2011年9月20日火曜日

第144話 再び伊集院サン (その1)

図らずも多大なご迷惑をお掛けしてしまった、
伊集院静サンに再びご登場を願うことにする。
ネタの仕入先は例によって
週刊現代における彼のコラム、「それが どうした」である。

伊集院サンといえば、”飲む・打つ・買う”の達人だが
どれが一番お好きなのか、想像をめぐらしてみると、
”打つ”、いわゆる博奕であるように思われる。
博奕に男の美学を見出していて
その想いが行間ににじみ出ているのだ。

かくいうJ.C.も”飲む・打つ”に関しては人後に落ちない。
男として生きるための”三種の仁義(誤植ではない)”における、
最後の”買う”についてはおおやけに語るものでもないから
「みなさんのご想像にお任せします」と言いたいところだが
このフレーズは虫唾が走るほどに嫌いなので
あえて「読者の判断にゆだねたい」としておく。
これも一種の美学なのです。

まっ、それでも少しく触れておくと、
19歳の春、初めての海外渡航の折であった。
ドイツの港町、ハンブルグの有名な歓楽街、
早いハナシが紅燈街なのだが
ザンクトパウリ地区のレーパーバーンにもちゃんと出没している。

両側に”飾り窓”が居並ぶレーパーバーンは
”罪深き1マイル”の異名を取るほどの性の巣窟。
まだ無名だった頃のビートルズは
もっぱらここで演奏活動にいそしんでいた。
初期の大ヒット曲、「シー・ラヴズ・ユー」や
「抱きしめたい」にドイツ語版があるのはそのためである。
前者はともかく、後者はドイツ語版のほうがよいくらいだ。

ちなみにザンクトパウリとは英語でセントポール、
仏語ではサンピエール、伊語だとサンピエトロ。
言わずと知れた聖パウロのことだ。
これには天にましますJ.C様(ジーザス・クライスト)も
ビックリ仰天、眉をひそめておられることでありましょうよ。

ついでに申し添えておくと
(なんだかんだ言ってけっこう語っているな)
J.C.の知る限り、世界の紅燈街で
詩情流れるのはオランダのアムステルダム、
哀愁漂うのはトルコのイスタンブール、
異国情緒あふれるのはエチオピアのアディスアベバである。
残念ながらアジアの国々、東洋の街々にそのムードはない。

三種の仁義の一番目、
”飲む”ほうは日々欠かすことがない。
ただし、アル中でないことだけは誓っておこう。
以前、とある私鉄沿線の小駅に住んでいたとき、
朝の出勤時によく見掛けたのは
駅前の酒屋に自転車をキコキコ鳴らしてやって来るオッサン。
そんな時間に酒屋は開いていないので目当ては店先の自販機だ。
毎度、手にしたワンカップ大関を恍惚の表情で一気飲みである。
ああいう芸当だけは絶対にできないなァ。
ああならないように、節度を保ちつつ毎日飲み続けている。

明日は仁義の二番目、”打つ”について。
ここで初めて週刊現代ネタが登場するのです。

=つづく=