43年ぶりに再会した日活映画、「私が棄てた女」。
ちょうど同時期に観たイタリア映画、
P・ジェルミ監督、S・サンドレッリ主演の
「誘惑されて棄てられて」とヤケにダブるが
そこは日・伊の違い、こちらは暗くあちらは明るい。
月と太陽にも似た彼我の差。
昭和30年代の日本女性は現代のようにチヤホヤされておらず、
社会的に虐げられた日陰の部分を内包していた。
美人でも魅力的でもない不細工なミツ(小林)と
吉岡(河原崎)がつき合っていることを知っている、
学友の長島(江守徹)は吉岡に言い放つ。
「女は男のレベルメーター、
たとえば豚の仔が可愛いからって
一生その豚抱いて暮らせるか?」
こうまで言われちゃ、
この役を都はるみに演じさせるワケにはいくまい。
男が女を見下していただけではない。
マリ子(浅丘)も母親のユリ子(加藤治子)に言われる。
「女はとにかく、自分の不幸を人に
見透かされたら おしまいなんだから・・・」
そんな時代だったんだねェ。
女性にとってはまだ夜明け前、
陽が昇るまで今しばらくの時間を要する時代だったのだろう。
得意先の接待で温泉地に出向いた吉岡は
ミツに売春を強要した過去のある女、
しま子(夏海千佳子)とそこで邂逅する。
未練心につまづきながら、
心の奥底に断ちがたいミツへの恋慕を抱える彼は
彼女の居場所をしま子から訊きだす。
このときいきなりバックに流れたのが
♪ あなた知ってる 港ヨコハマ
街の並木に 潮風吹けば
花散る夜を 惜しむよに
伊勢佐木あたりに 灯がともる
恋と情けの ドゥドゥビ ドゥビドゥビ
ドゥビドゥヴァー 灯がともる ♪
(作詞:川内康範)
「伊勢佐木町ブルース」は1968年の年明けに発表された。
初見の際には気にもとめずに聞き流したが
この曲は45年を経た今も新鮮、ちっとも古びていない。
青江三奈のハスキーヴォイスが流れたとき、
胸の奥でパチンと弾けるものがあった。
映画自体はどんどん歳を重ねていくのに
傑出した楽曲はけっして歳をとらないものなんですネ。
=つづく=
ちょうど同時期に観たイタリア映画、
P・ジェルミ監督、S・サンドレッリ主演の
「誘惑されて棄てられて」とヤケにダブるが
そこは日・伊の違い、こちらは暗くあちらは明るい。
月と太陽にも似た彼我の差。
昭和30年代の日本女性は現代のようにチヤホヤされておらず、
社会的に虐げられた日陰の部分を内包していた。
美人でも魅力的でもない不細工なミツ(小林)と
吉岡(河原崎)がつき合っていることを知っている、
学友の長島(江守徹)は吉岡に言い放つ。
「女は男のレベルメーター、
たとえば豚の仔が可愛いからって
一生その豚抱いて暮らせるか?」
こうまで言われちゃ、
この役を都はるみに演じさせるワケにはいくまい。
男が女を見下していただけではない。
マリ子(浅丘)も母親のユリ子(加藤治子)に言われる。
「女はとにかく、自分の不幸を人に
見透かされたら おしまいなんだから・・・」
そんな時代だったんだねェ。
女性にとってはまだ夜明け前、
陽が昇るまで今しばらくの時間を要する時代だったのだろう。
得意先の接待で温泉地に出向いた吉岡は
ミツに売春を強要した過去のある女、
しま子(夏海千佳子)とそこで邂逅する。
未練心につまづきながら、
心の奥底に断ちがたいミツへの恋慕を抱える彼は
彼女の居場所をしま子から訊きだす。
このときいきなりバックに流れたのが
♪ あなた知ってる 港ヨコハマ
街の並木に 潮風吹けば
花散る夜を 惜しむよに
伊勢佐木あたりに 灯がともる
恋と情けの ドゥドゥビ ドゥビドゥビ
ドゥビドゥヴァー 灯がともる ♪
(作詞:川内康範)
「伊勢佐木町ブルース」は1968年の年明けに発表された。
初見の際には気にもとめずに聞き流したが
この曲は45年を経た今も新鮮、ちっとも古びていない。
青江三奈のハスキーヴォイスが流れたとき、
胸の奥でパチンと弾けるものがあった。
映画自体はどんどん歳を重ねていくのに
傑出した楽曲はけっして歳をとらないものなんですネ。
=つづく=