2012年6月27日水曜日

第347話 普茶料理を味わう

恒例のSだおサンとK雄サンを囲む食事会。
毎回アレンジャーはJ.C.が務めている。
Sだお御大が一風変わった店や料理を好まれるので
けっこう頭を悩ませることとなる。
オマケにそこそこの美女たちを宴席に侍らせねばならない。

行く先はいつも決まって下町。
両先輩は東京の西から
一直線に東を目指して参上仕るワケであります。
みなさん、下町がお好きなんですなァ。

当夜の会場は浅草の北、
酉の市で有名な鷲神社のある竜泉。
普茶料理の「梵」であった。
当店の口上書きをかいつまんで紹介しておこう。

普茶料理は今から約三百年前、
中国・明の隠元禅師が京都宇治に
黄檗山萬福寺を建立した折より伝わる精進料理でございます。
普茶の語源には普(あまね)く衆に茶を供する等の意味があり、
茶礼のあと飲食平等の精神のもとに
明風の食礼様式で開かれる席の料理が
普茶とよばれています。

数年に一度程度しか訪れないが
この店のたたずまいと料理はとても好きだ。
二汁六菜のコース(¥6000)ーをお願いしておいた。
われら♂3人に群がった♀は4人。
枯木も山のにぎわいなどと口が裂けても言わぬが
押しなべてかなりトウが立っていることは否定できない。

食材に肉はもとより魚介の使用すらかなわぬので
畢竟、食卓を彩るのは葉野菜・根菜・筍・海藻に
麩・湯葉・豆腐・蒟蒻といった陣容。
澄子(しゃんつ)・筝羹(しゅんかん)・雲片(うんぺん)などと、
懐石料理よりも難しい名を持った料理がコースを組み立てる。

二汁六菜を謳っているものの、
実際には10種類ほどの皿や鉢が運ばれた。
揚げ物とごはんも含まれているから
けっこうなボリュームで食べ応えじゅうぶんだ。

飲みものはスーパードライと櫻正宗。
ともに気に入りの銘柄につき、
ほかの人はともかく、J.C.は満悦でござった。
誰が注文したものか、琵琶湖ワインなんてのも振舞われた。
栗東ワイナリーの産でいただいたのは赤。
しかし、あんなところにもワインの醸造所があるんだねェ。
栗東と聞いても競走馬のトレーニングセンターしか思いつかない。

口の字の一角を削りとった、変形コの字形のテーブル配置は
上座・下座の区別がない円形に近づける配慮であろう。
飲むほどに酔うほどに、笑いが座を支配して和気あいあい。
歳のわりに気持ちの若い、老(若)男女の酒宴は
夜の更けるのもいとわずに続いたのでありました。

「梵」
 東京都台東区竜泉1-2-11
 03-3872-0375