2026年10月16日金曜日

第4205話 汚れ濁りし立会川

久しぶりに旧東海道を
歩きたくなった。
京浜急行を降りたのは青物横丁。
街道を南に向かう。

差し掛かった鮫洲には
佳店が揃っている。
角打ちの「飯田屋酒店」は
最近(でもないか?)、
昼の定食を出すようになった。

日本そば「鈴乃家」と
焼肉「乙ちゃん」に来たのは
まだ1年以内だろう。
次回は鮫洲駅前、
「しながわ食堂」で飲もう。
馬のレバーを麦酒の友として。

立会川を浜川橋(涙橋)で渡る。
川を覗くと、ややっ!
いったいどうしたことだ!
水が濁り切って汚物も浮かび、
汚いったらありゃしない。

白濁してる、いや、
緑がかってるから
白緑(はくりょく)濁。
スゴい迫力だ! でもないかー。
だけどカルピスに
メロンシロップを落としたが如し。

ところがそこに1匹の亀が
四股を拡げて泳ぐじゃないの。
おう、おう、亀よ、
お前も泣きたかろ!
いつからこうなっちまったんだ?

第一京浜沿いの中華「あさの」に
入ってカウンターに着く。
今日の昼めしは此処と決めていた。
サービスランチが多種多彩。
中から葱ラーメン(塩)と
半エビ炒飯のセットを
麺も半分にして貰った。

町中華とは一線を画する品の良さ。
店主はあの陳建民の孫弟子で
店名の「あさの」は
師匠の苗字を拝借したとのこと。

実は来月、例のNYリユニオンを
神保町の寧波料理店で
開く予定なれど「あさの」が
気に入ってしまった J.C.、
独断で会場を変更、予約を入れた。
まあ、誰も文句は言わんでしょう。

食後は坂本龍馬ゆかりの地、
立会川の町をくまなく散策。
しながわ花海道にやって来た。
勝島運河沿いの桜並木は
春に花見客で賑わうが
此処も白緑濁している。

ご丁寧に運河の傍らに
浜川ポンプ所があって目下、
きれいにしよう! 立会川!
そのキャンペーン中と来た。
冗談じゃないぜ!
言っちゃ悪いが J.C.の知る限り、
23区内で一番汚いのは
立会川であり、勝島運河だ。

シャレにもならん悪い冗談は
いいかげんにせいっ!
普段は温厚なオッサンが
珍しくトサカに来ておりやす。

「あさの」
 東京都品川区南大井1-1-15
 03-6404-8772

2026年10月15日木曜日

第4204話 根津の仇は 根津で討つ (その2)

今朝はまず一言。
遅きに失したもののようやく
政界で一番ヤナ奴が更迭され、
溜飲を半分下げた J.C.だが
早苗にも困ったものよのぉ。
”ダサい” なんて言葉を
出すこと自体がダサさの極み。
そのことに全く気づいていない。
バカがっ!

そこで朝っぱらから一句。
早苗泣く私のヤナちゃん辞めちゃって
駄句ながらこれは
川柳じゃなくて俳句。
 ”早苗”は一応、夏の季語だからネ。

さて、昨話のつづきです。
かつて棲んだ根津の町。
「鷹匠」で昼間っから
清酒を飲んでいる。
鷹が飛び去ったあとも
酒肴はずいぶん残っていた。

次に勧められたのが季節限定、
ひやおろし 旨辛口純米酒
うまからまんさく。
第一感は秋田のまんさくの花。
やはり同じ醸造元だった。
両者の違いは判らずとも
美味しくいただいた。

卓上に焙炉(ほいろ)あり。
板海苔やたたみいわしを
焙るためのものである。
せっかくだから
両方楽しめるセットを所望。
焙るというより温めるだけだが
これはこれでいい。
殊に少食派には嬉しいつまみだ。

それでは締めのそばをいただこう。
品書きにはこうある。

せいろ  深山(太打ち)
二色(せいろ・いなか半々)
あつもり(温かいつけ汁で)
     すべて990円
蕎麦少な目 330円引き
蕎麦大盛り 330円増し

J.C.が感心したのは
少な目&大盛りである。
通常、こういう場合、
どうしても少な目には
割高な価格設定がなされる。
ハーフポーションが
ハーフプライスに
なることなど滅多にない。

ガス欠解消でよく利用する、
牛めし「松屋」ですら
ごはん少な目・普通・大盛りが
すべて同一料金。
少な目の割高感は一目瞭然だ。

それを少ないと330円引き。
多ければ330円増し。
極めてフェアというほかはない。
こういう店はまれである。
この点だけでも当店の優良性が
証明されるというものだ。
エラいっ! 正しい!

そのせいでもなかろうが
少な目二色は美味しかった。
つゆも町場のざっかけなさは
無くとも好みのうちである。

酒肴盛り合わせが
気に染まったのでまた来よう。
四半世紀も空けずにネ。
ハハハ、その頃は
天に召されてるってか?
ん、地獄に落ちてるだと?
ほっとけや!

お勘定は5660円。
ぜいたくな昼めし(飲み)に
なっちまったが
かくして根津の仇を根津で
討ったわけであります。
無事本懐を遂げること叶い、
めでたし、めでたし。

「鷹匠」
 東京都文京区根津2-32-8
 03-5834-1239

2026年10月14日水曜日

第4203話 根津の仇は 根津で討つ (その1)

前日、図らずもヒドい目に
遭わされた根津の町。
無沙汰をしてる間に
店は変わってしまうものなんだ。
そこでもう1軒、
気になる店を思い出した。

裏通りにひっそりと佇む、
日本そば屋「鷹匠」である。
訪れたのは今世紀初頭、
すでに四半世紀も前だ。

暖簾を潜って細い通路を進み、
玄関の引き戸を引く。
あれっ? 
カウンターなんてあったかな?
2~3席しかないところで
先客が日本酒を飲んでいる。

「テーブルとどちらでも・・・」
言われて懐かしの奥に進む。
ビールは苦手なエビスのみ。
えいや! とばかりに
清水の舞台から飛び降りた。
実に十数年ぶりのこと。
ふ~む、以前より多少なりとも
飲み易くなったかな?
気のせいかも知れんけど・・・。

小鉢の突き出しは
えのき&切り昆布の炊いたの。
つまみながら品書きに目を落とす。
イの一番に惹かれたのは
酒肴盛り合わせ
(玉子焼き・板わさ・漬物など)
 1200円
即、発注の巻である。

玉子焼きに大根おろし。
板わさには少ないながらも本わさ。
漬物が充実している。
切りいか&人参の松前漬け風、
わかめ&おかか煮、大根甘酢漬け、
白菜浅漬けの計4品。
そして青唐を練り込んだ甘味噌。

これじゃ日本酒に行くしかない。
鷹勇というのがあり、
先刻のお運びさんに
「これは”ようゆう”?
 それとも”たかいさみ”かな?」
「”たかいさみ” です」

「まさか『鷹匠』さんで
 作らせてるんじゃないでしょ?」
「開店のときに全国のお酒で
 ”鷹”の字がつくのを
  探してたら鳥取にありました」
「じゃあ、味じゃなくて名前で
 択んだわけネ?」
「いいえ、とっても
 美味しかったんですの」

ふむ、なかなかに味わい深い。
酒肴たちもこの酒に合わせて
作られているのだろう。

=つづく=

2026年10月13日火曜日

第4202話 人生最ヤワのカニチャーハン

日医大付属病院で眼科の定期健診。
4カ月に1度のことだが
眼の方はもういいんじゃないかと
自分では思っている。

院外薬局で目薬を1本だけ調達。
その際、薬局の女性に
「それでは今後も朝夕さして下さい」
「はあ~っ!  朝夕ですか?」
「そうですよ」
「ここ1年半、朝だけしか・・・」
「ええ~っ!」
と相成った。

今まで院内で調達していたが
そんな説明聞いてないぜ。
おそらく医師の言葉を
聞き洩らしてたんだろうな。

道理で目薬がだいぶ余るわけだ。
でも、それで結果変わらずなら
このまま1日1度で押し通そう。
目薬でも飲み薬でも
少ないに越したことはない。

さて、昼めし。
ふと思い、近くに棲んだ頃は
何度かおジャマしたものの
しばらくご無沙汰している
根津の中華「オトメ」へ。 

10年ほど前、お運びのコに
「オトメは何か意味あるの?」
彼女応えて
「判んないですけど
 昔は『オトメパン』っていう、
 パン屋さんだったんです」
「ふ~ん、そうなのネ」
「それをお爺ちゃんが勝手に
 中華に代えちゃってー」
「そりゃ困った爺ちゃんだ」
「ホントですよ」
このコはおそらく孫娘だろうな。

以前はまずまずだったが
その後、ガクンと味が落ちた。
今日も別段、期待はしていない。
黒ラベル中瓶を通し、
今まで気づかなかった
カニチャーハンを初めて発注。

サイドの清湯は悪くない。
ところが肝心の炒飯に問題発生。
まず見た目がベチョベチョ。
米の粒が立ってないんだ。
当然、食感も極めて悪し。

ハッキリ云って蟹炒飯と
蟹雑炊の中間状態だネ。
具材は質の悪いカニ缶に
玉子・しいたけ・竹の子・小ねぎ。
人生最ヤワのカニチャーハンに
レンゲも止まり、完食能わず。

目前の卓ではオッサンが3人、
昼から紹興酒で盛り上がっている。
会話がちと五月蠅いんで
注意してやろうと立ち上がった。

すると驚いたことにうち一人が
先日、盟友・N田とともに
鼎飲に及んだO切でやんの。
後ろ姿だから気づかなかったが
彼らは中学の同期との由。

まっ、奴も文京区民だから
大した偶然じゃないけど
秋深し酒は静かに飲むべかりけり
じゃないのかえ?
えっ、O切クンよっ!
やれやれ。

「オトメ」
 東京都文京区根津2-14-8
 03-3821-5422

2026年10月12日月曜日

第4201話 また浅草に 足が向き

金曜日のコラムについて
大田区在住のS村サンから質問。
「美家古寿司」四代目、
わが師匠の教えの一つ。
小肌にぎりのでんぐり返し
What is This ?
でありました。

半世紀近くも以前のある夜。
往時のGF、八戸生まれのE子が
「光りモノが苦手だから
 小肌はイヤなの」
コレを聞いた四代目。
絣模様の皮目を内側にして握り、
彼女の前にソッと置いた。

何食わぬ顔で頬張ったE子。
「美味し~い!」
すかさずお替わりと来たもんだ。
してやったりの親方の笑顔を
昨日のことのように思い出す。

それはそれとして
最近はよく浅草に足が向く。
20年以上も前、
自著「浅草を食べる」のために
昼夜を問わず、この街に通った。
往時ほどではないにせよ、
下町愛がよみがえったかの如くだ。

この日もそうだった。
谷中よみせ通りから乗った、
台東区のコミュニティバス、
めぐりんを竜泉で降りる。

ステュワーデスの聖地、
飛不動から千束を抜け、
観音裏を経てひさご通り。
そろそろどこぞへ入らねば。
久しぶりに「みずの」に
顔を出してみようかな?

「神谷バー」ほどではなくとも
やはり浅草のランドマークの一つ、
お好み焼き「染太郎」の隣りに赴く。
先客は一人。
彼の背中を掠めてカウンターの奥へ。

当店には何度かおジャマしているが
常に娘のY生チャンの出勤日。
母上には初めてお目に掛かる。
ドライ中瓶をトクトクやって
択べるおばんざいから
マカロニサラダを通す。

そうしておいて
来れば頼むの会津産馬刺し、
フタエゴを所望。
特製の辛味噌が添えられるが
にんにくスライスもお願い。
フタエゴはいわゆるバラの部位で
ロース同様に好物なのだ。

壁に信州・小布施のシャルドネを
見つけて試してみた。
ボトルを拝見すると
品書きはシャルドネでも実際は
ソーヴィニヨン・ブラン。
まずまずながら1杯にとどめ置く。

中瓶に戻って赤貝醤油漬けをー。
まぐろでん、赤貝でん、
生モノをヅケにするのは賢い方法。
J.C.も自宅で刺身類が
余ったりすると
ヅケにして翌日また楽しむ。

滞空1時間で切り上げ、
お勘定は4千5百円ほど。
女将さんに玄関まで送って貰い、
「Y生チャンによろしくネ」
「は~い、伝えます!」
はて、2軒目はいずこへ?
銭形平次よろしく、
胸に思案の空を見上げた。

「みずの」
 東京都台東区西浅草2-2-1
 080-6192-3187

2026年10月10日土曜日

第4200話 歓びアーカイブ 第42回

京王線・笹塚の青果店で
たまたま見つけた隼人瓜。
そのフレッシュな美味しさに
痺れたことでした。

2011年12月9日金曜日

第202話 久しぶりだネ 隼人瓜

笹塚観音通りの「常盤食堂」に赴いた際、
近所のの青果店で珍しいものを見つけた。
隼人瓜(はやとうり)という瓜で
実に5年ぶりの再会だった。
最後に見たのは水上温泉近くの朝市だった。

あのツアーはヒドかったなァ。
クラブ・ツーリズムの
秩父夜祭を観る1泊2日のツアー。
夜祭は好かったけれども
そのあとがいけまへん。
あろうことか宿が水上と来たもんだ。
バスは延々と走り、露天風呂のある宿に
着いたのは翌日の午前1時。
水上よりよっぽど近い東京に
戻ったほうがなんぼかマシだったぜ。

それはそれとして笹塚の隼人瓜を
ただちに買って帰り、浅漬けにして食べ、
舌先に涼を呼ぶシャッキリ感を堪能した。
その前の出会いは10年以上になろう。
散歩の途中、葛飾区・青戸の民家に
実をつけているのを発見。
中川を臨む民家の塀の外に
垂れ下がる隼人瓜を見て
無意識に周りを見回した。

あたりに人影はない。
ってことは目撃者がいないことを意味する。
これはもう完全にコソ泥の心理。
あるいは我慢ならなくて
立ちションに及ぶ酔っ払いの心理ですな。

蜜柑や柿ならいざ知らず、
隼人瓜なんて誰も知らんだろうし、
ましてや採って食おうなんて
酔狂な輩は皆無であろう。
(遠回しに罪を正当化している)

でもって駅前に戻り、
コンビニで飲みたくもない
おーいお茶を購入する。
もいだ瓜を入れる袋が必要だったのだ。
犯行現場に再び現れ、
色ぶりのいいヤツを三つばかり失敬した。
どちらサンのお宅か存ぜぬが
盗んだのはこのワタシです。
すでに時効成立とはいえ、
その節はスイマセンでした。

早いとこ現物を見せろ! ってか?

はいコレです

スライスして一晩浅漬けにしたのがこちら。

塩漬けの実山椒を散らしてみた

もちろん山椒がなくても構わないし、
大葉の千切りなんかは相性がよろしい。
スライスは微妙に厚さや形状を変えると
食感のヴァリエーションが楽しめる。

隼人瓜はアフリカや南米でもポピュラーな野菜。
日本へは真っ先に鹿児島県に渡来した。
薩摩隼人に因んでのネーミングとなった由である。
八百屋のオジさん曰く、今回のは千葉産とのこと。

同じ八百屋で赤かぶも買ってきた。
こちらは甘酢に漬ける。

皮の色が酢に溶け出して真っ赤

隼人瓜と赤かぶを食べ比べてみた。
迷わず軍配を挙げたのは隼人瓜のほうでした。


=本日追記=
早いものであれから15年。
その間、隼人瓜に出逢ったのは
ただの2回のみ。
とても稀少な瓜なのでしょう。

2026年10月9日金曜日

第4199話 飲んだくれて浅草 (その2)

浅草随一の江戸前鮨店、
「弁天山美家古」に横並び。
相棒はつまみを満喫したいと云う。
その旨、六代目親方、
ダイちゃんに伝えると、
出た出た月が、もとい、
出た出たつまみが、続々とー。

以前はこんなに揃ってなかった。
六代目は若いんだねェ。
まだ五十そこそこだもの。
あれこれ試行錯誤を
重ねた結果だろう。

J.C.の江戸前鮨の師匠は
先々代の四代目。
この人にはかけがえのない、
多くの江戸流儀を習った。

まぐろ赤身の超薄切り
小肌にぎりのでんぐり返し
トロから食う奴は愚の骨頂
わさびを醤油に溶かすなかれ
いくらは酒の肴にちょっとだけ
納豆巻き・新香巻きは家で食え!

思い出していて懐かしさに
目頭が熱くなり、
あやうく落涙しそうになった。
いえ、これはわさびが
効いたのでした。

宮城の浦霞に切り替える。
出て来たつまみは
昆布&おかか煮
まぐろ赤身&海苔佃煮
北寄貝&赤貝ひもぬた
平目煮凝り 穴子白焼き
炙り〆鯖 戻りかつお刺し

相方は美味しく感じると
ばんたび拍手までしている。
ほんとだネ、にぎり以外の
「美家古」の味を堪能した。

福井の伝心にスイッチ。
冷酒はみな 1.5合の徳利入り。
すぐに浦霞に戻す。
いえ、伝心に不満はないけどネ。

4本ほど空けたところで
にぎりに移行したものの、
平目昆布締めと車海老は
覚えてるが他は記憶に無い。
計4~5カンほどつまんだら
また徳利のお替わり。

したたかに酔った。
こんな飲み方をしたのは
久しぶりのことだ。
お勘定は2万7千円ほど。

夜の街に出たが
その夜はまだ終らない。
田原町の「The Auld」に流れた。
馴染みのスナックの跡に出来た
ブリティッシュ・パブだ。
Auld はスコティッシュで
イングリッシュの Oldと同義。

入口近くのバーカウンターは
変わらないものの奥は一変。
トイレだけが昔のままで懐かしい。
はばかりに往時を偲ぶ秋夜長

ここでもホワイトレディと
サイドカーまで覚えちゃいるが
あとは忘却の彼方。
しかし、N美も強くなったもんだ。
J.C.の向こうを張って
ここまで飲める女なんて
手持ちの駒では彼女一人だけ。

「神谷」の電氣オールドで始まり、
「The Auld」のカクテルで締めた。
Old から Auld、
イングランドからスコットランドに
旅した気分の浅草の夜でした。

「弁天山美家古寿司」
 東京都台東区浅草2-1-16
 03-3844-0034

「The Auld」
 東京都台東区西浅草1-7-3
 志津野ビルB1
 03-5830-7100