2011年11月1日火曜日

第174話 夜まだ更けやらぬ 経堂の町

 昨日まで紹介した経堂の「喜楽寿司」は
実のところ「鮨処 喜楽」が正式名称らしい。
遠くからでもよく見える大看板には
確かに「喜楽寿司」とあったけれど・・・。

まっ、こういうことはままあるもの。
したがって昨日のブログのデータ部分における店名は
修正したがサブタイトルのほうはそのままにしておいた。

結局、「鮨処 喜楽」に滞在した時間は40分ほど。
夜の町に出たのは19時前でまだまだ宵の口である。
せっかく遠来に及んだのに
このままおめおめと帰宅の途に着くつもりはさらさらない。
腹ごなしを兼ねて豪徳寺・梅ヶ丘方面に歩いてもいいし、
小田急線に乗って沿線の下北沢・代々木上原ならば、
訪れる店の選択肢はさらに拡がる。

だが、ちょっと待てよ、何度も来ている経堂ながら
訪れる店は決まって駅の北側ばかりだ。
なじみの薄い南口エリアの探索と
北口方面のおさらいを含めて
1時間ばかり経堂の町を徘徊してみたくなった。

犬も歩けば棒に当たる。
J.C.も歩けば店に当たる。
とはいってもぶっつけ本番で良店との遭遇は
そうそう簡単なものではござんせん。
南側をグルグル回り、そろそろ北へ移動と思った矢先、
「鮨処 喜楽」の近くに「味田」なるおでん屋を発見。
これはいい店だぞ! というのが第一感。
われわれクラスともなると、
エッ? どんなクラスだ! ってか?
だから聞き流してくだせェって、この間も言ったでしょ?

「味田」は間違いなく当たりだと思った。
しかもおでん屋は2軒目に最適ではないか。
何となれば、料理をいろいろ頼む必要がなく、
おでんを何品かチョコチョコつまみ、
あとはコップ酒を傾けてりゃあ、それで済む。
ただし、時期がお生憎さま。
まだ残暑の続く折、おでんにはちと早すぎる。

北口に移動してグルリ周遊したのち、
ラーメン店なのに酒肴もイケる「はるばるてい」を訪ねると
なぜかシャッターが下りている。
確か定休日は火・水曜日のはずなんだが・・・。

ガックリしつつなおもさまよい、
袖を引かれたのが「いちふく」という居酒屋だ。
初老の夫婦二人きりの切盛りである。
どうもこういう類いの店に弱いんだなァ。
若いアンちゃん・ネエちゃんの仕切るところは苦手だねェ。

客の入りはよく、入口に一番近いカウンターの隅に着席。
サッポロ黒ラベルのお通しに小鉢のソーメンが来た。
小海老・きゅうり・トマト・椎茸が一緒に浮いている。
鮨屋のあとにつき、
あんまりうれしくないことは言うまでもない。

つまみに注文したのは鳥ももニンニク串焼き。
ビールの大瓶1本に焼き鳥が2本。
世田谷の片隅の居酒屋のカウンターの隅の隅。
孤独な男の独り酒には絶好のシチュエーションではありました。

 白玉の歯にしみとほる秋の夜の
     酒は”独りで”飲むべかりけり


まだ秋には日があるけれども・・・。

「いちふく」
 東京都世田谷区宮坂3-11