前日、図らずもヒドい目に
遭わされた根津の町。
無沙汰をしてる間に
店は変わってしまうものなんだ。
そこでもう1軒、
気になる店を思い出した。
裏通りにひっそりと佇む、
日本そば屋「鷹匠」である。
訪れたのは今世紀初頭、
すでに四半世紀も前だ。
暖簾を潜って細い通路を進み、
玄関の引き戸を引く。
あれっ?
カウンターなんてあったかな?
2~3席しかないところで
先客が日本酒を飲んでいる。
「テーブルとどちらでも・・・」
言われて懐かしの奥に進む。
ビールは苦手なエビスのみ。
えいや! とばかりに
清水の舞台から飛び降りた。
実に十数年ぶりのこと。
ふ~む、以前より多少なりとも
飲み易くなったかな?
気のせいかも知れんけど・・・。
小鉢の突き出しは
えのき&切り昆布の炊いたの。
つまみながら品書きに目を落とす。
イの一番に惹かれたのは
酒肴盛り合わせ
(玉子焼き・板わさ・漬物など)
1200円
即、発注の巻である。
玉子焼きに大根おろし。
板わさには少ないながらも本わさ。
漬物が充実している。
切りいか&人参の松前漬け風、
わかめ&おかか煮、大根甘酢漬け、
白菜浅漬けの計4品。
そして青唐を練り込んだ甘味噌。
これじゃ日本酒に行くしかない。
鷹勇というのがあり、
先刻のお運びさんに
「これは”ようゆう”?
それとも”たかいさみ”かな?」
「”たかいさみ” です」
「まさか『鷹匠』さんで
作らせてるんじゃないでしょ?」
「開店のときに全国のお酒で
”鷹”の字がつくのを
探してたら鳥取にありました」
「じゃあ、味じゃなくて名前で
択んだわけネ?」
「いいえ、とっても
美味しかったんですの」
ふむ、なかなかに味わい深い。
酒肴たちもこの酒に合わせて
作られているのだろう。
=つづく=


