♪ 人はだれも 悪いことを
覚えすぎた この世界
築き上げた 楽園(ユートピア)は
こわれ去った もろくも
誰も見えない 廃虚の空
一羽の鳩が とんでる 真白い鳩が
生きることの 喜びを
今こそ知る 人はみな ♪
(作詞:山上路夫)
タイガースの「廃虚の鳩」。
加橋かつみがヴォーカルを担当していて
ここで歌われている廃虚は原爆ドームを指している。
おっと、広島ではなく東京は高田馬場の廃虚であった。
そこで鳩ならぬ猫に遭遇し、異物を見てたじろいだところだ。
J.C.をあとずさりさせたのは
忌まわしくも1匹のドブネズミの死骸であった。
それも相当デカいヤツ。
猫にしてみりゃ、獲物を見せびらかしているのであろう。
獺(かわうそ)が獲ったサカナをお供えのように陳列するさまを
獺祭(だっさい)と呼ぶが、まさしくこれは猫祭(びょうさい)だ。
いや、はや、それにしてもイヤなもの見ちまったぜ。
廃虚に立ち、四十有余年前に思いをめぐらせた。
Kはいかにしてこの場所を探り当てたのだろうか?
大学で出会った唯一の友人がKで、彼とはどこかウマが合った。
お互い高校時代にサッカーをしていたので
親近感が湧いたのかもしれない。
当然のように2人は大学の体育もサッカーを選択した。
ある日、体育の先生(助教授かな?)が
出席回数の足らない学生たちに奇抜な提案。
彼が率いるサッカー同好会、「稲穂キッカーズ」と試合をして
勝てば欠席の3回分、引き分けても1回分を
出席扱いにしてくれるという実に粋な計らいであった。
これにゃ燃えたネ、いや、張り切った。
何かを賭して闘うことは男の本能を刺激し、血潮をたぎらせる。
KもJ.C.も奮闘努力した結果、3-0 の大楽勝ときたもんだ。
大学に入ってから趣味で始めた同好会の連中を
サッカーとともに育ち盛りを過ごしたわれわれが
文字通り、軽く一蹴した次第である。
もっともこの翌月、過激派学生が校舎をロックアウト。
勝ち取った出席3回分は意味のないものになってしまった。
ノンポリのJ.C.にとってロックアウトはいい迷惑だったが
おかげでバイト、麻雀、ビリヤードに明け暮れる日々、
実によく稼ぎ、大いに遊んだものである。
あの頃、街に流れていたのはは辺見マリの「経験」。
♪ わかってても あなたに逢うと
いやと言えない ダメなあたしネ
だから今日まで だから今日こそ
きらいにさせて 離れさせて ♪
(作詞:安井かずみ)
様々な経験をした1970年だが、それから間もなく、
最近、一躍脚光を浴びている由紀さおりの歌声を
八月の濡れた砂の上で聴くことになった。
=おしまい=
覚えすぎた この世界
築き上げた 楽園(ユートピア)は
こわれ去った もろくも
誰も見えない 廃虚の空
一羽の鳩が とんでる 真白い鳩が
生きることの 喜びを
今こそ知る 人はみな ♪
(作詞:山上路夫)
タイガースの「廃虚の鳩」。
加橋かつみがヴォーカルを担当していて
ここで歌われている廃虚は原爆ドームを指している。
おっと、広島ではなく東京は高田馬場の廃虚であった。
そこで鳩ならぬ猫に遭遇し、異物を見てたじろいだところだ。
J.C.をあとずさりさせたのは
忌まわしくも1匹のドブネズミの死骸であった。
それも相当デカいヤツ。
猫にしてみりゃ、獲物を見せびらかしているのであろう。
獺(かわうそ)が獲ったサカナをお供えのように陳列するさまを
獺祭(だっさい)と呼ぶが、まさしくこれは猫祭(びょうさい)だ。
いや、はや、それにしてもイヤなもの見ちまったぜ。
廃虚に立ち、四十有余年前に思いをめぐらせた。
Kはいかにしてこの場所を探り当てたのだろうか?
大学で出会った唯一の友人がKで、彼とはどこかウマが合った。
お互い高校時代にサッカーをしていたので
親近感が湧いたのかもしれない。
当然のように2人は大学の体育もサッカーを選択した。
ある日、体育の先生(助教授かな?)が
出席回数の足らない学生たちに奇抜な提案。
彼が率いるサッカー同好会、「稲穂キッカーズ」と試合をして
勝てば欠席の3回分、引き分けても1回分を
出席扱いにしてくれるという実に粋な計らいであった。
これにゃ燃えたネ、いや、張り切った。
何かを賭して闘うことは男の本能を刺激し、血潮をたぎらせる。
KもJ.C.も奮闘努力した結果、3-0 の大楽勝ときたもんだ。
大学に入ってから趣味で始めた同好会の連中を
サッカーとともに育ち盛りを過ごしたわれわれが
文字通り、軽く一蹴した次第である。
もっともこの翌月、過激派学生が校舎をロックアウト。
勝ち取った出席3回分は意味のないものになってしまった。
ノンポリのJ.C.にとってロックアウトはいい迷惑だったが
おかげでバイト、麻雀、ビリヤードに明け暮れる日々、
実によく稼ぎ、大いに遊んだものである。
あの頃、街に流れていたのはは辺見マリの「経験」。
♪ わかってても あなたに逢うと
いやと言えない ダメなあたしネ
だから今日まで だから今日こそ
きらいにさせて 離れさせて ♪
(作詞:安井かずみ)
様々な経験をした1970年だが、それから間もなく、
最近、一躍脚光を浴びている由紀さおりの歌声を
八月の濡れた砂の上で聴くことになった。
=おしまい=