2015年9月16日水曜日

第1187話 はも鍋で旧交を温める (その1)

今年になってから
昔かかわりのあった方からレンラクをもらうことたびたび。
先方が下戸の場合は昼めしをともにし、
イケるクチだと酒を酌も交わすこととなる。

この夏も、とある米銀のディーラーだった、Y田サンと30年ぶりに会い、
浅草の「神谷バー」で盃の代わりに、ビヤジョッキを合わせた。
話題はもっぱら想い出話だが、それもまたよしである。

旧都市銀行のニューヨーク支店のディーラー、
F田サンからメールをもらったのも、つい最近だ。
ニューヨーク時代には
家族ぐるみのつき合いとまではいかぬものの、
互いの家を訪ね合ったりはしたのだ。

晩酌をともにするため、落ち合ったのは千駄木の「にしきや」。
日中、散策を楽しむ中高年カップルの姿絶えることなき谷根千ながら
気の利いた居酒屋の数はきわめて少ない。
ある意味、文京区の特質の表れと言えなくもない。
上野・浅草を擁する台東区との違いが歴然だ。
もっとも谷中自体は台東区なんだけどネ。

「にしきや」を訪れたのは3年ほど前。
出版社の編集者と女流作家の三人で飲んだ。
特筆する点はなくとも、
飲食メニューのバランスに秀でた佳店といった印象があり、
再会の舞台に決めたのだった。

キリンの生でスタートしたが
互いにビール好きにつき、珍しくも大ジョッキである。
突き出しに見映えのしない揚げシューマイが出てきたのには
ちょいとガッカリで、こりゃ外しちまったかな、
という懸念が頭をもたげる。

まあ、何とかなるだろうと注文したのが
刺身三種盛合せ、焼き鳥5本盛り、
それにキスの天ぷらだった。
当然、刺身が最初に運ばれると思いきや、
なぜか焼き鳥がスターターとなった。

塩焼きのもも肉・つくね・レバー・砂肝と、あと何か・・・
もう一つはすでに忘却の彼方である。
普段は都内各地の焼きとんを食べ歩いている身、
焼き鳥屋はあまり利用しないが当店のソレには魅力を感じない。
かと言って不満がつのるわけでもなく、これこれで了としよう。

お次はキス天である。
いったい、いつになったら刺身が整うのであろう。
まっ、キス天が上手に揚がっているから
気長に待つといたしましょう。

=つづく=