伊勢志摩プレミアムオイスターといい、
小粒ながら殻がとても深い、
ぷっくり太った極上のオイスターだ。
レモンを搾っていただき、瞠目。
的矢湾のものにまったく劣らない。
世界最高峰の一つに数えてよい。
J.C.には三重の海で育ったかきが一番。
3個食べ、お替わりと思ったものの、
鮨のつけ台に案内されたため、
目の前のつけ場には鮨職人。
「せっかくだから、にぎりいただきます。
だけど今、伊勢うどん食べちゃって」
「ハハハ、お少しでもどうぞ」
種ケースには平目・真鯛・いさき・
しまあじと、白身だけでも4種。
ひと目で質の良さが判る。
平目としまあじで始め、
車海老を追加し、お勘定は4240円。
ビールは1本だけだが安い!
オイスターは1個500円だった、安い!
金剛證寺、朝熊山展望台と廻り、
一路、豊橋に戻って新幹線。
お疲れさまでございました。
「ふくすけ」
三重県伊勢市宇治中之切町52
0596-23-8807
「横丁いかだ荘」
三重県伊勢市宇治中之切町47
0596-23-8829
翌朝は8時半にホテル出発。
行く先は内宮そばの猿田彦神社だ。
確かに立派な神社ではある。
近くの内宮を参拝すれば、
よさそうなものだが
バスで10分かけて外宮に移動。
江戸の昔から伊勢神宮を拝む際は
最初に外宮、そして内宮という決まり。
神様ってのは実に面倒くさいんだ。
神社仏閣とは深く関り合いたくないので
カタチだけ手を合わせたら
外宮参道に一目散、昼めし処の物色だ。
こっちの方が性に合っている。
外宮から伊勢市駅へ一直線の参道。
まだ11時前で店はあまり開いてないけど
道筋で最も古そうな「若草堂」に入った。
昭和レトロの店内に老人がポツンと独り。
どうやらお店の人らしいが
お爺さんなのか、お婆さんか判らない。
まさか、どちらでしょうか?
なんて訊くワケにもいかない。
店先にあったビールのラックの銘柄、
ドライ大瓶をお願いした。
本当は伊勢うどんを食べるつもりが
時間が早いためかスタッフはいない。
お年寄りに作らせるのもしのびなく、
ビールを飲んだらおとなしく出て来た。
「ありがとうございました」
蚊の鳴くような声だったが
お婆ちゃんと判明した次第なり。
参道に目星をつけた店がもう1軒。
「いそべや食堂」では缶のドライと
冷やし伊勢うどんを発注した。
カニカマ・揚げ玉・きゅうり・
トマト・青ねぎが乗っている。
う~ん、何だかなァ。
昔の来訪者は日本全国から歩いて来た。
疲れた彼らの胃袋を労わるため、
柔らかく茹でられたうどんだが
疲れのない人には有難迷惑かもネ。
真珠で有名な英虞湾の絶景を愛でるため、
横山展望台にやって来た。
ところが今回の旅の最大の難関が此処。
足場の悪い石段が延々と続く。
よって途中でリタイアする参加者続出。
健脚を自負する J.C.でさえ相当にキツく、
70代も少なくないメンバーには
ほとんどイジメに等しい。
こりゃ下手打つと死人が出るぜ。
おかげで2日後、筋肉痛に見舞われた。
そのあと賢島に移動して
スペインの海賊船みたいなのに乗船し、
英虞湾クルーズである。
船に乗るのは何年ぶりだろう。
養殖真珠のイカダを抜けながら
前島(さきしま)半島の山並みや
志麻観光ホテルを遠望する。
水上を走るのは気持ちがいいもんだ。
夕食はホテルのビュッフェ。
もなか寿司というのを初めて食べた。
真鯛の手まり寿司を
アイス最中の皮に挟んでパクリ。
誰が考え出したものか?
発案者の良識を疑うが意外に悪くない。
でも、もう一度食べたいとは思わない。
「若草堂」
三重県伊勢市本町5-1
0596-24-3210
「いそべや食堂」
三重県伊勢市本町19-17
0596-24-0434
それは半年前の或る日曜日。
平和に朝刊を読んでいた。
すると、その12面に旅行社の広告。
こういうツアーには
まず参加したことがない。
8つのツアーが掲載されており、
パラパラと目を通しているうちに
これもまたアリかな?
そう思えてきたのだ。
その翌日、よせばいいのにまとめて
4つも申し込んじまった。
普通はまず1回試して気に入ったら
次というのが常識人の行動だろう。
非常識な自分をあらためて自覚した。
てなこって一発目は
伊勢神宮と伊勢志摩めぐり3日間。
新幹線・こだまが愛知県・豊橋に着くと、
なぜかそこからバスに誘導された。
名古屋・四日市・松坂を経て
到着したのは夫婦岩で有名な二見浦。
しめ縄で結ばれちゃったりして
仲が良さそうだが、しょせん岩は岩。
有りがたみはあまりないネ。
周りのメンバーの手前、
ちょっと拝んだフリはしたけどネ。
まだ17時だってぇのに早くも晩めし。
伊勢神宮内宮(ないくう)そば、
「勢乃國屋」2階の「神路庵」に上がる。
松坂牛のすき焼きが固形燃料で
グツグツ煮えていた。
小柄な伊勢海老の半身は和風の味付け。
伊勢うどんのタレでつけ焼きにした感じ。
ほかにも海老フライやら茶碗蒸しやら
これでもかと並んで苦戦を強いられたが
一番好かったのは小わかさぎ南蛮漬け。
お替わりしたいほどだった。
ドライ中瓶を2本飲み、
牡蠣の養殖で名高い的矢湾を臨む、
小高い丘のホテルへ。
眺望がすばらしい。
何でも去年、外資系に買収され、
独自の経営スタイルは
オール・インクルーシヴとやらで
ラウンジの飲みものが完全フリー。
しかも23時まで居たい放題だ。
ただし、生ビールは18時で終了。
チェックインが19時近かったから
すでにアウト・オブ・サービスで
おまけに瓶ビールの用意がない無慈悲。
スナックなんかでよくあるのは
ビールは別料金ってヤツだが
此処は一流ホテルだぜ。
まっ、いいか。
ブランデーの炭酸割りを飲んでました。
「神路庵」
三重県伊勢市宇治在家町117
「勢乃國屋」2F
0956-23-5555
藪がどんどん消えてゆく。
といってもご隠居の住まいの裏にある、
竹藪じゃございやせんぜ。
「砂場」「更科」と並び、
日本のそば文化の一翼を担う、
あの「藪」のことであります。
数年前「池之端藪蕎麦」が暖簾を下ろし、
この春には「浜町藪そば」が続いた。
実は J.C.、そばは色黒の藪系よりも
色白の砂場系、更科系を好むが
けして藪が嫌いなわけじゃなし、
古く良かりし老舗の閉業を
耳にするたびに心がチクリと痛み申す。
上野で所用を済ませ、さァ昼めし。
ビールがあれば、めしは要らないので
馴染みの立ち飲みに向かうと、
珍しくも隣りの「上野藪そば」に
いつもならあるはずの行列がない。
しばらく来てないな。
これも何かのお導き、入ろう。
帰宅後、調べたら最後の訪問は
2008年1月だった。
当店はそば屋には珍しく、
打ち場を囲むようにカウンターが
設えてあり、その隅に着いた。
ビールの銘柄が変わっている。
そりゃ、17年半も来なきゃ変わるわ。
瓶が最も苦手なエビス。
生は同じサッポロ系の白穂乃香。
白濁を伴う白穂乃香は好みじゃないが
なんぼか飲み易いので通した。
品書きにせいろうよりも
割安のさくらせいろうがあり、
お運びさんに訊ねた。
「さくらせいろうって
桜切りじゃないですよネ?」
「おそばが少な目になってます」
何でそれがさくらなのか判らんけど
そういうことかー。
白穂乃香のお替わりとともに
わさびいもを通すと大量に来た。
どんぶりではないが中鉢にたっぷり。
砕いた海苔の上に本わさびもたっぷり。
大和芋使用なのにかなり滑らかで
「池之端藪」のすいとろを偲ばせる。
さくらせいろうは分量がジャスト。
他店にも見倣ってほしいくらいだ。
菊正の樽酒をシャーベット状にした、
みぞれ酒を1杯いただき、
お勘定は4500円也。
満足度の高い午後のひとときを
過ごすことができました。
「上野藪そば」
東京都台東区上野6-9-16
03-3831-4728
有楽町で若尾文子の映画を3本観た。
目下、ビックカメラ階上の8階、
角川シネマ有楽町にて
若尾文子映画祭が開催中。
製作はみな大映である。
「雪之丞変化」(市川崑 1963)は
長谷川一夫の出演300本記念映画。
当作は何度も繰り返し製作され、
東千代之介や大川橋蔵も
雪之丞を演じており、
興行上、好成績を収めている。
御大の記念映画とあって
市川雷蔵・勝新太郎ご両人が
さほど重要な役柄でもないのに
おつき合い出演していて微笑ましい。
文子もそれなりの熱演ながら
女優陣で際立つのは山本富士子。
彼女には珍しいオキャンで
蓮っ葉な役を見事にこなしている。
大映社長・永田雅一との確執で
映画界を去ったことが何とも残念だ。
「卍」(増村保造 '64)の原作は
谷崎潤一郎の耽美的な作品。
いわゆるレスビアンものだが
大女優のヌードを晒すわけにもいかず、
観る者にイライラ感を募らせる。
相手役の岸田今日子は
文子に美貌じゃ及ばぬものの、
個性的にして卓抜な演技が
強く印象に残った。
「刺青」(増村保造 '66)もまた、
谷崎潤一郎原作。
小説は「刺青(しせい)」だが
映画では「刺青(いれずみ)」と
ルビがふられている。
監督の増村保造は梶山季之原作、
田宮二郎主演の黒シリーズ、
そしてTVドラマ、
山口百恵主演の赤いシリーズが
代表作ながら若尾文子とのコンビでも
相当数の映画を撮り上げている。
お艶(文子)の背中に大きく彫られた、
女郎蜘蛛が物語の核を成し、
多くの人間が命を落としてゆく。
出来のよい作品とは云えぬが
「卍」よりは肌に合った。
映画祭はさらに一週間ほど続き、
以後、おすすめの作品は「赤線地帯」
「華岡青洲の妻」「清作の妻」であります。
懸念していた雨がとうとう降り出した。
晩酌で歩き回るのは嫌だな。
ホテルのそばと佐賀駅構内に
2軒の「さかなや道場」があって
唐津市・呼子の名物、呼子活イカを供する。
駅の方に行ってみた。
ハッピー・アワーでドライ中生が328円。
ありがたくいただきましょう。
突き出しは茹でイカ酢味噌和え。
活イカの機先を制せられた気もしたが
おとなしく口元に運んで初志貫徹。
一番小さいサイズの<中>が2519円。
1~2人前とあった。
これでいくしか手立てがない。
中ジョッキは早くも3杯が空となった。
珍しく壱岐の麦焼酎、
壱岐スーパーゴールドがあり、ロックで。
活イカはヤリイカ、ちょっと硬く感じた。
スタッフの女性が300円増しで
耳とゲソを刺身・塩焼き・天ぷらの
いずれかに出来るというので天ぷらを。
持て余し気味にどうにか食べ終え、
壱岐のお替わりとともに
炙り佐賀牛にぎり2カンを締めとした。
会計は5800円也。
翌日は帰京の予定、早寝を決め込む。
午前10時に博多着。
博多発の東京行き新幹線は14時6分発。
昼めしの時間がたっぷりある。
大博通りを祇園の交差点で左折し、
辻の堂通りを真っ直ぐに櫛田神社へ。
境内で騒いでいるのは中国人の団体だ。
しょうがない連中だぜ、相も変わらず。
長居は無用と近所の「かろのうろん」へ。
「かどのうどん」の意味だが長蛇の列。
30年ぶりのうどん屋をあきらめた。
中洲にやって来たが
昼の中洲は寝ぼけまなこの街。
突っ切って天神方面に行く途中、
たまたま出逢ったのが
「とんかつ わかば 天神本店」だ。
博多で何軒か展開している「わかば」は
何かの雑誌で読んだ記憶がある。
たまたま本店に遭遇したし、此処にしよう。
2階もある大型店のカウンターに落ち着く。
とんかつ定食はちとキツいため、
ロースかつ単品にドライ中瓶を所望した。
低温で揚げ切る白いとんかつである。
でもネ、文句が一つ。
いくら単品でもキャベツは付けて欲しい。
代わりに大根おろしが来たが
J.C.はとんかつやハンバーグを
おろしで食べる習慣がないんだ。
中瓶2本で3千円ちょうどの勘定に
文句はないが、キャベツだヨ、キャベツ!
博多を出たのぞみは19時6分に東京着。
計ったようにキッカリ5時間でした。
これにて九州一人旅の終了です。
「さかなや道場 佐賀北口店」
佐賀県佐賀市駅前中央1-11-20
0952-27-7621
「とんかつ わかば 天神本店」
福岡県福岡市中央区天神1-15-36
0924-06-8189