大塚駅南口の正面にありながら
ウッカリ見落としそうになるほど
目立たぬ店構えのそば屋「岩舟」。
栃木県・小山と群馬県・前橋を
結ぶ両毛線に岩舟駅があるが
日本酒の取り揃えに栃木産が
無いので無関係のようだ。
開店直後の12時過ぎに赴くと
けっこうな客入りである。
カウンターに促され、
ビールの銘柄を訊ねたら
一番苦手なエビスのみ。
おおっと、そうだった!
久々なのですっかり忘れていた。
此処はエビスだけなのだ。
ビールをあきらめ、島根の銘酒、
蛍月の冷たいのをお願いする。
そうしておいて前回同様、
馳走三点盛りである。
たらこ燻製・鯛わた・ほや塩辛・
豆腐よう・いぶり豆腐・莫久来
以上六点から三点択べるので
たらこ・鯛わた・莫久来をー。
たらこはごくフツー。
莫久来(ほや&このわた)は美味。
でも一番は鯛わただ。
これは鯛の塩辛、あるいは
酒盗と呼んでもいいだろう。
実は亡き母親の大好物で
小学生の頃はしょっちゅう、
食卓に上っていた。
そのせいか、J.C.は
鰹の酒盗が大の苦手で
イカの塩辛もモノによっては
敬遠するにもかかわらず、
鯛わただけは大好きだ。
もう半世紀以上も
お目に掛かっていないが
鯛の真子の塩辛があった。
母は鯛わた以上に好み、
見つけたら3瓶も4瓶も
まとめて買い込んで来て
父親を呆れさせたものだ。
鯛わたは今も手に入るが
鯛子のほうは知る限り、
新潟・柏崎の田塚屋だけが
製造を続けている。
真っ昼間につき、酒は1合にして
そろそろそばで締めよう。
生桜海老と辛味大根のぶっかけ。
発注しかかって思いとどまった。
ビール無しではいかにも味気ない。
またもや、そば屋に来て
そばを食べぬ無作法をした。
会計は1880円也。
しかれども此処は大塚。
気に入りのそば屋に向かい、
大塚三業通りを南に歩きました。
「岩舟」
東京都豊島区南大塚3-53-9
03-3987-9266
近頃は朝食の内容が
ずいぶん変わった。
量は減ってないから
歳のせいではないだろう。
アメリカン・ブレクファストは
ボリュームがあり過ぎるので
アメリカに居たときから
食べなかった。
朝からあんなに食ったら
午前中ずっと胃がもたれるし、
ランチも食えなくなる。
わが朝食はフレンチに近い。
ときどき玉子が加わって
イングリッシュになるけどネ。
5年前のある日の献立は
E・マフィンのトースト 1/2
3M ボイルドエッグ
フレッシュ・ライムスカッシュ
ミント・ティー
それが今週のある朝は
5枚切り食パンのトースト 1/2
ハム&オニオン・オムレツ
トマト・きゅうり・レタス・
アーリーレッドのサラダ
赤紫蘇スカッシュ
ミルク・ティー
糖尿の気を疑われて以来、
朝の生野菜は
欠かさぬようになった。
玉子は食べたり、
食べなかったりなのにネ。
友人の N塚サンに
BRUTUS の喫茶店特集を
送られてからというもの、
昔よりコーヒーを
飲むようにはなったものの、
やはり朝は紅茶が好い。
以前はミント・ティー一辺倒。
それが近頃は
ミント、ミルク、レモンの比率が
5:4:1になった。
ハーブの値段が急騰したせい、
無きにしも非ずだ。
毎朝あれほど食べた、
イングリッシュ・マフィンが
5枚切りに取って代わられる。
どちらも雪印の有塩バターを
たっぷり塗るが
硬めのマフィンより
柔かい食パンを好むようになった。
歯はまだ丈夫だけど歳のせいか
朝からバゲット系はちとキツい。
フランス人だって
朝はクロワッサンだもの。
ただし、カフェ・オ・レを
飲む習慣はありません。
荒川区・三河島は
東京屈指のコリアンタウン。
新宿区・新大久保、
江東区・枝川と合わせ、
東京三大コリアンタウンを
形成している。
ん? 誰が決めたんだ!ってか?
たぶん、アイツだネ。
ほら、あの・・・何だったけな。
あれサ、 J.C.ナントカってヤツ。
日暮里に来た。
山手線・京浜東北線・
常磐線・京成本線・
日暮里・舎人ライナーに加え、
バスも3路線の起点となって
どこへ行くにも便利な場所だ。
けれども今日は
あまり遠くへ行きたくない気分。
てなこってスタスタ歩き、
常磐線で1駅先の
三河島に来たというわけだ。
春になると桜並木が色づく、
七五三通りのほとんど外れ。
尾竹橋通りにぶつかる手前に
日本そば「大黒屋」はある。
何度も前を通っているが
利用したことはない。
入店して驚いた。
ゆったりしたレイアウトに
けっこうな客入りである。
相席をさせないため、
四人掛けに一人も散見される。
そば・うどん・丼物以外は
板わさ・さつま揚げ・もつ煮が
つまみとしてあるだけ。
それともう一つ、
1個100円の焼きおにぎり。
こりゃ、コンビニより安いわ。
ラガー中瓶に板わさのお通し。
かまぼこは一級品じゃないが
サービス品に文句を垂れたら
バチが当たる。
店頭に表示されていた、
そば&ミニ天丼のセットを
もりも半分で通した。
エッ? これで半量?
他店の一人前はある。
海老と茄子が1本づつの天丼も
手のひらにズシリときた。
味はともに悪しからず。
腹はいっぱい。
繁盛の理由が判らんでもない。
リトル・ソウルで
初めて食べた日本そば。
そばの神様、カムサハムニダ!
「大黒屋」
東京都荒川区東日暮里6-5-16
03-3891-0372
TVの番組に埼玉県・川越が
映し出されていた。
ここで J.C.ふと思う。
神奈川と千葉は
ときどき出掛けているが
埼玉にはほとんど足を
踏み入れていない。
そりゃ、浦和・大宮・草加・
春日部で飲んだことはあるし、
泊りがけなら川越・秩父も
訪れてはいるけどネ。
家から最も近い埼玉県は川口。
千葉県・松戸といい勝負だ。
手始めに行ってみよう。
日暮里から7つ目だから
たかだか15分で行け、
電車賃も178円と来たもんだ。
「あおき食堂」は知っていたが
あちらは一駅先の西川口。
チャチャッと調べて
「わらじ亭」なるとんかつ屋が
アンテナに引っ掛かった。
可愛いらしい商店街を往く。
十数年前に歩いた記憶あり。
道の両サイドに紅白の提灯が
ブラ下がっている。
”ふじのいち” の文字が見え、
此処はふじの市通りのようだ。
=とんかつ 定食 わらじ亭=
袖看板が遠目にも目立つ。
引き戸を引くと
L字カウンターに6席のみ。
底辺の右端に着き、ドライ中瓶を。
サッポロ赤星もあって
壁のポスターが云うには
川口と言えばサッポロビール
日本最古のビールブランド
サッポロラガービール
だとサ、そうなのかな?
名代のわらじとんかつを
単品でお願いした。
豚ロースを叩き延ばし、
いわゆる紙カツ仕立てらしい。
待つこと5分。
繊キャベ&マカサラを従えた、
わらじは思ったより厚い。
6切れにカットされ、
脂の付きもよろしい。
先客・後客合わせて8名。
その全員がわらじ定食である。
かつ650円、食事セット450円。
1100円+税のようだが
唯一人、ビールを飲んだ、
J.C.の勘定は1292円也。
年配の店主曰く、開業30有余年。
今はパートの女性も辞め、
独りで切盛りとのこと。
なかなかいい店だった。
長いわらじを履いた甲斐が
あったというものです。
「わらじ亭」
埼玉県川口市幸町2-17-6
048-252-7920
根津の「ヲサカナ食堂」。
本日の刺身の内容を問うと
まぐろ・かつお・いなだ・
真鯛・サーモンとのこと。
日替わり丼は
まぐろ&かつおの盛合わせ。
立派な内容だが
「ヲサカナ食堂」のサカナ攻めに
耐えられそうもない。
カジキ照り焼き定食を所望した。
焼きものは刺身の小鉢付き。
たっぷり20分掛かって配膳。
ブッタマゲやした。
厚さ4センチはあると思われる、
バカデカいカジキが皿に横たわり、
これ見よがしの姿態は
「サァ、食え!」と言わんばかり。
ふっくらと焼かれ、垂涎を誘う。
添えられた大根おろしと
口元に運べば美味なれど
こんなに食えるかな?
他店の3倍はありそうだ。
小鉢2種は、小冷や奴、
セロリ醤油炒め。
味噌椀はわかめ。
ごはんは茶碗に普通盛り。
隣客の大盛りは同じ茶碗に
飯のそびえるさま、山の如し。
武田信玄も真っ青だ。
刺身がまた小鉢どころじゃない。
まぐろ1・いなだ2・サーモン1。
切り身大きめにして
食べ出じゅうぶん。
すかさず浦霞の冷酒と
もう1枚小皿をもらい、
生醤油と同割りにして
自家製づけの製造に励んだ。
米人と日本人の中高年夫婦が
来店して日本のオバちゃんが
メニューの説明に四苦八苦。
店に英語メニューの用意は無い。
かつおをツナと訳したが
ツナはまぐろ、
かつおはボニートだヨ。
口を挟んでやりたかったが
席がちょいと離れており、
余計なお節介はやめといた。
日本人3人組が隣りに着き、
うち1人が特上刺身を注文。
いい機会だから盗み見ると
その内容がスゴいのなんのっ!
普通の刺身定食に加え、
アワビに帆立にイクラまで
盛り込まれていた。
まさに「ヲサカナ食堂」の
面目躍如である。
中瓶1本、清酒1合ともども
会計は3700円也。
肝心かなめのかじきは
1/3ほど残しちまいやした。
食い切れませんでした。
「ヲサカナ食堂」
東京都文京区根津2-36-12
03-5834-7541
文京区・根津界隈はわりかし
日本そばの佳店に恵まれている。
中でも長蛇の列を誇るのが
(誇られても困るけど)
「よし房 凛」だ。
不忍通りのその角を
東に折れてほどなく、
なかなかのそば屋が
短期間ながら営業していた。
姉がフロア、妹は厨房、
好ましいコンビネーションを
見せていた二人だが突然閉業。
理由は知らない。
跡を居抜きで引き継いだのが
サカナをメインとする食堂で
その名も「ヲサカナ食堂」。
オサカナでいいと思うが
なぜかヲサカナだ。
初訪問。
13時で全23席が
ほぼ埋め尽くされている。
定食主体の品書きの裏側、
ドリンクメニューを見ると
おう、エラいネこの店は!
ビール(中瓶 700円)が
サッポロラガー
アサヒスーパードライ
キリン一番搾り
3社揃い踏みと来たもんだ。
サントリーを外した気持ちも
判らぬではない。
まずはいつもの銘柄を通し、
表側の品書きを吟味する。
紹介しちゃったほうが早いかー。
刺身定食(1700円)
特上刺身定食(2300円)
銀鮭塩焼き定食(1800円)
カジキ照り焼き定食(2100円)
かます塩焼き定食(2100円)
サーモンハラス定食(1900円)
鯛ハラス定食(2300円)
日替わり丼と
アジフライ定食(2300円)
刺身定食以外は刺身の小鉢付き
1名様につき1つの定食を
お願いしております
見事なまでにサカナ一色である。
小品として
いかの塩辛・しらすおろし・
北海道産明太子・沖縄産もずく
どこまでも海産物で押し通す。
と思ったら1品だけ
黒毛和牛コロッケがあった。
=つづく=
都心へのアクセスに
苦労する足立区民のため、
東京都が敷設した、
日暮里・舎人ライナーは
J.C.もときどき利用する。
隅田川と荒川をまとめて越え、
扇大橋駅、その次が高野駅だ。
誰しも ”たかの” と訓ずるが
音読みの ”こうや" が正しい。
初めて降りてみた。
ハッキリ云って何も無い。
個人経営の飲食店は
ラーメン屋と喫茶店があるだけだ。
喫茶など週3日しか営業しない、
大手チェーンのとんかつ屋、
マクドナルド、鮨・割烹は
この世の春とばかりに
3軒並んで軒を連ねていた。
あとは交番とパチスロ。
そして病院とクリニック。
そこに寄生してご利益に
あやかる薬局がいくつかー。
ラーメン店「山中房」に入る。
本日のランチ(950円)は
カレーライスと
塩らーめんのセット。
ともに半量でお願いした。
ドライ中瓶を飲みながら待つ。
調ったカレーは豚肉1片に
玉ねぎ・にんじんと家庭的だ。
ラーメンには干し桜海老、
いや、干しオキアミがパラパラ。
けして不味くはないけれど
舌に訴えるものもない。
ラーメンは完食できたが
カレーは少し残した。
それにしても何も無い所だ。
高野はこうやでも
字は荒野を当てる方が
ふさわしそうだ。
歩いて2~3分の至近、
扇大橋へ1駅戻った。
スーパーのライフで
晩酌用の買い物である。
極めて珍しいサカナに遭遇。
鹿児島産・クロホシフエダイは
美味なことを聞いていたが
初めてお目に掛かった。
大きいのは50cmになると聞く。
生わさびと生かぼすの
生々コンビで賞味した。
死後硬直がすでに溶け、
やや柔かくとも
繊細な滋味に満ちている。
扇大橋もまた何も無いが
このサカナに出逢えただけで
無駄な一日ではけして
ございませんでした。
「山中房(さんちゅうぼう)」
東京都足立区扇2-46-3
03-3890-5702