代々木上原のうなぎ店「鮒与」にちなんで
「文豪の味を食べる」は古賀政男の稿のつづき。
店内は実に質素と言うか、はっきり言わせてもらうと殺風景。
うなぎの寝床風に細長く15~6人は入れそうだが先客はいなかった。
一見して出前中心の商いだと知れる。
それを裏付けるようにほどなく出前注文の電話が鳴った。
壁には棟方志功の大弁財天の版画が掛かっている。
日本酒を飲みたいと思ったが
ここは我慢してうな重に直行。
中(1800円)や上(2200円)には見向きもせずに
並(1400円)をお願いした。
蓋を開けると相当小ぶりなうなぎが一匹分整列していた。
まだ幼魚と成魚の中間という感じで
穴子ならばめそっ子、本まぐろならめじまぐろに匹敵しよう。
これを”めじうなぎ”とは呼ぶまいが
余計な脂肪分が蓄えられる前のデリケートな美味しさが際立つ。
固めに炊かれたごはんも言うことなし。
お椀にたっぷり張られた肝吸い(100円)には
三つ葉が散って柚子皮が一片。
今度は薄切りではないきゅうり&大根ぬか漬けが
うな重を支える恰好の脇役となっていた。
さすがに昭和の音楽界の大御所はよい店をご存知だった。
ほかにうなぎ屋の見当たらぬ上原界隈とは言え、
「鮒与」一軒で事はじゅうぶんに足りるというもの。
こんな名店を持つ近所の人たちを
うらやむどころか、ねたましく思えてきた。
ということでありました。
「文豪の味を食べる」は古賀政男の稿のつづき。
店内は実に質素と言うか、はっきり言わせてもらうと殺風景。
うなぎの寝床風に細長く15~6人は入れそうだが先客はいなかった。
一見して出前中心の商いだと知れる。
それを裏付けるようにほどなく出前注文の電話が鳴った。
壁には棟方志功の大弁財天の版画が掛かっている。
品書きはいたってシンプル。
箸袋に「うなぎ専門」と記されている通り、
酒の肴も肝焼きと中骨の唐揚げ(各300円)があるだけだ。
ビールはキリンとエビス。
キリンを頼むと、おっそろしく冷えたクラシックラガーの中瓶が登場した。
一緒に運ばれた突き出し代わりが旨い。
きゅうり古漬けと大根浅漬けをきざみ合わせただけなのに
お替わりしたくなるほどのもの、多少の化調には目をつぶった。
間もなく焼き上がった肝焼きにも言葉を失う。
ギュッと打ち込まれた肝が串にミッシリとまとわり付くところを
紀州備長炭でミディアムレアにあぶられ、身もだえしたくなるほどの美味。
ほのかな苦味が香ばしく、
鳥のハツを思わせるプリッとした食感も快く、あわてて二本追加する。
結局、一人で三本やっつけたからその晩うつ伏せで寝たら
翌朝、体が持ち上がるかもしれないので仰向けに寝た。
日本酒を飲みたいと思ったが
ここは我慢してうな重に直行。
中(1800円)や上(2200円)には見向きもせずに
並(1400円)をお願いした。
蓋を開けると相当小ぶりなうなぎが一匹分整列していた。
まだ幼魚と成魚の中間という感じで
穴子ならばめそっ子、本まぐろならめじまぐろに匹敵しよう。
これを”めじうなぎ”とは呼ぶまいが
余計な脂肪分が蓄えられる前のデリケートな美味しさが際立つ。
固めに炊かれたごはんも言うことなし。
お椀にたっぷり張られた肝吸い(100円)には
三つ葉が散って柚子皮が一片。
今度は薄切りではないきゅうり&大根ぬか漬けが
うな重を支える恰好の脇役となっていた。
さすがに昭和の音楽界の大御所はよい店をご存知だった。
ほかにうなぎ屋の見当たらぬ上原界隈とは言え、
「鮒与」一軒で事はじゅうぶんに足りるというもの。
こんな名店を持つ近所の人たちを
うらやむどころか、ねたましく思えてきた。
ということでありました。
=つづく=