2024年9月2日月曜日

第3614話 夕雀 止まり木止まる 日暮れどき

映画を2本続けて観たあと、
渋谷の街で晩酌といきたい。
この日は早めの帰宅を余儀なくされており、
そうゆっくりはしていられない。

並んでるんだろうな? 
思いつつも道玄坂を下り、
1948年創業の「森本」へ。
昔から渋谷の焼き鳥といえば此処だ。
時刻は17時を回ったところ。
スッと入れたが中で5分少々待たされた。
5分程度は御の字(おんのじ)である。

何年ぶりかな? 
帰宅後調べたら、2012年12月以来だった。
あちこちに見慣れた短冊が貼りついている。

止まり木を われにもわけよ 夕雀

"長話はご遠慮願う" そんな店側の要望もー。
さらに丸太2本の止まり木は
客に長居をさせぬためだろう。
長っ尻(ちり)すると尻が痛くなる。

ビールは生がドライ。
中瓶はドライ・黒ラベル・キリンラガー。
サントリー以外はオールスターの揃い踏み。
正しい飲み屋の姿が此処にある。
当然のようにドライをー。

つまみはらっきょうの赤ワイン漬け。
赤じそもタップリ入り、
赤く染まった、らっきょうが9粒。
なかなか美味し。

焼き鳥は最初に、ハツ(心臓)・
ぼんご(ぼんじり)・ももを塩でー。
相変わらずの大串が J.C.にはちと多い。
串に打たれるのは基本8ピース。
粉山椒と七色を駆使して食べ進む。

続いて、血ぎも・つくねをタレでー。
冷酒に切り替えようとも思ったが
この日は昼めし抜き。
よってビールを飲んでいない。
久しぶりに17時過ぎの本日初麦酒だ。
正しい飲み助の姿が此処にある。

周りを眺めていると
短時間ではばたく夕雀は単身者のみ。
二人連れやグループ客は長っ尻ばかり。
昔はこんなじゃなかった。
無粋な客などほとんど見かけなかった。
これも時の流れ、世の流れであろうかー。

中瓶2本、焼き鳥5本、らっきょう、
お勘定が3050円、止まり木には45分。
1羽の夕雀はこれからただちに
「飛びます、飛びます!」

「渋谷 森本」
 東京都渋谷区道玄坂2-7-4
 03-3464-5233