2011年7月11日月曜日

第93話 世にも小さなとんかつ屋

先日、泉州岸和田の水茄子について書いたら
T梨サンという方から、かようなメールをいただいた。

こんにちは。
茄子は、水茄子だけじゃなくて普通の茄子も生食出来ますよ。
山形県では「だし」といって、
細かく刻んだ生の茄子、胡瓜、茗荷などをご飯に掛けて食べます。
山形では、夏の定番中の定番です。


これなら酒の肴にも恰好、さっそく試してみようと思った。
大葉を加えてもよさそうだし、
冷奴にあしらっておろし生姜をトッピングしてもイケるだろう。
T梨サンの情報に感謝である。

続いては先週金曜日の解答。
江戸の夜に千両おちるのは吉原遊郭。
あとは朝と昼だが、朝は日本橋の魚河岸、
昼は浅草・猿若町の芝居茶屋が正解。
ただし、江戸初期の芝居は二丁町(人形町界隈)が中心だ。

ここでハナシはいきなりアメ横に飛ぶ。
上野アメ横とはいうものの、
同じJRでも山手線や京浜東北線を利用するなら
御徒町のほうが使い勝手がよろしい。
上野でん、新宿でん、池袋でん、
デッカい駅は電車を降りてからが大変だ。

でもって、今回やって来たのは
おそらく東京で一番小さなとんかつ屋「まんぷく」。
狭くてもここのとんかつを食べれば満腹請け合いということか。
アメ横の入り組んだ裏路地に隠れるようにして店はある。
8席のみのカウンターは横も狭けりゃ、うしろの壁も近い。

正午過ぎに入店すると1席だけ空いていた。
それがホンの数分で4~5人が並んだ。
客はすべてオトコ、まさに女人禁制の世界がここにある。
ちょっと見は往年の名歌手、藤山一郎に似た老主人に
こちらはおそらく息子だろう、親子二人の切盛りだ。
ともに客の注文を忘れがちで血は争えない。

お願いしたとんかつ定食(900円)は
大きなロースカツに、白菜&大根の新香、豚汁とライス。
たっぷりの新香がうれしいものの、味の素は余計だよ。
豚汁は肉の切れっ端とねぎのみ、皿盛りライスの量が多い。
卓上には、とんかつソースとウスターソースにキッコーマン。
とんかつソースが馬鹿デカく、
ビールジョッキみたいなグリップまで付いている。
醤油に気づかず、危うくウスターを新香にかけるところだった。

すると、入れ替わって隣りに座った若いサラリーマン、
注文品のメンチカツにとんかつソースをドボッとやった。
そして、そして、「アアーッ!」― 止めるヒマもあらばこそ、
新香にウスターをしっかりかけちゃったよ。
こちとら箸を休め、固唾を飲んで見守ると
「エッ、エエーッ!」― 気づいているのか、いないのか、
平気の平左でソースまみれの白菜を食べ続けている。
一体全体、どういう味覚してんのかしら・・・。
キャベツにソースでいいのなら、白菜にかけてどこが悪い?
そんな自信に満ち満ちた所業でありました。
でもネ、思い出すとやっぱ気色悪いや。

「まんぷく」
 東京都台東区上野4-1-5
 03-3831-3457