2026年2月19日木曜日

第3998話 泡盛の古酒に つい誘われて (その2)

とにもかくにも婆っちゃまと
パクパク食べてグビグビ飲んだ。
その結果、大瓶が3本空いた。
そろそろお開きと思いきや、
まだ時間があるから歩きたいと
婆っちゃまがヌカした。

まっ、いいか。
せっかく西新井大師西駅まで
来たことだし大師さまにでも
行ってみようかー。
進路を東に取り、歩みを進める。
パクパク、グビグビのあとは
テクテクである。

大師の裏側は北参道だが
J.C.は裏参道と呼ぶ。
裏から境内に入り、
本堂をすり抜けて
草だんごを食べさせようと思い、
「清水屋」に来ると本日は貸切り。

それじゃ仕方がない。
けっこうな距離を歩いて
北千住に到達した。
なじみの「千住845」は
15時開店の10分前に着いた。

快く迎えられ、ドライ大瓶。
互いに腹一杯、つまみは〆鯖と
かれいエンガワで軽めにー。
油紙に火を点けたように
ベラベラしゃべる相方の話を
聴いてやり、此処でも3本。

ようやくメトロ千代田線に
乗って帰路についた。
西日暮里で降りる相方に
手を振って当方は
一駅先の千駄木下車。

近所の鮮魚店に立ち寄り、
つまみを調達して
自宅での晩酌はビールと
くだんの泡盛古酒を抜栓。

玉友(ぎょくゆう)甕仕込み
5年古酒30度はさすがだった。
含んで舌上に転がすと
奥行きを存分に拡げ、
ゴクリ飲み下せば、
余韻を残して滑り落ちてゆく。

まだあるうちに
沖縄風のつまみと一緒に
飲み直そうと決めたのも
むべなるかな。

「みたけ食堂」
 東京都足立区谷在家2-5-2
 03-3890-4421

「千住845」
 東京都足立区千住2-39
 03-5284-7588

2026年2月18日水曜日

第3997話 泡盛の古酒に つい誘われて (その1)

最近ひんぱんに行動を共にする、
麦歩とも・N子よりメール到来。
何でも久米島旅行の土産に
泡盛を買って来たとのこと。
それも古酒(クース)と聞いて
呑ン兵衛・J.C.、
にわかに色めき立った。

ブツを引き取るだけじゃ悪いんで
サクッと昼めしということにー。
とにかく彼女とは
逢瀬の回数が増えており、
また以前同様、
読者の方々にあらぬ期待を
抱かせないとも限らない。

もうちょっと日を空けようとは
思ったものの、
古酒の魅力には勝てまへん。
正午前に日暮里・舎人ライナー、
西新井大師西駅で落ち合った。

午後の予定が押してるそうで
彼女の住まいのそばを
指定されちまったのだ。
何せ、埼玉県人なんでネ。

ライナー沿線では
唯一の行きつけ店、
「みたけ食堂」に直行の巻。
朝めし&昼めしを出し終わると
早々に店を閉めちゃう食堂だ。

いつもの親父サンに
ドライ大瓶をお願いし、
自分でトレイに取る料理は
相方が切り干し大根、卯の花、
茄子しょうが焼き。
当方はハンバーグ、回鍋肉、
生たらこで、彼女のために
ごはん&味噌汁もゲットした。

双方の戦利品を見つめて
ため息交じりに思わずつぶやく。
「何だか婆ちゃんと
 孫の食事風景だな」
「タハッ、云われりゃそうだネ」

まったくもって
N子の好みはヤケにババ臭い。
茄子はともかくとして
切り干しとオカラだもんな。
まっ、婆っちゃまとの食事も
たまにゃ、悪くないもんです。

=つづく=

2026年2月17日火曜日

第3996話 大船に乗ったつもりで「黒船」へ (その2)

不忍池にほど近い上野広小路。
「黒船亭」でニューうたともと
向かい合っている。
料理が調う間はもっぱら
二人の生い立ちについて語り合う。
これは個人情報に当たるため、
つまびらかにはするまい。

スモークサーモンが登場。
まあフツーである。
ケイパーはいいんだが
もうちょいオニオンが欲しい。

生ハムは一般的なイタリア産以上。
ワインもそうだけれど
スロベニアのものが目立ち、
思い入れがあるらしい。
ウエイターに訊ねたらオーナーが
惚れ込んでいるとのこと。

旧ユーゴの構成国・スロベニアは
19年前に一度だけ訪れた。
首都・リュブリアーナは
まさしく美食の都であった。

旅行中、イタリアや
フランス各地で
何度も朝食を取ったけれど
リュブリアーナが断トツで
パリなど足元にも及ばない。
もっともコンチネンタルの
ブレクファーストだから
仕方がない面は否めない。

オイスターチャウダーも秀逸。
クラムの上をいくネ。
プックリ太った牡蠣は
おそらく岩手の広田湾産だろう。
ここで島根県産の生姜仕様の
ジンジャーハイに切り替えた。

ビーフシチューは
特筆とまでいかないものの、
水準をじゅうぶんにクリアし、
老舗としての安定感に満ちている。

ところがカニコロッケはイマイチ。
クリーミーに過ぎるのだ。
蟹肉をもっと入れておくれ。
蟹座としてそう思わざるを得ない。
向かいに座った牡牛座は
パクパクやってたけどネ。
いずれにしろ洋食好きのお眼鏡に
かなって歓ばしい。

勘定を済ませレセプションを
すり抜けると、
順番待ちが10人近く。
前回訪れた20世紀末は
ずっと空いていた。
いつの間にやら大人気店に
変貌した黒船来襲おそるべし。

「黒船亭」
 東京都台東区上野3-12-6
 050-5868-0521

2026年2月16日月曜日

第3995話 大船に乗ったつもりで「黒船」へ (その1)

浅草観音裏のスナックで出逢い、
ニューうたともになった、
M祢チャンとカラオケボックスへ。
ビールを飲みながら
歌い続けること3時間。
その後、ディナータイムである。

この夜は洋食好きの相方のため、
それなりの店を
あらかじめ予約しておいた。
上野で一番の人気を誇る、
洋食店「黒船亭」を訪れた。

最後の訪問はニューヨークから
帰国して数か月後の1998年2月。
実に丸28年ぶりになる。
信頼感指数の高い店につき、
大船に乗ったつもりで
黒船に乗り込んだ次第なり。

エレベーターで4階に上がると
懐かしい光景が開けていた。
18時の到着でほぼ満席。
上野広小路とはいえ、
ビルの階上だから
ロケーションの利があるとは
いえないが老舗の底力を
まざまざと見る思いがした。

そういえば上野には
同じ洋食の「さくらい」、
何でも供する「吉池食堂」と
ビルの上の人気店が多い。
”上野” を訪れる人は
”上” に上がることを苦にしない。

一番奥の二人掛けテーブルに
案内されてメニューを開く。
飲みものの品揃えは
思ったほど多くはない。

カラオケでビールを
さんざ飲んで来たので
相方はカシスをスパークリングで
割ったキール・ロワイヤル。
当方は山椒ハイボール。
グラスをカチンと合わせた。

吟味を重ねて通した料理は
スモークサーモン、
スロベニア産生ハム、
オイスターチャウダーを
各スモールサイズでー。
カニコロッケと
ビーフシチューはフルサイズだ。

=つづく=

2026年2月14日土曜日

第3994話 歓びアーカイブ 第4回


お約束通りに
土曜日限定のアーカイブです。


2014年10月31日金曜日

第959話 ブルースに寄せて (その1)

前話で行きががり上、
紹介した「暗い港のブルース」。
さっそくお二人の読者から
反響があった。
いただいたお便りを披露してみたい。
最初に北海道・函館市のY村M明サン。

突然のメールで失礼します。
いつも楽しく「生きる歓び」を
拝読しております。
今日は突然、「暗い港のブルース」が
出てきて驚きました。
この曲は私の思い出の曲なんです。

当時、私は札幌のレストランに
勤めていました。
そこへ何人かのアルバイトの
女子大生が入ってきました。
ほとんどが夏休み期間だけの
短期採用でしたが私は一人の女性を
好きになってしまいました。

一度だけデートをしました。
映画に誘ったのです。
それが何と、J.C.さんが
いっておられた「ある愛の詩」で
二度びっくりです。
失恋みたいなかたちで
はかない夢に終わりましたけど、
彼女のことは
今でもときどき思い出します。

働いていた店に
ジュークボックスがあって
20円か50円か忘れましたが
コインを入れて楽しみました。
そこに「暗い港のブルース」が
あったんです。
彼女の去ったあと、
面影を慕いながら
よく聴いたものです。

青春時代にスリップさせて
いただき、まことに
ありがとうございました。

こういう便りはうれしいなァ。
実は J.C.、Y村サンのメールに
びっくり仰天したのである。
忘れもしない1972年、
「暗い港の~」がリリースされた
翌年だが芝公園のシティホテルで
こちらもバイトをしていた。

ビヤガーデンのはずれに
「プリンス ビラ」なる
別館レストランがあり、
しばしばその店に配属された。
そこにはやはり
ジュークが設置されていて
しかも「暗い港の~」が
カバーされていたのだ。
そしてY村サン同様、
よく聴いたのだった。

いやはや、
こんな偶然ってあるんですねェ。
ホントにびっくらこきました。

それにしても1960年代から
’70年代前半にかけて
都内の(日本全国だろうが)
飲食店にはけっこうな数の
ジュークボックスが置かれていた。
シティホテルのレストランでさえ
そうだから推して知るべしだろう。

ジュークが消えていったのは
カラオケが世に現れた、
’70年代後半だったように
記憶している。

=つづく=

キングトーンズの面々は
ほとんど星になってしまい、
生で聴くことはかなわぬ夢。
あのドゥーワップを
忘れることができません。

2026年2月13日金曜日

第3993話 ラムにまみれた御徒町

しょっちゅう飲み歩く御徒町。
いつも立て混んでいて
ときには順番待ちの列まで
できる店が気になっていた。
「羊香味坊」を名乗るからには
ラム中心のメニュー構成だろう。

存在の認知後、
だいぶ経って初訪問。
1階は満席で2階に上がる。
前話の「尾張屋」がよみがえった。

ビールはサッポロ赤星中瓶。
羊香水餃子とラム串5本セットを。
どちらもまずまずだが
逸品とまでは云えない。
何故こうまで人気なのだろう?
客層は若者の比率が高い。

目の前のワインセラーをのぞくと
ボトルのネックに値段が
書き込まれている。
ん? 見覚えのある光景だゾ。

そうだ、神田駅ガード下、
「味坊」じゃないか!
かれこれ10年も前に
一度だけ利用した記憶がある。
あそこのワインにも
値段が書かれていた。

そこで初めて気が付いた。
あちら「味坊」。
こちら「羊香味坊」。
同系列であることが判る。

赤星をお替わりして
何かもう1品いっとこうかー。
メニューを吟味し、
惹かれたのが羊香炒飯だった。

半炒飯が理想なんだが
あるワケないよな。
小姐に訊ねるとやはり無かった。
意を決してフルポーションに挑戦。
われながら無謀である。

結局は薬局。
けして不味くはないのに
道半ばでリタイアの憂き目。
ラム串でビールが飲めれば
それで満足なんだから
少しは自分の歳を考えろヨ。
後悔、先に立たず。
そんな上野の昼下がりでした。

「羊香味坊(ヤンシャンアジボウ)」
 東京都台東区上野3-12-6
 050-5868-0521

2026年2月12日木曜日

第3992話 温そばに おろし生姜とは!

千駄木からバスに乗って浅草へ。
いつも飲むだけの「神谷バー」で
たまにゃ食事を取ろうと目論むが
折悪く休業と来たもんだ。

数軒隣りの並び、
「尾張屋 支店」の敷居を
数年ぶりにまたぐ。
1階は満席、2階に通された。

当店の人気は天ぷらそばと天丼。
海老がデカいからネ。
J.C.はさほど海老天を好まない。
(車海老なら文句ないけど)
むしろ小ぶりな芝海老が好き。
芝に限らず小さめが好きで
乾焼蝦仁(海老チリ)や
シュリンプカクテルを好む。

でも、久しぶりだから
天南ばんをいってみよう。
ドライ中瓶とともに通した。
天ぷらそばだと
2尾付けだが南ばんなら1尾。
値段も安く節約につながる。

運ばれ来たどんぶりは
老舗らしく威風堂々。
海老もさることながら
長ねぎの存在感が際立つ。
そもそも天南ばん、鴨南ばん、
カレー南ばんの南蛮は
ねぎのことを指す。

ささがきの斜め切りではなく、
スパッと縦に真っ二つ、
いわゆる唐竹割りが武士好みだ。
通はこのねぎを南蛮切りとも呼ぶ。

傍らの薬味はさらしねぎに
ん? んん?
何と、おろし生姜と来たもんだ。
確かに温そばとわさびは
相性がよろしくない。

「尾張屋」では常に冷たいそば。
温そばなら当店の常連だった、
永井荷風が好んだかしわ南ばんを
食べたことはあるが
生姜なんざ付いて来なかった。

あれは「尾張屋 本店」のほうで
10年も昔だからなァ。
とにかく素晴らしくはなくとも
そこそこ美味しくいただいた。
生姜もちょっぴり使ってネ。

「尾張屋 支店」
 東京都台東区浅草1-1-3
 03-3841-8780

最近始めた=歓びアーカイブ=。
浪花の小姑・らびちゃんはじめ、
多くの方々のご好評をいただき、
その声に応えたく、
今週から休載日の土曜に
お届けすることにしました。
ご愛読のほどよろしく願います