2026年5月27日水曜日

第4081話 昼飲み難民に なりかけて (その2)

錦糸町南口「天ぷら すずき」で
ゆるり富乃宝山を愉しんでいる。
甘鯛松笠はウロコが何枚か
きっちり立っていた。
甘鯛は実に久しぶり。
いつ以来だろう?
記憶をつらつらたどり、
ハタと思い当たった。

一昨年6月、京都の夕まぐれ。
市民の台所、錦小路に近い、
富小路(とみのこうじ)の四富会館。
その奥にひっそりとある、
割烹「てしま」であった。

4泊5日の旅の初日。
旅先での第一食が此処。
目当てはぐじ(甘鯛)である。
京都に来れば必ずいただくぐじ。
その夜も例外ではなかった。
気に入りは何を置いても一夜干し。
頭(カシラ)付きに如くはない。
幸いソレがあり、ポンポンと舌鼓。

目ン玉の周りと頬っぺた、
その美味さたるや、
よくぞ日本に生まれけり。
確か赤甘鯛と記憶する。
「てしま」はとても佳い店で
機会があれば(あるだろうけど)、
ぜひ、再訪したい。

ん? 「てしま」かー。
店主の出身地が瀬戸内海に浮かぶ、
豊島(てしま)なので
そのまま屋号にしている。

ん? 豊島のすぐ西隣りは直島。
お~っと、昨日、
訪れたばかりじゃないの。
「てしま」の大将と
「ゆうなぎ」のオネエさんの顔が
二人ダブッてまぶたに泛かんだ。

2年前の京都で一献傾けた、
「てしま」の隣りの直島に
行ったのが前日とはネ。
単なる偶然とは思えぬ自分がいる。

奇妙な偶然といえば、数日前。
週刊現代をパラパラめくっていて
とある記事に瞠目した。
実は先日まで日本中に
 J.C.未踏の県が2県残っており、
4月に和歌山、5月は徳島へ行き、
ようやく全国制覇を叶えた。

現代の特集記事というのは
「空き家率が高い都道府県10」。
読んでブッタマげた。
ワースト3の3番目、
鹿児島県はいいとして
2番・和歌山県、1番・徳島県。
ビックラポンと来たもんだ。
これまた単なる偶然とは
とても思えぬ自分がいたのです。

「天ぷら すずき 錦糸町店」
 東京都墨田区江東橋3-11-9
 03-6659-6592

2026年5月26日火曜日

第4080話 昼飲み難民に なりかけて (その1)

日暮里駅前から乗ったバスを
浅草で降りようと思ったが
迂闊にも今日は三社祭の最終日。
バスも竜泉ー東武浅草駅間で
大迂回と来たもんだ。

浅草を見送り、押上辺りで
降りようとするも
満員の乗客はほとんど降りない。
スカイツリー人気も衰えたかな?
人垣を押しのけるのがはばかられ、
結局は薬局、終点の錦糸町着。

競馬に興味はないが
WINS方面で飲み屋を探す。
頼みの「三四郎」は
まだ開いてないし、
営業しているのは
競馬中継で客を呼び込む、
いかがわしい店ばかり。

時刻は14時前。
昼飲み難民状態に陥った。
30分うろついて成果ゼロ。
このときマルイの真裏で
たまたま見つけたのが
「天ぷらと酒」の袖看板を
掲げる店だった。

お好み天ぷらの天種がユニーク。
カウンターに滑り込んだ。
瓶は赤星、生はドライ。
泡少なめを祈りつつ、
中ジョッキを所望した。

うん、この程度の泡なら
許容範囲であるぞヨ。
クイ~ッと飲って天ぷらは
ハゼと牡蠣をお願いする。
まずまずの滑り出しだ。

生中のお替わり。
そして好物の新玉ねぎと
前代未聞の子持ち昆布をー。
ふむ、素晴らしくはないが
悪くない揚げ上がりである。

天種の品札に1枚混じって
水道橋の文字がこれだけ赤字
お運びのオネエに
「コレはいったい何なの?」
「いえ、水道橋にも
 お店があるもんですから・・」

ここで J.C.、思わず膝ポン。
「ああ、JRのガード下だネ」
「そうです、そうです!」
利用したことはないが
何度か店先を通っている。

富乃宝山のロックに移行した。
本日のおすすめボードに
甘鯛松笠を発見。
目の前の揚げ手のオニイさんに
「松笠ってことはウロコを
 残したまま揚げるのネ?」
「ハイ、そうです」

水分の多い甘鯛の食感を補うため、
ウロコを付けたままの調理法は
甘鯛の産地にちなみ、若狭焼き。
関東では興津焼きとも呼ばれる。

=つづく=

2026年5月25日月曜日

第4079話 直島は 赤いかぼちゃの お出迎え

この朝、ホテル出発は7時45分。
Mコールのセットはしなかったが
夜中に何度も目が覚めた。
6時前、早朝散歩をシャレ込む。

ホテルは高松駅、高松港、
高松城跡に三方を囲まれた好立地。
窓から見えた高松城跡のある、
玉藻公園に出掛けて行った。
濠はあるものの、天守閣は無く、
石垣が残るだけだが趣きがあり、
歩いていて心も弾む。

前日同様、高松港から直島へ。
1時間弱で宮浦港に着岸すると
草間彌生作、赤かぼちゃが
出迎えてくれる。

此処から全員自由行動で
港に再集合するのは5時間後。
ずいぶん時間を取ってくれたが
そんなに観るとこあるんかな?

ほとんど全員がバスに乗り、
終点のつつじ荘で
ベネッセの無料バスに乗り継ぎ、
「Benesse House Museum」に
連れて行かれた。

入場料1500円を払ったはいいが
抽象的な展示物に説明書きもなく、
ダラダラ並ぶだけでは
どうにもチンプンカンプン。
15分で退出したので1分100円だ。
海沿いを歩いて行くと
今度は黄かぼちゃに出逢った。

またバスに乗り、宮浦港に戻る。
まだ3時間もあるぜ。
ビールが飲める店はないだろか?
あった、港の近くに1軒あった。
「ゆうなぎ」はひらめが自慢。
接客のオネエさんは
客あしらいがとても好い。

ひらめは刺身、唐揚げ、
南蛮唐揚げ、煮付けと揃い、
いずれも鰈くらいの小サイズ。
煮付けをドライ中瓶と通した。

香川産フジタカ醤油使用の
煮付けはなかなかの味わい。
揚げたこ焼きを追注して
中瓶を3本も飲んじまった。

滞空2時間を超えたがオネエさん、
イヤな顔一つ見せない。
直島の人口は3100人と聞くが
好感度の高い彼女も
そのうちの一人だろうか?

お勘定は4100円也。
月・火の定休日にも当たらず、
運が良かった。
高松からは快速マリンライナー。
岡山まで50分と意外に近く、
東京行きののぞみ50号に
乗り換えたのでした。

「ゆうなぎ」
 香川県香川郡直島町2249-5
 087-892-2924

2026年5月23日土曜日

第4078話 歓びアーカイブ 第19回

一時期、上野動物園にハマり、
当欄でもずいぶん紹介した。
そこから一話お届けします。

2014年6月13日金曜日

しばらくごぶさたしていた 
”動物園シリーズ”いきます。
今話は水鳥のバンとオオバンが主役。
サブタイトルを見て
「何のこっちゃい?」
思われた読者も少なくないでしょう。
バンなんてあまり耳にしませんもの。

バンは漢字で鷭と書く。
したがってオオバンは大鷭。
ともにクイナ科に属する。
ちなみにクイナは水鶏と書くそうだ。
クイナといってもピンとこないが
沖縄のヤンバル(山原)クイナと聞けば、
ああ、あれかと思われる向きも多かろう。

その日は上野動物園の西園をぶらぶら。
池のほとりづたいに歩いていた。
ペリカンのたまり場と
オオワシの番(つがい)の間で
幸いにもオオバンを見つけた。

水鳥の中でもバン類は警戒心が強い。
人影に気づくとすかさず
水草の陰に逃げ込む。
それでもここ数年は
パンくずを放る人のもとへ
ユリカモメやキンクロハグロにつられ、
ノコノコ現れるようにもなった。
その日のバンがコレ。
真鯉より小さいオオバン
特徴はクチバシが伸びたような額板。
真っ白ではなく、
ほんのり薄紅色がさしている。
水かきはほとんどないが
そこそこ巧みに泳いでいる。

一方のバンはもっと小型、
ハトと同サイズといったところか。
バンとは動物園の外、
弁天堂前の天竜橋で遭遇した。
水かきがまったくない
したがって泳ぐには泳ぐが
前のめりでずいぶん不恰好。
エッ? よく判らないってか?
それならコレでいかがでしょう?
あんまり変わらないってか?
なじみの薄い鳥ながら日本全国で見られ、
東日本では夏鳥、西日本では留鳥だ。
ただし、東京近県の千葉・埼玉では
準絶滅危惧種に指定されている。

いろいろと調べていて驚いたのは
何とこのバン、江戸時代には
食味の良さで食通をうならせたという。
何でもあの時代、美味の象徴に
三鳥二魚というのがあって
陣容は、雲雀・鷭・鶴に鯛・鮟鱇。

魚に関しては現代と変わらぬが
江戸のグルメたちは
とんでもない鳥たちを
食ってたんですねェ。
いや、ビックリしたなァ、もう!
今これをやったら捕まりますヨ。

2026年5月22日金曜日

第4077話 日本一のアーケード商店街

高松は前世紀末以来28年ぶり。
「夜の動物園」なるスナックに
立ち寄った記憶がある。
現存するが今ではオカマバーだ。
どうやら性転換を遂げたらしい。

夜の街に出た。
高松築港駅から琴電に乗り、
二つ目の瓦町で下車。
繁華なライオン通りを物色する。
徳島もそうだったが
よく見掛けるのは”骨付鶏” の看板。
それこそやたらめったら
あっちゃこっちゃ状態である。

今日は昼めし抜きにつき、
「森山」なる鮨屋に入店。
先客はつけ台に中年カップル1組。
ドライ中瓶で一息つく。

「鮨種、拝見していいですか?」
「どうぞ、どうぞ」
カップルのすぐ脇に立ち、
ガラスケースをのぞき込む。
「蝦蛄が大きいけど、北海道?」
「そっ、そうでっす!」
道産は本州産の二回りは大きい。

蝦蛄から始めると
添えられたのはニセわさ。
本わさびは置いてなく、
ちとガッカリの巻。

香川の酒、金陵の冷酒に移行。
追加のつまみは鰆白子塩焼き。
サカナの白子&真子は大好物で
思い出すのは浅草観音裏、
今は無き「基寿司」と
今は亡き基二親方である。

週に一度は通い飲む鮨屋だった。
サイズ小さめの真鯛と
独特のシゴトをした穴子が好く、
はまぐりの旨みを凝縮した、
はま吸いも好きだった。

夏場に此処でしか味わえない、
イサキの白子は文字通り白眉。
全てのサカナの白子にあって
No1の折り紙をつけたい。
柑橘にも似た爽やかな香りが
河豚や真鱈の上をいく。

清酒を同じ香川の凱陣に
切り替えてにぎりをお願い。
剣先いか・さより・あこう鯛・
小肌・オリーブサーモンと来て
本まぐろ赤身が未入荷のため、
中とろで手を打った。

普段、鮨屋では食べない、
というよりサーモンを置く
鮨屋には入らないが
エサにオリーブの葉を
混ぜ込んだ養殖と聞き、
試す気になった。
ふむ、悪くありませんネ。
お勘定は1万円ちょっと。
良心的な値付けといえる。

ライオン通りのアーケードは
日本一の長さを誇る。
Tの字でぶつかる、
片原町商店街もまた、
アーケードが長く続く。

明朝は早起きせねばー。
夜の街に後ろ髪を引かれつつ、
ホテルに帰り、洗顔・歯磨きを
済ませたがシャワーも浴びず、
どちらさんもおやすみなさい。

「すし 森山」
 香川県高松市今新町7-1
   087-822-0101  

2026年5月21日木曜日

第4076話 高松から船に乗って 土庄に着いた

翌朝は遅めの出発。
8時45分にホテルを出て
向かったのは大塚国際美術館。
大塚製薬発祥の地、
鳴門市にトンデモないサイズの
ウツワを誇っている。

すべて陶板画のレプリカながら
みな原寸大、膨大な量を所蔵する。
TD 曰く、全部観るのは到底ムリ。
「じゃあ、何だってこんなトコに
 連れて来たんだよぉ!」
そんな不満を漏らす者はナシ。

開館ちょうどの9時半に着くと
すでに長蛇の列が100人以上。
なおも次々に観光バスが到来する。
入場者はシスティーナ礼拝堂に
度肝を抜かれ、あんぐり見上げて
ちりぢりに散るパターンだ。

J.C.はゴッホの「ひまわり」と
ゴヤの「裸のマハ」&
「着衣のマハ」を観て鑑賞終了。
10時半の開店と同時に館内の
「カフェ・ド・ジヴェルニー」へ。

ガラス越しにモネの「大睡蓮」を
囲むように設えられた池に咲く
睡蓮の花を眺めながら
イギリス生まれのバナナケーキ、
バノフィーパイというのを
アイスコーヒーと初めて食べた。
われながら自分らしくないモンを
食ってるなァ・・・と思いつつ。
今日は昼めし抜きになるかな?

バスは香川県に入り、
高松駅前のホテルに荷物を置き、
高松港からフェリーで小豆島へ。
およそ1時間後、土庄に入港。
ほうら、石川さゆりが唄い出す。

♪ 波止場しぐれが 降る夜は
  雨のむこうに 故郷が見える
  ここは瀬戸内 土庄港
  一夜泊りの かさね着が
  いつかなじんだ ネオン町 ♪
   (作詞:岡千秋)

「波止場しぐれ」は
1985年のリリース。
土庄(とのしょう)にネオンなぞ
一つも灯ってないけれど
40年前はあったんだろうか?

小豆島はわが人生二度目。
1968年秋、京都、姫路と周った、
高校2年の修学旅行以来だ。
あのときは土庄とは
島の反対側、福田港に着いた。
記憶にあるのは宿泊先、
「ニュー銀波」の広い庭と
お猿の国のお猿さんのみだ。

今回周ったのは
醤(ひしお)の郷のみやげ物屋に
オリーブ園だけで 
J.C.的には二十四の瞳映画村と
お猿の国の再訪が望ましかった。

さっき来た航路を
そのまま戻って高松に帰港。
明日の出発は早いけど
さァ、夜の街に出るゾ。

♪ 飲み屋が俺を呼んでいる ♪

「大塚国際美術館」
 徳島県鳴門市鳴門町 鳴門公園内
 088-687-3737

「Cafe de Giverny」
 大塚国際美術館内

2026年5月20日水曜日

第4075話 最初で最後の徳島県

神奈川県在住の H村サンから
「景色なんかどうでもいいって
 おっしゃいますが
 渦潮だって景色でしょ?」
前話にクレームを頂戴した。

J.C.に言わせていただければ
渦潮には動きがあるんです。
岸辺に寄せるさざ波や
小川のせせらぎ、峯より落つる滝、
そのあたりもそうでしょう。

花にしたって、ただ咲く桜より、
桜吹雪に風情を感じます。
風に揺れるひまわり畑も
趣きがありますネ。
停まった景色は飽きちゃいます。

さて、徳島のその夕べ。
実は J.C.にとって
徳島県に来るのは初めて。
そして日本全国47都道府県で
唯一未踏だったのが此処だ。
徳島へは初陣だけれども
難攻不落、最後の砦でもあった。

真っ先に向かった「安兵衛」。
徳島駅そばの大衆酒場は
和歌山駅近くの「多田屋」と
並び称される市のランドマーク。
昼前からの通し営業もうれしい。

ドライ大瓶を通したはいいが
食欲がまったくない。
すべて昼めしのせいである。
よって、食べたいものより、
量の少なそうなものを探した。

350円の地どり焼き鳥に続き、
同値の串かつを通した。
どちらも2本づつだ。
阿波尾鶏の柔かいもも肉に
玉ねぎとピーマンがねぎま状態。
甘いタレが多いので皿を
傾けて串を上部に避難させる。
串かつは豚ではなかった。
やはり阿波尾鶏の胸肉だった。

熊本の麦焼酎・白水のロックに
切り替え、もうひと飲み。
いつもは芋だが
たまさかの麦もいいもんだ。
支払いは1990円と大衆価格。

両国橋で新町川を渡る。
雄大な吉野川の支流である。
裏町の飲み屋街に足を踏み入れ、
秋田町、栄町、鷹匠町と
同じ道筋を何べんも
往ったり来たりした。

歌声が漏れ来るスナックが
あったけど今宵の気分は違う。
ドアを押したのは
「Bar Toyokawa」なる、
オーセンティック・バーだ。

50歳前後だろうか?
バーテンダーが独りきり。
さっそくの1杯はホワイトレディ。
コアントロー少なめ、
ハードシェイクでお願いした。

交わす話題はもっぱら
店の歴史と徳島市の近況だ。
彼にも1杯ごちそうし、
サイドカー、XYZと飲み重ねた。
ジン、ブランデー、ラム、
酒移れども他の材料は
全て同じカクテルである。

1時間の滞空で会計は6千円。
3軒目を思いとどまり、
真っ直ぐ帰宿したのでした。
翌朝が早いのでネ。

「安兵衛」
 徳島県徳島市一番町3-22
 088-622-5387

「Bar Yokokawa」
 徳島県徳島市栄町2-6
 088-653-6339