高田馬場で仔牛を食べながら
ニューヨークの仔牛を
思い出していた。
1998年6月に上梓した自著、
「ニューヨークレストラン
Best 225 」から
” 読者の方々に ”(まえがき)を
紹介してみたい。
長いため、途中までネ。
ニューヨークに移り住んで10年あまり。
ほとんど毎晩、外食の生活。
訪れた店は高級レストランから
デリ、ダイナーに至るまで
のべ2千数百軒、われながら
よく食べたものだとため息が出る。
初めの頃は各種レストランガイドを
片手にあちこち食べ歩いてみた。
そのうち「何だかコイツはおかしいぞ」
違和感を覚えるようになる。
日本語版旅行ガイドのレストランを
紹介するコラムは論外としても
現地のベストセラーでさえ、
オヤッ? と首を傾げることが
少なくないのだ。
まず、日本料理店の評価が
メチャクチャである。
安くて量の多い店が
もてはやされてしまうから
すし屋でもキッチリ江戸前の仕事を
施すところより大きな鮪の切り身を
恥ずかし気もなくドンと酢めしに
乗せた店の評価が高くなる。
握りめしのような握りずしに
大手を振って歩かれたひにゃ、
同じ日本人として
修業を積んだ職人さんに
申し訳が立たないではないか。
次にイタリア料理に対しては
非常にアンフェアである。
この街のイタリアンの水準が
世界一にもかかわらずだ。
ミラノ、フィレンツェ、ローマ、
イタリアのどの都市にも
都市対抗で負けることはない。
ただし全イタリア対ニューヨーク、
ということになれば全イタリアに
軍配を挙げざるを得ないけれどー。
では東京はどうかというと、
世界最大にして最良の
築地市場が控えているのだ、
魚介料理が不味いわけはない。
しかし、和食と比較して
イタリアンはいまだ、
その素晴らしい素材を
活かしきれていない。
おまけにイタリア料理において
最重要食材である仔牛肉の流通も
流行も不十分なのは致命傷。
松坂牛や前沢牛もけっこうだが
仔牛なくして何の霜降り、
食大国・日本の名が泣いている。
このあたりで止めようと
思ったのですが
もう少々、おつき合い下され。
それではまた明日!
=つづく=

