2026年8月13日木曜日

第4159話 山梨の 帰りに寄った 八王子 (その2)

八王子最古のラーメン店「釜玄」。
最初にお断りしておくが当店は
刻み玉ねぎがいっぱい入った、
いわゆる八王子ラーメンを
供する店ではない。

東京ラーメンとは趣を異にするが
まあ、子どもの頃から
親しんだタイプではある。
レジでラーメンの食券を購入。

此処でハタと思い当たった。
当店にビールをはじめ、
アルコール類はまったく無い。
そのことであった。
仕方ないから
十数年ぶりの三ツ矢サイダーを。

ノドが渇いてるため、
旨いことは旨いネ。
ただ、余りに甘いので
お冷やで割って飲んだ。

三ツ矢サイダーといえば、
コレが大好きな歌手の北島三郎。
弟子だか付け人だかに
買いに行かせたら
7-up だかスプライトだか
他の商品を買ってこられて
飲んだ瞬間、
「違うじゃねェか!」と
激怒したそうな。
”風雪” を耐えて来たわりにゃ、
ずいぶん気が短いな。

う~ん、確かにこの味だった。
いえ、ラーメンのことですがネ。
例によって麺を半分にして貰う。
ちなみに現在、ラーメンは780円。
16年前から230円の値上がりだ。
滞空時間は15分。
前回同様「都まんじゅう」へ。

今日は店の佇まいを
拝むだけにしとこうかな?
と思ったものの、結局は買った。
10個入りが500円と
こちらも200円値上がりしていた。

「都まんじゅう」は
昭和30年代に浅草のデパート、
松屋のそばにも在った。
新仲見世の入口の角にネ。
小学生の J.C.は回転式の製造機を
飽きもせず眺めていたものだ。

運営している「つるや製菓」は
神奈川県・平塚に本社があり、
静岡県・沼津にも店舗がある。
だけど、このまんじゅうだけで
会社が成り立つとは驚きだ。

今日は立ち食いを控え、
一箱すべてお持ち帰り。
一人じゃ食べ切れないので明朝、
マンションの清掃のオバちゃんに
差し上げよう。
一生懸命働く人なのでネ。

八王子からの帰りは
中央線、山手線を乗り継ぎました。

「釜玄 ラーメン専門店 竹の家」
 東京都八王子市中町4-2
 0426-42-5450

「都まんじゅう(つるや製菓)」
 東京都八王子市旭町7-8
 0426-26-0223

2026年8月12日水曜日

第4158話 山梨の 帰りに寄った 八王子 (その1)

上野原を出た列車は高尾に到着。
当初はこの町の「F」という、
鰻屋でうなぎバター焼きを
つまみに一杯やるつもりだった。
ところがネットの写真を見て
ゲンナリしてしまった。
見るからに脂っこそう。

もしコレが美味ならば
他店も追随するに違いない。
どの店もやらないということは
やっぱり駄目なんだろうヨ。

脂っこいうなぎに
油っこいバターは
やはりいただけないと
誰しもが思うハズだ。

高尾で東京行きに乗り換えて
二つ先の八王子で下車した。
この街は16年ぶりになる。
その節は街最古のラーメン店で
ラーメンを食べた。
当欄では紹介しそびれたが
当時のメモが残っている。

「釜玄」のほとんどの客は
ラーメンを注文する。
他にはチャーシューメン、
メンマラーメン、かけラーメン、
それしかないからネ。

具はももチャー・シナチク・海苔。
柔かく煮られたシナチクが旨し。
醤油スープやや甘めで酢と好相性。
ちぢれ麺は太くも細くもない。
ややヤワいがノビにくい。
後味のいいラーメンといえる。

卓上にはギャバン黒胡椒に
生酢と割り箸立てのみ。
食券制でラーメンは550円、
かけラーメンが450円。
前掛け姿のおばちゃん3人。
白い髪を角刈りにした店主は
一人もくもくと仕事に打ち込む。

帰りに近くの「都まんじゅう」へ。
懐かしさに10ケ入り300円を購入。
中身の白あんは白いんげんと
砂糖のみだったんだ。
熱いうちに食べたくて
2ツほど道端で立ち食い。
行儀が悪いが旅の恥はかき捨て?
そこまではいかないだろうヨ。

と、ありました。
牡蠣カレー焼き飯のおかげで
腹はちっとも空いちゃいないが
今回を逃すと、またいつ来れるか
知れたものではない。
頑張るとするかな。

見覚えのある店先にやって来た。
キャノピー(ひさし)が
ピンク&ホワイトの
キャンディー・ストライプ。
その下の看板には
ラーメン専門店 竹の家
こんな名前だったかなァ?
薄茶色の暖簾を潜った。

=つづく=

2026年8月11日火曜日

第4157話 一年半 気になっていた 上野原

都営新宿線、京王線、JR中央線を
乗り継いで、やって来たのは
山梨県・上野原。
初めて降りる駅である。
狙いを定めていたのはただ一つ、
「一福食堂」だった。

駅舎と線路を見下ろす位置にあり、
此処でビールを飲むのが
最高と云う川本三郎さんの文章を
一年半前に読んで以来、
ずっと気になっていたのだ。
まっ、かの松本清張翁も
「一年半待て」を書いてるしネ。

そして此度、ようやく実現。
白い暖簾を潜り、木の扉を開いた。
外見より店内はずっとコンパクト。
テーブルは6卓だけだ。
接客のオネエさんに
一番奥の2人掛けに促された。

ビールは黒ラベル大瓶。
こういう店で大瓶は珍しい。
注文はハナから決めていた。
店の一番人気、
牡蠣のカレー焼き飯(1300円)だ。
海無県の山梨県で牡蠣が評判とは
何の因果か、実に面白い。
看板商品だけに通年の提供である。

待つこと5分少々。
大きめの皿が運ばれた。
カレーピラフの上に
ソテーされた真牡蠣が5粒。
プックリ太った良型である。
レタス・キャベツ・トマト、
サラダも一緒盛りで
あとはラーメンスープ。

高田馬場の「文流」もそうだが
夏場でも美味しい真ガキが
食べられるようになって
カキ好きには
これ以上の朗報はあるまい。

他のテーブルを眺めていると
牡蠣フライが注文を集めていた。
カキメニューには
牡蠣ソテー、牡蠣玉子とじ、
牡蠣バターラーメンなども。

卓上のカスターは
生しょうゆ・中濃ソース・辣油・
生酢・一味・白胡椒・爪楊枝。
過不足ございませんネ。

問題は営業日が
金・土・日のみであること。
それと駅を見下ろす好立地に
ありながら眺めを楽しめるのは
窓辺の1卓だけなのだ。
期待して来ただけに肩透かしを
食らった思いは拭えない。

けれどもフロアのオネエさん、
厨房のオヤジさん、
二人ともすこぶる感じが好い。
山梨県の人って
好人物が多いのかもしれないネ。

食後、駅の周りを散策したが
こう暑くちゃ、ままならず、
上りの高尾行きに乗りました。

「一福食堂」
 山梨県上野原市新田1053
 0554-63-0636

2026年8月10日月曜日

第4156話 わが青春の早大キャンパス

気分がいいので馬場から
早稲田まで歩くことにした。
古くて小さな映画館、
早稲田松竹の前を通りすがった。
ただ今遅れて「国宝」を上映中。
入館は数回に過ぎないが
向かいの雀荘「ワセダ」は
幾度も利用した。

馬場口の交差点を渡り、
早稲田通りをなおも東へ。
グランド坂上、西早稲田の手前に
居酒屋「源兵衛」が今も健在だ。

穴八幡の境内に入る。
せっかくなので手を合わせ、
石段を降りてゆく。
アレッ?こんなに急だったかな?
若い頃はトントン下ったけれど
年を取ると、ちょいと怖いネ。

石段の前は早大戸山キャンパス。
文学部があるところだ。
久方ぶりに立ち寄ってみよう。
校舎に続くスロープが
文学部の代名詞。
上って右手に学食がある。

受付のオジさんに訊いてみた。
「今日は学食、開いてますか?」
「エッと、今日はお休みです」
「今も坂の右手ですか?」
「いいえ、左ですよ」

ん?おかしいな。
右のハズだけどな。
移転したんだろうか。
それとも記憶違い?
そんなことはあるまい。

となると、移ったんだろう。
さすれば、在学中の吉永小百合が
よく座ったサユリズ・テーブルは
もう消えたことになる。

本学に廻ろう。
カレー南蛮の発祥店「三朝庵」が
閉業して久しい。
跡地は待ってましたとコンビニ。
まったくイヤになるネ。

値段も敷居も高くて入れなかった、
洋食店「高田牧舎」は
営業を続けているが
いつの間にかピザ屋に代わった。

書店「成文堂」は営業中ながら
雀荘「早苗」は廃業した。
通用門の脇にあって
仲間で入り浸った喫茶兼バー、
「ポントス」はとっくの昔に消滅。
今はインド料理屋「ターリー」が
カレーとナンを商っている。

通用門から本学のキャンパスへ。
大隈さんの銅像を仰ぎ正門を出た。
そろそろ帰ろう。
三ノ輪橋行き都電荒川線。
上野松坂屋行き都営バス。
どちらにしようかな?
どっちでもいいや!

2026年8月8日土曜日

第4155回 歓びアーカイブ 第32回

宮城県・登米市を訪れ、
懐かしきマーくんの全盛時代に
この年、唯一の敗戦試合を
中華屋のTVで観たのでした。

2014年3月27日木曜日

第803話 ありそでなかった中華のレバ焼き

宮城県・登米市となれば、
「麺や文左」のほかにもう1軒、
是が非にも紹介しておきたい店がある。
実は今回もスキを見ておジャマしたかった。
ところがスケジュールは
あまりにもキツッキツ。
よって訪問かなわずだった。

それでもちょっと間、
身体が空いたので電話を入れたものの、
休憩時間だったらしく、ノー・アンサー。
仕方なく断念した次第だ。
したがって前回訪れた際のリポートとなる。

忘れもしない昨年の日本シリーズ第6戦。
地元、楽天のマウンドには今をときめく、
マーくんがあのどんぐりマナコで
巨人打線を見下していた。
そのときJ.C.は店のTVの真ん前に独り、
陣を取っていた。
プレイボールからゲームセットまで
じっくり観戦したが2013年における、
田中将大の敗戦はこの1試合のみ。
貴重なゲームを観ることができた歓び、
いかばかりであろうか。

中華料理店の名は「賢龍」。
ストリートの名こそ知らねど、
幹線道路に面した、
プチ・ドライブインのような店。
前には晩秋の田んぼが拡がっていた。

この店を訪れるのは二度目だった。
前回、目にとめて惹かれ、
オーダーしたレバ焼きを再びお願い。
もともとレバーは大好物だから
しょっちゅう焼きとん屋を訪ねている。
中華料理店においてはせいぜい、
ニラレバくらいしか選択肢がない。
しかもニラレバを謳っていても
実際はモヤレバであることたびたび。
不満は残るし、納得もいかない。

しかしこの店ときたら豚レバが
ビシッと主役を張るレバ焼きなのだ。
試しに注文してみたが
ズドンと真ん中に命中だった。
オラ、こんなレバ好きだ!
これぞ純レバなりき
いいですなァ、いいでしょう?
脇の長ねぎとピーマンがことのほかうれしく、
かれらはかれらで
おのれの存在をけなげに訴える。
うん、キミたちの美味はよお~く判っちょる。

レバを口元に運びながらTVを観レバ、
おや? 今夜のマーくんは
いつもと様子が違うじゃん。
得意の持ち玉、スプリット・フィンガーに
心なしかキレがない。
あらら、高橋由伸が打ったヨ、
あやや、やったヨ、巨人が勝っちゃったヨ。

こんなシーンはまず観られない。
思わずビールを追加して
最後まで観切ったのだった。
よって夜更けの会合に
遅刻すること半時間。
失礼こうむった次第ながら
ワケを弁明すると、みなさん許してくれた。

しっかし、このレバ焼きを
炊きたての登米米の友としたら
さぞや旨かったことでありましょう。

「賢龍」
 宮城県登米市南方町王塚50−1
 0220-58-5228

=本日追記=
宮城県にはトンとご無沙汰だが
来月、青森・岩手の帰りに
立ち寄るつもりでいます。

2026年8月7日金曜日

第4154話 馬場で蘇るニューヨーク (その5)

厨房に走ったオネエはすぐ戻り、
「真ガキでした!」
「それじゃ1個お願いネ」
「ハイ、かしこまりました!」
香草パン粉焼きを
それなりに美味しくいただく。

食後の飲みものはエスプレッソ。
カキに添えられたカットレモンを
皿に残しておいた。
指で潰して皮から滲むエキスを
カップのフチに塗りたくる。
こうすることによって
エスプレッソに新たな息吹を
吹き込むことが出来るのだ。

このスタイルはおそらく、
ニューヨーク発祥だろう。
他の都市では見掛けないし、
イタリア本国でも
お目に掛からなかった。
読者にもぜひおすすめしたい。
エスプレッソの香りが
より際立って来る。

そうしておいて食後酒。
NY時代にさんざお世話になった、
くるみのリキュール、
ノチェッロがある。
味も風味もそっくりの
ヘーゼルナッツのリキュール、
フランジェリコより好んだ。

J.C.は基本的にドルチェや
デセールの類いを取らない。
むか~し、アラン・ドロンが
何かのインタビューに応えて
食後たしなむものは
「カマンベールとウイスキー。
 デセールは嫌いで取らない!」
まさに我が意を得たりだった。

おっと、サンブーカが
あるじゃないか!
アニス風味のリキュールは
ノチェッロの合間を縫って
ときどき賞味した。
久々だからこちらにしよう。

オニイさんのサーヴの十秒後、
今度はポチャオネバが現れた。
白い小皿を手にして J.C.の顔を
遠慮がちにのぞき込みながら・・・
見ると炒ったコーヒー豆が5粒。

(ほお~、ヤるじゃないかー)
心の内で思いつつ、
「判ってるねェ~ッ!」
「ハイ~イッ!」
ポチャ、満面の笑みである。

ニューヨークでは
サンブーカにコーヒー豆は
無くてはならないモノ。
それを彼女は識っていたのだ。

レモンの皮にコーヒー豆。
高田馬場でニューヨークが蘇る。
ささやかなシアワセを感じた。
自分で云うのは
自慢気でイヤなんだが
こんなサービスを理解して
やれる客の存在は
店側も嬉しいものなのだ。

会計は6700円。
「またよろしくお願いします」
オネバがドアまで送ってくれた。
「どうもごちそうさま」
「ありがとうございました!」
まことに気持ちの好い、
プランゾでありました。

=おしまい=

「文流」
 東京都新宿区高田馬場1-26-5
 F1ビル B1
 03-3208-5447

2026年8月6日木曜日

第4153話 馬場で蘇るニューヨーク (その4)

作日のつづきです。

そしてフランス料理店と
ステーキハウスへの高すぎる評価は
もはや異常である。
どちらを取っても
パリと東京に遠く及ばないのにー。
しかしこればかりは
アメリカ人の舌の問題ではなく、
心の問題というところが面白い。
フランスに対するコンプレックスと
アメリカへの愛国思想が
同居しているのだ。
ダウ9000ドル(安かったなァ)
クリアして世界経済を牛耳り、
得意満面のアメリカも
フランスには弱いのである。

かくして、とある日、
ひとつ、自分の舌を
信じてみようという気になった。
いくらなんでも2000軒は
一個人の力では及ばないから
優良店を225軒に絞り込む。
この数字に特別の意味はなく、
ウォール街のマネー・ブローカー、
という職業柄、目の前の
モニター・スクリーンに
たまたま映ったシカゴ先物市場、
日経225のページから
そのまま拝借しただけでした。

ということですが
あれから早や30年近く。
こと仔牛に関して世の中は
まったく変わっていない。
J.C.の嘆きは今も続いている。

まっ、嘆いていても仕方がない。
話を前に進めましょう。
そう言えば、ただ一度、
こういうことがあった。

去年の今頃、紹介した、
麻布十番の「ヴィーノ・ヒラタ」。
そのワンフロア上にあるのが
兄貴分の「クッチーナ・ヒラタ」。
仔牛料理があるというので
当店のマダムに訊いてみた。

「仔牛のパイラルド出来ますか?」
彼女、胸を叩いて
「ハイ、出来ますとも!」
思いがけない歓びだった。
そして、とても美味しかった。
はるか昔、2001年。
四半世紀も前だけどネ。

さて、高田馬場「文流」。
冷たいコーンポタージュに満足し、
仔牛のソテーには
若干の不満を残すところへ
オネエさんがやって来た。

「カキがたった今、届きましたが
 いかが致しましょうか?」
「うん、そうだネ、
 どうしようかなァ?」

仔牛のあとのカキでは
順序が後先になるが
「それじゃ、1個だけいただくネ。
 真ガキかな? 岩ガキかな?」
彼女、首を傾げる。
「厨房で訊いて来てくれる?
 真ガキなら欲しいけど
 岩ガキなら要らないっ!」

=つづく=