♪ 兎追 ひし彼の山
小鮒釣 りし彼 の川
夢 は今も巡 りて
忘 れ難 き故郷
如何にいます父母
恙無 しや友 がき
雨に風 につけても
思 ひ出 づる故郷
志 を果 たして
いつの日にか歸 らん
山 は青 き故郷
水は清 き故郷 ♪
(作詞:高野辰之)
小学唱歌、「故郷」が尋常小学校六年生の教科書に載ったのは
大正3年(1914)のこと。
「城ヶ島の雨」、「カチューシャの唄」、「朧月夜」も同年の作品。
そして遠く欧州では第一次世界大戦が勃発していた。
教科書の歌詞にはふりがなが送られている。
小学六年生だから
恙(つつが)無しや、歸(かへ)らんは判るけど、
山、川、雨、風にまで送るのはやり過ぎだろう。
一年生じゃないんだから―。
「故郷」の舞台となっているのは
詞を書いた高野辰之の生まれ故郷、長野県・中野市。
善光寺平の北東部に位置し、
県庁所在地・長野市に隣接している。
J.C.のふるさとは長野市。
善光寺のすぐ裏で生を受けた。
幼少の頃、山で兎を追ったことはないが
裏山に上った記憶はある。
小鮒を釣ったこともない。
代わりに善光寺のすぐ裏手にあった、
つばめ池で オタマジャクシやザリガニを
つかまえるのが大の楽しみだった。
池のほとりには銭湯があり、
15時になると、 毎日のように通ったものだ。
普段、古い流行歌ばかり取り上げているので
たまには心洗われる唱歌を紹介してみたのだが
べつに兎を追う機会に恵まれたのではない。
そう、サブタトルにあるごとく、
鰻が美味しかったのであった。
=つづく=
如何にいます
雨に
いつの日にか