2026年10月20日火曜日

第4209話 青森転じて 青梅になった (その2)

東青梅のうどん店「根岸屋」。
カレー南ばんが運ばれたのは
かっきり30分後だった。
混雑しているとはいえ、
ちと時間が掛かり過ぎの感あり。
まっ、いいか。

武蔵野うどんはぶっとい。
歯応えもかなりのものである。
しかも並盛りで
他店の大盛り分はあった。

カレーが並々を超えて
どんぶりから溢れて出ている。
イヤだなァと思いつつも
食べざるを得ない。

TOKYO-X は3片。
足せば薄切りロース1枚分だ。
噛んだときの食感がミシッミシ。
独特の味わいがあって旨い。

地元・青梅市の小澤酒造による
冷たい澤乃井に切り替えた。
1合500円だが片口に
たっぷり入って来た。
1合半はあるんじゃなかろうか。

フロアで独り奮闘する
お運びのオバちゃんに
「これで1合? もっとあるよネ」
「サービスなのよ」
「へぇ、大サービスだありがと!」

うどんは食べ切れんかった。
普段は麺半分にするが
初めての店ではどれほどの量か
見当がつかないからネ。
こういうものを書き綴る以上、
内容を正確に伝える義務も
生ずるし・・・。

東青梅から青梅まで1駅歩く。
旧青梅街道を西へズンズンズン。
途中、昭和幻燈館と
昭和レトロ商品博物館に立ち寄る。
ここで多くを語らないのは
どちらもそれなりだからだ。

青梅の街の南を流れる多摩川に
行ってみようとも思ったが
坂を下らねばならないため、
帰りがけっこうキツそうで
遠望するだけにとどめた。

駅に近い仲通りは寂れていたが
鰻「寿々喜家」と
日本そば「玉川屋」は揃って健在。
殊に「寿々喜家」は
また来る機会があったら
一飲一飯の恩恵にあやかりたい。

まだ15時前、さて、どうしよう。
此度、背中を押してくれたY野サン。
そうだ、彼女の棲む福生に行こう。
以前から気になっている
「シュトゥーベン・オータマ」で
生ビールを飲もう。

「根岸屋」
 東京都青梅市勝沼1-40-4
 0428-22-3083

2026年10月19日月曜日

第4208話 青森転じて 青梅になった(その1)

この9月、みちのくに
ひとり旅する予定でいた。
弘前→青森→八戸→盛岡→仙台
かように周遊するつもりだった。

それがホテル予約の段階で
いきなりつまづく。
青森3市の宿を確保するため、
それぞれ3軒のホテルに電話。
驚くなかれ、全9軒すべて
満室と来たもんだ。
ねぶたの季節を避けたのに
嘘みたいなホントの話である。

何と9連続三振。
江夏にボコボコにされた、
パリーグの打者さながらである。
今月は北陸ひとり旅の手筈だし、
来年も4月、6月とすでに
旅程を組んでしまってある。
結局は来夏に延期の憂き目だ。

ここで思い出したのが
ずいぶん前に読者のY野サンから
いただいたお便り。
福生市在住の主婦の方だが
一部を紹介してみよう。

まことに失礼ながら
J.C.さんって都内23区は
小まめにお回りになられますけど
東京都の市部はほとんど無視ですね。
かねてより私は
淋しく思っておりました。

言われてみれば仰る通りである。
一つ出掛けて行こうかな。
まず目をつけたのが青梅市。
青森転じて青梅かァ、
森が梅に代われども
青つながりで悪くはないな。

神田から乗った高尾行きを
新宿で青梅行きに乗り換え、
降り立ったのは東青梅である。
昼めしに狙いを定めた、
「根岸屋」へ直行の巻。

正午過ぎで店内は大盛況。
8人掛け相席の片隅に落ち着いた。
ビールはキリンラガーorエビス。
さすればラガーしかない。
茹で立ての枝豆が付いてきた。

壁の木片(竹片かも?)に
”うちの目玉は カレーうどん”。
なるほどほぼ全客、ソレである。
フツーの豚肉使用と
青梅発祥 TOKYO-X の二本立て。
迷わず TOKYO-X カレー南ばんをー。
この豚肉は大好きでかれこれ
四半世紀のつき合いになる。

=つづき=

2026年10月18日日曜日

第4207話 歓びアーカイブ 第44回

それでは取るものも取り合えず、
昨話のつづきであります。

2011年11月23日水曜日

第190話 愛猫プッチ 失踪す!(その2)

いない、いない、ウチの猫がいない!
いったいどこへ消え失せたのか?
これは家出か? はたまた失踪か?

14年前、アメリカから帰国して間もない頃。
ある日、一人の部下がデスクにやって来て
「スンマセン、早退させてください」
「どうした?、体調でも悪いのか?」
「いえ、ウチの猫がいなくなっちゃいましてー」
「それで?」
「いえ、あの、近所を捜さないと・・・」
「ハア?」
こんな会話が交わされた。

結局は早退を許可したが心の内では
「ったく、最近の若モンはナニ考えてんだか!」
であった。
だども、今のわが身にはヤツの気持ちが
痛いほど判るんですなァ。
そう、生きものを飼うってことは
その生きものを愛するってことは
こういうことなのだ。

愛猫プッチが忽然と姿を
消したのはいかなる理由か?
数時間前の記憶をたどり、推理をめぐらせる。
経験則から、たとえ玄関にすき間があっても
せいぜい顔を出す程度、
絶対に外出することはない。

さすればちょくちょくお出ましのベランダだ。
以前にもベランダ沿いに隣家を訪れ、
しばらく滞在してから帰って来たことがある。
身を乗り出して隣りをのぞくも真っ暗闇。
まさか夜の夜中にピンポンは出来ない。
すべては夜が明けてからとあきらめた。

あきらめてはみたが
寝つきの悪いことったらない。
帰宅の遅い夫を待つ妻の心境を
生まれて初めて身をもって知った。
世の旦那サン、愛妻のために
お帰りはお早めにネ。

浅い眠りに寝返りばかりを打ち、
いつしかしらじらと明け方の5時。
小用にベッドを離れると
開けてビックリ玉手箱。
リビングの板の間に奴さん、
ちゃっかりうずくまってるじゃないのっ。
「コネ野郎、さんざ心配させやがって!」―
取りあえず叱咤しただけで体罰は免除し、
朝まで(もう朝だけど)同衾を許した。

数時間後に目覚め、
さて、刑罰を与えねばならない。
すると敵もしたたか
空気を察して盛んに逃げ回る。

物陰に隠れて視線合わせず

罪の意識があるのだろうか? あるハズないやネ。
引きずり出して実刑はデコピン一発だ。

観念したものか真名板の鯉状態

額(ひたい)にキツい一発をお見舞いしたら
止めるスキもあらばこそ、一目散に逃げ出した。
まっ、いいか、放免してやろう。

10時間の失踪事件はこれにて一件落着。
と思ったものの、厄介なのは3缶開けたツナ缶だ。
それから3日間はバカ猫とともに
せっせこ、せっせこ、ツナを食いまくりましたとサ。
しっかし、ツナ缶っつうのは旨いもんじゃねェな。

=本日追記=
初代・プッチはいろんなモンが好きで
何でもよく食ったが
二代目・スミはキャットフード一本やり。
飼い主としてはラクでいいけど
つまらないっちゃあ、つまらんネ。

2026年10月17日土曜日

第4206話 歓びアーカイブ 第43回

あれは15年前のことだった。
今は亡き愛猫・プッチが
突然行方をくらませた。

2011年11月22日火曜日

第189話 愛猫プッチ 失踪す!(その1)


かれこれ1ヶ月近くも前の事件。
10月も末のことだった。
その夜はやけに生暖かく、
エアコンをオンにすべきか迷っていた。

思案の末、玄関にサンダルを片方はさみ、
ベランダのガラス戸を少し開けて
そよそよと風を通すことにした。

とっぷりと日が暮れ、
どこからか秋刀魚を焼く匂いが漂ってくる。
焼き立てに酢橘(すだち)を搾り、
おろしと一緒にやれば、さぞや旨かろう。
秋刀魚は食いたし、焼くのは煩わし。
18時過ぎ、普段より遅めの晩酌スタート。

おおっ、今日も元気だ、麦酒が旨い!
一人ごちて冷奴に箸をつける。
木綿豆腐の上には
きざんだ大葉と長ねぎにおろし生姜。
タラリ垂らした醤油は
キッコーマンの特選丸大豆。
いつの頃からかヤマサを
キッコーマンに切り替えた。

やりいかと水だこの刺身には
おろし立ての本わさび。
削り節を振りかけた茹で隠元。
甘辛く煮つけた油揚げ。
砂肝と長ねぎのニンニク炒め。
ヤッコのほかは
そんなもんが食卓に並んでいる。
刺身以外はすべて与作、
もとい、自作だ。。

刺身と隠元はビール、
油揚げと砂肝は赤ワインのアテ。
その夜の赤はバルベーラ・ダスティで
ネッビオーロほどの凄みはないが
和食にもシックリとなじむ。

夜も更けてふと気がつくと
愛猫プッチの姿が見えない。
名前を呼んでもノー・リプライ。
ときどきあることだから
さほど気にもとめずのんきに
浅田次郎の短篇を読みふける。

時間だけが過ぎゆきて
気がつけば夜中の1時半。
さすがに心配になってきた。
最後に姿を確認したのは5時間前か?
かくなるうえは夜中の大捜査線である。

にわかポワチエ刑事が
狭い家中を捜し回ったものの、
影も形もないじゃないのっ!
こうなりゃ決め手の必殺技だ。
キッチンでヤツの好物、
ツナ缶のプルトップを引き抜いてみた。
この音を聞きつけると、
どこにいようがすっ飛んで来るからネ。

ところがどっこい、
最初の1缶にゃまったく反応ナシ。
仕方なく家のあちこちで
計3缶も開けちまった。
したっけウンともスンとも
言わんじゃないのっ!

ことここに至り、
さしものJ.C.、色を失った。
いや、参ったなァ、
参ったサンは成田山である。

=つづく=

=本日追記=
読者もつづきが知りたいでしょ?
明日日曜にお届けします。


2026年10月16日金曜日

第4205話 汚れ濁りし立会川

久しぶりに旧東海道を
歩きたくなった。
京浜急行を降りたのは青物横丁。
街道を南に向かう。

差し掛かった鮫洲には
佳店が揃っている。
角打ちの「飯田屋酒店」は
最近(でもないか?)、
昼の定食を出すようになった。

日本そば「鈴乃家」と
焼肉「乙ちゃん」に来たのは
まだ1年以内だろう。
次回は鮫洲駅前、
「しながわ食堂」で飲もう。
馬のレバーを麦酒の友として。

立会川を浜川橋(涙橋)で渡る。
川を覗くと、ややっ!
いったいどうしたことだ!
水が濁り切って汚物も浮かび、
汚いったらありゃしない。

白濁してる、いや、
緑がかってるから
白緑(はくりょく)濁。
スゴい迫力だ! でもないかー。
だけどカルピスに
メロンシロップを落としたが如し。

ところがそこに1匹の亀が
四股を拡げて泳ぐじゃないの。
おう、おう、亀よ、
お前も泣きたかろ!
いつからこうなっちまったんだ?

第一京浜沿いの中華「あさの」に
入ってカウンターに着く。
今日の昼めしは此処と決めていた。
サービスランチが多種多彩。
中から葱ラーメン(塩)と
半エビ炒飯のセットを
麺も半分にして貰った。

町中華とは一線を画する品の良さ。
店主はあの陳建民の孫弟子で
店名の「あさの」は
師匠の苗字を拝借したとのこと。

実は来月、例のNYリユニオンを
神保町の寧波料理店で
開く予定なれど「あさの」が
気に入ってしまった J.C.、
独断で会場を変更、予約を入れた。
まあ、誰も文句は言わんでしょう。

食後は坂本龍馬ゆかりの地、
立会川の町をくまなく散策。
しながわ花海道にやって来た。
勝島運河沿いの桜並木は
春に花見客で賑わうが
此処も白緑濁している。

ご丁寧に運河の傍らに
浜川ポンプ所があって目下、
きれいにしよう! 立会川!
そのキャンペーン中と来た。
冗談じゃないぜ!
言っちゃ悪いが J.C.の知る限り、
23区内で一番汚いのは
立会川であり、勝島運河だ。

シャレにもならん悪い冗談は
いいかげんにせいっ!
普段は温厚なオッサンが
珍しくトサカに来ておりやす。

「あさの」
 東京都品川区南大井1-1-15
 03-6404-8772

2026年10月15日木曜日

第4204話 根津の仇は 根津で討つ (その2)

今朝はまず一言。
遅きに失したもののようやく
政界で一番ヤナ奴が更迭され、
溜飲を半分下げた J.C.だが
早苗にも困ったものよのぉ。
”ダサい” なんて言葉を
出すこと自体がダサさの極み。
そのことに全く気づいていない。
バカがっ!

そこで朝っぱらから一句。
早苗泣く私のヤナちゃん辞めちゃって
駄句ながらこれは
川柳じゃなくて俳句。
 ”早苗”は一応、夏の季語だからネ。

さて、昨話のつづきです。
かつて棲んだ根津の町。
「鷹匠」で昼間っから
清酒を飲んでいる。
鷹が飛び去ったあとも
酒肴はずいぶん残っていた。

次に勧められたのが季節限定、
ひやおろし 旨辛口純米酒
うまからまんさく。
第一感は秋田のまんさくの花。
やはり同じ醸造元だった。
両者の違いは判らずとも
美味しくいただいた。

卓上に焙炉(ほいろ)あり。
板海苔やたたみいわしを
焙るためのものである。
せっかくだから
両方楽しめるセットを所望。
焙るというより温めるだけだが
これはこれでいい。
殊に少食派には嬉しいつまみだ。

それでは締めのそばをいただこう。
品書きにはこうある。

せいろ  深山(太打ち)
二色(せいろ・いなか半々)
あつもり(温かいつけ汁で)
     すべて990円
蕎麦少な目 330円引き
蕎麦大盛り 330円増し

J.C.が感心したのは
少な目&大盛りである。
通常、こういう場合、
どうしても少な目には
割高な価格設定がなされる。
ハーフポーションが
ハーフプライスに
なることなど滅多にない。

ガス欠解消でよく利用する、
牛めし「松屋」ですら
ごはん少な目・普通・大盛りが
すべて同一料金。
少な目の割高感は一目瞭然だ。

それを少ないと330円引き。
多ければ330円増し。
極めてフェアというほかはない。
こういう店はまれである。
この点だけでも当店の優良性が
証明されるというものだ。
エラいっ! 正しい!

そのせいでもなかろうが
少な目二色は美味しかった。
つゆも町場のざっかけなさは
無くとも好みのうちである。

酒肴盛り合わせが
気に染まったのでまた来よう。
四半世紀も空けずにネ。
ハハハ、その頃は
天に召されてるってか?
ん、地獄に落ちてるだと?
ほっとけや!

お勘定は5660円。
ぜいたくな昼めし(飲み)に
なっちまったが
かくして根津の仇を根津で
討ったわけであります。
無事本懐を遂げること叶い、
めでたし、めでたし。

「鷹匠」
 東京都文京区根津2-32-8
 03-5834-1239

2026年10月14日水曜日

第4203話 根津の仇は 根津で討つ (その1)

前日、図らずもヒドい目に
遭わされた根津の町。
無沙汰をしてる間に
店は変わってしまうものなんだ。
そこでもう1軒、
気になる店を思い出した。

裏通りにひっそりと佇む、
日本そば屋「鷹匠」である。
訪れたのは今世紀初頭、
すでに四半世紀も前だ。

暖簾を潜って細い通路を進み、
玄関の引き戸を引く。
あれっ? 
カウンターなんてあったかな?
2~3席しかないところで
先客が日本酒を飲んでいる。

「テーブルとどちらでも・・・」
言われて懐かしの奥に進む。
ビールは苦手なエビスのみ。
えいや! とばかりに
清水の舞台から飛び降りた。
実に十数年ぶりのこと。
ふ~む、以前より多少なりとも
飲み易くなったかな?
気のせいかも知れんけど・・・。

小鉢の突き出しは
えのき&切り昆布の炊いたの。
つまみながら品書きに目を落とす。
イの一番に惹かれたのは
酒肴盛り合わせ
(玉子焼き・板わさ・漬物など)
 1200円
即、発注の巻である。

玉子焼きに大根おろし。
板わさには少ないながらも本わさ。
漬物が充実している。
切りいか&人参の松前漬け風、
わかめ&おかか煮、大根甘酢漬け、
白菜浅漬けの計4品。
そして青唐を練り込んだ甘味噌。

これじゃ日本酒に行くしかない。
鷹勇というのがあり、
先刻のお運びさんに
「これは”ようゆう”?
 それとも”たかいさみ”かな?」
「”たかいさみ” です」

「まさか『鷹匠』さんで
 作らせてるんじゃないでしょ?」
「開店のときに全国のお酒で
 ”鷹”の字がつくのを
  探してたら鳥取にありました」
「じゃあ、味じゃなくて名前で
 択んだわけネ?」
「いいえ、とっても
 美味しかったんですの」

ふむ、なかなかに味わい深い。
酒肴たちもこの酒に合わせて
作られているのだろう。

=つづく=