2020年2月10日月曜日

第2325話  Don' t be so Crazy !

仏壇の町、台東区・稲荷町に元力士が開いた、
個性的なラーメン店があると友人から聞いた。
行列があったとしても、せいぜい数人程度で
待ち時間は短いから、行ってみてとのこと。
気が進まぬまま出掛けると、すんなり入れた。
スタッフのアンちゃんが券売機に貼りついており、
不慣れな客の面倒をみてくれる。

だけど、券売機は苦手なんだよなァ。
せわしないし、他客が背後にくっついたりしたら
ゴルゴ13こと、デューク東郷じゃないから
ワンパンチを見舞ったりはしないが
気になって気になってゆっくり選択などできやしない。

真っ先に視線がとらえた CRAZY CRAB をポチッ。
何がどうクレージーなのか皆目判らんけど、
子どもの頃から蟹は大好きなんだ。
でもサ、1200円っつうのは相当高いんじゃないの。
先頃、王子で食べたオマール海老ラーメンが
1050円だったから、軽く超えちゃってるゾ。
小ぶりの毛蟹が丸ごとドーンと入っとるのかネ? 
まさかァ・・・。

店内は厨房側・窓際合わせてカウンター9席のみ。
すぐ行列が出来るわけがここにあった。
それにしても男4名、女1名の5人オペは多過ぎ。
他人事ながら食材費より人件費が心配になってくる。

アンちゃんが運んできたどんぶりを見て問いかける。
「これってクレージー・グラブなの?」
「ええ、そうですヨ」
全然、そうは見えなかった。

濁ったスープの中に麺が敷かれ、
レアな薄切りチャーシュー(肩ロース)が2枚、
刻んだ青ねぎと玉ねぎ。
以上だけでシンプル極まりない。
オマール同様、クラブはスープに凝縮されてるんだ。

スープを一匙すすってびっくり仰天。
何なんだ、このしょっぱさは!
いや、しょっぱいなんてもんじゃなく超塩辛い。
人生において最もソルティッシュな汁を前に呆然。
文字通り、匙を投げた。
そりゃ、クラブの風味はするけれど、
およそ人類が口にする液体ではないぜ。

スープは避けて博多風の麺に挑む。
お湯を足して欲しいが公衆の面前でそんな要求をしたら
店の名誉と評判を著しく毀損することになる。
とは言ったものの、我慢できずに苦肉の策。
食いたくもない小ライスに救いを求めて再びポチッ!

こいつはクレージー・クラブなんかじゃ断じてない。
許容を超えたクレージー・ソルトそのものだ。
Hey, Don' t be so Crazy, 麺!もとい、Men!
厨房に叫びたかったが辛うじて言葉を飲み込んだ。

「さんじ」
 東京都台東区東上野3-25-12
  090-9313-8828