2015年12月22日火曜日

第1256話 グッと巣鴨がイカすなア (その1)

 ♪  上野オフィスの かわいい娘
  声は 鶯谷わたり
  日暮里笑った あのえくぼ
  田端ないなア 好きだなア
  駒込したことア ぬきにして
  グッと巣鴨が イカすなア  ♪
      (作詞:小島貞二)

小林旭の「恋の山手線」は1964 年3月20日のリリース。
旭がビクターに籍を置いていた時代の作品だ。
この半年後、10月1日には東海道新幹線が開業する。

新幹線に対抗しての山手線でもなかろうが
同10月10日には東京オリンピックが開幕し、
その5日後には前作にそっくりの語呂合わせ第二弾、
「自動車ショー歌」が世に送り出された。

こちらは弾丸列車に足を奪われかねない自動車業界が
こぞって後押しをしたことだろう。

 ♪  あの娘をペットに したくって
  ニッサンするのは パッカード
  骨のずいまで シボレーで
  あとでひじてつ クラウンさ
  ジャガジャガのむのも フォドフォドに
  ここらで止めても いいコロナ ♪
      (作詞:星野哲郎)

このときすでに旭はビクターを去り、クラウンに移籍している。
歌詞にクラウンをはめ込んだのは巧みな職人芸の賜物だろう。

作詞の小島サン、星野サンともに苦労なさったことだろうが
山手線の駅順のシバりがある小島サンのほうが
ずっとシンドかったハズだ。
どちらにせよ、昭和の歌謡史を彩る”迷曲”だったことは間違いない。

ある昼下がり、文京区の100円バスに乗っていた。
車内はガラガラでほかに乗客は二人のみ。
下車したのは本駒込六丁目、ちょうど豊島区との区境だ。
ここから巣鴨は目と鼻の先、JRの駅に向かって歩く。

やって来たのはフレンチ・ワインバーの「プティ・ポワ」。
スタッフはみな女性で可愛い店名にピッタリ。
「プティ・ポワ」は仏語でグリーンピースのことだ。
1000円のランチは日替わりのパスタに日替わりのカレー、
海南鶏飯、鶏もも肉のコンフィの4種類。
あとはサービスランチと称してガパオライス(700円)がある。

パスタとガパオは食べていないが気に入りはコンフィ。
その日はこれを食べにきたのだ。

=つづく=