2024年12月27日金曜日

第3698話 初めて食べた 鰻の干物

西武新宿線・都立家政で鴨バーグを食べ、
西武池袋線・富士見台から帰ったその3日後。
またもや池袋線でやって来たのは
富士見台の一つ先、練馬高野台である。

本日の昼食は「鰻 まつむら」。
うなぎ問屋の直営店は人気なため、
予約必須と聞き、電話を入れておいた。
風格漂う店構えは予約で満席と見え、
暖簾が仕舞われていた。

時間通りの12時15分に引き戸を引く。
ダイニングは3部屋ぶち抜きで
それぞれに4人掛けが2つづつ。
畳敷きだが椅子に座る。
脚と脚の間に橇(そり)みたいに
滑らせる仕掛けがある椅子だ。

奥はいくつも石灯籠が配置された庭。
通されたのは一番手前の襖に近い卓。
披露宴なら末席(ばっせき)に当たる。
まっ、独りだから仕方ないやネ。
他の客は揃って2人連れである。

予約の際に料理を注文したため、
皿出しは極めてスムース。
サッポロ赤星を飲んでいると
最初に鰻の干物と肝焼きが運ばれた。
ドイツで鰻の燻製を食べたが
鰻の干物は生まれて初めてだ。

6片の細切りはそのまま半分。
残りに粉山椒を振った。
余分な水分が飛び、旨みが凝縮している。
うむ、これはアイデアですな。
ありそでなかった逸品と云うほかはない。

肝焼きも実にけっこうな味わい。
鰻重は半尾分の〈梅〉を頼んである。
(ごはんにタレを掛けないで下さい)
この言葉を飲み込んで大正解。
控えめなタレ掛かりが好みにピッタリだ。

鰻自身は蒸し・焼きともにカンのペキ。
直近10年で最高の鰻重だった。
当店の鰻はすべて静岡産。
素材がいいから何を食べても
納得、満足、至福の三段跳びである。

肝吸いには小さな丸麩とみつば。
香の物はきゅうり・かぶ・白菜。
いずれも手抜かりなく、
会計は中瓶2本と合わせて5010円也。

石神井川のほとりをそぞろ歩き、
笹目通りを北上して光が丘に向かう。
春の風公園のかえる池にはカエルならぬ、
カルガモが20羽余り泳いだり、眠ったり。

渡りをしない彼らは大自然の試練に
もまれることもなく性格温厚にして
人を怖れることもない。
動物好きのJ.C.は汚れた心を
洗われる思いがしたものでした。

「鰻 まつむら」 
 東京都練馬区富士見台4-42-1
 03-3970-5562