2026年9月8日火曜日

第4171話 小雨に煙る隅田川 (その1)

♪ 雨が降ります 雨が降る
  遊びに行きたし 傘はある ♪

この日は久方ぶりにN美と再会。
千葉・内房在住のママだ。
本八幡でのイタめし以来だから
実に3年半ぶりとなる。

このコは典型的な雨女。
一番ヒドかったのは
知り合って間もなく、
N J 州 Little Ferry の彼女の家で
食事をご馳走になり、
マンハッタンに戻ろうとしたら
外はトンデモない豪雨。
すでに前の道路が冠水している。

水が引くのを待とうと思ったが
時間が押していた。
ええい、ままよ! と水に突撃。
どうにか渡り切った。
ちなみに此度の千葉の水害。
彼女の家は無事とのこと。

そう言えば、本八幡の2年前。
江戸川区・一之江のこれも
イタリアンだったが
その日もけっこうな雨だった。

そして今回は浅草の南、
蔵前でのイタめしだが
またもやこの降りである。

雷門で待ち合わせると
普段にも増してスゴい人混み。
何となれば、サンバ・カーニバル。
その当日と来たもんだ。

浅草のカーニバルを
知らずに出掛けてぶつかったのは
実にこれが3度目。
最初は小唄の稽古。
騒音の中、チントンシャンも
ないもので即お流れになった。

2度目は「弁天山美家古寿司」。
相方は先日登場した、
アパレルの T子サンだった。
目の前の馬道がサンバの道筋じゃ
おちおち鮨なんぞ食っておられん。
ひたすら冷酒の盃を口元に運ぶのみ。

ツレがあれば2階に上がるけれど
この日は1階の片隅へ。
J.C.の好物、蛍烏賊の沖漬けを
食べさせてやりたかった。
何故かこの一品は2階に無いんだ。

相方は電氣ブランサワー、
当方はドライ大瓶と電氣オールド。
滞空30分で馬道の1本東側、
裏道を南下して往った。

「inf 隅田川」は川べりの店。
中2階に上がり窓際に落ち着く。
眺めはよいものの、
隅田川は小雨に煙っていた。

=つづく=

2026年9月7日月曜日

第4170話 こっちの「ときわ」も捨て難く

今話も「ときわ」ネタで恐縮至極。
ですが、その前にお詫びをー。
第4139話 =アーカイブ第31回=
「アニサキスみいつけた!」 。


コイツはアニサキスじゃなく、
ラジノリンクスでした。
食したとしても人体には
まったく害を及ぼしません。
なら、食べりゃよかったかな。
やっぱり気色悪いや。

さて「動坂 ときわ」同様に
よく利用するのが千代田線、
町屋駅ビル地下の「ときわ」。
こちらも捨て難い。

晴れていれば動坂へ歩き、
雨降らば町屋へ千代田線。
先週のと或る日は雨のため、
千駄木から我孫子行きに乗った。

J.C.はいつも奥のテーブル。
デシャップ台の前に着く。
この日もそうしてドライ大瓶と
山形だしを通した。
山形だしは胡瓜・茄子など
夏野菜を刻み、出汁で和えるだけ。
それが少食派にはありがたい。

壁に張り出された品書き凄まじく、
ザッと500枚はあろうかー。
おそらく東京一の枚数だろう。
じっくり目を通したら30分、
いや、1時間は掛かるだろうヨ。

山形名産 だし
とあって赤字表記は唯一無二。
山形にここまで入れ込むのは
いったい何故なんだ?

エシャレットを追注した。
エシャロットという表記を
ときどき見受けるが
あれは間違い、あるいは無知。
ベルギー特産のエシャロットは
ペコロスみたいな小玉ねぎ。

エシャレットは単なるらっきょう。
何処の誰が考えたのか
らっきょうじゃ売れないと思い、
悪知恵を働かせたのだ。

大関辛丹波の冷酒に切り替える。
玉ねぎさつま揚げにしようか、
いなご佃煮にするか、
迷いながら悪戯に時間を費やす。

不図、ミニ鉄火丼にそそられた。
節食中なれど、ミニだからネ。
お運びのオバちゃんに
「ミニ鉄火はフツーのごはん?
 それとも酢めし?」
「どちらも出来ますヨ」
ふ~ん、感心だなァ。
ならばと酢めしでお願いした。

赤身4切れに玉子焼きの小片。
胡瓜のスライス1枚。
刻み海苔と粉わさび。
小皿に辛丹波と生醤油を
同割りにして即席ヅケを作成する。

まぐろはバチだろうが悪くない。
ミニとはいえ、酢めしは丼1杯。
食べ切れるけれど、少し残そう。
と思ったものの、
作り手に礼を失するから頑張った。

品書きに鉄火丼とまぐろ丼があり、
違いはいったい何だろう?
支払い時に訊ねると
「鉄火はお刺身、まぐろはヅケです」

偉いなァ、再び感心したものの、
何のこたあない、自分で勝手に
ミニ鉄火丼をミニまぐろ丼に
アレンジしていたのでした。

「ときわ」
 東京都荒川区荒川7-50-9
 サンポップ町屋 B1
 03-3809-2335

2026年9月5日土曜日

第4169話 歓びアーカイブ 第36回

今日のアーカイブは
作話の「動坂 ときわ」つながりで
駒込アザレア通りの「ときわ」です。
最近、味が落ちたような気が
しないでもないけれど
12年前は好きでした。

2014年11月20日木曜日

第973話 都内に「ときわ」は数あれど (その3)

駒込アザレア通りの「食堂 ときわ」。
突き出しのコンポテだけで
ビール大瓶が空いてしまった。
コンビーフ入りポテサラである。

この店は千葉県産 SPF 豚使用の
ロースカツがウリだが
そんなモンを食べちゃったら
あとがどうにもならない。
胃袋のちぢかまった、
老頭児(ロートル)はつらいよ。

ぼんやり店内を眺めていると
若い客は酒も飲まずに黙々と
ロースカツ定食を頬張っている。
いいねェ、Oh, Young men !

お願いした肴はホヤである。
三陸の海の幸、ホヤの塩辛である。
朱鷺色、鮮やかなり!
アザレアのホヤはアザやかであった。
必然的に日本酒が欲しくなり、
小さな徳利を上燗でお願い。
ついでにらっきょうも頼んだ。

 燗酒にホヤとらっきょの浮世かな

テヘッ、句のデキ稚拙なれどもいい気分。
独りごちていると、M鷹サンが現れた。
意外に早い到着じゃないかー。
心なしかまなじりに疲労の色が濃い。
遅れてきた青年ならぬ、
遅れてきた中年である。
大江健三郎のあの小説も
読むには読んだがストーリーは
きれいサッパリ忘却の彼方に消えた。

グラスを合わせ、近況を報告し合ったあと、
相方はいきなり肉野菜炒めを注文。
おう、いいとも、疲れてるんだねェ、
身体が野菜を求めてるんだねェ。
見るからに健康的 
中華屋のソレとは微妙に装いを異にする。
特徴は各種野菜のバランスのよさ。
ニラがうれしい、ナスが珍しい。
雑な中華屋なんぞに行ったら
廉価でカサの出るキャベツと
モヤシばっかりなんてケースが少なくない。
豚小間も薄切りではなく、
小塊というのがユニーク。
都内に数ある「ときわ」でも
駒込店は指折りの1軒だ。

もう一品はつぼ鯛の一夜干し。
大根おろしは必要不可欠
つぼ鯛はここ10年くらい脚光を
浴びている魚種で、ほとんどの場合が
一夜干しか、粕漬け・西京漬けになる。
北海道辺りでも獲れるようだが
一大産地は太平洋のミッドウェー。
日米海戦の転機となった、
あのミッドウェーだ。
連合艦隊の艦船が海底に空しくねむる海域で
獲れたサカナを肴に一しきり酒盃を交わす。

2軒目は駒込からそう遠くない、
動坂下のスナック「K」。
久しぶりに軍歌でも歌うとするかの?

=おしまい=

「食堂 ときわ」
 東京都北区田端4-1-1
 03-3824-6070

=本日追記=
最近は動坂と町屋駅の「ときわ」に
行く先が二分されていますが
都内各所の「ときわ」には
本当にお世話になりました
ずいぶんお金も使いました。
”ときわ金なり” ってネ。

2026年9月4日金曜日

第4168話 「道 dao」のお次は「道坂 ときわ」

油っこい「~道~dao」の翌日。
反省しながら考えました。
昼食はやっぱり、アッサリ、
サッパリがよろしかろうとー。
ですよねェ? ですとも!

正午過ぎに現れたのは
動坂下交差点にほど近い、
「動坂 ときわ」である
此処は文京区・本駒込。
自宅から歩いて15分につき、
昼の独り飲みには打ってつけ。

J.C.が日常生活において日頃から
気に掛けているのは体重だけ。
日に2度はヘルスメーターに乗る。
ん? ちょっと太目だな。
そう思ったときは
昼めしをしっかり食べず、
ビール1~2本と清酒1合に
軽いつまみで済ませることが多い。

昼めしは省いても
昼飲みは欠かさない今日この頃。
それにビール太りなんて言葉を
よく聞くがアレは嘘ですな。
少なくとも J.C.に限ってはー。

この日もそうだった。
昨日のヘビー中華には
ちょいとマイッたからネ。
ドライ大瓶と通したのは
ホタテ刺しの小サイズ。
当店の刺身はすべて
ハーフで頼めるのが有難い。

150円だったかな?
焼き海苔を追注し、
磯辺風に巻いたりもした。

最近、気に入りの穴子天ぷらを
やり過ごし、思いあぐねながら
白鶴純米の冷酒に移行して
壁の品書きを見上げる。

味噌汁の品揃えが
イヤというほど多種多彩。
あさり汁、玉ねぎ汁、豚汁、
わかめ汁、玉子汁、にら玉汁。
これが一律280円と来たもんだ。

大特価ではあるけれど
あさりと玉ねぎが同値とは
原価がまったく違うだろうにー。
当店はそういうことに
あまり頓着しないようだ。

味噌汁を注文したことはない。
今日は節食を心がけているし、
緑黄野菜の摂取も考慮して
にら玉汁をお願い。

すると・・・うわっ!
スゴいのが来たぜ!
かつ丼用の丼になみなみとー。
溶き玉子なんか2玉かな?
いや、3玉かも知れん。
にらもタップリとこれでもか!

少食の J.C.だから
普通の昼めしでもこれに半ライス、
そしてつけ新があれば十分。
当店は付け合わせの小新香を
そう呼ぶ習わしだ。
とにかく腕まくりで頑張って
しっかり飲み切りましたとサ。

「動坂 ときわ」
 東京都文京区本駒込4-37-5
 03-3821-7420

2026年9月3日木曜日

第4167話 「道 dao」という名のニュー中華

しばらくぶりに
麦歩とも・N子と昼めし。
谷中は清水町公園に近い、
「道 dao」なる中華料理店だ。
開業後1年余りになろうか?

台東区のコミュニティバス、
めぐりんの道筋に面しており、
たまたま見掛けて認知した。
実は10日ほど前に独り訪れ、
牡蠣の特製油淋ソースかけ
昼めしを食べた。

他の料理も気になって
麦歩ともに肥掛け、もとい、
声掛けした次第なり。
ランチメニューは他に
国産鶏の特製油淋鶏
牡蠣のピリ辛甘酢ソース
麻婆豆腐~道~スタイル
エビのチリソース煮
以上、計5品のみ。

赤星中瓶を注ぎ合い、協議して
麻婆豆腐とエビチリに決定。
最初にわりと丁寧なサラダ、
エノキ&黒ばら海苔スープ、
ザーサイがサーブされた。

当店は町中華や大陸系とは
趣きを異にするモダンさが信条で
おそらくシェフはホテルか
高級店の出身と推察される。

麻婆は花椒のしびれが際立つ。
エビチリは昔、J.C.が籍を置いた、
東京プリンス内の「満楼日園」に
よく似たタイプで、ねぎタップリ。
ともに味自体はなかなかである。

ところがどちらもヤケに油っこい。
皿にギットリと油が溜まっている。
前回の牡蠣はこんなことなかった。
ポケットティッシュを
丸ごと皿の底の片側に敷き、
傾斜をつけて油を片方に寄せる。

此処で思い出したのが
数日前にディナーをともにした、
アパレル業界のT子サン。
築地のブティックの店長を
していたときの仕事帰りに
築地駅前の中華屋で食事中。
向かいに居合わせたオッサンが
小姐に文句を言っている。

「こんなに油っこいの食えねェよ。
 作ってる奴に言っとけよ!」
すると小姐、やおら皿の片方を
持ち上げて傾け、
サァどうぞと云わんばかり。

客は呆気に取られながらも
そこから食べたそうだ。
しばらくして
「もういいよ、持ってけよ!」
小姐、ツンツン。
いや、この話には腹を抱えて
笑っちまいやした。

思い出し笑いをする J.C.に
相方からキツいお言葉。
「わざわざ人を呼びつけといて
 こんなに油っこい料理を
 食べさせないでよねェ。
 少しは考えて欲しいわ!」

油だけにコッテリ油を
搾られたのでした。
やれやれ、ご馳走してやって
文句を言われたんじゃ、
やってられまへん。
男はつらいよ、ジッサイ。
妹・さくらみたいな女がいいな。

「中国菜~道~dao」
 東京都台東区谷中1-1-31
 03-5834-7046

2026年9月2日水曜日

第4166話 西浅草で穴子三昧

今宵は蕎歩とも・Mきと一献。
舞台は互いに便利なエンコの街で
「川井(旧あな太朗)」は
穴子料理と地酒が自慢の店だが
17時に入ったら19時には出てけ!
とのキツいお達し。

そこは温厚な性格の J.C.、
噴き出す不満を抑え、
甘んじて受け入れた。
もっとも2時間ありゃじゅうぶん。
文句などないけどネ。

浅草ビューホテルのロビーで
待ち合わせた。
ふ~ん、水玉模様のワンピースが
可愛いじゃないかー。
馬子にも衣裳とはこのことだ。

開店時間の17時ちょうど。
カウンターに横並んで
ドライ中瓶を注ぎ合い、カチン。
相方の要望を踏まえながら
料理の品定めをしてゆく。

皮切りは何はともあれ穴子刺し。
長崎県・対馬の産である。
一時代前の東京で穴子の刺身は
まず食べることが出来なかった。

韓国あたりじゃ日本に先駆けて
各所で食べられたがネ。
殊に釜山の海岸沿いは
穴子刺しの宝庫。
これも対馬海域での漁獲だろう。

身肉の弾力がコリッコリ。
煮てよし、揚げてよし、
焼いてよし、生でさらによし。
穴子は実に美味しいサカナだ。
J.C.的には鰻を凌駕する。

魚沼の深雪なすと
青森のさくちゃんトマトが
いずれもみずみずしく、
口中に涼風をそよがせた。

ここで三重の銘酒、
而今の冷たいのに切り替える。
甘口ながら奥行きのある酒は
 ”じこん” と音ずる。

子持ち鮎有馬煮のアタマを
ガブリとやった。
骨が硬くて咀嚼するも
ノドを通すことが出来ない。
仕方なくティッシュに包み、
空いた皿の片隅に置く。

お次の穴子肝煮が白眉。
アッサリ煮上がり、滋味いっぱい。
夏野菜の冷やし鉢も好かった。
深雪に加え、枝豆、かぼちゃ、
さつま芋、新生姜が鉢に
ひんやりと盛り込まれていた。

麦焼酎発祥の地、
壱岐の放下著ロックに移行。
これは ”ほうげじゃく”と読む。
穴子と無花果の揚げ出し、
奄美大島産猪の金山寺味噌煮と
快調に食べ進んだ。

そして締めのにぎりは
大阪の金太郎いわし、千葉のコチ、
再び対馬の煮穴子。
地図上の隣り同士、
壱岐の焼酎と対馬の穴子が
仲良く目の前に並んだ。
はるか750年もの以前、
元寇に蹂躙された悲劇の島々です。

「浅草 川井(旧あな太朗)」
 東京都台東区西浅草2-26-1
 03-5828-3132

2026年9月1日火曜日

第4165話 銀座の片隅 BDディナー (その2)

銀座のはずれの「ビストロ シンバ」。
赤ワインがちっとも開いてくれない。
開いてもこの程度なのかな?
モレ・サン・ドニは
もっと香るハズだけどなァ。

長良川の鮎リゾットが調った。
カワウが一度呑み下した鮎だろう。
アタマまでカリッと揚げられ、
枝豆とゴーヤも散見され、
スダチの爽やかさが引き締める。
尾頭もきれいに平らげた。

続いては当店の名代、
ブイヤベースである。
この料理に必須のサフランを
使わないのが特徴の逸品は
スープ・ド・ポワソンで仕上げる。

皿に並んだ魚介は車海老に
サカナが真鯛・平目・ヒラスズキ。
ハハハ、これじゃ真っ平ヒラだヨ。
でも、煮込まれずに
炙られたサカナたちがイマイチ。
それをカバーするスープは
素晴らしく存分に飲み干した。

モレを何杯かお替わりしたが
相変わらず閉じたまま。
自閉症じゃあるまいし。
他の何かに切り替えようと
思ったほどだ。

BDディナーの締めくくりは
ブレス産鳩である。
フランス南部のブレスは
ジビエの宝庫として名高く、
淡水魚の漁獲量も多い。
いわゆる美食の都なのだ。

さすがでしたネ。
雉やほろほろ鳥の肉は色白だが
鳩や鴨は赤身で赤ワインと好相性。
ガルニテュールのじゃが芋が
とてつもなく甘い。
雪の下で一冬越したおかげである。

ピーマンのような
獅子唐のような緑の野菜が辛い。
ハハ~ンと思い、
ギャルソンに訊ねた。
「神楽南蛮です」
「やっぱりネ、ウチの冷蔵庫にも
 眠ってるんだヨ」
「エッ、ホントですか?」
新潟の友人からのいただき物だ。

ブレス鳩はさすがだったが
惜しむらくは今夜のモレが
完全に力負けしている。
とかくこの世はままならぬ。

われわれはデセールを好まない。
カフェも飲まずに
お勘定は金27400円也。
思ったより安く上がった。
でも、グラスにちょびっと
注がれたワインが1杯2千円は
いかがなものでありましょうや?
満足も中くらいなり真夏日の夜
でありました。

気を取り直しての飲み直しは
ホテルのラウンジにでも
昇ってみましょうかー。

「ビストロ シンバ」
 東京都中央区銀座1-27-8
 03-6264-4218