2026年3月19日木曜日

第4022話 よみせ通りに沖縄誕生

一昨日のことである。
WBC準決勝を観る気も失せて
何もやることが無い。
ボーッとしているうちに13時半、
何か食べに出よう。

近所の「一寸亭」で
大瓶と半チャーハンにしようと
出向いたものの、
こんな時間なのに8人待ち。
「さくら食堂」で中瓶2本に
カキフライ3個でもいいや。

よみせ通りを北上していた。
アレェ? いつの間にやら
沖縄そば専門店が出来ていた。
「3chome dining bar」から
昼のみ間借り営業の様子だ。
フラフラっと入ってしまった。
メニューはいたってシンプル。

沖縄そば        1000円
沖縄そばと
 じゅーしーおにぎり  1200円
ミニ沖縄そばと
 じゅーしーおにぎり    800円
オリオンビール       400円

これだけである。
まずはオリオンを通す。
少食派の逃げ道はただ一つ。
ミニそば&おにぎりしかない。
出来上がりを待つ間にもう1缶。

若夫婦だろうか?
ツーオペの店内に客はわれ一人。
ちょいとばかり集客が心配だ。
そば&おにぎりだけだもんネ。

着卓したミニそばは本当にミニ。
極太ちぢれ麺は
わんこそば2杯分ほどしかない。
でもれっきとしたソーキそばで
小さなソーキ(豚スペアリブ)に
岩のり、小ねぎ、紅しょうが。

このそばは2007年に
那覇で食べて以来だから
18年半ぶりになる。
嫌いじゃないのに食べる機会を
与えられなかった。

じゅーしーおにぎりは
醤油味の炊き込みごはんで
ひじき・にんじん・豚挽き入り。
ジューシーはいいが食べるうちに
バラバラ崩れて難渋した。

ここ数年、都内の沖縄料理店は
ずいぶん増えたが
なんとなく二の足を踏んでしまう。
出張で幾度も本島はじめ、
南西の島々を訪れた盟友・N田は
「沖縄料理が旨いと思ったことは
 ただの一度もないぜ!」
言い切って憚らないくらいである。

「沖縄そば屋ちょこっと」
 東京都文京区千駄木3-43-9
 電話ナシ

2026年3月18日水曜日

第4021話 桜はつぼみの靖国神社 (その2)

濠端をさらに歩む。
気象庁、消防庁を通り過ぎ、
大手町1丁目1番地、
三井物産にやって来た。

カルガモの池でも眺めよう。
敷地内に歩を進めると
ややっ! やややっ!
池は消えて芝生が植わっている。

何じゃ、こりゃあ!
いつ埋め立てたんだァ!
責任者、出て来いっ!
カモが戻って来ることは
もう永遠にないだろう。
動物好きには哀し過ぎる結末だ。

カルガモ代わりに
和田倉濠のカメたちを眺めた。
彼らはアカミミではなく、
日本古来のイシガメである。
さすがに天皇陛下のお膝元だ。

丸ビル内を通り抜けると
ほうら、佐藤千夜子が唄い出す。

♪ 恋の丸ビル あの窓あたり
        泣いて文書く 人もある
  ラッシュアワーに 
  拾った薔薇を
  せめてあの娘の 思い出に ♪
  (作詞:西條八十)

「東京行進曲」は1929年のリリース。
この半年後にウォール街は
破綻を迎えることになる。
株価が元の水準に戻るまで
実に四半世紀の歳月を要した。

いくらなんでも「東京行進曲」を
浪花の小姑はご存じあるめェ。
丸ビルを抜けながら思う。
”泣いて文書く”ってオフィス内で
ラブレターを書く娘が
はたしているだろうか?

”ラッシュアワーに拾った薔薇”って
そんなところに薔薇が
落ちているだろうか?
よしんば落ちていても
人々に踏み潰されて粉々だろう。
西條御大の想像力は
われわれの想像を超えてしまう。

鍜治橋通りでガードをくぐり、
交通会館に到着したときは
二人してガス欠状態。
さっそく地下の「徳田酒店」に
飛び込み、カウンターに横並ぶ。
ドライ大瓶を注ぎ合った。

つまみの定番、鯛皮ポン酢に加え、
わかさぎ天ぷら、鰹の塩たたき、
豚バラ黒胡椒焼きを続注する。
結局は薬局、二人で大瓶4本を
空けちゃったのでした。

「徳田屋酒店」
 東京都千代田区有楽町2-10-1
 東京交通会館 B1F
 090-3483-6999

2026年3月17日火曜日

第4020話 桜はつぼみの靖国神社 (その1)

ドッピア&パニーニのあとは
いつも通りにひたすら歩く。
天神町の交差点を左折して
早稲田通りを往った。

なじみの「よしやセーヌ」に入店。
珍しい鮮魚と出逢えるのが楽しみだ。
この日は鹿児島産の夜光貝。
海中最大の貝がコレ。
初めてお目に掛かるが
正直言って度肝を抜かれた。
興味のある方は魚図鑑をご覧あれ。

先が長いので何も買わずに
神楽坂を下ってなおも真っ直ぐ。
早稲田通りの起点に到着した。
靖国神社のドデカい第一鳥居が
その地点である。

境内の桜はまだつぼみのまま。
本殿には向かわず、
くるりUターンして九段坂を下る。
ほうら、千代子が唄い出した。

♪ やさしかった 兄さんが
  田舎の話を 聞きたいと
  桜の下で さぞかし待つだろ
  おっ母さん
  あれが あれが 九段坂
  逢ったら泣くでしょ 
  兄さんも ♪
   (作詞:野村俊夫)

「東京だョおっ母さん」は
1957年3月のリリース。
J.C.一家四人が故郷・長野を追われ、
東京に落ち延びたのがこの頃だ。
「おっ母さん」は覚えてないが
三波春夫の「船方さんよ」は
よ~く覚えている。
小学校に上がる1年前だった。

九段下の昭和館で映画ニュースを
3本見て先を急いだ。
九段会館(旧軍人会館)を横切り、
内堀通りを竹橋に至ると
左手に毎日新聞社。
経営は苦しいのに
相変わらずビル本体は立派だ。

あれは金融界に身を投じた1年後、
1981年のことだった。
毎日新聞社最上階のレストラン、
「アラスカ」で夕食後の帰り際。
思いがけない人と出逢った。

中学・高校時代の恋人、
N村K子がクローク係をしていた。
卒業後も付いたり離れたりの
繰り返しだったのだが
この出逢いが焼けぼっくいに
熱い火を付けてしまった。

わが女性遍歴において
出逢いと別れの繰り返しが
幾度も重なるのは彼女一人のみ。
人生のほろ苦き思い出である。

=つづく=

2026年3月16日月曜日

第4019話 プーリア名物・ドッピアを

毎度のことで恐縮ながら
またもや麦歩とも・N子の登場。
落ち合ったのはメトロ有楽町線、
江戸川橋駅の2番出口だ。
早稲田行きのバスで先乗りした、
 J.C.は界隈の山吹町を徘徊。

あれは2年前のこと。
大塚は三業通りの「小倉庵」を
皮切りに都内各所の「小倉庵」を
めぐりにめぐりまくった。

本家は現在も日本橋本町で
営業を続けるが昼のみ。
リーマン・OL 向けとなった。
利用者の評判も芳しくはない。

実質的な家元はかつて
この山吹町に暖簾を掲げていた。
諸般の事情で店を閉じたが
ほぼすべての「小倉庵」は
山吹町の暖簾分けである。
江戸川橋通りの跡地では現在、
セブンイレブンが暖簾を・・・
いや、暖簾こそないが営業中だ。

N子をピックアップして
赴いたのは「アルタムーラ」。
フォカッチェリアである。
旧「小倉庵」(現セブン)の
3軒ほど隣りに在った。
こんなに至近だなんて
単なる偶然とは思えな・・・
いや、単なる偶然だよネ。

入口のレジで発注と支払いを
済ませるシステム。
店主のワンオペでは仕方がない。
イタリアのモレッティ小瓶2本に
ドッピアとパニーニを1つづつ。
二人掛けテーブルに着いた。

長靴の国・イタリアのかかと部分。
プーリア州第二の都市、
アルタムーラの名物・ドッピアは
英語のダブルと同義語だ。

薄焼きフォカッチャ上下2枚で
具材を挟むことが名前の由来。
中身はモルタデッラと
モッツァレッラだった。

一方のパニーニは
生ハム・モッツアァレッラ・
セミドライトマト・水菜。
ごく一般的なものである。

分け合って食べて
ともにまずまずながら
わざわざ出向かずとも
フツーにありつけるレベル。
期待ほどではなかった。

ビール好きの2人が
小瓶1本づつでは
とうてい満足できないが
何となく退場の雰囲気。
滞空は30分だけでした。

「アルタムーラ」
 東京都新宿区山吹町5
 03-6265-3842

2026年3月14日土曜日

第4018話 歓びアーカイブ 第9回

アーカイブの第9回は
ハマの弘明寺です。
相方は前話の Pチャンとは
無関係の P子です。

2014年10月17日金曜日

第949話 観音に 裏があるなら 下もある (その5)

弘明寺の「廣州亭」で
P 子とビールを酌み交わしながら
料理の出来上がりを待っている。
ふと気がつけば、悩みでもあるのか
接客担当の店主が思案にくれていた。
にわか仕立ての考える人
「開業は何年くらい前ですか?」
「親の代からだから戦前ですねェ」
「オヤジさんが二代目ってこと?」
「ええ、でもアタシで終わりかな?」
笑い顔に悲哀がにじんでいる。

いかにも手造りといった焼売が運ばれた。
ゴツゴツとして肉々しい  
もうちょいと、つなぎの片栗粉や
玉ねぎが主張するタイプが好みだけどなァ。
味にインパクト薄く、
添えられた辛子だけではもの足りない。
そこで酢・醤油・辣油の助けを借りた。

横浜名物・サンマーメンは
小ぶりのドンブリで登場。
 これで400円は大バーゲン
具の野菜にトロみがかかり、
典型的なサンマー・スタイル。
ストレートで色白な麺は
中華街における主流タイプだ。
しかし、焼売同様、
どことなくパンチ不足。
相方が酢を掛けたいと云うので
ご自由にどうぞ!である。

料理に特筆すべき点はないものの、
好きだなこういう店。
この古く良かりし空間に
身を置けただけでもシアワセだった。 
 客層も年配者ばかり
会計を済ませてオモテへ。
目の前に懐旧の情を誘う
「ジャーマン・ベーカリー」があった。
P子はしきりにホットケーキを食べたがる。
しかし、そんなものは
間髪入れずに冷たく却下した。

駅へ戻る道すがら弘明寺観音に立ち寄る。
この寺は瑞應山蓮華院と号し、
1300年の歴史を有する横浜市内最古の寺院。
見たところ、それほどの古刹(こさつ)とも
思えぬがやはり名刹なのだろう、
端正なたたずまいを見せていた。
相方もお気に召したようだ。
仁王門から本堂へつづく石段
二人並んで手を合わせたら
観音下から坂を登り、駅に舞い戻った。
ここから河岸を代えて、
本格的な注ぎ合いが始まる気配なり。

=おしまい=

 「廣州亭」
 神奈川県横浜市南区大橋町3-66
 045-731-391

弘明寺はその後も何度か訪れている。
商店街を歩くのが好きなのです。

2026年3月13日金曜日

第4017話 お通しのなまこ酢に驚く

5年前に上野のそば屋で出会い、
たまさか酌交するようになった、
Pチャンと上野ー御徒町をつなぐ
上中通りでバッタリ。
どちらからともなく一杯いこうか?
入店したのは御徒町駅のそば、
「清龍酒蔵 上野店」だ。

埼玉県・蓮田市で1958年創業、
清龍酒造の直営店である。
なじみの薄い蓮田市だが
上尾市と春日部市にはさまれて
ひっそり(?)と存在している。

J.C.は「清龍」とは古いつき合い。
自慢じゃないがここだけの話、
池袋店では高校時代から飲んでいる。
同じ池袋「銀座ライオン」と双璧。
わが青春の謳歌に
一役買ってくれた酒場だ。

赤星中瓶を注ぎ合ってカチン。
元気そうで何よりである。
彼の棲む市川市は
J.C.にとっても思い出深き場所。
一しきりその話題で盛り上がる。

お通しが立派ななまこ酢。
れっきとした一品に
仕上がって量もたっぷり。
おそらく能登産と思われる。
会計後に判明したが
お通し代はたったの200円。
これには J.C.心底驚いた。
適正価格は800円から千円だ。

出来合いのマカロニサラダなど
愚にもつかない代物で
500円玉1枚をせしめる、
悪徳店が見受けられるなか、
こんな有料お通しは大歓迎だ。

清龍の升酒に切り替え、
ホタルイカ&ニラのチヂミと
春野菜の天ぷらをお願いする。
うど・たらの芽・春菊は
いずれもまことにけっこう。

升酒を何杯かお替わりし、
締めの皿うどんは
ほとんど相方におんぶ&だっこ。
ツレの存在の有り難味を
ひしひしと感じた。

互いにまだ時間があるのと
飲み足りなさに背中を押され、
ガード下の「味の笛」に移動。
紙コップのドライ生を
2杯づつ飲んでお開きにした。

言い忘れたが Pチャンは
大陸の山東省出身で J.C.には
数少ないチャイニーズ・フレンド。
年内の再会を約し、
御徒町駅改札で見送りました。

「清龍酒蔵 上野店」
 東京都台東区上野5-21-8
 03-3831-9373

「味の笛 本店」
 東京都台東区上野5-27-5
 03-3837-5828

2026年3月12日木曜日

第4016話 初めて食べた富倉そば

秋葉原は嫌いな街である。
でもそれは線路の西側、
いわゆる電気街に限られ、
東の昭和通りを越えてしまえば
こっちのものだ。

其処のスーパー「ライフ」は
たびたび利用している。
都内各地に散在する「ライフ」で
品揃えが群を抜いているからネ。
この日も食材とワインを
調達するために出向いた。

その前に腹ごしらえ。
狙いの「仙丹坊」は生憎と満席。
入店かなわず近辺を物色する。
出合ったのが「つなぎ庵」。
日本そば屋の店頭の立て看板に
惹き寄せられた。

当店は、長野県飯山市富倉に
伝わる、つなぎに山ごぼうの
茸毛(葉の繊維)を使った
富倉そばを提供する店です。
香り良く、コシが強く、
のど越しも良い富倉そばを
ぜひご賞味ください。

んん? 富倉そばはすぐそばで
生まれていながら初めて聞いた。
ぜひご賞味しなければ!
そう思ったことである。

店内はほぼいっぱい。
席は9割方埋まっていた。
辛うじてカウンターに着き、
赤星中瓶と天丼セットをー。

通常のもりより色が濃い。
コシも強めで噛み締め感があり、
とても美味しいけれど、
つゆにはもう少し辛味が欲しい。
一般的な信州そばとは
異なる印象を受けた。

ところが問題は天丼にあった。
何かサカナの切り身が2つに
茄子・春菊・さつま芋。
野菜に罪は無い。
サカナにも罪は無かろうが
このサカナを使った店主には
一言モノ申したい。

何とソレはブリと来たもんだ。
こんな脂っこいヤツを油で
揚げるなどもってのほか。
それが証拠に他店では
全くやらない蛮行だからネ。

そもそも天ぷらは江戸の昔から
江戸湾の小魚を丸1匹揚げるモノ。
大ぶりな穴子ですらそうだ。
切り身はタブーなのである。

生まれて初めて食べた富倉そば。
これまた初めてのブリ天ぷら。
当店の評価はプラスと
マイナスが相殺されて
ののちゃんのテスト結果同様に
O点なのでした。
いや、次回はそばだけ食べれば
それで済むことだよネ。

「つなぎ庵」
 東京都千代田区神田和泉町
 1-7-10
 03-3862-4569