2015年1月5日月曜日

第1005話 緑のたぬきで力ぬき (その2)

2015年1月1日午前7時、独り厨房に立っていた
おっと、その前に何人かの読者の方からいただいた、
お問い合わせに応えておきましょう。

「ビアリーって何ですか?」―質問はこのことであった。
みなさんはユダヤの民がことのほか愛する、
ベーグルというドーナツ形のパンをご存知ですか?
ビアリーもやはりドーナツ形をしてはいるが
ベーグルより二回りほど小型にして質量も小さく、
スカスカの生地を持っている。
アメリカではレバノンのベーグルなんて言われてたっけ―。

元旦のキッチンであった。
緑のたぬきに餅を乗せたら即、力そばだが
それはあくまでも力そばであって雑煮とは呼びがたい。
しかし、緑のたぬきのそばぬき、いわゆる力ぬきなら
三つ葉でもあしらえば、もう立派な雑煮でありまっしょう。

さっそく調理(というほどでもないが)に取り掛かる。
三つ葉の買い置きがなく、長ねぎの代用でガマンした。
その代わり、年末に買った柚子の果皮を3片ほど浮かべてみた。
う~ん、いい香りだ。

そう、そう、緑のたぬき備え付けのかき揚げだが
1個を丸ごと入れるとシツッコいため、半分に割って入れる。
当然のことながら満月ではなく、半月になった。
粉末のつゆの素も丸一袋では味が濃すぎるため、4分の3に抑える。

ねのひの尾張男山を1合を上燗につけ、力ぬきとともに飲る。
うん、うん、まったくもって悪くないねェ。
新年の第一食としてはちと侘しいが、とにかく雑煮が食べられたのだ。
これでいいじゃないかえ、皆の衆?

多くの読者は今きっと案じていることでありましょう。
「緑のたぬきのそばの方はいったい何処へ行ったのか?」 と―。
もちろん棄てやしませんヨ。
熱湯に4分間浸したあと、冷水にさらし、ザルに揚げて水切りを施している。

長ねぎの白い部分を薄くきざみ、これも冷水にさらす。
冷蔵庫に活かしている生わさびと寝かしてある自家製のそばつゆを取り出す。
そうして雑煮のあとでもりそばを味わったのだった。
ここで燗酒をもう1合だ。

酒2合でホロ酔い加減。
歯磨きと洗面をすみやかに済ませ、ベッドにもぐり込む。
すかさず愛猫・プッチが隣りに滑り込み、添い寝の準備である。
そうしてわれら二人、暁を覚えたうえで春眠をむさぼった。
シアワセなり。