2024年9月30日月曜日

第3634話 下谷は狭くなりました (その2)

「おおつか」は下谷随一の居酒屋。
下谷随一と言っても狭いエリアだから
飲食店の数に限りはあるが
魚介の品揃えは台東区でも指折り。

入店したらジモティの大宴会の真っ最中。
ワイガヤワイガヤ騒音の極みだ。
十数人中若い娘は一人きり。
この光景に J.C.の脳裏を掠めたのは
終戦後に発生したアナタハン島女王事件だ。
事件についてつまびらかにしないので
興味のある方はググッて下さい。

単身者か二人連れ用の細長い、
逆コの字形カウンターに腰を下ろす。
さっき2本飲んだドライ中瓶をもう1本。
壁に貼られた品札はおびただしい数。

目移りしながらも
キューバンに目を射抜かれた。
蛸のキューバンに相違ない。
好物につき、迷わず発注に及ぶ。

すると・・・小鉢にチョコッと来た。
コレで700円かい? それはないやろ?
すると・・・追っかけでもう一鉢。
こっちはタップリ入っている。
先に来たのはお通しだった。

目鼻立ちの整ったオネバさん曰く、
「似たようなのになっちゃってー」
「ホントだネ、でもいいヨ、許すヨ」
コイツは水ダコのソイツに間違いなし。

蛸キューは歯ざわりが命。
何とも快適、自ずと頬が緩んだ。
清酒に移行と思ったものの、
芋焼酎に切り替えた。
富乃宝山をロックでお願い。

空腹感はまったくないが、もう1品いこう。
ん? 塩すじこ巻か? これも好物だ。
醤油漬けより塩すじこが断然いいしネ。

昭和の東京オリンピックぐらいまで
庶民のちゃぶ台を彩ったのは鱈子と筋子。
イクラなんざ、まだ庶民の口には
入らなかった時代である。
ところが現在、筋子の生産量は
イクラの数%にまで落ち込んだという。

8切れカットの塩すじこ巻は旨かった。
お勘定は3100円也。
外国人だらけの繊維街、
日暮里中央通りを歩いて帰りました。
テクテクとー。

「おおつか」 
 東京都台東区下谷3-11-9
 03-6676-5069

2024年9月27日金曜日

第3633話 下谷は狭くなりました (その1)

この日は Zooとも・白鶴との逢瀬。
いつものように錦糸町の
おなじみ喫茶「ニット」で落ち合った。
彼女の定例診察日にあたり、
医院が混んでずいぶん遅れて来た。

ドライを飲みながら待つため、苦ではない。
隣りの卓でやはりドライを飲むオジさんに
何やら旨そうなプレートが運ばれる。

顔なじみのお婆ちゃん(オーナー)に
「あのお皿はカレーライス?
 それともビーフシチュー?」
「ビーフシチューですヨ、美味しいですヨ」
「今日はいいけど、それじゃ今度ネ」
「ハイ、ハイ、そうなさい」

遅れて到着した白鶴としばし歓談。
その後、互いにバスで移動だが
彼女は駅南口から東陽町行き。
こちらは駅北口から日暮里行き。
北と南の泣き別れであった。

バスは押上・浅草・竜泉を過ぎて下谷。
読者の方々は台東区・下谷をご存じかな?
かつては上野に匹敵するほど
広範囲にまたがった街である。
現在の上野広小路も
下谷広小路と呼ばれていた。

今は昔、下谷に属する地域は現在の
上野・上野公園・上野桜木・北上野・
東上野に加え、秋葉原・池之端・入谷・
下谷・台東・根岸・三ノ輪・谷中・
竜泉・千束・日本堤・松が谷、
その全てが収まっていた。
いかに広大であったか、
ご理解いただけよう。

東上野の下谷神社にその名を残すほか、
”恐れ入谷の鬼子母神” と並ぶ地口、
”びっくり下谷の広徳寺” が世に知られる。
その広徳寺はとっくに練馬に引っ込み、
跡地に台東区役所がふんぞり返っている。

どうしたことか現在は
下谷1~3丁目のみに縮小。
猫のひたいもいいところだ。
往時の栄光なんざ見る影もない。
ヒドいもんだねェ、泣けてくらァ。
行政はいったいどういうつもりなんだ!

おっと、バスに乗ってたんだ。
竜泉から昭和通りを渡り、下谷3丁目。
其処で降りました。
目当ては海鮮居酒屋「おおつか」です。

=つづく=

2024年9月26日木曜日

第3632話 中入谷 8席のみの 和食店

今日はわりと早く家を出た。
まずは近々、当欄で紹介するパン屋へ。
パン屋・だんご屋を攻める際は
早仕掛けが肝要である。

数種のパンを購入し、昼めし、昼めし。
ところは台東区・中入谷。
言問通りと昭和通りの交差点にある、
メトロ日比谷線・入谷駅からほど近い。

初めての「かわ乃」はうなぎの寝床みたい。
入ってすぐ右手に4席。
ジグザグに奥へ進むと厨房の前にまた4席。
カウンターに計8席のみである。
昼の品書きはこうだった。

本日の日替わり 1000円  
豚の角煮 1000円
鰆と銀鮭の西京焼き盛合わせ 1500円
真鯛の柚子胡椒丼 1500円  
お刺身盛合わせ 2000円
松茸と鱧の柳川鍋 2500円
*定食の白飯を+600円でミニ丼に変更可
(真鯛の柚子胡椒丼・鰹の黄味醤油丼)

日替わりは鳥天ぷらと
何かの組合せだったが失念。
豚の角煮をドライ中瓶とともに通す。
そして白飯を真鯛のミニ丼に変更。
中瓶を2本飲む予定につき、
どんぶりは遅れ気味でお願いした。

驚いたのは所要時間1分での配膳だ。
こりゃオルモスト神業だネ。
あらかじめある程度、
膳に盛り付け済みなのだろう。
それにしても早いや。

角煮は大きいのの3個付け。
大根1片と練り辛子が添えられている。
ほかには胡瓜わかめ酢。
出汁巻き玉子2切れに大根おろし。
3種の香の物はチマチマっとー。

角煮は旨みじゅうぶん。
中国料理みたいに八角は香らず、
純和風の味付けである。
出汁巻きも水準に達していた。

中瓶のお替わりとミニ丼を声掛け。
4切れの真鯛づけは柚子胡椒を
ほとんど感じさせないが良質。
豆腐と三つ葉の味噌椀も良し。

会計は3140円。
ちと飲み足りないのでアメ横に向け、
昭和通りを南下して往きましたとサ。

「四季料理 かわ乃」
 東京都台東区松が谷4-28-7
   03-6802-7063

2024年9月25日水曜日

第3631話 静カニ食べた カニ炒飯

お盆の真っ只中、ネット情報を真に受けて
港区・浜松町の宇和島鯛めし専門店に
行ってはみたが盆休みの憂き目。
近所の中国料理店「大天門」に身を転じ、
蟹レタス炒飯を食べたはいいけど
蟹が少なく不満を残した。

そのとき、都内 No1の蟹炒飯、
北上野「栄来軒」のソレが食べたくなり、
すぐに行こうと思ったものの、
うっかり忘れてしまった。
ふと思い出し、遅ればせながらの訪問を
この名店は許してくれるカニ?
くれるよネ。

「栄来軒」は珍しい造りで1階が厨房、
2階の客席は4人掛け5卓に
大きな丸卓が2つ配置されている。
しばらくご無沙汰してしまい、
3年ぶりくらいカニ?

最近、メディアに取り上げられたようで
以前よりかなり客足が伸びている。
店の実力に人気が追いつかないのが
気がかりだったが、ご同慶の至りである。

5年前の初訪問以来寸分変わらぬ、
ランチメニューをかいつまんで紹介したい。

什錦湯麺 990円  三鮮湯麺 1100円
魚翅(フカヒレ)湯麺 1210円
牡蠣豆腐定食 1540円  回鍋肉定食 880円

ところが肝心の炒飯がまったく見当たらない。
蟹のほかにも五目や海老が
あるものと推察はされる。

来ました、着卓しました。
毎度のことながら本ずわい蟹が10片もあるヨ。
これが1100円とは、驚いたというより、
嘘だろ? という勘定、
もとい、感情が湧き上がった。
歓びを押し隠して独り静カニ食べる。
美味しいな、嬉しいな。

明細を見たらビールの中瓶が605円。
この5円の意味が判らないけど
”ご縁” があるようになのかしらん。

会計時、お運びのオバちゃんに訊ねると
炒飯は、焼豚・海老・蟹の3種があった。
レタスだのキムチだのやらないところが
古く良かりし ”昔の支那料理屋然” として
心温まる想いがするのです。

「栄来軒」
 東京都台東区北上野2-2-4
 03-3841-4175

2024年9月24日火曜日

第3630話 串カツは 玉ねぎカツだった!

都電荒川線・三ノ輪橋駅前の「大八」。
先日は定休日に訪れて空振りの挙句、
代わりに入った日本そば屋で
あなご皿&もりを食べたはいいが
満足感は得られなかった。

今日こそはと意気込んで再訪の巻。
引き戸を引くと右側にカウンター。
左手は小上りになっている。

数名の先客はみな単身者。
カウンターで黙々と昼めしワシワシ。
まずはドライ中瓶をお願い。
サービスランチと称する定食はかくの如し。

串カツ 700円  アジフライ 900円
チキンカツ 800円  肉じゃが 750円
さば味噌 800円  ロースカツ 950円
豚バラ生姜焼き 900円
カキフライ(10月~)1000円
カツカレー 900円  海鮮丼 1000円

今は昼毎にビールを飲むので
ビヤガーデンやビヤホールでは
必ずと言ってよいほどに注文する、
串カツに白羽の矢を立てた。
周りはカツカレーが人気の様子。

調った定食は大きな串が2本。
繊切りキャベツにレモンの串切りが添えられ、
豆腐とわかめの味噌汁に
新香はキャベツ・きゅうり・にんじん。
そこそこの様相を呈していた。

まずは串カツの串を抜く。
食べ始めたはいいが驚いた。
豚肉はホンのちょっとであとは玉ねぎだ。

実を云うとJ.C.、
フライド・オニオンが大好き。
下手な豚肉より、よほどありがたい。
コレはコレでまったくオーライながら
肉好きは文句の一つも云いたくなるだろう。
余計な心配をしてしまった。

お勘定は1350円也。
南千住の東側、汐入り地区を
歩こうと思ったものの、
目の前は都電荒川線の始発駅、三ノ輪橋。
乗らない手はない。

デデンコン、デデンコンと揺られ、
終点の早稲田まで行っちまった。
”都の西北” から都営バスの上野松坂屋行き。
ウトウト居眠りしながら帰りましたとサ。

「大八」
 東京都荒川区南千住1-15-13
 03-3891-5088

2024年9月23日月曜日

第2629話 銀幕の 百恵・友和・連太郎

極上ののラザニアに満足して
神保町シアターに移動した。
百恵&友和の「霧の旗」(1977)は
東宝&ホリプロの製作で監督が西河克己。
松本清張の原作は百恵にとって
初めてのミステリー映画だ。

松竹版(1965)のリメイクだが
前作は山田洋次監督、倍賞千恵子主演。
今回の東宝版では獄死する百恵の兄が
関口宏(露口茂)。
彼女の依頼を断って失脚する弁護士は
三國連太郎(滝沢修)。
その愛人が小山明子(新珠美千代)。
( )内は松竹版だが2本とも
凄い役者の揃い踏みである。

彼女を助けようとしながらも
受け入れられない雑誌記者に
三浦友和が扮するが
松竹版の新聞記者、近藤洋介より
大きくクローズアップされている。
これは百恵&友和の共演映画だからネ。

百恵の主演映画は「伊豆の踊子」以来だが
明るい踊子には見られなかった、
彼女の暗い魅力が引き出されている。
さすがに三國との濃厚なラブシーンに
違和感を覚えたものの、
こういうストーリーの作品なので致し方なし。
目をつぶろう。

ただ、気になって仕方なかった点が一つ。
最初から最後まで偶然が続き過ぎるのだ。
それも単なる偶然ではなく、
奇遇ばかりが次から次へ連続する。

清張の出世作にして社会派推理小説の嚆矢、
「点と線」では ”偶然” に疑問を呈し、
”作為” を見抜いて犯人を追い詰める筋とは
まったく別人の作品ではないかー。

ラストシーンはヒロインが
富士の樹海に足を踏み入れ、死を予感させる。
同じ清張原作の松竹映画「波の塔」と
まったく一緒で有馬稲子の姿がまぶたに重なる。
存在感の重さは圧倒的に稲子のものだがネ。

「山口百恵映画祭」はすでに終わり、
「映画で楽しむ私たちの偏愛文学」などと
まわりくどいタイトルの特集が催されている。

「青春の殺人者」(中上健次)
「銀河鉄道の夜」(宮沢賢治)
「黒蜥蜴」(江戸川乱歩)
「人間失格」(太宰治)
「獄門島」(横溝正史)
など、全12本が上映される予定。

J.C.が出掛けてゆくのは
「桜の森の満開の下」(坂口安吾)と
たまたま前述した「点と線」(松本清張)の
2本だけであります。
映画の前はイタリア料理屋「カドヤ」です。

2024年9月20日金曜日

第2628話 百恵の前の素敵なラザニア

この日は神保町の「山口百恵映画祭」。
その前の腹ごしらえは
初めて利用するイタリアン「Angolo」。
チケットを早めにゲットしてから赴いた。

店名のAngoloは ”角” という意味で
英語ならアングル。
言わば国内でよく見かける「カドヤ」だ。
なるほど神保町から白山通りを北に向かい、
ほどなく右手の角地にある。

11時50分に入店し、2人掛けに着いた。
ビールはキリン一番搾りとモレッティ。
それぞれ450円と600円。
フトコロに相談することなく一番搾りを。
同じキリンでもクラシックラガーはキツい。
ラガーまでが許容範囲で
ハートランドと一番搾りなら問題なく飲める。

それではランチメニューのご紹介。

A(1000円)は4種のスパゲッティとラザニア
スパゲッティは
シラス白ワイン風味 サルシッチャと赤ピーマン
いろいろなキノコのクリームソース
揚げ茄子とモッツァレラのトマトソース

B(1600円)がパスタ+魚 or 肉で
鮮魚のアクアパッツァ or 三元豚ロースのグリル

C(2500円)は B+前菜3種と
ドルチェ&コーヒー or 紅茶

すべてにフォカッチャ風の自家製パンと
にんじん&レタスのサラダが付く。
ほとんどの客が A から択ぶ。
J.C.はラザニアを通した。

接客を仕切るのは店主。
腰は曲がっているが
とてつもなく元気で声がバカデカい。
アシストするのはお嫁さん。
厨房のシェフが息子で補佐が母親。
確証も無く断定したが
この見立てに間違いはあるまい。

皿に鎮座するラザニアの存在感に圧倒された。
完食できるかな? たじろいだものの、
その美味しさにペロリと平らげた。
途中からタバスコを振ったりしてネ。

今まで長いこと生きてきたが
ラザニアを食べたのは15回ほどだと思う。
そのうちで今日の1皿は
間違いなく、ワン・オブ・ザ・ベスト。
気分を良くして小瓶を3本も飲んじまった。

映画の際は通ってスパゲッティを食べよう。
心に固く決めました。

「クッチーナ イタリアーナ アンゴロ」
 東京都千代田区神田神保町1-42
 03-3295-9189

2024年9月19日木曜日

第3627話 地獄谷 降りて昇って ご苦労さん

本日の相方は、のみとも・B千チャン。
舞台はJR大森駅西口そばの通称・地獄谷。
正式名称は山王小路飲食店街である。

此処はスゴいぜ、皆の衆。
都内には京成押上線・立石や
東急大井町線・大井町など戦後の混沌を
色濃く残すスポットが点在するが
京浜東北線・大森を超える場所はありません。
たまらなく好きなんだ。

都営浅草線・馬込駅から
炎天下を20分も歩いたため、
ノドチンコがカラカラに乾いている。
待ち合わせの14時にはまだ30分もあるが
たまらず「藤つぼ」の暖簾をくぐった。
希少部位が揃う焼き鳥の名店である。

地獄谷には駅前の池上通りから
3本の石段が通じている。
駅から最寄りの1本を降ると
すぐ右手にあるのが当店だ。

ドライの大瓶をグビッと飲って生き返る。
お通しはきゅうり&大根の浅漬け。
漬かり具合がジャストであった。

B千チャンの仕掛けも早いほうだが
奴さん、一向に現れない。
14時を回った頃、ようやく額に汗して登場。
訊けば、いったん地獄谷に降りたものの、
「藤つぼ」が見つからず、
また石段を昇っちまったんだと。
この暑いのに、ご苦労なこった。

ビールを好まぬ彼に生パインサワーを
勧めたら歓んで飲んでいる。
こちらも大瓶をお替わりし、
焼き始めてもらった。

いやはや、よく食べた。
途中、赤いシロップ入り焼酎ハイボール、
つぼハイに切り替えたりして
はらみ・背肝・まく(ふくらはぎ)・
あきれす(リンパ)・むなもと・
はつ・れば・おび(ももの真ん中)。
他のつまみは何も取らずに
会計は1人アタマ4千円と少々。

東口に流れて「蔦八」。
3年前に銀座の現役ママ・H恵と来たが
あのときははす向かいの「蔦八はなれ」。
本店はかなり久しぶりになる。

此処のビールは赤星大瓶。
太刀魚刺しと玉子入り煮込みを通した。
今回は刺身の鮮度がイマイチで
B千チャンの日本酒に醤油を足して
即席づけにしてみた。

腸壁に脂がびっしり付いたもつの煮込みは
いつも安定の旨さである。
ビール2本に酒2合、会計は1人2千円ほど。
新代田行きバスに乗り込む相方を見送り、
京浜東北線の乗客となりました。

「藤つぼ」
 東京都大田区山王2-2-15
 03-6451-8558

「煮込 蔦八」
 東京都大田区大森北1-35-8
 03-3761-4310

2024年9月18日水曜日

第3626話 とんかつ屋 休みに当たり 町中華 (その2)

不忍通り沿いの町中華「珍華」。
半ドライカレーには細かい豚肉とピーマンのみ。
GABANのブラックペッパーを振ってパクリ。
ふむ、ふむ、なかなかである。

ラーメンにはSBの白コショーをパッパ。
具材はももチャーシュー1枚に
シナチク・ナルト・絹さや。
麺は中太ちぢれ麺、スープは王道の醤油。
典型的な昭和の中華そばが歓ばしい。
昔、三崎坂下にあった行きつけ、
「砺波」をしのばせて懐旧の思いを誘う。

帰り際、タバギンに廻った。
江東区・砂町銀座に本店を構える、
「魚壮」をのぞくと、
珍しくも愛媛産カイワリが何匹も。
エボダイに似た姿にシマアジに似た味わい。
とても美味しいサカナにつき、即購入。
本日3度目の即断即決となった。

後日、近所の友人を誘い「珍華」再訪。
キリンラガーの大瓶を分け合い、
ただちに塔牌紹興酒に切り替えた。
陳五年・花彫である。

料理は皮切りに焼き餃子。
小ぶりの6カンは野菜みっちり。
口当たりが軽やかで好きなタイプだ。

続いて当店の一番人気、フカヒレ丼を。
ネットのカキコミでブレイクしたらしい。
天津丼に似たルックスながら
餡にケチャップは使用されず、
醤油ベースの穏やかな味付け。
なるほど、こういうスタイルがあるんだネ。
玉子との相性もよく率直に美味しい。

変わっていたのはフカヒレだ。
通常は針状のフカヒレが
此処では小さな小さな扇(おうぎ)状。
何処で探してきたのか、初めて見る形状だ。
値段が960円とフカヒレとしては破格。
店主の苦労が垣間見える気がした。

最後のヤキソバは
上海ヤキソバとイタメソバで迷う。
違いを訊くと、どちらも炒めたもので
アンカケはナシ。
イタメソバは具材が五目になるという。
上海を選択した。

豚バラ&野菜たっぷりの塩味仕上げ。
炒めるタイプとして申し分なし。
互いに少食ながら頑張った2人。
会計は津田梅子女史1枚で
コインのオツリを受け取りました。

「珍華」
 東京都文京区本駒込5-43-10
 03-3828-1413

「魚壮」
 東京都北区田端3-6-10
 03-3827-1161

2024年9月17日火曜日

第3625話 とんかつ屋 休みに当たり 町中華 (その1)

文京区・駒込にて所用を済ませ、
界隈でとんかつを食べようと思った。
真っ先に浮かんだのは目黒の老舗の暖簾分け、
「とんき」である。

調べてみたらビールが苦手な銘柄。
や~めた!
即断即決とはこのことだ。

滑り止めを探して見つけたのが
不忍通り沿いの「わらしっ子」。
動坂下の交差点から北に向かい、
「食事処 ときわ」のちょいと先。
上野松坂屋と早稲田を結ぶバスで
ひんぱんに通るため、
何度も目にしているが未訪だ。

行ってみたら定休日、しょうがねェなァ。
先日の三ノ輪の二の舞である。
あのときはとんかつにフラレて
日本そば屋の穴子皿になった。

さすれば近くの田端銀座、
通称タバギンにでも行こう。
歩き始めたら本駒込五丁目のバス停前で
町中華「珍華」に通りすがった。
こちらも認知はしているけど未訪。
き~めた!
本日2度目の即断即決なり。

ビールはキリンラガーの大瓶。
何のこたあない「とんき」と一緒。
何やってんだかなァ・・・
元の木阿弥とはこのことである。

観念してトクトクトクのグビ~ッ!
まっ、以前よりずいぶん、
飲みやすくなってはいるがネ。
にしてもここのところ
しょっちゅうキリンにブチ当たるな。

犬も歩けば棒に当たる。
J.C.も飲み歩けばキリンに当たる。
ってか?

一息ついて店内を見渡す。
厨房に老夫婦、
接客は倅(せがれ)だろう、3人体制だ。
メニューをつぶさに眺める。

半ドライカレー&ラーメン(930円)を
見つけて麺も半分でお願い。
半チャーハン、半チキンライスもあるなか、
町中華では滅多にお目に掛からない、
ドライカレーを試したかった。

=つづく=

2024年9月16日月曜日

第3624話 アルゼンチンから はるばると

 ♪   月の沙漠を はるばると
  旅の駱駝が ゆきました ♪

沙漠をはるばると行ったのは駱駝だが
アルゼンチンからはるばると
やって来た動物もあった。
馬である。

出逢ったのは神田司町の名酒場「みますや」。
当店はわが亡父と同い年の明治38年生まれ。
親近感が生じて幾度も訪れている。
暖簾をくぐると見慣れた光景。
右が小上り、真ん中椅子席、左手座敷。
そこをスス~ッと抜け、奥の卓に着いた。
ロの字カウンターにも似た大テーブルだ。

ドライ大瓶を飲みながら、
お通しの結び昆布煮を噛みつつ、
入念に品書きをチェックする。
そこにあったのがアルゼンチン産馬刺し。
霜降り2400円、赤身1800円。
けっこうなお値段である。
ふところにお伺いを立てて赤身にした。

すると接客のオニイさん。
「にんにく100円ですが、お付けしますか?」
「うん、お願い!」
したらば、おろしにんにくがゴッソリ来た。
こんなん平らげたら明日は人に逢えない。
ましてやハニーとのデートなど
もってのほかであろうヨ。

赤身は上質でウマかった。
中央競馬にもアルゼンチン共和国杯が
あるくらいだから彼の国は馬に馴染みが深い。
さすがに馬刺しは食わんだろうがネ。

ほどなく左隣りに中年カップルが着席。
J.C.同様に赤身の馬刺しを通した。
ほかにも4~5品いっぺんに注文している。
(よく食べるなァ)もちろん口には出さず、
心の内でつぶやく。

ん? 料理が3品並んだのにビールはまだ。
さすがに旦那が催促している。
見かねたJ.C.、
「ハハ、コレはないですよネ?」
思わず声掛けしてしまった。

そこから会話が始まって1時間半の滞空中、
会話が途切れることはなかった。
訊けば、奥さまは古美術商、旦那は役者さん。
おかげで楽しい一夜となりました。
ありがとう。

ドライ大瓶2本、信州の真澄2合、
馬刺し1皿、お勘定は金4700円也。
「みますや」は佳い店であります。
ごちそうさま。

「みますや」
 東京都千代田区神田司町2-15-2
 03-3294-5433

2024年9月13日金曜日

第3623話 鳥越の 天丼哀し 夏の空

千貫神輿で名を馳せる台東区・鳥越の鳥越神社。
以前、暮した柳橋にほど近く、
おかず横丁の存在もあって庭みたいなもの。
此処に和食の老舗「大新」がある。
何度も店先を通っているが
敷居をまたいでないため、出掛けてみた。

天ぷら・刺身・うなぎに
海老フライ・とんかつが主なランチメニュー。
夜はふぐ料理などを供し、宴会もこなす。
昭和の時代の浅草辺りでよく見かけた、
典型的な総合和食店である。

ビールはキリンのみ。
しかも重々しいクラシックラガー。
背に腹は代えられずガマンの発注に及ぶ。
日替わり弁当が売切れており、
豚ぷら定食と迷った末、天丼を通す。
運ばれたドンブリをひと目見て
表情の曇りを実感する。

細海老3本・キス・イカ・
しいたけ・なす・いんげん。
魚介類が見るからに力を失い、ヘタッている。
オマケに大の苦手の古糠漬け。
あさり&小海老入り八宝菜風と
ほうれん草味噌汁は好かった。

夢破れて山河あり。
障子破れてサンがあり。
空を見上げると浮雲がぽっかり
ほうら陽水も歌い出す。
浪花の小姑が何か言ってきそうだけど
ええい、イッちゃえ!

♪     何かを大切に していたいけど
  身体でもないし 心でもない
  きらめくような 想い出でもない
  ましては我が身の 明日でもない
  浮雲、ぽっかり  
  浮雲、ひとりきり  ♪

「青空、ひとりきり」は1976年リリースの
アルバム「招待状のないショー」に
収録されている。
ん? 最近もこの曲使ったな。
まっ、いいか。

涼風(すずかぜ)未だ吹きやらぬ夏空の下、
すぐ近くの鳥越神社に参拝。
境内に足を踏み入れるといつも思い出すのは
浅田次郎の「天切り松 闇がたり」。

第二巻の「残侠」では清水の小政が此処で
得意の居合抜きをフル回転。
並みいる敵をバッタバッタとなぎ倒す。
痛快な当シリーズは彼の作品中、
揺るがぬマイベストであります。

「大新」
 東京都台東区鳥越2-1-4
 03-3862-0035

2024年9月12日木曜日

第3622話 団子のために 早仕掛け

東京の北東の玄関口、足立区・北千住。
飲食店探しに苦労のない土地柄だ。
此処に昭和27年創業の団子屋がある。
”槍かけ団子”の異名をとる「かどや」は
旧日光街道沿いの町はずれで今も営業中。

しかしながら本日紹介するのは他の店。
駅前通りを挟んで街道筋の反対側、
「だんごの美好 北千住店」である。

北千住店というからには
ほかにも店舗が散在し、
23区内にとどまらず、東京都下に加え、
神奈川・埼玉・千葉の各県にも展開している。

いつだったかな?
10年以上前に都下・国分寺で遭遇し、
びっくりした覚えがある。

昼過ぎには売り切れて閉店するため、
なかなか買うことができない。
今日は心しての早仕掛け、
11時前には出現した。

素焼き・いそべ・みたらし・こしあん・
レモンあんなどが揃う。
みたらし&こしあんを2本づつゲット。
ここの団子生地はとても好い。
上新粉と白玉粉のミックスだろうが
隠し味に砂糖も入っているようだ。

今一つの必買アイテムがしいたけ巻き。
煮しめたどんこの太巻きは
ハーフが1パックだけ売れ残っており、
これ幸いと購入した。

11時過ぎには飲み屋横丁の行きつけ、
「幸楽」のカウンターに到着。
11時開店だが、こんなに早い時間は初めて。
すべては「美好」の成せる業である。

刺身・天ぷら・もつ焼き、みなよろしく、
殊に白身の取り揃えがすばらしい。
大衆酒場とは思えぬほどに質が良い。

その日は、コチ・イトヨリ・イサキ。
白身魚をこよなく愛するJ.C.、
定番の鯛や平目もさることながら
稀少な鯒(こち)と鮍(かわはぎ)には
まったく目が無く、出逢ったら雀躍必至。

コチをドライの大瓶とともに通す。
あとは焼きとんのレバとシロをタレ。
シロは良く焼きにしてもらう。
ボール(焼酎ハイボール)に切り替えた。

コチ刺しに粉わさび&醤油は使わず、
紅葉おろし、刻みねぎ、ポン酢でいただく。
何とも美味なサカナくん。
今夜の晩酌には団子二兄弟が待っている。

 「だんごの三好 北千住店」
 東京都足立区千住1-20-9
 03-3882-6998

「幸楽」
 東京都足立区千住2-62
 03-3882-6456

2024年9月11日水曜日

第3621話 丼と 南蛮あれど せいろナシ

浅草寿町行きのバスを
荒川区・三ノ輪の大関横丁で降りた。
昼は鮮魚ととんかつ、
夜はそれらを主とした居酒屋にして
昼飲みも可能な「大八」に着くと、
あいにくの定休日。

仕方なくジョイフル三ノ輪をトボトボ。
昭和のパン屋「オオムラ」は
オーヴンの調子が悪いとかで長期休業中。
亡きめしとも・金ピカ先生と来た、
アチラ系中華は開いていたが
どうも中華の気分になれない。

日本そばの「大むら」があったな。
商店街がほぼ尽きる頃、暖簾が出ていた。
同じ商店街に「オオムラ」と「大むら」だから
パン屋とは縁戚関係にあるかもしれない。
そうだ、あとで訊いてみよう。

引き戸を引くと先客ゼロの店内。
遠慮がちに四人掛けテーブルへ。
ドライ中瓶をトクトクやって
壁の品書きに見入る。

真っ先に目を引いたのは、お皿四兄弟。
あなご皿・牛皿・かつ煮皿・
親子煮皿と来たもんだ。
あなご好きは即あなご皿に行きかけたが
待て、待て、ちょっと待て。
考え直せ、もう一度。
あなご丼やあなご南蛮もあるゾ。

そうだなァ・・・あなごせいろにするか。
店主に訊ねたら、あなごせいろは無い。
代わりにすすめられたのが
あなご皿&もりそばの組合せ。
ふ~む、それもいいでしょう。

運ばれ来たる皿を一見して理由が判った。
穴子は天ぷらではなく煮穴子。
これではせいろ仕立てにならないや。
鰻蒲焼きにも似た煮穴子をつまむ。
かなり甘ったるく何だかなァ。

もりそばはまずまず。
ただし、刻みねぎと大根おろしは好いが
山葵と、珍しくも生姜は
どちらもチューブと来たもんだ。

ガッカリしたせいでもないけれど
パンの「オオムラ」との関係を
訊きそびれちまいやした。

「大むら」
 東京都荒川区南千住1-21-4
 03-3807-5674

2024年9月10日火曜日

第3620話 三人娘の 揃い踏み

神保町シアターで観たのは
山口百恵特集の1本、
「花の高2トリオ 初恋時代」(1975)。
昌子・淳子・百恵、
デビュー間もない三人娘の揃い踏みだ。

監督は森永健次郎。
あまり知らない人ながら
「君恋し」「あゝ青春の胸の血は」
「夕陽が泣いている」など、
日活の歌謡映画のメガフォンを
とることが多かった。

三人揃ってボート部のキャプテンに
恋心を抱く他愛のないストーリー。
デキについてはあまり語りたくない。
脇を固めるフランキー堺と南田洋子が
救いといえば救いだろう。

もともと歌手としての3人には
一目も二目も置いているけれど
女優としてはあまり評価していない。
それを言い出したら
初代三人娘の美空ひばりもそうなんだが
仲間には何をやらせても芸達者、
スーパースターの江利チエミがいたからネ。

石原裕次郎、小林旭、赤木圭一郎と揃った、
男性陣のようにはいかないのだ。
歌う映画スターの先駆け、
鶴田浩二の存在も大きい。

スペースが余ってしまうので
その空白を埋めるわけでもないのだが
三人のマイベスト3を
紹介しておきましょう。

=山口百恵=
横須賀ストーリー
秋桜
パールカラーにゆれて

=森昌子= 
あの人の船行っちゃった 
おかあさん
哀しみ本線日本海

=桜田淳子=
しあわせ芝居
追いかけてヨコハマ
夏にご用心

名曲・佳曲のオンパレードである。

山口百恵特集は今月20日まで。
「風立ちぬ」「春琴抄」「霧の旗」
「泥だらけの純情」「ふりむけば愛」などが
まだ控えているものの、
観に行くのは「霧の旗」くらい。
さほどの百恵ファンではないのでネ。
好かったらまた一報に及びます。

2024年9月9日月曜日

第3619話 ダグウッドサンドをご存じ?

読者のみなさんはダグウッドという、
サンドイッチをご存じだろうか?
米国漫画「ブロンディー」に登場する、
いろいろな具材がブチ込まれた派手なサンドだ。

ダグウッドは金髪のヒロイン、
ブロンディーの亭主で
彼にちなんだサンドイッチがダグウッドサンド。
中身は何でもいいらしく、
とにかくごちゃ混ぜの具だくさんである。

ずいぶん昔の話だが仙台一の繁華街、
国分町の「ほそやのサンド」で食べた、
ダグウッドはハムと野菜のミックスサンド。
ほかのサンドに比べて高かった記憶が残る。

例によって映画の前の腹ごしらえ。
本日は神保町の老舗喫茶「古瀬戸」で
そのダグウッドサンドを
ドライの缶とともにお願いした。
店で缶ビールだとシラケるが
334mlの小瓶に対して350mlだから
文句は言えず、むしろありがたい。

広々とした店内の二人掛けに腰を下ろした。
ノートパソコンを開き打つ客少なからず。
運ばれた4切れのトーストサンドの内容は
ベーコン・レタス・トマトのいわゆる、
BLTに玉子(egg)とチーズ(cheese)。
よってBLTec(ビーエルテック)が
よりふさわしいんじゃないかな?

カプリとかじると予想した通りの味わい。
意外性はまったくないが
それなりの美味しさを感じさせる。
ただし、BLTを超えるほどでもなく、
アメリカ人なら玉子とチーズより、
ベーコンを増量してくれたほうが
歓ぶのではなかろうか。

壁を彩る絵画の枚数多かれど、
見入る客の姿は見えず、
単なる飾りに過ぎないようだ。
食事の場合はともかく
喫茶なら絵を楽しむ余裕もあるハズだが
そういうものでもないらしい。

常連ばかりだから見飽きたのかもネ。
それはそれとしてそろそろ
シアターに移動するとしましょう。

「古瀬戸珈琲店」
 東京都千代田区神田小川町3-10
 03-3233-0673

2024年9月6日金曜日

第3618話 京赤鶏のやきとり丼

天気はいいけど遠出は避けたい気分。
たまには近場で昼めしを済まそう。
コロナまん延のちょい前だったかな?
文京区・根津きっての甘味処、
「芋甚」の並びに炭火焼き鳥の店ができた。
未踏につき、行ってみよう。

「炭焼 まつい」は
逆L字形カウンターのみの小体な店。
8席くらいだったと思う。
その日は先客・後客どちらもゼロ。
だいじょうぶかいな?
ランチメニューはかくの如し。

京赤鶏のやきとり丼  1100円
京赤鶏のたたき丼   1100円
京赤鶏の親子丼    1100円
サーロインステーキ丼 1650円
本生マグロ中トロ丼  1800円

京赤鶏の炭火焼四種を
特製タレをかけたご飯にのせました
謳い文句に惹かれ、やきとり丼と
サッポロ赤星を発注した。

中瓶を追いかけて来たサラダは
ベイビーリーフ、人参&大根繊切り、
コーンが乗って胡麻ドレ。
おざなりなものではないネ。

焼き鳥は、正肉(もも)、ねぎま(もも)、
レバー、つくねの陣容。
加えて緑&赤ピーマン、
黄色いパプリカ、そしてナス。

ふっくら美味しく焼かれているが
炭火なのかな? あまり香ばしくない。
まっ、いいかー。
青小ねぎを浮かべた鶏スープは味わい深い。
夜の一品料理も紹介しておこう。

白レバ刺し とり皮ポン酢 イカ一夜干し
あさりバター 小アジ唐揚げ エイヒレ
豆腐サラダ ポテトサラダ タコ唐揚げ
赤鶏たたき 鰻とねぎの串焼き 鳥雑炊
           以上 880円
とりわさ お新香   以上 660円
やきとり五本コース     1650円
  〃 八本コース     2750円

安くはないが高くもない。
まずまずのお手頃感ではなかろうかー。
やきとりの部位はほかに
ぼんじり・手羽先・ハツ・砂肝・
軟骨といったところ。

夜に裏を返してみたい気もするけれど、
一品料理にもう一工夫あったらいいネ。
いずれにしろ近所のよしみ、
頑張ってつかあさい。

「炭焼 まつい」
 東京都文京区根津2-29-3
 050-8880-3164

2024年9月5日木曜日

第3617話 この建物が魅了する

毎日よく降りますねェ。
まったくイヤになってくる。
♪ 毎日 毎日 ぼくらは雨雲の
  下で降られて いやになっちゃうよ ♪
” 泳げ たいやきくん” さながらの
” 歩け オカザワくん" の今日この頃。

そいでもって今日は雨が止んだつかの間、
池袋行きのバスに乗り、千石1丁目下車。
昔、一度だけ利用した、
日本そば「進開屋」の暖簾をくぐる。

住まいを兼ねた二階建ての佇まい。
その趣きの濃度は東京随一と言ってよい。
店内左手に階段ならぬ、はしご段がむき出し。
柱時計ともども大正の昔をしのばせる。

創業は大正3年(1914)。
第二次世界大戦勃発の年である。
関東大震災で焼失したものの、
3年後には建て替えられ、現在に至っている。

1階に8人掛け2卓。
2階は住居につき、客が上がることはない。
入口に一番近い席に着いてほどなく
目の前に子連れ夫婦3人組が座った。

当店に飲みものはなく持ち込み自由ながら
向かいの酒屋はシャッターを閉じていた。
よっていつもの御用達、
牛めし「松屋」を千石駅前に見つけてあった。

通常のもり・かけが500円のところ、
小もり・小かけは300円にディスカウント。
よお~し、両方イッたろうやないかい。
ちょいと混んでおり、少々時間がかかった。

そばはやや太め、ツユはごくフツー。
刻みねぎの小皿2枚の片方には粉わさびもー。
かけからたぐり、もりもやっつけて、そば湯。
お勘定は600円也、ごちそうさまでした。

折からの驟雨に打たれながら
駅前の「松屋」に駆け込んだ。
英語なら
テイキング・シェルター・フロム・レイン
だネ。

押し慣れた中瓶をポチッ!
お冷やをガマンしたんでノド元を一気。
小ぶりになったところで
白山通りを横断し、近くのバス停へ。

ん? ビールなんかどうでもいいから
肝心のそばの味はどうだったんだ! 
ってか?
う~ん、ごめん、今日は語りたくない。

でもネ、この建物。
写真をパチリパチリ撮りたい向きには
外観・内観ともに必殺、もとい、必撮。
外観はともかくも内観を
撮らしてくれるかどうか知らんけど。

「進開屋」
 東京都文京区千石2-30-6
 03-3941-1307

2024年9月4日水曜日

第3616話 築百年屋で お結びパクリ

今日は自分が育った板橋区へ。
中山道の地下を走る三田線に乗って
板橋区役所前で降りた。

江戸四宿の一翼を担う旧板橋宿。
その仲宿を北に向かう。
歩き始めてすぐに瓦葺の建物。
築百年の「板五米店」だ。

昼めしはこのお結び専門店に決めてある。
持ち帰り客の脇を抜け、小上り、いや、
入れ込みの板の間に通された。
あらかじめ調べたメニューには
ソフトドリンクだけでビールが見当たらない。
よって今日も救世主、牛めし「松屋」の存在を
板橋区役所そばに見つけておいた。

靴を脱いで上がり、案内のオニイさんに
「ビールはないですよネ」
「ございますヨ」
「エエッ、あるの? 銘柄は?」
「スーパードライの中瓶です」
やったネ、訊いてみるもんだ。

食事のほうは基本的に
お結び定食・玄米お結び定食・
わっぱ定食の3種類。
好きな中身の2個を択べる、
お結び定食(900 円)を
卵焼きの小鉢付き(100円)でお願いした。

お結びの品揃えはかくの如し。
高菜・おかか・昆布・ツナマヨ・
梅ちりめん・いか明太・明太子・
さば味噌・ねぎ味噌・おかかチーズ・
塩・鮭・梅・野沢菜ちりめん・すじこ・
おやこ結び(鮭すじこ)・焼きたらこ・
ツナマヨ昆布・明太チーズ

すじこ&おやこ。
言わば、子&親子に白羽の矢を立てた。
九州麦味噌のみそ椀の具は油揚げとお麩。
こういう昼めしも
ホッコリした気分になれていいもんだ。
お勘定は1700円、お食べ得な気がした。

宿場町をなおも北へ往く。
テリー伊藤の人形が愛嬌を振りまく、
「から揚げの天才」を久々に見た。
近頃は揃ってつぶれて
ほとんど絶滅してるからネ。

通りの北端は石神井川に架かる板橋。
板橋区の名の由来となった橋である。
有難さを感じつつ慎重に渡った。
これを世の人は
”板橋を叩いて渡る” というらしい。
ほんまかいな? 嘘です。

「板五米店」
 東京都板橋区仲宿40-1
 03-6915-5576

2024年9月3日火曜日

第3615話 田端新町 日はまた昇る

この日は早く家を出た。
午前中にそこそこ散歩を済ませたい。
これくらいは朝めし前である。
もとい、昼めし前だった。

日暮里・舎人ライナーと
都営荒川線を乗り継ぎ、荒川区・小台に到着。
狙いは初めて歩く旧小台通りだ。
またの名を小台銀座という。

バスが走る小台大通り(あっぷるロード)に
メインストリートの座を奪われ、
西側を並行して走る旧小台通りはさびれた。
店々のシャッターは8割方下りている。
飲食店は数軒しか開いていない。

およそ1キロの道のりを突っ切り、
田端新町3丁目の明治通り交差点。
向こう側に古びた日本そば屋が見えた。
店先に進むと、屋号は「日の出屋」。

当店もさびれ感漂うが趣きある佇まい。
昔は繁盛したものと思われる。
ちょいと早いが昼めしにしようかー。
相席用の大テーブルに着いて
一番搾りを飲りながら品書きの吟味。

ん? 花小町?
洒落たネーミングながら
たぬきそば・ごはん・コロッケだとサ。
その名に似合わぬダサいトリオだな。
合わせ天丼・合わせかつ丼・
合わせ開花丼なんてのもあった。
合わせは丼とそばのセットのことで
それぞれに減量されている。

開花丼かァ・・・頼んだことないなァ。
よお~し、いてまえ!
文明開化後、明治天皇の食肉奨励のおかげで
生まれた産物だから開化丼か正しかろうが
近年は牛肉にとどまらず、
豚肉にも適用されるようになった。

J.C.はあえて牛肉使用を開化丼。
普段は他人丼と呼ばれる豚肉ならば
開花丼と表記することにしている。
開化と開花はキッチリ区別したほうが
スッキリするというものだ。

コシの強いもりそばは期待以上。
つゆが下世話な甘みを感じさせ、
池之端の行きつけにも似て好きなタイプ。
豚肉の開花丼も薄味仕上げで好かった。

客足は途切れることなく、
地域に密着した賑わいを見せている。
コロナ下では苦労したようだが
田端新町に日はまた昇っているのだ。
レシートに "昔の香り 今の味"
一筆ありました。

「日の出屋」
 東京都北区田端新町3-13-7
 03-3893-8734

2024年9月2日月曜日

第3614話 夕雀 止まり木止まる 日暮れどき

映画を2本続けて観たあと、
渋谷の街で晩酌といきたい。
この日は早めの帰宅を余儀なくされており、
そうゆっくりはしていられない。

並んでるんだろうな? 
思いつつも道玄坂を下り、
1948年創業の「森本」へ。
昔から渋谷の焼き鳥といえば此処だ。
時刻は17時を回ったところ。
スッと入れたが中で5分少々待たされた。
5分程度は御の字(おんのじ)である。

何年ぶりかな? 
帰宅後調べたら、2012年12月以来だった。
あちこちに見慣れた短冊が貼りついている。

止まり木を われにもわけよ 夕雀

"長話はご遠慮願う" そんな店側の要望もー。
さらに丸太2本の止まり木は
客に長居をさせぬためだろう。
長っ尻(ちり)すると尻が痛くなる。

ビールは生がドライ。
中瓶はドライ・黒ラベル・キリンラガー。
サントリー以外はオールスターの揃い踏み。
正しい飲み屋の姿が此処にある。
当然のようにドライをー。

つまみはらっきょうの赤ワイン漬け。
赤じそもタップリ入り、
赤く染まった、らっきょうが9粒。
なかなか美味し。

焼き鳥は最初に、ハツ(心臓)・
ぼんご(ぼんじり)・ももを塩でー。
相変わらずの大串が J.C.にはちと多い。
串に打たれるのは基本8ピース。
粉山椒と七色を駆使して食べ進む。

続いて、血ぎも・つくねをタレでー。
冷酒に切り替えようとも思ったが
この日は昼めし抜き。
よってビールを飲んでいない。
久しぶりに17時過ぎの本日初麦酒だ。
正しい飲み助の姿が此処にある。

周りを眺めていると
短時間ではばたく夕雀は単身者のみ。
二人連れやグループ客は長っ尻ばかり。
昔はこんなじゃなかった。
無粋な客などほとんど見かけなかった。
これも時の流れ、世の流れであろうかー。

中瓶2本、焼き鳥5本、らっきょう、
お勘定が3050円、止まり木には45分。
1羽の夕雀はこれからただちに
「飛びます、飛びます!」

「渋谷 森本」
 東京都渋谷区道玄坂2-7-4
 03-3464-5233