2026年7月10日金曜日

第4119話 食べもの屋 意外に多い 新中野

メトロ丸の内線は
新宿を過ぎ、荻窪までずっと
青梅街道の真下を疾ってゆく。
新宿から二つ目の中野坂上。
その一つ先、新中野で下車した。

杉山公園の手前を左折し、
中野通りを南下してゆく。
同じく青梅街道から
南に降る鍋屋横丁と二又で
ぶつかるのが十貫坂上。

その交差点近くにある、
「尚ちゃんラーメン」が
本日のターゲットだ。
途中の中野通りもそうだが
坂上界隈も飲食店が多い。

東京の23区内なら何処でも
神出鬼没の J.C.が
あまり出没しないエリアだ。
まっ、それはいいとして
「尚ちゃんラーメン」。
キャパは20人足らずだろう。

カウンターの左端、
入口から一番近い席に
軽い腰を下ろした。
ビールは黒ラベル中瓶。

大した距離ではないにせよ、
歩いて来たからノドに染みる。
芭蕉の耳に聞こえた、
岩に染み入る蝉の声さながら。

当店の名物は一にも二にも
木耳肉定食である。
ん? 何だ! 木耳って?
聞く耳持たないってか?
これはキノコの一種、
キクラゲなんざんす。

豚肉と一緒に炒めてトロみを
付けたもので一番人気。
コレに半ラーメンを足す客が
すこぶる多い。

J.C.はもう一つの人気メニュー、
半チャーハン+ラーメンセットを
ラーメンも麺半分で通した。
う~ん、残念ながら
期待したほどではなかった。

まずラーメンが淋しい。
シナチク4片ほどに
もやしがパラパラっとー。
「亀戸ぎょうざ大島店」の
サービスゆでもやしの
20分の1にも及ばぬ程度。
何となくヤッツケ仕事感漂う。
スープもダシ感に乏しい。

チャーハンのベースが醤油味。
基本的に塩味好みには
イマイチ感漂う。
頑張って働いている、
3人のアンちゃんには
申し訳ないけれど
再訪は難しゅうございます。
I beg your pardon.

「尚ちゃんラーメン」
 東京都中野区本町5-33-15
 03-3384-0729

2026年7月9日木曜日

第4118話 中川と 荒川まとめて 渡り往く

熱きビビンパのせいで
舌を少し火傷した。
気を取り直し、歩みを進める。
新大橋通りに出て
船堀橋で中川を渡河する。

中央環状線の船堀橋出入口を
越えて橋は荒川の上。
振り向くと江戸川競艇場が見える。
この競艇は江戸川ではなく、
中川の水面を疾る。

所在地が江戸川区だから
そう命名されたのだろうが
紛らわしいことこの上ない。
まっ、いいか。

中川と荒川をまとめて渡り、
江戸川区から江東区に入った。
此処は小松川。
中川&荒川のオマケついでに
水流の細い旧中川を越えれば
大島(おおじま)の街である。

地下に都営新宿線の走る、
新大橋通りをなおも西へ。
大島駅を過ぎてほどなく、
「亀戸ぎょうざ大島店」に
差し掛かった。

J.C.は此処の餃子が東京一と
勝手に決め込んでいる。
せっかく通りすがったのだ。
素通りする手はないだろう。

ビビンパで腹いっぱいのため、
もう何も食えないが麦酒は別腹。
ガス欠症状も出始めていた。
大瓶1本いっとこう。

餃子屋に入ってビールだけ。
そんな真似など出来やしない。
悪賢いオッサンは算段する。
レジのおばチャンに
「あとで生餃子を
 テイクアウトするから
 店内でビール飲んでいい?」
「ええ、どうぞ、どうぞ!」
カウンター一番奥に案内された。

トクトクトクのグビ~ッ!
いや、生き返りました。
おキマリのゆでもやしも
ちゃあんとサーヴされる。
餃子用の練り辛子を
チョンと付けてパクリ。

さっきの「のほほん」では
豆もやしのスープが出て来たが
今日はヤケにもやしづいてるな。
それにしてもコリアンはなんで
豆もやしが好きなんだろう?

1人前5個入りを3人前持ち帰り、
晩酌時に1人前焼いた。
味はいいが焼き加減イマイチ。
長い人生で餃子焼くのは
5度目くらいだから致し方なし。
残り2パックは今も
冷凍庫に眠っており申す。

「亀戸ぎょうざ大島店」
 東京都江東区大島4-8-9
 03-5628-0871

2026年7月8日水曜日

第4117話 船堀で 猫舌独り 奮闘す

江戸川区・船堀にやって来た。
ちょいとばかり気になる
コリアン・レストランがあった。
都営新宿線の駅から徒歩2分。
「のほほん」に到着。
およそコリアンらしくない店名だ。

外観もむしろイタリアン。
赤レンガに白字で
OPEN CAFE Nohohon と書かれ、
なかなかにオサレだ。
店の宣伝文句にテラス席は
ワンチャンOKとあった。
キムチと牛すじチゲが
自慢にして人気だという。

12時に入店するとすでに
近隣のOL&リーマンで大盛況。
人気店であることが伝わって来る。
ドライ中瓶を飲りつつ、
ランチメニューに目を通す。

カルビラーメン、韓国風生姜焼き、
サムギョプサル定食などが
並ぶ中から択んだのは
プルコギ石焼ビビンパ。

うわっ! 来たヨ、来ましたヨ。
別府や熱川の湯けむりみたいに
もうもうと湯気を立てて運ばれた。
しばらくは手も足も舌も出ない。
見た目は韓国風牛丼そのものだ。

落ち着くのをしばらく待って
一匙入れたら
アチチチ! アッツー!
とてもじゃないが
太刀打ちできやしない。

オマケにJ.C.は猫舌と来たもんだ。
火傷するほど危険な物体が
目の前に存在している。
いや、マイッたな。

しばらく待機をワンスモア。
5分近く待っただろうか。
大人しくなって来たので
あらためて挑みかかる。
でもまだ熱いや。

コリアン・ピープル曰く、
「プルコギはよお~く混ぜろ!」
けれども J.C.は食べものを
ゴチャゴチャにするのが大嫌い。

ビビンパを頼むことはまずないが
石焼ビビンパは
10年に1度くらい注文する。
そのときはちらし寿司のように
端から静かに食べ進める。
そうしておいて最後に
底にこびり付いたオコゲを味わう。

定食仕立てにつき、
スープと野菜類が付く。
スープは豆もやし・人参・わかめ。
それに白菜キムチ。
大根のカクテキに見えたのは
おでんみたいに煮込まれていた。

どうにかこうにか猫舌踏ん張り、
熱い韓国牛丼定食を食べ終えた。
お勘定は1650円也。
さあ、これから長距離散歩です。

「のほほん」
 東京都江戸川区船堀1-7-19
 03-3869-5334

2026年7月7日火曜日

第4116話 「醉心」に 心醉いしれ

本日は恒例のイレブン・セブン。
ホームグラウンドの神田は
北店も南店も満卓で予約が取れず、
新橋店での開催である。

この日は打牌後、4人で飲む予定。
普段は東風戦を18回打つのだが
今日は15回で切り上げた。
そうして向かったのが
戦場から徒歩1分の酒場、
心酒蔵」である。

J.C.は過去に1度だけ
利用したことがある。
あれは1980年の秋口だった。
金融業界に足を踏み入れた年で
夏にシンガポールへ長期出張した。

その際、一番お世話になったのが
某大手都市銀のチーフディーラー、
業界では知らない人のいない、
K田サンだった。

この銀行には同姓で
二人のK田サンがおり、
もうお一方は
シンガーソング・ライター。
「シクラメンのかほり」を
世に送り出した人である。
ハハ、これじゃ某銀行なんて
ボカしてもバレバレですわな。

お世話になったK田サンと
再会して飲んだのが
「醉心酒蔵」なのだ。
雀荘から至近に在り、
その夜は此処にしようと
J.C.が勝手に決めた。

4人はめいめい、
好みのグラスを合わせる。
打牌中、ずっと
飲み続けたビールだが
飽きることなどない。

まずは黒ラベル中瓶を
1本飲っといて
店名にもある広島県三原市の銘酒、
醉心の樽酒に切り替えた。
店と蔵元に縁はあろうが
直営ではないようだ。

つまみは刺身盛合わせとハムカツ。
あと何だったけかな?
あまり食べてないから覚えてない。
お通しのフキの煮たのが
やけに美味しかった。

醉心に心奪われながら
思い出すのは
K田サンのことばかり。
源義経が一ノ谷の合戦で敢行した、
鵯越(ひよどりごえ)の逆落とし。
志半ばにして病に斃れたK田サンは
あの崖の上の墓園に眠られている。
もう一度酒を酌み交わしたい。
心からそう想う。

「醉心酒蔵」
 東京都港区新橋2-6-9
 03-3580-2455

2026年7月6日月曜日

第4115話 また「王将」でリユニオン

3カ月に1度くらいで
オッサンが集まるNYリユニオン。
今回はメンバー全員が
気に入りの「ニュー王将」だ。

去年、奥浅草から
もっと奥に移転して
J.C.は何度も訪れているが
他のメンバーは
ほとんどみな初訪である。

18時スタートなのに
1時間も早乗りした J.C.。
カウンターで一杯飲りながら
おおよその料理を決めておく。

初老に差し掛かる夫婦と
三十路娘のスリー・オペ。
近況を語り合いながら開宴前に
中瓶2本を空けちまった。
当店の瓶はサッポロ赤星。
最近は赤星を置く店が
ずいぶん増えたように思う。

集結したのは総勢6人。
ビールで乾杯すると
運ばれたのは平目の薄造り。
これはおろしポン酢で。
続いて本まぐろ赤身&中とろ。

J.C.はひそかに富山の銘酒、
立山の冷たいのをもらい、
生醤油と同割りにしたところに
まぐろを沈め、即席ヅケを作成。
「ニュー王将」の基本は
洋食でありながら
刺身の質も高いものがある。

お次はカニサラダ。
あらかじめ、値段倍付けで
カニの量も倍にするよう、
お願いしてあった。
とっても旨いんだガニ。

キンミヤ水割り派と
角ハイ派に分かれて飲み続ける。
アカイカのゲソバターと
ハゼフライが来て
世界で一番のメンチカツ。
何度も紹介しているから
深くは語らない。

「ニュー王将」のオムレツは
炒めた豚挽き&玉ねぎを
溶き玉子に混ぜ込むタイプだが
あえて玉子でくるんでもらう。
亡き母親の得意料理だったんだ。

締めはソース焼きめしと
チキンライスを1人前づつ取り、
6人で分け合った。
お勘定は一人頭6500円也。

浅草駅までエッチラ歩き、
メンバーに手を振って独り、
田原町の「三富珊瑚」へ。
2カ月ぶりである。

オリオンビールの小瓶で一息。
沖縄豆腐のジーマーミをつまみに
沖縄泡盛の古酒(クース)、
光龍をロックで1杯。

K世ママに送られ夜の街に出た。
酔い覚ましに上野まで歩き、
来合わせた京浜東北線に乗って
帰りましたとサ。

「ニュー王将」
 東京都台東区浅草6-43-4
 03-3875-1066

「三富珊瑚」
 東京都台東区西浅草1-3-17
 03-6795-1344

2026年7月4日土曜日

第4114話 歓びアーカイブ 第26回

浅草のスーパーで
珍しいハマグリを見つけた話です。

2016年7月28日木曜日

第1413話 クラムだって恋をする (その6)

平日の明るい時間だというのに
浅草のランドマーク、
「神谷バー」は大盛況だった。
この店の2階は
「レストラン神谷」が正式名。
カジュアルな1階が「神谷バー」で
食券制を採用している。

J.C.は煙草のけむりと騒音にまみれた、
(当時の1階は喫煙可)
1階を利用することはほとんどない。
「神谷バー」といったら
イコール2階なのだ。
中ジョッキを飲みながら
着信したメールをチェックする。

つまみは欲しくなく頼まなかった。
夕暮れに過ぎゆく時間の流れは
各駅停車もいいところ、
ゆるゆるのゆるである。
でも好きだなァ、このひととき。
お替わりの電氣ブランを
あおって階下に降りた。

河岸を替える前にふと思い出す。
わさびを1本買っておかねば・・・
このことであった。
自宅の冷蔵庫の生わさびが
チビでしまって要調達。
購入するのはいつも
浅草のスーパーマーケットだ。
「神谷バー」から
その「オオゼキ」へは徒歩2分。
目の前の雷門通りを渡った。

真っ先にわさびを選りすぐり、
最良の1本をバスケットに投じたら
目的を果たした安堵感を抱きつつ、
ザッと店内をパトロール。
というより徘徊だネ、これは―。

鮮魚コーナーに目を凝らしたときである。
ん? おや?
視線を奪う物体に遭遇したのであった。
青いネットに包まれて
ふむ、青ネットねェ。
赤ネットなら甘栗か蜜柑だが
どう見ても貝である。
それも二枚貝だということは遠目にも判る。
いやはや二枚貝と二枚目(?)のご対面だ。

パックを手にとっていささか驚いた。
ラベルには千葉産ホンビノスと
明記されているものの、
どこか本邦のハマグリを
想起させる貝殻模様なのだ。
ホンビノスはアメリカ東海岸から
タンカーのバラスト水に
混入して東京湾にやって来た外来種。

15粒ほど入って税抜き399円、
格安と言わねばならない。
ユニークな模様と廉価な値付け、
わさびの隣りに放り込み、レジに向かう。

帰宅後、ネットを破って砂抜きである。
真ん中2粒のガラをご覧くだされ
周りを取り囲むのは紛れもなくホンビノス。
しかるにこの2粒は違いますゾ。
これは日本のハマグリとのハーフなのだ。
東京湾の底で交わされた国際結婚。
国を超え、言葉を超えて
そう、クラムだって恋をするんです。

=おしまい=

「神谷バー」
 東京都台東区浅草1-1-1
 03-3841-5400

「オオゼキ」
 東京都台東区雷門2-15-1
   03-5830-0731

=本日追記=
あれ以来、貝の混血児には
一度も出逢っておりません。

2026年7月3日金曜日

第4113話 大鹿村の鹿肉たたき (その2) 

GINZA SIX 6F にも
姉妹店がある「銀座 真田」。
すずらん通り店は
奥にテーブル席、
手前にカウンター。
横並びを好むわれわれは
一も二も無くカウンターへ。

サッポロ赤星を注ぎ合い、
グラスを合わせた。
「真田」の店名が示す通り、
当店は信州との縁が深そうだ。

最初のつまみは
信州名物の盛合わせ。
くらかけ豆と野沢菜である。
聞き慣れない豆は青大豆の一種。
緑色の豆に黒い模様がまたがって
馬の背に鞍を掛けたようで
パンダにも似ていることから
別称・パンダ豆。

日本で一番高い所を走る鉄道、
小海線・小海あたりの特産だ。
普通の枝豆と比べ、
特段に旨いわけでもないが
珍しさに一食の価値はある。

生麩と茄子の揚げびたし、
鹿肉のたたきを追注した。
生麩は二人の好物、
満足の一品だった。

好かったのは鹿肉。
南信は下伊那郡、
大鹿村の特産である。
村の人口より鹿が多いらしい。
味わいに奥行きがあり、
今までに食べて来た鹿肉のうち、
ワン・オブ・ザ・ベスト。

ここ10日の間に湯島で羊、
神保町で牛・豚・鶏、
銀座で鹿と肉三昧に明け暮れた。
此処に馬が加われば
一気通貫の完成となる。
近々、馬刺しで一杯飲ろうかな?

中瓶を4本空け、
締めにはせいろをたぐり合う。
銀座の高級店でありながら
そば&つゆは信州らしい
素朴さを感じさせた。
会計は1万円ほど。

階下の「銀座NAGANO」で
しばし買い物に勤しみ、
当方は生わさび、
相方は野沢菜をブラ下げて
銀ブラに勤しむWブラ。
銀ブラなる流行り言葉の発祥を
当たってみたら
意外なことが判明した。

ときは大正15年。
明治・大正期の新聞記者、
松崎天民が中央新聞夕刊に
連載した「銀ブラ」が
事の起こりだったようだ。

それはそれとして
歌の一番に出て来る、
”灯ともし頃” にはちと早いが
二人で歩く銀座でありました。

「銀座 真田」
 東京都中央区銀座5-6-5
 NOCOビル3F
 03-5537-7355