2026年10月6日火曜日

第4196話 宮崎女 宮崎鰻に 感極まれり (その1)

「夢コンサート」が15時半に
ハネたあと、早めの夕食。
荒川区役所前から都電荒川線で
8ツ目の小台へ移動する。

思えばこの1月。
K子と初めて逢ったのは
小台の一つ手前、
宮ノ前の停留所だった。
二人して都電に揺られながら
往時が懐かしくよみがえる。

入店したのは駅前で通し営業する
その名も「あら川」なる鰻屋さん。
鰻屋は持ち帰り客が多いため、
通し営業せざるを得なかろう。
われわれには好都合だった。

ドライ中瓶を注ぎ合って
グラスをカチンと合わせる。
まずは肝焼き2本と
上新香1人前を通す。
鰻屋に来たら焼き上がりを待つ間、
これが定石となっている。

何故か新香盛合わせを上新香と
呼ぶのは鰻屋だけの習わし。
鰻重でん、鰻丼でん、
小さな新香はデフォで付いて来る。

対して多少なりとも
豪華になるから上新香と
いうことだろうが
ならば天丼やかつ丼を扱う
蕎麦屋・食堂だって同じこと。
なぜか蕎麦屋に上新香の文字を
見たことは今まで一度として無い。

まあ、価格的に丼モノの頂点に
君臨する鰻であるからにして
高級感を高めるための
流儀なのかも知れない。

「あら川」の上新香はさすがだ。
浅漬けが胡瓜・蕪・大根・茗荷。
出来合いは瓜奈良漬けと山牛蒡。
”上”を謳うに値する。

肝焼きも立派で他店の倍はなくとも
1.5 倍はあるんじゃなかろうか?
1本を分け合ってもいいくらいだ。
腸管だけでなくレバーもいくつかー。

日本酒が欲しくなった。
いろいろ揃ううち、
京都は伏見の金鵄正宗の冷酒を所望。
金鵄は ”きんし” と音ずるが
金のトビのことで
日本神話では霊鳥を意味するそうだ。

別段、霊魂を感じはしなかったが
そこそこ美味しい清酒ではあった。
そろそろ鰻に参りましょうかー。

=つづく=

2026年10月5日月曜日

第4195話 大いに笑った「夢コンサート」

断筆騒動のおかげで知己を得て
のみともとなった、
M浦K子サンより、LINE着信。
宮崎県・延岡市在住の方である。

「J.C.は伊藤ゆかりサンが
 お好きでしたよネ?」
「歌い回しも声色も大好き!」
「荒川区役所前でコンサートが
 あるんだけど行きます?」
「へえ~っ、彼女独りの?」
「他に千昌夫とか狩人とかー」
「ふ~ん、行ってみようかな」
「チケット取っときますネ」

てなこって上京した、
K子サンと赴いたのは
荒川区民会館(サンパール荒川)
大ホールであった。
BSのTVCMでお馴染み、
夢グループ主催の「夢コンサート」。
石田社長と同社専属の保科有里も
歌うんだとサ。

いや、予想以上に楽しめた。
出場者は順に
石原詢子・狩人・社長&保科有里。
休憩を挟んで
伊東ゆかり・新沼謙治・千昌夫。

お目当てのゆかりチャンは
「小指の思い出」「恋のしずく」
「私の青空」「百万本のバラ」と
4曲も披露してくれた。
ベシャリもお手の物で
会場を大いに沸かせる。

狩人の「コスモス街道」は
気に入りの曲で、大ヒットした
「あずさ2号」より好きなくらい。
売店で彼らのCDを買っちまった。

保科有里が社長と掛け合う、
「やすくして❤」は笑わせる。
爺さん・婆さんだらけの観客は
みんなBSを見てんだネ。
彼らのCMは先刻ご存じ、爆笑の渦だ。

かく云う J.C.も最初見たとき、
なんじゃこれ?! 顔をしかめたけど
見慣れて来ると彼女が
何とも可愛くなって来た。
人間ってつくづくヘンな生き物だ。

新沼謙治の「ヘッドライト」は
ヒズ・ナンバーのマイ・ベスト。
仏映画、ジャン・ギャバン主演、
「ヘッドライト」に触発された詩は
曲ともども秀逸につき、
みなさんも聴いてみて下さい。
浪花の小姑は知らんだろうな。

トリは大御所・千昌夫。
ここまで話術が巧みとは知らなんだ。
歌ってんのかギャグってんだか、
もうゴッチャゴチャ。

一つだけギャグを紹介しておこう。
ボランティアで近所の雑草を
刈っていたんだとー。
すると独りの婆さんが
「ヒョッとしてあんた、千昌夫?」
「いいえ、草刈正雄ですっ!」
おあとがよろしいようで。

2026年10月4日日曜日

第4194話 歓びアーカイブ 第41回

お約束の続きです。

2012年9月24日月曜日

第410話 関八州を見廻って (その3)

猛暑をものともせず敢行した
関八州見廻りシリーズの一環、
上州・桐生の町で出くわしたのがこの店舗だ。
ソースかつ丼の「志多美屋本店」
いつの頃からか町の名物に
のし上がったソースかつ丼。
中でもこの店の名前は聞き及んでいた。
ここで遭ったが三年目、
機会を逃してはなるまい。
古い家屋や仕舞屋が残る桐生にあって
モダンな一軒屋が否が応でも目をひく。

暖簾をくぐり、引き戸を引き、
敷居をまたいだとき、
大宮の「いづみや」で
イカフライを食べたことを思い出す。
あらら、昼にイカフライで
夜にソースかつ丼かや?
揚げものばっかやん。
これも何かのめぐり合わせ、
ドンマイ、ドンマイである。

読者は耳タコでございましょうが
生ビールが旨いのなんのっ!
ところが品書きのほうはきわめて限定的。

 ソースかつ丼 玉子かつ丼 
 玉子丼 親子丼 ソースかつ定食 
 かつ鍋定食 親子鍋定食

これだけである。
つまみが一切ないということは
遠回しに飲む客を
歓迎しないという意思表示。
でも飲んじゃうもんネ。
地元群馬はみどり市の近藤酒造による、
赤城山(あかぎさん)の冷酒をー。

ソースかつ丼4個入り(780円)を所望。
ちなみに2個アップの6個入りは
200円アップの980円。
かつはヒレかつである。
歯を立てるとパン粉ガシガシで
食感悪く不満が残った。
肉にジューシーさも乏しい。

醤油ベースにウスターソースを
混ぜ合わせたようなタレは
新潟のタレかつ丼より
カツレツにマッチしている。
とは言え、名物に美味いものナシ、
浅草辺りの言い伝えが
からっ風の上州にも吹いていた。

再び夜の大宮に舞い戻る。
昼に訪れた「いづみや本店」の隣り、
「いづみや第二支店」へ。
すると、
「お客さん、10時までなんですヨ」
「エッ、隣りの本店も?」
「いいえ、あっちはもう少し
 遅くまでやってますヨ」
ときに午後9時45分、
すべるようにお隣りへお引越し。
結局は薬局、振り出しに戻ったわけです。

腹一杯でこれ以上食べられないのだから
真っ直ぐ帰宅すりゃいいものを
ビールは別腹、ベツバラ。
結局は薬局、ジョッキのお供はコレである。
冷奴は心強いわがシェルター
豆腐に腕押し? 豆腐にかすがい? 
子はかすがい? フフッ、
豆腐は酒とわが胃袋のかすがいなんざんす。

そう、そう、読者から”関八州”って何ぞや?
そんな問い合わせがありました。
正式には関八州取締出役といい、
関東八州の治安・風俗を
取り締まるパトロール隊のこと。

黒澤明の名作「用心棒」では
目明しの沢村いき雄が
八州廻りにソデの下を渡すところを
桑畑三十郎の三船敏郎と
めし屋のオヤヂの東野英治郎が覗いて
笑いをかみ殺している。
ご覧になれば八州廻りの何たるかが
一目瞭然でありましょう。

=おしまい=

「志多美屋本店」
 群馬県桐生市浜松町1-1-1
 0277-44-4693

=本日追記=
「いずみや本店」のデータは
作話をご覧下さい。
またちょいと寄りたくなりました。

2026年10月3日土曜日

第4193話 歓びアーカイブ 第40回

14年前に埼玉県・大宮と
群馬県・桐生を訪れたときの話です。

2012年9月21日金曜日

第409話 関八州を見廻って (その2)

大宮駅前の「いづみや」で
真昼の生ビールを飲んでいる。
瓶の銘柄は何じゃらホイと冷蔵庫をのぞいたら
これまたサッポロのラガー、いわゆる赤星だった。
大瓶で510円はずいぶん安いや。

ラーメンのあとだからつまみはいらないが
そうもいかずに所望したのがコレ。
ハテ、これは何でありましょう?
とんかつだろうってか?
いいえ、これは金360円也のイカフライなんざんす。
こんなカタチの1枚揚げはきわめて珍しい。

接客のオバちゃんとオネエちゃんがフレンドリーで
居心地よく、なかなかいい店だわい。
あらためて周りを見回すと、ほぼ全員が単身客。
友だちいなけりゃ、恋人もいない連中ばかりかな?
ここは哀しいオトコの吹き溜まりかい? 
いや、そうでははあるまい。
独り酒場で飲む酒には
それなりの楽しみがあるものだ。
細長いテーブルは相席が苦にならず、
独り飲みに適している。

ところ変わって上州は桐生の町にやって来た。
映画同様にブログも
アッという間に舞台が変わる。
高崎・伊勢崎を素通りしたのは単なる気まぐれ。
3年ぶりの桐生の町を歩きたくなったのだ。

1時間ほどほっつき歩き、
汗ビッショリになって3年前にも訪れた、
レトロな「立田野食堂」に到着した。
来てはみたものの、空腹感のクの字もない。
今しばらく渡良瀬川のほとりでも
散策してみようか・・・。
と、そのとき視野に入ったのが
真向かいの「高野商店」。
忠治漬で有名な老舗の漬物店である。
フラフラッと道路を渡り、
貼り紙の”梅の奈良漬”に惹かれ、
購入した次第だ。

帰宅後、味わうと奈良漬にはまだ若い。
梅の実の粕漬けといった感じ

見ているうちに荒木一郎の
「梅の実」が聴きたくなった。
ちょいとデスクを離れてCDラックへ。

 ♪   梅の実がなった この小さな朝に
   青く冷たい 朝もやの中に
   梅の実は風の ゆりかごに眠る
   やがて生まれる 子どものように
   あの空 あの雲 遠い調べよ
   山の頂きの 白い雪    ♪
    (作詞:荒木一郎)

現実の桐生に戻ろう。
梅の奈良漬をぶら下げて
渡良瀬川と反対の道を行った。
この時点で「立田野食堂」での晩酌も
消えたことになる。
町のはずれを歩いているうち、
聞き覚えのある店に遭遇した。

=つづく=

「いづみや本店」
 埼玉県さいたま市大宮区大門町1-43
 048-641-0211

「高野商店」
 群馬県桐生市東6-6-21
 0277-45-0746

=本日追記=
この続きを紹介したいので
明日は日曜ですが載せますネ。

2026年10月2日金曜日

第4192話 呉冷麺と広島中華そば

今回の神保町シアター特集、
女優魂は2本だけ観た。
その際の昼めしは同じ店で取った。
「呉冷麺 呉門」は
開業数カ月ほどじゃなかろうか?
以前、博多ラーメンの店が
あった場所に出来た。

鰻の寝床とまでは云わないが
細い店内の奥に厨房。
手前のカウンター2本は
どちらも壁に向き合うタイプで
真ん中が通路の造作。
壁に向かって食事をするのは
ハッキリ云って嫌いだけれど
引き返すわけにもいくまい。

サブタイトル通りに
冷麺&中華そば専門店の品書きは
ほとんど二者択一。
他にはそれぞれワンタン入りと
追注用だろうか?
値段半額のまぜそばがある程度。

初回は呉冷麺とドライ中瓶をー。
浅く平たい皿に盛られて登場。
麺は中太平打ちほぼ真っ直ぐ。
パスタのリングイニみたいだ。

具材はチャーシュー2枚、
千切り胡瓜、小海老2尾、
茹で半玉である。
チャーシューは煮豚。
小海老は酢で〆てあった。

たれは甘酸っぱいが
冷やし中華のそれとは
ずいぶん趣きを異にして
たれというよりスープだネ。
チキンの出汁がよく効いている。
かと云って韓式冷麺とも違う。
わりかし気に染まった。

2回目は広島中華そば。
前回の麺が多めだったため、
半分でお願いした。
こちらは中細のやや縮れ麺。
スープは濁っているというより、
半透明である。
チャーシューは炙り煮豚2枚。
あとはゆでもやしと青小ねぎ。

スープに奥行きがあって
味わいはなかなか。
これまた好きなタイプの
ラーメンだった。
三鷹の熊本ラーメンも好いが
神田の広島ラーメンも当たり。

すぐにではないにせよ、
次回はワンタン入り冷麺を
いただくつもり。
隣りの「排骨担々 五ノ井」も
試してみたいが見た目がキツく
タイプではないため、
二の足を踏まざるを得ませんネ。

「呉冷麺 呉門 神田神保町店」
 東京都千代田区神田猿楽町1-3-6
 050-5597-6836

2026年10月1日木曜日

第4191話 3ヶ月ぶり 神保町シアター

特集の内容が気に染まず、
ご無沙汰していたシアターに
3ヶ月ぶりの出没。
現在、上映中のシリーズは
女優魂
ー忘れられない「この1本」ー

12人の女優の主演作を
1本づつ上映する。
その顔ぶれはかくの如し。
同じ女優が脇に回る作品もあった。

◎市原悦子・〇芦川いづみ・
〇江波杏子・烏丸せつこ・
炎加世子・中川安奈
久我美子・◎桑野みゆき
池内淳子・〇若尾文子
中川梨絵・太地喜和子
〇印は好きな女優
◎印は大好きな女優

まず観たのが
「太陽の墓場」(1960)
 監督:大島渚
 出演:炎加世子・佐々木功
炎加世子のデビュー作である。
松竹ヌーヴェルヴァーグの
申し子と、もてはやされたが
そこまでとは思えない。

アニソンの帝王・ささきいさお。
実質上のデビュー作でもあって
彼の印象は強烈。
これほどの役者とは知らなんだ。

J.C.的には支離滅裂感が肌に合わず、
好みの作品ではない。
翻って同じ大島渚による同年発表、
「青春残酷物語」は大好き。
ヒロインの桑野みゆきには
心底魅了され、大好きな女優にー。

お次は
「日本脱出」(1964)
 監督:吉田喜重
 出演:桑野みゆき・鈴木やすし
大島渚、篠田正浩と並ぶ、
松竹ヌーヴェルヴァーグの旗手、
吉田喜重の作品ながら
あまりピンと来ない。

鈴木やすしを主役に抜擢したが
どこか空回りしてしまった。
独り桑野みゆきの熱演ぶりが
どうにも痛ましい。

てなこって今回の特集は
2本で切り上げることにした。
残る作品の中でおすすめは
川島雄三監督、若尾文子主演、
「女は二度生まれる」かな?

10日からは
80年代 ノスタルジアⅢ が
スタートして
薬師丸ひろ子、アン・ルイス、
沢口靖子、小泉今日子、伊藤蘭、
岡田奈々、南果歩、安田成美
などが続々登場するけれど
J.C.にはちょいと新し過ぎて
あまり食指が動かない。

それでも富田靖子は好きだから
太田圭監督「ほんの5g」だけは
観に行くつもりでいます。

2026年9月30日水曜日

第4190話 豚汁旨し 荒川遊園地前

昨話は豚豆、今話は豚汁です。
昼めし前の散歩は不忍通りを北へ。
動坂下で右折したが
方向は変わらずに北上のまま。
不忍通りがこの辺りで
左ドッグレッグしているからネ。

田端駅前を過ぎ、新田端大橋で
いくつもの線路をまとめて渡る。
下田端を抜け、明治通りを横断。
小台大通りを真っ直ぐに
都電荒川線・小台駅に到達した。

線路沿いに進路を
東に取れば宮ノ前。
西に迎えば荒川遊園地前。
そうだ、食堂「ちひろ」に行こう。
西に歩くことにした。

夜には焼き鳥&焼きとんが
メインの居酒屋になるけど
昼は界隈に少ない食事処だ。
〆さば&しらす丼や
あさり玉子とじ丼がユニーク。

遊園地前の駅を過ぎてしばらく、
「ちひろ」の店先にやって来ると
あろうことか閉業していた。
何があったか知るべくもないが
惜しい店がまた1軒、
姿を消してしまった。

それではと遊園地に向かう道筋の
「ポレポレ」に方向転換。
とんかつレストランを
自称する当店は5年ぶりの訪れ。

ビールはキリン一番搾り中瓶。
キリンの中ではその名の通り、
一番飲みやすい。
ラガーですら数年前から
だいぶスッキリして来た。
重く濃いのが好みの向きは
クラシックラガーにすればよい。

一番搾りをトクトクのクイ~ッ。
卓上のメニューに視線を落とす。
おう、これ、コレ。
前回も食べたミックス盛合わせだ。

写真が一番大きいから
店一番のおすすめなのだろう。
一番搾りで一番のおすすめとは
ちょいと出来すぎじゃないかえ?

内容は海老フライ、イカフライ、
ハンバーグの三点盛りである。
とんかつ屋のおすすめが
とんかつ抜きってのもなァ・・・
思いながらも美味しくいただく。

特筆すべきは豚汁。
豚小間とコンニャクに
根菜はオールスター・キャスト。
大根・人参・牛蒡に
里芋まで投入されている。

味噌を醤油に代え、
豚肉の代わりに豆腐を入れれば
けんちん汁そのもので
けんちん発祥の建長寺も真っ青だ。

メインのミックスをしのいで
余りある出来映えに
思わずニッコり笑みを漏らす
J.C.でありました。
ごっちゃんでした。

「とんかつレストラン ポレポレ」
 東京都荒川区西尾久6-30-6
 03-3894-8806