この日は早く家を出た。
午前中にそこそこ散歩を済ませたい。
これくらいは朝めし前である。
もとい、昼めし前だった。
日暮里・舎人ライナーと
都営荒川線を乗り継ぎ、荒川区・小台に到着。
狙いは初めて歩く旧小台通りだ。
またの名を小台銀座という。
バスが走る小台大通り(あっぷるロード)に
メインストリートの座を奪われ、
西側を並行して走る旧小台通りはさびれた。
店々のシャッターは8割方下りている。
飲食店は数軒しか開いていない。
およそ1キロの道のりを突っ切り、
田端新町3丁目の明治通り交差点。
向こう側に古びた日本そば屋が見えた。
店先に進むと、屋号は「日の出屋」。
当店もさびれ感漂うが趣きある佇まい。
昔は繁盛したものと思われる。
ちょいと早いが昼めしにしようかー。
相席用の大テーブルに着いて
一番搾りを飲りながら品書きの吟味。
ん? 花小町?
洒落たネーミングながら
たぬきそば・ごはん・コロッケだとサ。
その名に似合わぬダサいトリオだな。
合わせ天丼・合わせかつ丼・
合わせ開花丼なんてのもあった。
合わせは丼とそばのセットのことで
それぞれに減量されている。
開花丼かァ・・・頼んだことないなァ。
よお~し、いてまえ!
文明開化後、明治天皇の食肉奨励のおかげで
生まれた産物だから開化丼か正しかろうが
近年は牛肉にとどまらず、
豚肉にも適用されるようになった。
J.C.はあえて牛肉使用を開化丼。
普段は他人丼と呼ばれる豚肉ならば
開花丼と表記することにしている。
開化と開花はキッチリ区別したほうが
スッキリするというものだ。
コシの強いもりそばは期待以上。
つゆが下世話な甘みを感じさせ、
池之端の行きつけにも似て好きなタイプ。
豚肉の開花丼も薄味仕上げで好かった。
客足は途切れることなく、
地域に密着した賑わいを見せている。
コロナ下では苦労したようだが
田端新町に日はまた昇っているのだ。
レシートに "昔の香り 今の味" と
一筆ありました。
「日の出屋」
東京都北区田端新町3-13-7
03-3893-8734