♪ カトレアのように 派手な人
鈴蘭のように 愛らしく
また忘れな草の 花に似て
気弱でさみしい 眼をした子
みんなみんな どこへゆく
街に花咲く 乙女たちよ
みんなみんな どこへゆく
街に花咲く 乙女たちよ ♪
(作詞:西条八十)
舟木一夫の「花咲く乙女たち」は1964年9月のリリース。
東京オリンピック開催のひと月前だった。
街には「東京五輪音頭」と「愛と死をみつめて」、
そう、三波春夫と青山和子の歌声が流れていた。
かたやお祭り騒ぎ、こなた悲恋の死、
列島はまさに悲喜こもごもであったのだ。
それはそれとして千駄木すずらん通りの「囲味屋」である。
およそ1年ぶりの再訪となった。
此度はカウンターが予約客でいっぱい。
二人掛けの小卓に案内された。
例によってビールとともに供された突き出しは
蒸しがきと春菊の酢味噌和え。
酢味噌和えなら名残りのかきより旬のホタルイカが
ありがたいけれど、ぜいたくは言えない。
一品目にはサッと出てくる鯨のベーコンを所望。
浅草で遭遇した豪州娘、ブリの面影をしのびつつ味わう。
続いての刺身盛合わせは
真鯛・黒かれい・ホッケ・飛び魚・すまがつおの5点。
初めて食べるホッケの刺身は水っぽくもなく、
あっさりとした中にほのかな脂を感じさせてなかなかだった。
スマガツオはいわゆるスマのことでこれも珍しい。
カツオの仲間だから体形はソウダガツオによく似ているが
味のほうはむしろマグロに近く、生姜よりわさびが合うようだ。
前回同様、赤霧島のロックに切り替え、
焼き湯葉、穴子白焼き、こまい干しと食べ継いでゆく。
みなそこそこの水準に達しているものの、
「これは旨いっ!」―感嘆の声をあげるまでに至らず。
会計をしながら振り返ると、既製品の鯨ベーコン、
それに多種多彩な刺盛りがよかったように思う。
ただ、すぐに再々訪しようという気にはなれない。
客の心を惹きつけるサムシング・エルスがほしいところだ。
夜の更けたすずらん通りには
あちこちのスナックからもれる酔客のカラオケが入り乱れている。
千駄木のすずらん通りは商店街ではなく飲み屋街なのだ。
この様子じゃ東京すずらん通り連合会への入会は拒まれるだろう。
いや、入る気なんて毛頭ないか―。
「囲味屋」
東京都文京区千駄木3-44-16
03-3821-9833
鈴蘭のように 愛らしく
また忘れな草の 花に似て
気弱でさみしい 眼をした子
みんなみんな どこへゆく
街に花咲く 乙女たちよ
みんなみんな どこへゆく
街に花咲く 乙女たちよ ♪
(作詞:西条八十)
舟木一夫の「花咲く乙女たち」は1964年9月のリリース。
東京オリンピック開催のひと月前だった。
街には「東京五輪音頭」と「愛と死をみつめて」、
そう、三波春夫と青山和子の歌声が流れていた。
かたやお祭り騒ぎ、こなた悲恋の死、
列島はまさに悲喜こもごもであったのだ。
それはそれとして千駄木すずらん通りの「囲味屋」である。
およそ1年ぶりの再訪となった。
此度はカウンターが予約客でいっぱい。
二人掛けの小卓に案内された。
例によってビールとともに供された突き出しは
蒸しがきと春菊の酢味噌和え。
酢味噌和えなら名残りのかきより旬のホタルイカが
ありがたいけれど、ぜいたくは言えない。
一品目にはサッと出てくる鯨のベーコンを所望。
浅草で遭遇した豪州娘、ブリの面影をしのびつつ味わう。
続いての刺身盛合わせは
真鯛・黒かれい・ホッケ・飛び魚・すまがつおの5点。
初めて食べるホッケの刺身は水っぽくもなく、
あっさりとした中にほのかな脂を感じさせてなかなかだった。
スマガツオはいわゆるスマのことでこれも珍しい。
カツオの仲間だから体形はソウダガツオによく似ているが
味のほうはむしろマグロに近く、生姜よりわさびが合うようだ。
前回同様、赤霧島のロックに切り替え、
焼き湯葉、穴子白焼き、こまい干しと食べ継いでゆく。
みなそこそこの水準に達しているものの、
「これは旨いっ!」―感嘆の声をあげるまでに至らず。
会計をしながら振り返ると、既製品の鯨ベーコン、
それに多種多彩な刺盛りがよかったように思う。
ただ、すぐに再々訪しようという気にはなれない。
客の心を惹きつけるサムシング・エルスがほしいところだ。
夜の更けたすずらん通りには
あちこちのスナックからもれる酔客のカラオケが入り乱れている。
千駄木のすずらん通りは商店街ではなく飲み屋街なのだ。
この様子じゃ東京すずらん通り連合会への入会は拒まれるだろう。
いや、入る気なんて毛頭ないか―。
「囲味屋」
東京都文京区千駄木3-44-16
03-3821-9833