2026年7月2日木曜日

第4112話 大鹿村の鹿肉たたき (その1)

わが家の冷蔵庫に
無くてはならない生わさび。
最近の調達先は銀座の・・・
おっと、ベンチャーズの
エレキギターが聴こえてきたヨ。
そして男女のデュエットまでも。

♪ 触れ合う頬 夜の二人
  甘い香り 熱い二人
  みゆき通り すずらん通り
  なにも言わず ときめく胸の
  二人の銀座     ♪
  (作詞:永六輔)

和泉雅子&山内賢が歌った、
「二人の銀座」の二番だ。
作曲は演奏するベンチャーズ。
1966年9月のリリースで
ビートルズの初来日から
2カ月半後のことだった。

歌詞に出て来る、
みゆき通りとすずらん通り。
この当時、中学三年の J.C.が
よく歩いたのはみゆき通りだ。
男性ファッションメーカー、
JUN の本店があったため、
なけなしの小遣いを工面して
足繁く通っていた。

おっとっと、
生わさびの調達先であった。
長野県のアンテナショップ、
「銀座NAGANO」。
すずらん通りにあるのだ。

J.C.がもっぱら
買い求めるのは生わさびのみ。
たまに信州名物のおやきと
野沢菜に手を出すくらい。

近頃、わさびは高騰して
1本2200円前後もする。
ものにもよるが
主役の刺身より高くつく。

この日も調達のため、銀座へ。
その前の昼食は階上の日本そば、
「銀座 真田」と決めていた。
せっかくのそば屋だから
蕎歩とも・Mきに
声を掛けたら奴さん、
満面の笑みで現れやがった。

まっ、今日は何となく
幸せな二人の銀座に
なりそうな気配です。

=つづく=

2026年7月1日水曜日

第4111話 映画の前の挽き肉三昧

今日は久々に神保町シアターへ。
通常は14:15の回を観るんだが
折り合い悪く12時のスタート。
11時前にはチケットを買った。
時間が早いから
腹は全然空いてないけど
麦酒だけでも飲んどこう。

これも久しぶりの「TACOBELL」へ。
ドライ中生とビーフタコスを1個。
会計は1120円。
いつもは1階の小カウンターで
済ませるが2階に上がり、窓際へ。
道行く人々を眺めながら味わう。
此処の中生は量がタップリ。
まことに J.C.好みである。

時間の余裕がまだあった。
本屋で立ち読みもいいが
ちと飲み足りない。
町のメイン・ストリート、
すずらん通りの
「川府」を通りすがった。

小籠包がウリとあって
軽くつまんでおこうかー。
2階に上がる。
今日は2階づいてるなァ。
映画観るのは地下だけどネ。

入口の中国人女性スタッフに
「小籠包とビールだけで
 ランチ食べないけどいい?」
言葉が通じたかどうか不明ながら
頷かれたからいいんだろう、入店。

ビールは生も瓶もサントリー。
より飲み易い生を選択。
小籠包も二者択一で
定番小籠包(豚肉)3個 480円
三色小籠包+焼売 4個 580円

この三色が面白い。
白ー豚肉 ー鶏肉 
ー豚&フカヒレ
当然、こちらにする。
そこそこ美味しくいただき、
1260円也を支払って
シアターに向かう。

本日の映画は若くして戦病死した、
山中貞雄監督の「人情紙風船」。
ずっと観たいと思っていた作品だ。

ところがギッチョン。
昭和12年作と古いためか、
ところどころ音声が聴きにくい。
肝心なシーンが小声になったり、
あらすじも途切れ途切れだ。
よって論評すること能わず。

残存する彼の作品は3本のみ。
「河内山宗俊」はすでに観たが
「百萬両の壺」は未観。
でも、同じことが予想され、
断念することにしました。
まったくもってこの世は
人情紙風船なりけり。

「TACOBELL 神保町店」
 東京都千代田区神田神保町1-8-5
 03-5577-6328

「川府(SENFU)」
 東京都千代田区神田神保町1-5-1
 03-3518-9430

2026年6月30日火曜日

第4110話 昼下がり 独りで焼いた 成吉思汗 (その2)

文京区・湯島の「だるま」。
カウンターには
成吉思汗用の鍋が設置され、
係の女の子がそこに
キューブ状の真っ白な羊脂を
置いてくれた。

豚脂はラード、牛脂はヘット、
それでは羊脂は?
調べたらスエットというらしい。
聞いたこともなかった。

鍋には大量の野菜。
といってもほとんど
玉ねぎに少量の長ねぎ。
皿の羊肉は赤身が中心だ。
あとは白菜キムチにキャベツ浅漬け。
そして茶碗の白飯は
(小)といってもじゅんぶんな量。

トングで肉をつまみ、焼いてゆく。
溶けだした羊脂が
鍋の淵に溜まる。
羊脂が溶け切ったら彼女が
新しいのを乗せてくれる。

中瓶をお替わり。
キムチと浅漬けはたっぷりあり、
野菜の補給には打ってつけ。
実に健康的な昼食である。

ビールをのお替わりと
思ったものの腹はパンパン。
かなり体重が増えたと思う。
J.C.が普段から健康面で
気にしているのは体重だけで
常に63kg前後をキープする。
現在は65kgに達していそうだ。

次から次の来客は
若者中心でリーマンは
せいぜい40代そこそこ。
カップルは多いが単身女性は
一人も現れなかった。

7月下旬にはすぐ近くに
2号店がオープンするという。
北海道民ならともかくも
日本人ってこんなに
羊好きだったかな?

会計は3500円弱。
焼肉屋の出入りが少ないため、
高いのか安いのか、
今一つピンと来ないが
安いとは云えないだろうな。

栄養付けて野菜も摂って
好い昼食ではあった。
そして何よりも
SAPPORO CLASSICとの
再会がうれしかった。

八戸のE子にも逢いたいなァ。
地震が気がかりだけど
心から無事を祈る。

「ジンギスカンだるま 上野御徒町店」
 東京都文京区湯島3-41-5
 03-6240-1430

2026年6月29日月曜日

第4109話 昼下がり 独りで焼いた 成吉思汗 (その1)

はっきりしない空模様の下、
外出に気が進まないものの、
ブランデーの在庫が切れて
調達のため、湯島に赴く。

まずは界隈で昼めしだ。
湯島には心惹かれる、
日本そば屋がまったく無い。
10年前に「池之端 藪蕎麦」が
閉じて「蓮玉庵」が残るが
 J.C.との相性はよろしくない。

ここで不図、思い出したのが
2年ほど前にオープンした、
ジンギスカンの「だるま」。
札幌に本店を構える人気店だ。

思い出すなァ、アレは1989年。
往時のGF・E子と訪れた。
青森県・八戸出身の彼女と
出逢ったのは東京だが
すでに帰郷しており、
札幌で待ち合わせた。

E子だけに、いいコだった。
生ラムを焼きながら
生ビールをしこたま飲んだ。
札幌だから銘柄は
サッポロだったのだろう。

その後、すすきののクラブだか
スナックだかに繰り出して
夜明け近くまで飲んだ。
J.C.も30代、若かったんだねェ。

それはそれとして
湯島の「だるま」。
1階のカウンターに着く。
SAPPORO CLASSICがあった。
今じゃ北海道限定のビールだ。

当時は東京でも
たまに何処かで見掛けて
気に入りだったから
あれば購入していた。

記憶が確かなら十数年前、
足立区・綾瀬のスーパーは
イトーヨーカ堂だったかな?
遭遇して即購入。
五反野への道すがら
飲みながら歩いたものだ。

昔の恋人に再会したような気分で
中瓶をトクトクのプッファー!
う~ん、懐かしいなァ。
アレ以来だが生産は続いてたんだ。
そうしておいてメニューの吟味。
見とめたのはコレである。

<ランチ限定セット>
・成吉思汗<お肉増量!>
・野菜・おしんこ・キムチ
・ライス(小)または(中)
 ¥1800(税込¥1980)

ライス(小)で発注に及ぶ。

=つづく=

2026年6月27日土曜日

第4108話 歓びアーカイブ 第25回

「渡る世間は鬼ばかり」の
再放送をたまに観ている。
舞台の町中華「幸楽」の長男坊、
眞は東大受験に失敗したが
 J.C.は無事入ることができた。
いえ、食堂で昼めしを
食っただけですがネ。

2011年4月4日月曜日

第23話 東大に入りました!

このたびめでたく東大に入りました!
ただし裏口から・・・。

本郷の東大にはいろいろと入口があって
正門のほかに赤門が有名だ。
裏口となれば、さしずめ弥生門だろう。
本学にはもう一つ、
東大病院に続く竜岡門があるが
こちらは裏というより、横の印象が強い。

その日は弥生門から学内に入った。
何のために? ってか?
エヘヘのヘ、昼めしを食いにですヨ。
なあ~んだ、めしか! ってか?
若さも能力もないこの身と頭、
入学なんか出来るわけないじゃん。

東大、東大と申しやしても
いささか広うござんす。
学食にもいろいろあって
此度目指したのは「第一食堂」、
またの名を「銀杏・メトロ食堂」。

今は昔、学園闘争で
その名を天下に知らしめた安田講堂。
その直下のスペクタクルな
「中央食堂」も悪くはないが
「銀杏・メトロ食堂」は
銀杏・レトロ食堂」と
改名したいくらいのものだ。
入口の手洗い場からして
こんな感じですもん。

手を洗いながらタイムスリップ

どうです? 懐旧派にはこたえられんでしょ?

さて、肝心の ”めし”。
いかに日本の最高学府の、
そのまた最高府といえども
格別に味がよいわけでも何でもない。
作ってくれる方々には申し訳ないが
正直言って学食なんて
単なる”エサ場”でよいのだ。
学生のうちから美食に
うつつを抜かしていたら
将来、ろくな人間になりゃしません。

学食に引っ掛けて
大学の後輩を誘ってみた。
声を掛けるたびに
けっして断らないヤツである。
もっとも毎度こちらの奢りだからネ。

おっ、そうだ、そうだ、
東大で奢りとなると、
大江健三郎の「死者の奢り」が第一感。
高校2年のときに初めて読んだ、
この一作は開高健の「裸の王様」と
芥川賞を競い合った末に
惜しくも敗れた秀作である。

それはそれとして
自分で運んで来たカツカレーがこれ。

ちょっと見はコロッケカレー

口にしてみると、とんかつもカレーも
学食の水準をクリアしている。
相方の食べた日替わり定食はこんなだ。

かれい唐揚げ・コロッケ・おひたし

白飯ではなく舞茸の炊込みごはん。

周りを見ると外国人、
おそらくアメリカ人の先生が多く、
押しなべて温かい日本そばをたぐっている。
ライスに醤油をぶっかける民族だから
東京風のしょっぱいつゆが
お気に召すのかもしれません。

「銀杏・メトロ食堂」
 東京都文京区7-3-1
 03-3811-5297

=本日追記=
しばらく学内に
足を踏み入れていないので
近いうちに再訪するつもりです。
「メトロ食堂」だけは
夕方からだけど
ビールも飲めるしネ。

2026年6月26日金曜日

第4107話 浅草に Tempura From New York (その2)

西浅草の「天ぷら 福岡」。
品札によれば本日の魚介は
車海老・キス・穴子・
あおりいか、4種のみ。
難を云えば、ここに
銀宝とは云わないまでも
メゴチかハゼが欲しいところ。

まずは定石通りに
2本の車海老でスタート。
銀座・日本橋の高級店では
お好みでも最初は海老2本を
強制されることすらある。

天つゆ&おろしを使わず、
塩だけでいただく。
身もさることながら
頭&足の旨さが格別なり。

早くも中瓶は2本目。
浅漬けが恰好のつまみになる。
続いてはキス、これも塩。
天つゆを使うヒマが無い。

あおりいかは感心しなかった。
皮目の硬さが気になる。
一皮むけばまた違った味わいに
なるものと思われ、
ちと残念ではある。

野菜を一つ挟んでおこうかー。
かさ張るモノは避けて茗荷を。
舌先を変えるにはオツな小品だ。
そろそろ日本酒に移ろう。

宮城は塩釜の浦霞を所望する。
一昨年、創業200年を迎えた、
佐浦の手になるものである。
山形の酒を好む J.C.だが
浦霞は好きな銘柄だ。

締めは穴子。
下(しも)をおろしと生醤油。
上(かみ)で初めて
天つゆのお世話になった。

キス・メゴチ・ハゼ。
東京湾に揚がる江戸前の小魚は
みんな好きだが
穴子に如くはない。
もっとも今じゃ産地が
あちこちに散らばってしまった。

数多い天種で穴子に
匹敵するのはだだ一つ。
桜海老と新玉ねぎのかき揚げだ。
こればかりは駿河湾産に限る。
世界広しといえども
桜海老がほかで獲れるのは
台湾くらいじゃなかろうかー。

お勘定は8千円ほど。
昼飲み派にはありがたい1軒を
発見したものです。
しかもなじみの西浅草で。

「天ぷら 福岡」
 東京都台東区西浅草2-7-8
 03-5828-2313

2026年6月25日木曜日

第4106話 浅草に Tempura From New York (その1)

西浅草をぶらぶらしていて
たまたま見つけた「天ぷら 福岡」。
店舗の顔ともいえる、
ファサード看板に
” 天ぷら 福岡 From New York "
とあった。
一体、どういうこと?
その日は昼食後だったため、
翌週、舞い戻った。

ドライ中瓶を飲みつつ、
眺めた Lunch Menu はかくの如し。

海老天丼                  1500円
海老のかき揚げ天丼 1900円
穴子天丼      2200円
デラックス天丼   2700円
天ぷら定食     2100円

穴子好きは迷わずである。
カリッとではなく、
シットリ揚がって
これもまた好し。
脇を固める野菜は
蓮根・茄子・獅子唐・さつま芋。

そして特筆すべきは
きゅうり&大根新香と
千本の人参&大根味噌椀。
いずれも手抜かりが無い。
これは佳店の証明である。
切盛りはご夫婦だろうかー。

2900円を支払いながら訊ねた。
「From New York の意味って?」
「主人が New York の
 『レストラン日本』出身でして」
「あゝ、何度もおジャマしました」
「エッ、あちらに居らしたんで?」
「長いこと棲んでました」

そこから盛り上がり、長い立ち話。
「ぜひ、またいらして下さい」
「今度はお好みでいただきます」
「ウチはお昼だけなんですが
 よろしくお願いします」

インバウンドであふれ返る浅草は
天ぷらはじめ、鮨、鰻、和牛と、
彼らを見込んだ店舗が目立つ。
吾妻橋の西詰には
「Tempura Asakusa SAKURA」
なんていう店もある。

翌週、ウラを返した。
麦酒で一息ついて
前回、気に染まった浅漬けを。
「鰻屋さんの上新香みたいに
 お鉢でいただけますか?」
女将さんニッコリ微笑み、
「ハイ、かしこまりました」
そうしておいて
高い位置に掲げられた、
天種の木札を見上げる。

=つづく=

2026年6月24日水曜日

第4105話 深川で ちとチグハグな はしご酒 (その2)

森下の「ふかがわ翁」。
牡蠣オイルと鯛わたで
菊姫を飲っているが
日本酒ではノドの渇きを
癒すことができない。

サントリー・オールフリーを
しぶしぶ発注した。
ビール好きがノンアルを
飲まなきゃならぬせつなさよ!

鹿児島の芋焼酎・悪魔の抱擁に
切り替えた。
焼酎らしからぬラベルが印象的。
悪魔と美女が描かれ、仏語で
”L'etreinte du diable” と来て
恐れ入りやした。

花わさびの三杯酢を追注。
わさびの辛味と砂糖の甘味が
意外とマッチする。
わさびは主要な根茎以外に
花も葉も大好きだ。

締めはイチジクの天ぷらと
九条ねぎの冷かけをー。
丸ごと揚げたイチジクが
4つにカットされ、
刻まれた九条ねぎが
これでもかと盛られている。
細打ちそばも甘さ控えめのつゆも
「翁」の存在感を主張している。

目の前のバイトと思しき娘さんは
そば味噌造りに忙しい。
一生懸命、しゃもじに
味噌を塗りたくっている。
会計は7800円だった。

森下駅に戻る道すがら
「翁」と同じ並びにある、
「魚三酒場」を通りすがった。
これは素通り出来ないな。
だけど締めのそばまで
食っちゃってるし・・・。
う~ん、ガマンできない、
入っっちゃえ! われながら
やることがチグハグである。

入ってびっくり。
あの人気店がスカスカだ。
森下の町にいったい何が
起こっているんだろう?

とにかくドライの大瓶に
ありついて渇いたノドを潤す。
腹一杯につき、つまみは少量。
赤貝3枚、甘海老3尾でしのぐ。

壁のポスターに目を奪われた。
黄桜 京とくり
これは濁り酒である。
せっかくだから
いただきましょう。
味わっていると
目の前に接客のオバちゃん。

「にごり酒、甘いでしょ?」
「うん、たまにゃ、
 こういうのもいいモンだヨ」
「アタシにゃ甘すぎちゃって・・」
「デザート代わりみたいなもんサ」
「あっ、そうかァ!
 そう思えばいいのよねェ」
勘定は2千円とちょっと。

気取ったそば屋より、
気の置けない酒場が
性に合う J.C.なのでした。

「ふかがわ翁」
 東京都江東区常盤2-12-12
 03-6659-2294

「魚三酒場 常盤店」
 東京都江東区常盤2-10-7
  03-3631-3717

2026年6月23日火曜日

第4104話 深川で ちとチグハグな はしご酒 (その1)

先日、昼めしどきに来て
降りたシャッターが気になった
森下のメイン・ストリート。
高橋夜店通り(のらくロード)に
この日は夕暮れに訪れた。

う~ん、やはりシャッターを
閉ざす店が目につく。
この町も不況に
見舞われているのだろうか?
界隈は下町・深川の北限である。

小名木川に架かる高橋(たかばし)
北詰の「ふかがわ翁」に来た。
東京には上野と神楽坂に「翁庵」。
浅草には「翁そば」と
屋号に ”翁” を冠する店が点在。

当店は著名な高橋邦弘氏率いる、
翁達磨グループの流れを
汲むそうだ。
屋号の似る「しながわ翁」と
同系列ということかー。

翁の歴史は古い。
平安時代から続いている。
”今は昔、竹取の翁と
 いうものありけり”
おっと、これは日本最古の物語。
「竹取の翁」でありました。

開店時間の17時半ちょうどに
到着したが営業する気配がない。
同時に独りの女性も来店。
当方を尻目に引き戸を引いたが
すぐに閉めた。
「開いてないんですかネ?」
「まだ誰もいません」
「エエ~ッ!」

ちょいと間をおいて
今度は J.C.が様子見。
奥に男性の姿が見えた。
「今日は店開けるんですか?」
「今、開けます、開けます」

二人、同時に入店し、
席を一つ空けて横並び。
数えたらカウンター9席の
小体な店である。

品書きを見て愕然。
麦酒が苦手なプレモルしかない。
いや、マイッたな。
パスしてハナから日本酒で行く。
石川県・白山市の銘酒、
”菊姫 先ず一杯”を所望。

つまみに自家製牡蠣オイル漬けを
見つけて店主に訊ねた。
「今の時季に牡蠣がありますか?」
「ええ、通年やってます」
3個お願いし、好物の鯛わた塩辛も。

ビールを飲まずに
いきなりの清酒は何年ぶりだろう?
コレだからこだわる店は
困っちゃうんだ。

ここでリンダが歌い出したが
口うるさい浪花の小姑が
何か言い出すに決まってる。
うっちゃって先に進みましょう。

=つづく=

2026年6月22日月曜日

第4103話 朝鮮焼きをあきらめて

本日は練馬区・平和台に遠征。
相棒は久々の麦歩とも・N子。
メトロ有楽町線・平和台駅で
落ち合ったら環八沿いを
板橋区方面に歩くこと3分。
「グリルおおくぼ」に到着した。

「今、片付けますから
 外でお待ちください!」
環八に面しているので
クルマがビュンビュン。
5分待って席にありつけた。
即刻、ドライ中瓶を発注する。

あらかじめ下調べ済みの
朝鮮焼きに決めていたが
念のため、確認に及ぶ。
似たようなのが下記3品。

やき肉定食     770円
朝鮮焼き肉定食 1040円
生姜焼き定食  1230円

値付けの意味がよく判らない。
やき肉と生姜焼きの価格差は
何を根拠としているのだろう?

お運びのオネエさんに
豚肉の厚みを訊ねると
朝鮮焼きは厚めとのこと。
結局は薬局、朝鮮焼きをあきらめ、
一番薄いやき肉に決定。

洋食がズラリ並ぶメニューから
N子が択んだのは
おこのみ定食(1560円)
+あじフライ(265円)
おこのみの内容は
海老フライ・一口カツ・
クリームコロッケだった。
ずいぶん食うな、と思ったが
まっ、分け合うんだけどネ。

それぞれの定食に
大根浅漬け&胡瓜しば漬けと
豆腐味噌汁が付き、
ライスはともに半分でお願い。
でも、けっこう食べ出があった。

ビールは珍しく1本づつのみ。
2軒目はナシの約束だったから
自ずと散歩も短距離だ。
環八を北西に歩き、
旧川越街道を左折する。

超レトロな北町アーケードと
北町楽天地をぶらぶらしたあと、
東武東上線に乗って池袋へ。
其処からは JR山手線外回り。
相方は西日暮里、当方は日暮里。

すんなり別れたけど、
一時期のダラダラ飲みが
嘘のような今日この頃。
どうやら倦怠期が訪れたようです。

「グリルおおくぼ」
 東京都練馬区平和台4-21-7
 03-3934-5313

2026年6月20日土曜日

第4102話 歓びアーカイブ 第24回

朝食時のライムスカッシュは
一時期、欠かせなかった。
ライムの安売りに目がくらみ、
爆買いしたときのハナシです。

2016年1月22日金曜日

第1279話 ライムを爆買い (その2)

帰宅後、袋から解放したライムは20個。
安値に刺激され、
ハズミがついて爆買いしたものの、
さすがにちょいと当惑気味である。

取りあえず半量の10個を
スクイーザーでキッチリ搾った。
果汁は小さなペットボトルに
移して冷蔵庫にキープする。

ついでだからわが家の
冷蔵庫の中身を発表しちゃおうか。
常備する飲食物を
重要な順にランク付けしてみよう。
ベストテン・イン・マイ・フリッジだ。

① ビール  ② 生わさび  
③ 炭酸水  ④ ロックアイス
⑤ 柑橘果汁  ⑥ バター  
⑦ 玉子  ⑧ 食パン
⑨ ロースハム  ⑩ 牛乳

といった感じでありまっしょう。
炭酸水に違和感を
覚えた向きがおられようが
ここ10年ずっと愛飲している。
そのまま水変わりに
飲むこともあるがほとんどの場合、
酎ハイやその他アルコール飲料を
割るために使う。

二日酔いのときに
飲みたくなるソフトドリンク。
例えばオランジーナや
三ツ矢サイダーさえも、
甘みを抑えるため、
炭酸で半々に割るのだ。

ハムはサンドイッチかハムエッグ用。
あとはポテトサラダや
マカロニサラダに
入れたり入れなかったり。

牛乳はミルクティー専用、
そのまま飲むことはまずない。
生まれて間もなく
母猫から引き離されたせいか
愛猫・プッチも牛のミルクにゃ
まったく興味を示さない。
ハッキリ言って猫またぎに等しい。

当夜は冷蔵庫の中に
夏みかんの果汁がたっぷりあったが
ライムを搾ってモヒートを作った。
季節はずれのモヒートだが
ホワイトラムとスペアミントを
ちゃあんと使った本格派。
しかもバーテンダーが
J.C.本人とあっては
銀座のオーセンティック・バーに
勝るとも劣らない。
と、悪乗りして自画自賛の巻。

氷だってコンビニで
買ってきたロックイス。
これが冷蔵庫の製氷器で
作ったアイスじゃまったくダメ。
妙な匂いが入り混じって
味わうに耐えないモノと化す。

今現在もこれを書きながら
カンパリソーダを飲っている。
カンパリソーダには通常、
スライスレモンを浮かべる、
スタイルがポピュラーだろう。
ところが違うんだな。
スライスライムの香りが
よりシンクロナイズする。

カンパリを2杯やっつけ、
お次はボンベイ・サファイアで
ジンソーダといきたい。
もちろんライムの果汁少々に
スライスも添えましてネ。 

=本日追記=
最近、こういう飲みものは
めっきり飲まなくなりました。
血糖値が上がるため、
ソフトドリンクとも
おさらばしました。

2026年6月19日金曜日

第4101話 夜の裏路地 三河島

スマホに不具合が生じ、
ドコモ西日暮里店へ。
結局、買い替える羽目に陥った。
やれやれ。

縁起直しに一杯飲りたい。
まっ、毎晩飲むんだけどネ。
西日暮里には食指ならぬ、
飲指の動く店があまりない。

かといって日暮里は
ホームグラウンドにつき、
ちと食傷気味である。
そうだ、ときどき出掛ける、
リトル京城・三河島に行こう。

8年前に読者の K野サンと一度、
訪れた居酒屋「春駒」にしよう。
その後、閉店したが線路際に
移転して営業を始めている。

ネットで調べたらそれは駅前店。
街を貫く尾竹橋通りの裏筋に
未踏の本店があった。
2店の家系は同じで本店が本家。
駅前は店主の弟が開いたという。

今年で開業60周年の本店へ。
以前の駅前店に比べると
ずいぶんコンパクトだ。
20席ほどしかない。
先客一人が佇むカウンターへ。

サッポロ赤星大瓶を所望。
居酒屋らしからぬ前菜が出た。
枝豆、小さな冷奴に
鴨ロースが1枚。
かに酢を通すと
細いずわいの脚4本に
たっぷりのシャキシャキわかめ。

水なす浅漬けを追加し、
サントリー知多ハイに移行する。
高価なウイスキーが
意外と安い値付けだった。

カウンターの独り客が入れ替わり、
結局は J.C.と二人体制。
ふと思って振り向いたら
卓はみな埋まっていた。

何かしっかりしたモノを
一品いっておこう。
「ミックスフライ下さい」
「フライ盛合わせね?」
女将さんに云い直された。

スタッフは男3人が厨房。
女性独りが接客で全員外国産。
顔つきと言葉の調子から
ミャンマーと見て
間違いなさそうだ。

盛合わせの中身は
海老1本、キス1枚、
ベイビー帆立2個、
串かつ1本だったが
豚肉と長ねぎの串かつが
一番好かった。

飲み足りないので
普段は滅多に飲まない、
黒ビールの小瓶をお願い。
これが日常、
敬遠しまくっている、
エビスと来たもんだ。

ラベルのど真ん中で
エビス顔の恵比寿さまが
鯛を抱えておりましたとサ。

「春駒 本店」
 東京都荒川区荒川3-60-5
 03-3801-1468

2026年6月18日木曜日

第4100話 坂道ばっかり 白金高輪

久々の広尾商店街を
往ったり来たり。
何度か利用したイタリアン、
「イル・ブッテロ」は消えていた。

外苑西通りを南下する。
バスが行き交う北里通りを越え、
プラチナ通りの坂を上る。
かつてシロガネーゼが
一世を風靡した場所だ。

白金を正しく読むと ”しろかね”。
”しろがね” 派が多いのは
シロガネーゼなる言葉が
広く人口に膾炙したせいだろう。

目黒通りにぶつかった。
此処が外苑西通りの終点。
左折して日吉坂上から
今度は右折で桑原坂。
すぐ左手に八芳園が控えている。

桜田通りの交差点には
明治学院大学がおっとりとした
表情を見せている。
横切って直進。
二本榎通りを渡り、
高輪消防署と高輪警察の間、
桂坂を下って往く。

中腹には可愛らしい洞坂があり、
深紅の舗装の滑り止めが特徴。
車両が入れないため、
滑り止めは歩行者用だろう。

上り下りした洞坂を回れ右。
再び上り下りして戻る。
ぶつかった第一京浜を北上。
伊皿子坂下の泉岳寺を
眺めながら四十七士の墓には
参らず駅の階段を降りた。
これにて散歩はおしまい。

都営浅草線を3つ先の新橋下車。
何のために? ってか?
ハハハ、もちのろん、
ガス欠解消のためですわい。

ニュー新橋ビルの地下に潜るも
これといった飲み屋に当たらず、
烏森通りの先の「ちから」なる、
居酒屋に入店した。

1杯308円の黒ラベルに
惹かれたためである。
肉味噌キャベツのお通しの
418円は必要経費だ。

何かつまみを1品頼まなきゃ。
一番軽そうな梅水晶を発注する。
んん? 何だかヘンなモンが
出て来たたゾ。

本来、梅水晶は鮫軟骨の梅肉和え。
何だこりゃ? 鮫じゃないぜ。
何と、鳥の薬研軟骨じゃないか!
鮫が大量に水揚げされる、
宮城県・気仙沼発祥の梅水晶だが
鳥のヤゲンとは考えやがったな。

キャベツも水晶も
ちょっぴり付けた箸を
そのまま置いて出て来た。
生はちゃんと3杯飲んだけどネ。

「炭火焼 ちから 新橋店」
 東京都港区新橋3-21-3
 03-6368-3414

2026年6月17日水曜日

第4099話 広尾商店街のインディアン

鮮魚店と定食屋を兼ねる店、
「福田屋」のおかげで
広尾商店街はたびたび訪れた。
しばらくご無沙汰したので
久しぶりに出掛ける。
いえ、定食ではなくて
狙いは1軒のインド料理店だ。

それでもモノはついで。
「福田屋」のガラスケースに
見入っていると目を引いたのは
マカジキのすき身。
メカジキは何処にでもあるが
マカジキはとても貴重だ。

買いたい気持ち山々なれど
ランチのあとは長距離散歩。
生モノをブラ下げて
歩き回るわけにはゆかない。
後ろ髪引かれつつ断念した。

「福田屋」の並びの本国ビル。
その3階に上がり、
「プリヤ」のドアを押すと
店内は陽気な笑い声に満ちていた。

発信元はママ友だろうか?
中年女性三人組である。
三人寄れば笑いの渦。
昔、NHKのTVドラマに
「お笑い三人組」って
いうのもあったしネ。

キリンラガーの生をお願い。
今日はカレーではなく、
ビリヤニの腹積もりだが
一応、メニューに目を通す。

すると、老眼鏡を通して
飛び込んで来たのは
その名もローガン・ジョッシュ。
はるか昔にシンガポールで
食べた記憶が残っている。

老眼のオッサンにローガンかー。
これもまた何かの縁、発注した。
この料理はカシミール名物。
ムガル帝国発祥の伝統料理で
直訳すればバターオイル煮。
ものの本にはカレーとあっても
食べた実感はシチューに近い。

運ばれた皿に羊肉がごろごろ。
見てくれはカレーというより
トマト煮のソレだが
ブラウンオニオンソースだ。
辛味はほとんどない。
サイドにサフランライスと
レタス&にんじんサラダ少々。

なかなかの味わいではあった。
感心したのは食後のコーヒーで
深煎りが好みにピッタリ。
支払いは生ビール550円。
ローガン1700円。
他のランチメニューは
各種カレーが1500円ほど。

さて、食後の長距離散歩は
白金から高輪を
踏破する計画です。

「プリヤ」
 東京都渋谷区広尾5-2-25
 本国ビル3F
 03-5941-6996

2026年6月16日火曜日

第4098話 結局は お不動さまに お世話さま (その2)

深川不動堂の参道を歩む。
永代寺の門前を通り過ぎた。
永代橋も永代通りも
この寺があればこその名称。
けれどもそんなに
立派なお寺には見えない。

参道奥の左手に「近為 深川店」。
京都に本店を構える漬物屋は
以前、店内で茶漬けを
食べさせたがその後閉店。
現在、再開したものの、
食事は出来ず、物販のみだ。

その真向かいに鰻「大和田」。
日本各地に同名店が点在する。
当店の存在も認知はしているが
利用したことはなかった。
他にこれといったアテもナシ。
結局は薬局、
お不動さまのお世話になった。

奥のカウンターと
手前のテーブル席はいっぱい。
小上りの2卓のうち、
運よく1卓が空いていた。
接客担当の女性に促され、
4人掛けを占有させてもらう。

ラガー中瓶のお通しはひじき。
これが困ったことに
醤油用小皿みたいなのに山盛り。
箸でつまもうとすると
周囲にポロポロこぼれ落ちる。
何とかしておくれヨ。

鰻小串の用意が何種類かあり、
ひれ焼きと肝焼きをお願い。
最近はコレをやる鰻屋が増え、
好い傾向といえる。

冷えた広島の銘酒、
賀茂鶴・蔵生囲いに切り替えた。
2本の串を美味しくいただき、
うなぎは最も少量のうな丼を。
蒲焼きは半尾分ながら
このくらいでちょうど好い。

肝吸いではないけれど
焼き麩と三つ葉の吸い物。
新香はきゅうり&白菜もみ。
満足のいく昼食となった。

都内各地に散在する「大和田」は
江戸末期に10軒もあったらしいが
詳しい歴史は判っていない。
鰻は謎の多いサカナだが
鰻屋もまた謎に包まれている。
いずれにしろ、お世話さまでした。
お不動さま!

「深川不動前 大和田」
 東京都江東区富岡1-15-4
 03-3630-5527

2026年6月15日月曜日

第4097話 結局は お不動さまに お世話さま (その1)

上野御徒町から乗った、
都営大江戸線を森下で降りた。
高橋夜店通り(のらくロード)は
シャッターを降ろした店が目立つ。
ちなみに此処はたかはしではなく、
たかばしと訓ずる。

開いていたのは中華料理店、
「精華園」くらいのもの。
当店には去年も来てるし、
いっそのこと門仲方面へ
南下してしまおう。
深川散歩は文字通り、
深い味わいがあることだし・・。

川といってもみな運河だけど
いくつか渡った。
まず小名木川を西深川橋でー。
続いて仙台堀川を
橋銘板に ”きさらぎ” とある、
橋で渡った。

はは~ん、この橋は
2月に架けられたんで
如月橋なんだろうな、
と、思ったら違った。
実際は木更木橋だった。

「切られ与三郎」の舞台、
千葉県・木更津は知られているが
他にも ”木更” の付く場所が
あったんだねェ。

調べてみたら ”木更” は
”梗” のことで木の幹や枝が
硬化したもののこと。
そのほかに物が
詰まった状態を表すとも。

心筋梗塞や脳梗塞の ”梗” が
それに当たるわけだ。 
梗塞の予防を兼ねて
今後も歩き続けよう。

木更木橋から川面を眺める。
真鯉と思われる黒い鯉が2尾。
不忍池の鯉と比べると
川がエサ不足のせいか
ずいぶん痩せている。

水母(くらげ)も5匹ほど
プカプカ浮いていた。
深川の運河では
水母をちょくちょく見掛ける。

小学生の頃に棲んでいた、
古石場2丁目にやって来た。
せっかくだからここで昼めし。
そう思ったものの、
飲食店がまったく無い。
3丁目に「司」なる、
本まぐろ専門店があったが
6人の順番待ちで諦めた。

隣り町、牡丹の居酒屋は
満席で断られた。
門仲に近い富岡の洋食屋も同様。
われランチ難民となりにけり。

深川不動の参道にやって来た。
おや? 今日は縁日なんだネ。
子どもの頃が思い出された。

=つづく=

2026年6月13日土曜日

第4096話 歓びアーカイブ 第23回

山形県・米沢に向かう旅の途中、
福島県・郡山に立ち寄りました。

2017年1月17日火曜日

第1538話 愛され続けて65年 (その3)

山形県・米沢市に向かう道すがら
郡山で下車し、市内随一の人気店、
「三松会館」にて小休止。
ポークソテーでビールを飲んだが
まだ少し時間が残っている。
それならと地元の日本酒がほしくなった。

酒のリストは膨大。
日本酒・焼酎はもとより
赤・白・泡のワインが他店とはケタ違い。
東京でもこんな店はめったにない。
創業65年の「三松会館」は
気取ったところなど微塵もなく、
大衆食堂にして大衆酒場にすぎない。

選んだのは地元ではないが
同じ福島の会津娘。
清酒で娘、しかも会津が
冠されているのを見たら
日曜の朝8時、
TBSの「サンデー・モーニング」。
唐橋ユミちゃんのメガネ笑顔が
まぶたに泛かぶが
彼女は会津ほまれの蔵元のお嬢さん。
自身もかなりの酒豪であるそうな。

料理は時間がかかるが酒はすぐ届く。
ややっ! こいつは驚いた。
白ワインじゃないんだヨ
会津娘は可憐な姿で登場。
あたかも白無垢に身を包む花嫁御寮の如し。
会津の娘はこんなふうに嫁ぐのであろうか。
 
写真では判りにくいがこのグラスは
紛れもないリーデル社のオー・シリーズ。
カタチが丸いオーは
アルファベットのOに由来するのだろう。
 
オーストリアのリーデル社は
ワイングラスのトップメーカー。
創業260年を誇り、
その誕生はフランス革命以前だ。
悲劇の王妃、マリー・アントワネット。
彼女がウイーンに生まれたのが1755年だから、
ほぼ同い年と推測されよう。
失礼ながらみちのく郡山で
リーデルに遭遇するとはねェ。
 
会津娘は雑味やケレンとは無縁の美酒。
野球のピッチャーに例えると
球速はそれほどなくとも
コントロールに秀でている。
ストレートが外角低めにストンとキマる。
これならしぶとい打者揃いの打線にも
連打を浴びることはない。
 
酒類の品揃え、グラスの選択、
店主の主義主張とセンスが
如実に発揮されている。
昭和20年代にこんなマネが
できるはずもなく、
当代、あるいは先代が始めたものだろう。
 
かなうことなら腰を落ち着け、
ゆるりと飲み続けたいところなれど、
そうもいかない。
発車時刻に間に合った、
福島行きのリーデル電車、
もとい、ローカル電車に乗り込みました。
 
=おしまい=
 
「三松会館」
 福島県郡山市大町1-3-13
 024-932-0173

2026年6月12日金曜日

第4095話 日本そば屋の海鮮冷やし

日暮里駅で京成電車を待つ。
葛飾区・堀切菖蒲園の町中華で
昼めしの腹積もりだ。
すると急行が先に入線して来た。
6駅飛ばして次の停車駅は青砥。
数分後に各駅が来るというのに
せっかちな J.C.は乗り込んだ。
悪いクセは治る気配ナシ。

青砥の「更科ゆたか」でいいや。
そんな気になって
中華から日本そばへ切替え完了。
駅前の「ゆたか」は
5年前に1度来ている。
そのときは熊本の馬刺しで
ビールを飲んだ。

壁の貼り紙に目を奪われる。
特製麺 海鮮
冷やし中華 ¥1100
まだ6月だというのに
今夏最初の冷やし中華を発注。
ビールはドライの大ジョッキ。

品書きに
◇ 酒類にはお通しがつきます
      (100円)
とあるのに気づき、
接客のオバちゃんを呼ぶ。
「コレってビールには
 付かないのかな?」
「アッ、お通しは夜だけなんです。
 すみません」
「いや、いいんだけどネ。
 ちょっと気なっただけだから」

海鮮冷やし中華が運ばれた。
日本そば屋でもときどき
見掛ける冷やし中華ではある。
皿を彩るのは、小海老・
カニカマ・あさりむき身、
そして小さな貝柱は
イタヤ貝だろう。

ホタテ貝の弟分みたいな
イタヤ貝は産地が異なって
暖かい海に生息している。
値段的にホタテを
ビジネスクラスとしたら
エコノミークラス的存在だ。

他の具材は、錦糸玉子・
きゅうり・わかめ・紅生姜。
まあ、海鮮冷やしを
名乗るだけのことはあった。

ただ、この冷やし中華の特徴は
あえて特製を謳った麺。
中太ちぢれのコシが強烈で
噛もうとする歯を一旦押し戻す。

過去に食べた冷やし中華では
最高ならぬ、最硬といえる。
梅雨の晴れ間にふさわしい、
一食ではありました。

「更科ゆたか」
 東京都葛飾区青戸1-10-3
 03-3697-1519

2026年6月11日木曜日

第4094話 ワールドカップの思い出

いよいよ日本時間の明朝、
W杯が開幕を迎える。
3国共同開催である。
共同での開催は2002年、
日韓が最初であった。

今の日本なら三苫を欠いても
優勝は夢として
決勝トーナメントに
進むことはそれほどの
難題ではあるまい。

初戦のオランダにたとえ不覚を
取ったとしても
チュニジアはクリアできようし、
かつての強豪国スウェーデンは
近年、調子を落としている。

ノルウェーとの前哨戦も
1-3で敗れてるしネ。
まっ、日本のアイスランド戦も
ほめられたものでは
なかったけれどー。

本日のコラムはW杯の思い出を
思い出し出し、語ってみたい。
J.C.が初めて観たのは
イングランド大会(1966)。
中学三年生のときで
この年にビートルズも生で観た。

延長の末、優勝した母国に
エリザベス女王がもらした、
「サッカーにはドラマがある」
このひと言が世界中に流れた。

’70年のメキシコ大会は
ペレ率いるブラジルの圧勝。
ぶっちぎりの王者はW杯史上、
この大会のみである。

’74年西ドイツ大会の決勝は
ロンドンのパブで観た。
ヨハン・クライフ率いた、
オランダは健闘空しく、
西ドイツに敗れて準優勝。

あの大会はイングランドが
出場できなかった。
当時、盟友・S水とともに
イタリア人一家の2階に
間借りしていた。

イングランド破れて
イタリアが進出したが
そこの男の子が飛び上がって歓び、
家中を駆けずり回っていたっけ。

国営放送のBBCが連日、
ドント・フォゲット・サポート・
スコットランド!
そう叫んでいたっけ。

近年はイタリアの凋落と
イングランドの台頭が著しく、
隔世の感がある。
何やってるんだ! イタリアは!

他に印象に強く残る決勝戦は
’94年アメリカ大会。
ブラジルが優勢に試合を進める中、
粘るイタリアが PK戦に持ち込む。
幕切れはバッジョのキックが
ゴールバーのはるか上。
勝敗が決したのだった。

そのあと独りで
リトル・イタリーに出掛け、
淋しく晩めしを食った。
まるで昨日のことのようだ。

早いものであれから32年。
今年は地の利で南米勢かー。
だけど ’14年ブラジル大会の
ドイツみたいな前例もあるからネ。

2026年6月10日水曜日

第4093話 舌が鳴りますキンカンと

本日のランチは JR田端駅近くで
洋食かタイ料理にしようと思い、
動坂を上って行った。
途中、通りすがったのは
端正な佇まいを見せる焼き鳥屋。

こんな場所にこんな店あったかな?
しかもどうしたことか
店名が「清風名月」と来たもんだ。
らしくないねェ。
これじゃ高級和食店だヨ。
でも、せっかくだから
入ってみようか。

お昼は親子丼のみの提供で
あとは酒を嗜む客用に
小さなブラックボードがあった。

★カウンター限定★
 ◎おまかせ3本セット 
  串焼き3本 
  お飲み物1杯 ¥2000
 ◎ミニ親子丼    ¥600

限定品に白羽の矢を立てた。
飲み物は黒ラベル中瓶。
お通しは鳥皮ポン酢だ。
麦酒を飲みながら
なおも品書きを繰っていると
ちょうちんたまり漬けを発見。
好物につき、即注に及んだ。

オレンジ色に光り輝く
未熟卵が5粒並んでいた。
しかし、ヒモ(輸卵管)と
キンカン(未熟蘭)が
合体してこそ、ちょうちん。
品書きにはキンカンと
書いて欲しかったが
美味しさに舌が鳴りました。

ここでわが耳朶に
「とんがり帽子」が聴こえてきた。

♪ 緑の丘の 赤い屋根
  とんがり帽子の 時計台
  鐘が鳴ります キンコンカン
  メーメー小山羊も 啼いてます
  風がそよそよ 丘の家
  黄色いお窓は 俺らの家よ ♪
   (作詞:菊田一夫

敗戦間もない昭和22年に放送された、
NHKラジオドラマ「鐘の鳴る丘」。
その主題歌「とんがり帽子」である。
当方、鐘の代わりに舌が鳴っちゃった。
キンコンカンではなくキンカンと。

中瓶をお替わり。
串焼きは胸皮、もも元が塩。
温玉を添えたつくねには出汁醤油。
一ひねり加わって味わい深い。

締めにミニ親子丼もいただくと
比内鶏がたっぷり使われている。
玉子はブクブクとあぶくだらけ。
店はツー・オペで
秋田出身の主人と
カトマンズ出身のネパール女性だ。

「親子はいかがでしたか?」
店主に訊かれ、
「親子丼が飲み物ってこと
 初めて知りましたヨ」
こう、応えたものでした。

「清風名月」
 東京都北区田端1-5-3
 03-5834-2473

2026年6月9日火曜日

第4092話 この作詞家をリスペクト

橋本淳さんが亡くなった。
大好きな作詞家だった。
こちらも深く敬愛する、
筒美京平さんとのコンビで
幾多の名曲を世に出してくれた。
感謝をこめて哀悼の意を捧げたい。

例によって彼の作品から
マイ・ベスト20 まいります。
順位付けが難しいため、
TOP10とSECOND10 に
仕分けてみました。
作曲者と歌い手も列挙してあります。

=TOP10=
バラ色の雲
(筒美京平 ヴィレッジ・シンガーズ) 
太陽は泣いている
(筒美京平 いしだあゆみ)
雨のエアポート
(筒美京平 欧陽菲菲)
夜汽車
(筒美京平 欧陽菲菲)
北国の青い空
(ベンチャーズ 奥村チヨ)
スワンの涙
(筒美京平 オックス)
逢いたくて北国へ
(井上忠夫 小柳ルミ子)
雨の日のブルース
(筒美京平 渚ゆう子)
望むものはすべて
(筒美京平 ヒデとロザンナ)
ビューティフル・ヨコハマ
(筒美京平 平山三紀)

=SECOND10=
ヘッド・ライト
(筒美京平 黒沢明とロス・プリモス)
長い髪の少女
(鈴木邦彦 ザ・ゴールデン・カップス)
海へかえろう
(すぎやまこういち シャープ・ホークス)
北国の二人
(井上忠夫 ジャッキー吉川とブルーコメッツ)
捧げる愛は
(筒美京平 島倉千代子)
僕のマリー
(すぎやまこういち ザ・タイガース)
青いリンゴ
(筒美京平 野口五郎)
京都・神戸・銀座
(筒美京平 橋幸夫)
ローマの雨
(すぎやまこういち ザ・ピーナッツ)
カナダからの手紙
(平尾昌晃 平尾昌晃&畑中葉子)

最後に1曲紹介しましょう。
1967年リリース、超マイナーな
「捧げる愛を」をお送りします。
市場魚貝類図鑑じゃないけれど
この曲をご存じでしたら
貴方は達人級ですゾ。

♪ 捧げるものは 愛だけなのに
  あなたはいつも そうよあなたは
  いじわるね
  小指の先で 私の心
  あなたは今日も ふれるだけ
  花は散っても せつない恋の
  想い出だけは だきしめて 
  だきしめて
  私一人の 秘密にするの
  捧げる愛は 愛は消えない 
   (作曲:筒美京平)

橋本淳は青山学院大学で
筒美京平の1年先輩。
青学はほかに桑田佳祐&由子夫妻、
中村正人、かまやつひろし、
平岡精二と、多くの優れた、
音楽家を輩出している。
駅伝だけじゃありませんな。

2026年6月8日月曜日

第4091話 行きつけで ラーメン超える ラーメンを

日暮里駅前ロータリーに面する、
中国料理店「又一順」は
 J.C.のお休み処。
今日は暇な一日につき、
ザーサイをつまみに
麦酒を飲んでいた。

さて、何を食べようかな?
定番の小皿料理、
腸詰と干大根玉子焼きは
ちょいと飽きてきたし、
湯麺はアワビそばが好きだけど
滅多に食べないラーメンにした。

隣卓の老夫婦が
ドライ中瓶を分け合いながら
それぞれ海老チャーハンを
1人前づつ食べている。

そこへ餃子がこれも2皿。
近頃の老人の食欲は
若い者並みなんだネ。
その旺盛ぶりに
妙な感心をしちまった。

ラーメンが着卓。
あれっ? こんなんだったかな?
滅多に食べないから
記憶違いかも知れないが
見た目はずいぶん変わった。

周りを食紅に彩られた、
厚めのもも肉叉焼2枚が
真っ先に目を引く。
半味玉にわかめとシナチク。
余白を埋め尽くす大量の刻みねぎ。
通常のラーメンの風景ではない。

箸で引きずり出した、
シナチクに目を疑った。
長さ10cmはラクにあろう。
ソイツが4~5本横たわる。

節目があるから姫竹の一種かな?
それにしても
こんな竹の子見たことない。
食味はなかなかだった。

青みはほうれん草、
あるいは絹さやが理想ながら
シャキっとしたわかめは悪くない。
醤油スープと一緒にすする、
ねぎも好いアクセント。
ヨソではまず注文しない味玉も
半玉ならジャマをしない。

困ったのは大量の細打ち麺。
他店の大盛りはあろう。
食べ切るのに四苦八苦した。
見た目、材質、ボリューム、
全てがフツーのラーメンを
はるかに超えるラーメンでした。

「又一順(ユーイシュン)」
 東京都荒川区西日暮里2-18-3
 03-3801-8520

2026年6月6日土曜日

第4090話 歓びアーカイブ 第22回

此度は浅草の奥座敷、
観音裏のそのまた奥で
吉原の隣り町にご案内。
南千住・汐入からも近いです。

2016年8月9日火曜日

第1421話 浅草の奥深し (その3)

浅草の奥も奥、橋場の「山海」にいる。
かつおのあと、生のわさびを得て
岡山産の蝦蛄が本領を発揮。
これでこそ本物のしゃこわさだ。
しっとりとしていながら
しっかりとした蝦蛄の美味を堪能した。

せっかくの本わさびだから
もうちょいと生モノをつまみたい。
青森の平目や常磐のかれいに惹かれるが
かつおのあとで白身もないものだ。
よって〆さばをお願いした。
三浦半島は松輪の産である。
松輪は半島の最南端、
城ヶ島の西に位置している。

大分県佐賀関に揚がるのが関さばなら
松輪漁港に揚がるのは黄金さば。
いわゆるブランドさばなのだ。
蝦蛄ほどではないが水準は高い。

刺身系はもうじゅうぶん。
何か目先・箸先の変わった料理がほしい。
うなぎ好きのT栄サンが肝焼きを択んだ。
もちろん鶏ではない、うなぎの肝である。
見るからに国産の一級品
中国産みたいにバカデカくないのが好い。
白鹿の生酒とともに賞味した。

お次は品書きに江戸前と明記された穴子の天ぷら。
天つゆではなく粗塩で
身肉にプリッとした弾力があり、
食味もなかなかにけっこう。

江戸前の穴子となれば、
羽田や金沢八景の名産だが
十数年前に羽田は
壊滅状態になったと聞いた。
今はどうなのだろう。
小柴の蝦蛄が消えた現在、
金沢八景の穴子は無事だろうか?

白鹿をお替わりする。
さほどつまんでないのに何となく満腹。
締めの代わりにあっさりと
水茄子の浅漬けをもらう。
大阪は泉州・岸和田の特産である。
泉州以外では育たぬ特殊な茄子ながら
最近は茨城産を目にするようになった。

夜の帳(とばり)の降りた街を歩く。
浅草の夜はまだ浅いが浅草の奥は深い。
相方が見たいというので吉原をゆく。
言わずと知れた一大ソープランド街だ。
女性連れなら呼び込みに
声を掛けられることもなく好都合。

千束から象潟(きさかた)に抜けた。
柳通りの見番(産業組合)、
その2階に灯りが点っている。
宴席、あるいは芸者さんの稽古だろう。
夜風に吹かれながら
江戸情緒に浸ったのでした。

=おしまい=

「山海」
 東京都台東区橋場1-30-10
 03-3873-4731

2026年6月5日金曜日

第4089話 旨いとんかつ 食べたくて

前日の大塚「三節」のとんかつに
少なからず不満を残したため、
旨いとんかつを食べたくなり、
連日のとんかつ行脚を敢行する。

出掛けて行ったのは
上野駅入谷口の「まる一」。
一時期、とあるミッションで
東上野に通う機会があり、
何度かお世話になって
深く首肯した覚えがあった。

ロースカツ定食(1600円)を
ドライ中瓶とともに発注。
トッピング・メニューから
ふた口カレー(200円)という
ヤツもお願いしてみた。

見慣れた姿でロースが登場。
脇には焼き麩&青菜の味噌汁と
しば漬け&たくあんが少しづつ。
ごはん多めにキャベツは控えめで
「三節」の3分の1程度だ。

カツはさすがだった。
しっとりと揚がり、
肉質よろしく脂身の付き具合も
理想的であった。
カレーはやさしい味わいながら
まあフツーかな。

かつてとんかつ発祥の地、
上野でその名も高き、
 ”とんかつ御三家” 。
「双葉」すでになく、
「ぽん多」は赤身主体で
脂身の楽しみなく、
高価に過ぎて庶民にはキビしい。
小津安二郎が愛した、
「蓬莱屋」はヒレカツ専門につき、
ロース好きは近寄るべからず。
マイ・ベストは断然「まる一」だ。

あれは7年前。
近くのそば屋のカウンターで
「まる一」のオーナーの
オジイちゃんと隣り同士になり、
意気投合して菊正の熱燗を
酌み交わしたことがあった。
お元気でおられるだろうか?

そんなことを思い出しながら
坂本龍馬に因んで名付けられた、
船中八策の冷たいのに移行。
土佐の酒では酔鯨より好みだ。
満足しての会計は3300円也。

さて、上野駅構内のスーパー、
「GARDEN」に立ち寄り、
夜のつまみの調達と参ろう。

「とんかつ まる一」
 東京都台東区上野7-8-22
 03-3841-6671