ハネたあと、早めの夕食。
荒川区役所前から都電荒川線で
8ツ目の小台へ移動する。
思えばこの1月。
K子と初めて逢ったのは
小台の一つ手前、
宮ノ前の停留所だった。
二人して都電に揺られながら
往時が懐かしくよみがえる。
入店したのは駅前で通し営業する
その名も「あら川」なる鰻屋さん。
鰻屋は持ち帰り客が多いため、
通し営業せざるを得なかろう。
われわれには好都合だった。
ドライ中瓶を注ぎ合って
グラスをカチンと合わせる。
まずは肝焼き2本と
上新香1人前を通す。
鰻屋に来たら焼き上がりを待つ間、
これが定石となっている。
何故か新香盛合わせを上新香と
呼ぶのは鰻屋だけの習わし。
鰻重でん、鰻丼でん、
小さな新香はデフォで付いて来る。
対して多少なりとも
豪華になるから上新香と
いうことだろうが
ならば天丼やかつ丼を扱う
蕎麦屋・食堂だって同じこと。
なぜか蕎麦屋に上新香の文字を
見たことは今まで一度として無い。
まあ、価格的に丼モノの頂点に
君臨する鰻であるからにして
高級感を高めるための
流儀なのかも知れない。
「あら川」の上新香はさすがだ。
浅漬けが胡瓜・蕪・大根・茗荷。
出来合いは瓜奈良漬けと山牛蒡。
”上”を謳うに値する。
肝焼きも立派で他店の倍はなくとも
1.5 倍はあるんじゃなかろうか?
1本を分け合ってもいいくらいだ。
腸管だけでなくレバーもいくつかー。
日本酒が欲しくなった。
いろいろ揃ううち、
京都は伏見の金鵄正宗の冷酒を所望。
金鵄は ”きんし” と音ずるが
金のトビのことで
日本神話では霊鳥を意味するそうだ。
別段、霊魂を感じはしなかったが
そこそこ美味しい清酒ではあった。
そろそろ鰻に参りましょうかー。
=つづく=