2026年3月23日月曜日

第4025話 スタート地点は丸の内 (その1)

蕎歩(きょうほ)とも・Mきから
皮肉交じりのライン着信。
「最近N子サンとお盛んらしいけど
 アタシもどっかに連れてゆけ!」
との仰せである。
フーテンの寅さんじゃないが
男はつらいよ、ジッサイ。

数日前に雄姿を拝んだ東京駅。
丸の内南口で14時半の待ち合わせ。
八重洲口で女子会があったそうだ。
よって相方は満腹状態。
夜まで食い物不要とあっては
自ずと飲み中心になる。

いずれにしろ今日もあちこち
飲み歩くことになりそうだ。
とにかくスタート地点は
丸の内南口であった。

かつての東京中央郵便局、
KITTEビルの隣りの東京ビル。
ニックネームというか、
またの名をTOKIAというらしい。
その地下に潜り込んだ。
此処はチェーン店もどきの佳店が
集客を競い合っている。
ハッキリ云って都心の穴場だ。

「魚の店 オカモ倶楽部 丸の内店」。
気に染まって足を踏み入れた。
都内には新宿と恵比寿にあり、
近々、渋谷店もオープンの予定。
瓶ビールが無いので
ドライの中ジョッキをガッチンコ。

おそらく有料と思われる、
お通しが出て来た。
辛子明太子である。
ひと箸付けたら胡麻油が香った。

J.C.はたらこ好きで
明太子嫌いなんだが
全く食べないワケじゃない。
明太に胡麻油かァ・・・
アイデアとして
悪くはない気がした。
でも勘定書きによると
1人当たり495円(税込み)は
ちょっとなァ。

加賀の銘酒、菊姫に切り替える。
わりと好きな酒である。
つまみゼロの愛想ナシは避けたい。
壁の札書きにキンキにぎりを発見。
2カンだけ通してみた。

するとコレがなかなかの美味しさ。
皮目を炙ることにより、
脂がほどよく抜けている。
江戸前鮨の店ではムリだが
北海鮨なら人気の鮨種となろう。

飲みに徹するMきを尻目に
何かもう1品いっとこう。
おでん種に松山揚げがある。
しばらく口にしていない。
どういう状態で来るのか
判らないけどオネエさんに
「松山揚げを二つお願いネ」
「ハイ、かしこまりました」

=つづく=

2026年3月21日土曜日

第4024話 歓びアーカイブ 第10回

今日は ”食べる歓び” から
お届けします。

第700回 2009年3月10日

=おかめの顔に心が和む=

M倉サンと大井町の「オリガノ」で
チキンドリアとミックスピザを
分け合ったあと、そこからほど近い
大井三ツ又交差点にある、
日本そば「吉田家」に向かった。

本店は立会川の旧東海道に
風格あるたたずまいを見せている。
支店のほうもどうしてどうして
なかなかに風雅な趣きがある。

素敵でしょ?

店先の品書きも親切にして品がよい。
二人ともおかめそばをお願い。
この店ではまだ温かい種モノを
試していない J.C.が選んだおかめに
M倉さんが追随したのだ。

注文後も品書きをつぶさにチェック。
せいろ・かけは735円。
けっこうなお値段である。
種モノは冷・温問わず、
1000円の品が多い。

頼んだおかめもそうだが
なめこ・とろろ・にしん・力・山かけ・
鳥南ばん・カレー南ばん、
みな千円札1枚である。
メニューの幅がきわめて広い。

ほぼ全種類、そば・うどんを選べる。
にぎわいそばって何だ?
お子様そばってどんな内容だ?
興味をそそられることしきりなり。

一品料理も充実のラインナップ。
まぐろぬた・いか納豆・酢の物・
焼き魚・揚げ出し豆腐・和風さらだ、
相当な品揃えである。

ごはんものにしても
天重や天ぷらごはんはもとより、
かき揚げごはんに地鶏すき焼きごはん、
鉄火重までカバーしている。
金2850円也の刺身ごはんは
どれほど立派な刺身が来るのだろうか。

鍋物まであった。
うどんすき・鴨すきに加えて、
あんこうすきには唖然としてしまう。
立会川の本店でさえ、
ここまでの布陣は揃っていなかった。
そうこうするうち、おかめそば登場。

ユーモラスな表情を見せるおかめそば

いいですねェ、この顔。
両目はこちらを見ているが、
頬っぺたは片頬だけを見せている。
しいたけと湯葉がその頬っぺに当たる。
生麩の眉毛が ”キミたちひょうきん族”。

この陣容ならそばを抜くおかめ抜きで
日本酒を飲んでみたくもなる。
かまぼこがズドンと2枚に
玉子焼きとほうれん草の青味。
一片の柚子も気が利いている。
後日、本店でもおかめそばをいただいた。

湯葉が鼻になっていた

よく似てはいるが、
眉毛と鼻が微妙に違う。
二つを並べて比べてみると、
三ツ又店のほうが
目鼻立ち整う、器量よしである。

【本日の店舗紹介】

「大井三ツ又 吉田家」
 東京都品川区大井3-6-7
 03-5718-5501

「吉田家本店」
 (現・そば懐石 立会川 吉田家)
 東京都品川区東大井2-15-13
 03-3763-5903

つい先日、旧東海道の「鈴乃家」に
立ち寄ったあと本店を通りすがり、
店頭の品書きにびっくり。
価格が暴騰していたがこれは
円安のせいばかりではあるまい。

気になって大井店の価格を
調べたら大変なことが判明。
何と去年の11月30日で
閉店していてもっとびっくり。
今のところ理由は不明です。

2026年3月20日金曜日

臺4023話 バッタリ出逢った 珍魚・オジサン

テレビ東京の人気番組、
「YOUは何しに日本へ ?」で
チャーハン好きの仏人が
訪れた上野の「珍々軒」。
久々に出向いたら定休日だった。

はて、何処に行こう?
引き込まれたのは
向かいの「ほていちゃん」。
カウンターの右隅に立ち、
赤星大瓶を発注した。
割安価格の瓶ビールは
カウンターでしか飲めない。

つまみはホタテ塩辛と
牡蠣のバタ焼きポン酢。
この酒場は安いわりに
一ひねり加えた料理がなかなか。

大瓶1本で切り上げて移動した。
近くの「立飲み たきおか」は
スーパードライ大瓶が主力。
ほとんどの客がこれを飲む。
豚白モツ満載の煮込みも
人気商品で驚きの200円だ。

当店も大瓶1本で退散。
晩酌用つまみの調達に向かった。
なじみの「吉池」を物色する。
何か珍しいものがあるかな?
あった、あったヨ、
三重県産のオジサンと来たもんだ。
ほうら、桜たまこも唄い出した。

♪   おじさん 好きならば
     夢の中 今
     おじさん どこまでも
     連れてって 今
     きらめく恋の夜 ゆれてる
     あなただけ今晩わ
     これから これから 
     二人はどうなるの
     教えて 教えて 愛のゆくえを
     おじさん ちょっぴりの
     倖せが好き
     恋する東京娘    ♪
  (作詞:石坂まさを)

「東京娘」は1976年のリリース。
渡辺マリが1961年にヒットさせた
「東京ドドンパ娘」の
リメイクとも言われた。

それはそれとしてオジサンである。
鯉より長いひげのおかげで
こんな名前になった。
赤身がかった派手な身体を持ち、
仏料理の重要食材、
ルジェ(ヒメジ)を二回りほど
大きくした感じだ。

千葉・竹岡産のクロダイと
購入して刺身にしたら
ピンクの身肉が実に美味。
ごちそうさん、オジサン!

「ほていちゃん 上野本店」
 東京都台東区上野6-10-13
 03-5846-6660

「立飲み たきおか」
 東京都台東区上野6-9-14
 03-3833-2777

「吉池」 
 東京都台東区上野3-27-12
 03-3831-0141

2026年3月19日木曜日

第4022話 よみせ通りに沖縄誕生

一昨日のことである。
WBC準決勝を観る気も失せて
何もやることが無い。
ボーッとしているうちに13時半、
何か食べに出よう。

近所の「一寸亭」で
大瓶と半チャーハンにしようと
出向いたものの、
こんな時間なのに8人待ち。
「さくら食堂」で中瓶2本に
カキフライ3個でもいいや。

よみせ通りを北上していた。
アレェ? いつの間にやら
沖縄そば専門店が出来ていた。
「3chome dining bar」から
昼のみ間借り営業の様子だ。
フラフラっと入ってしまった。
メニューはいたってシンプル。

沖縄そば        1000円
沖縄そばと
 じゅーしーおにぎり  1200円
ミニ沖縄そばと
 じゅーしーおにぎり    800円
オリオンビール       400円

これだけである。
まずはオリオンを通す。
少食派の逃げ道はただ一つ。
ミニそば&おにぎりしかない。
出来上がりを待つ間にもう1缶。

若夫婦だろうか?
ツーオペの店内に客はわれ一人。
ちょいとばかり集客が心配だ。
そば&おにぎりだけだもんネ。

着卓したミニそばは本当にミニ。
極太ちぢれ麺は
わんこそば2杯分ほどしかない。
でもれっきとしたソーキそばで
小さなソーキ(豚スペアリブ)に
岩のり、小ねぎ、紅しょうが。

このそばは2007年に
那覇で食べて以来だから
18年半ぶりになる。
嫌いじゃないのに食べる機会を
与えられなかった。

じゅーしーおにぎりは
醤油味の炊き込みごはんで
ひじき・にんじん・豚挽き入り。
ジューシーはいいが食べるうちに
バラバラ崩れて難渋した。

ここ数年、都内の沖縄料理店は
ずいぶん増えたが
なんとなく二の足を踏んでしまう。
出張で幾度も本島はじめ、
南西の島々を訪れた盟友・N田は
「沖縄料理が旨いと思ったことは
 ただの一度もないぜ!」
言い切って憚らないくらいである。

「沖縄そば屋ちょこっと」
 東京都文京区千駄木3-43-9
 電話ナシ

2026年3月18日水曜日

第4021話 桜はつぼみの靖国神社 (その2)

濠端をさらに歩む。
気象庁、消防庁を通り過ぎ、
大手町1丁目1番地、
三井物産にやって来た。

カルガモの池でも眺めよう。
敷地内に歩を進めると
ややっ! やややっ!
池は消えて芝生が植わっている。

何じゃ、こりゃあ!
いつ埋め立てたんだァ!
責任者、出て来いっ!
カモが戻って来ることは
もう永遠にないだろう。
動物好きには哀し過ぎる結末だ。

カルガモ代わりに
和田倉濠のカメたちを眺めた。
彼らはアカミミではなく、
日本古来のイシガメである。
さすがに天皇陛下のお膝元だ。

丸ビル内を通り抜けると
ほうら、佐藤千夜子が唄い出す。

♪ 恋の丸ビル あの窓あたり
        泣いて文書く 人もある
  ラッシュアワーに 
  拾った薔薇を
  せめてあの娘の 思い出に ♪
  (作詞:西條八十)

「東京行進曲」は1929年のリリース。
この半年後にウォール街は
破綻を迎えることになる。
株価が元の水準に戻るまで
実に四半世紀の歳月を要した。

いくらなんでも「東京行進曲」を
浪花の小姑はご存じあるめェ。
丸ビルを抜けながら思う。
”泣いて文書く”ってオフィス内で
ラブレターを書く娘が
はたしているだろうか?

”ラッシュアワーに拾った薔薇”って
そんなところに薔薇が
落ちているだろうか?
よしんば落ちていても
人々に踏み潰されて粉々だろう。
西條御大の想像力は
われわれの想像を超えてしまう。

鍜治橋通りでガードをくぐり、
交通会館に到着したときは
二人してガス欠状態。
さっそく地下の「徳田酒店」に
飛び込み、カウンターに横並ぶ。
ドライ大瓶を注ぎ合った。

つまみの定番、鯛皮ポン酢に加え、
わかさぎ天ぷら、鰹の塩たたき、
豚バラ黒胡椒焼きを続注する。
結局は薬局、二人で大瓶4本を
空けちゃったのでした。

「徳田屋酒店」
 東京都千代田区有楽町2-10-1
 東京交通会館 B1F
 090-3483-6999

2026年3月17日火曜日

第4020話 桜はつぼみの靖国神社 (その1)

ドッピア&パニーニのあとは
いつも通りにひたすら歩く。
天神町の交差点を左折して
早稲田通りを往った。

なじみの「よしやセーヌ」に入店。
珍しい鮮魚と出逢えるのが楽しみだ。
この日は鹿児島産の夜光貝。
海中最大の貝がコレ。
初めてお目に掛かるが
正直言って度肝を抜かれた。
興味のある方は魚図鑑をご覧あれ。

先が長いので何も買わずに
神楽坂を下ってなおも真っ直ぐ。
早稲田通りの起点に到着した。
靖国神社のドデカい第一鳥居が
その地点である。

境内の桜はまだつぼみのまま。
本殿には向かわず、
くるりUターンして九段坂を下る。
ほうら、千代子が唄い出した。

♪ やさしかった 兄さんが
  田舎の話を 聞きたいと
  桜の下で さぞかし待つだろ
  おっ母さん
  あれが あれが 九段坂
  逢ったら泣くでしょ 
  兄さんも ♪
   (作詞:野村俊夫)

「東京だョおっ母さん」は
1957年3月のリリース。
J.C.一家四人が故郷・長野を追われ、
東京に落ち延びたのがこの頃だ。
「おっ母さん」は覚えてないが
三波春夫の「船方さんよ」は
よ~く覚えている。
小学校に上がる1年前だった。

九段下の昭和館で映画ニュースを
3本見て先を急いだ。
九段会館(旧軍人会館)を横切り、
内堀通りを竹橋に至ると
左手に毎日新聞社。
経営は苦しいのに
相変わらずビル本体は立派だ。

あれは金融界に身を投じた1年後、
1981年のことだった。
毎日新聞社最上階のレストラン、
「アラスカ」で夕食後の帰り際。
思いがけない人と出逢った。

中学・高校時代の恋人、
N村K子がクローク係をしていた。
卒業後も付いたり離れたりの
繰り返しだったのだが
この出逢いが焼けぼっくいに
熱い火を付けてしまった。

わが女性遍歴において
出逢いと別れの繰り返しが
幾度も重なるのは彼女一人のみ。
人生のほろ苦き思い出である。

=つづく=

2026年3月16日月曜日

第4019話 プーリア名物・ドッピアを

毎度のことで恐縮ながら
またもや麦歩とも・N子の登場。
落ち合ったのはメトロ有楽町線、
江戸川橋駅の2番出口だ。
早稲田行きのバスで先乗りした、
 J.C.は界隈の山吹町を徘徊。

あれは2年前のこと。
大塚は三業通りの「小倉庵」を
皮切りに都内各所の「小倉庵」を
めぐりにめぐりまくった。

本家は現在も日本橋本町で
営業を続けるが昼のみ。
リーマン・OL 向けとなった。
利用者の評判も芳しくはない。

実質的な家元はかつて
この山吹町に暖簾を掲げていた。
諸般の事情で店を閉じたが
ほぼすべての「小倉庵」は
山吹町の暖簾分けである。
江戸川橋通りの跡地では現在、
セブンイレブンが暖簾を・・・
いや、暖簾こそないが営業中だ。

N子をピックアップして
赴いたのは「アルタムーラ」。
フォカッチェリアである。
旧「小倉庵」(現セブン)の
3軒ほど隣りに在った。
こんなに至近だなんて
単なる偶然とは思えな・・・
いや、単なる偶然だよネ。

入口のレジで発注と支払いを
済ませるシステム。
店主のワンオペでは仕方がない。
イタリアのモレッティ小瓶2本に
ドッピアとパニーニを1つづつ。
二人掛けテーブルに着いた。

長靴の国・イタリアのかかと部分。
プーリア州第二の都市、
アルタムーラの名物・ドッピアは
英語のダブルと同義語だ。

薄焼きフォカッチャ上下2枚で
具材を挟むことが名前の由来。
中身はモルタデッラと
モッツァレッラだった。

一方のパニーニは
生ハム・モッツアァレッラ・
セミドライトマト・水菜。
ごく一般的なものである。

分け合って食べて
ともにまずまずながら
わざわざ出向かずとも
フツーにありつけるレベル。
期待ほどではなかった。

ビール好きの2人が
小瓶1本づつでは
とうてい満足できないが
何となく退場の雰囲気。
滞空は30分だけでした。

「アルタムーラ」
 東京都新宿区山吹町5
 03-6265-3842