2025年5月16日金曜日

第3798話 並んだメイドから 声は掛からず

所用を済ませ、宵闇迫りくる秋葉原。
絶好の晩酌タイムである。
東京でJ.C.が嫌いな街、
ワースト3の一翼を担う場所に
1軒だけ好んで訪れる店がある。
昼めしも晩酌も秀にして逸な両刀使い、
「赤津加」だ。

神田の旧連雀町から昌平橋を渡り、
悪名高き(?)電気街にやって来た。
その真ん中に位置する店の前に
ズラリ居並ぶのは揃いも揃って
真っ白なヘアキャップの少女たち。
そう、メイド・カフェのメイドである。

頭の中を童謡「チューリップ」が流れる。

♪ さいた さいた メイドのはなが
  ならんだ ならんだ 
  あか しろ きいろ
  どのはなみても きれいだな ♪

着ているオベベはともかくも
容貌はあまりきれいじゃないけれど
その蜜に引き寄せられて
蝶々や蜂や銀蠅まで舞い踊る。

ところが峠を過ぎたJ.C.は
すでに彼女たちの対象外。
目の前をずんずん歩いてゆくのに
誰一人、声を掛けてくる花とてない。
数年前はけっこう声掛けがあったのに
歳は取りたくないもんだ。
まっ、わずらわしくなくていいけどネ。

引き戸を引くと
コの字カウンターの先客は
カップルと仕事帰りのリーマン二人連れ。
コの字の真ん中に陣取って
黒ラベルの中瓶をお願い。
お通しは真鯛1切れとワカメのポン酢。

最初に必食の逸品、鳥もつ煮込みをー。
小鍋仕立ては、もつの各部位に
豆腐・コンニャク・玉ねぎ。
以前より皮が増え、必ず1粒あった、
小豆(脾臓)が見当たらない。
ちと残念。

菊正生貯蔵酒生酛300mlに移行する。
海老と新茶葉のかき揚げも追注。
ところが酒は美味いのに
かき揚げはイマイチ、いや、イマニ。
量を増やすためか小海老と茶葉より、
ナスとエリンギがたっぷりなんだ。

かき揚げは居酒屋よりも日本そば屋。
つくづく思い、肝に銘じた次第です。

「赤津加」
 東京都千代田区外神田1-10-2
 03-3251-2585