杉浦直樹が亡くなった。
いや、死んでしまった。
5月13日にこのブログ(第52話参照)で取り上げ、
彼の消息を案じていた矢先のことである。
不吉なことにその日は13日の金曜日であった。
参照するのもわずらわしいでしょうから
抜粋してお届けします。
日曜日の昼過ぎのこと。
観るともなしに観ていた「素人のど自慢」が終わり、
そろそろ散歩に出掛けようとTVのスイッチを切りかけたとき、
思いがけない顔が画面に映って手がとまる。
そこにはしばらく見ないので
気にかかっていた杉浦直樹の顔があった。
目元と下あごで演技する性格俳優である。
彼を初めて見たのは裕次郎主演の日活映画「錆びたナイフ」。
ボスから差入れられた饅頭が毒入りと知りつつ、
わしづかみにして頬張る狂気の眼が強く印象に残った。
(今回ビデオを見直し、あらためて感服)
杉浦直樹が登場したTV番組はNHKアーカイブス。
1996年に放映されたドラマ「鳥帰る」の再放送だった。
先月亡くなったスーちゃんこと、
田中好子を偲ぶ追悼番組である。
結局、散歩はそっちのけで見入ってしまった。
二人ともよかったし、母親役の香川京子もけっこうでした。
それにしても杉浦直樹の消息が気になって仕方がない。
ほかにも行方が心配な人たちがいっぱいいる。
日下武史は?
園井啓介は?
川地民夫は?
われながら古いや。
家庭に入った笹森礼子と桑野みゆきの追跡は
いささか野暮というものか。
そして誰よりも1963年12月12日、
小津安二郎の通夜の席で
最後の姿を見せた原節子はどうしているのだろう。
今、杉浦直樹のフィルモグラフィーを振り返って
記憶に残るのはTVドラマ(映画化もされた)の「図々しい奴」。
映画化第一作では主役の”図々しい奴”を演じたが
TVでは旧岡山城主の末裔役。
こちらのほうがピッタリで以後定着した。
「図々しい奴」の原作は柴田錬三郎の週刊誌連載小説。
絶頂時の1963年には視聴率45%をたたき出して
まさにオバケ番組である。
このときの主役・丸井太郎は国民的人気を博しながらも
当時の事情から映画界に引き戻され、
不遇をかこって数年後には自死してしまった。
事実上、映画会社・大映に殺されたも同然だった。
好きだった俳優・女優の訃報にふれるのはやるせない。
そのたびに自分自身の人生の一コマを
削り取られるような痛みを感じる。
誰にでもいつの日かお迎えが来るものだが
せめてその瞬間はこぞって幸せでいてほしい。
名優・杉浦直樹の最後の言葉は
「私の人生、メデタシ、メデタシ、
皆さんにありがとうと言ってください」
であったそうな。
いや、死んでしまった。
5月13日にこのブログ(第52話参照)で取り上げ、
彼の消息を案じていた矢先のことである。
不吉なことにその日は13日の金曜日であった。
参照するのもわずらわしいでしょうから
抜粋してお届けします。
日曜日の昼過ぎのこと。
観るともなしに観ていた「素人のど自慢」が終わり、
そろそろ散歩に出掛けようとTVのスイッチを切りかけたとき、
思いがけない顔が画面に映って手がとまる。
そこにはしばらく見ないので
気にかかっていた杉浦直樹の顔があった。
目元と下あごで演技する性格俳優である。
彼を初めて見たのは裕次郎主演の日活映画「錆びたナイフ」。
ボスから差入れられた饅頭が毒入りと知りつつ、
わしづかみにして頬張る狂気の眼が強く印象に残った。
(今回ビデオを見直し、あらためて感服)
杉浦直樹が登場したTV番組はNHKアーカイブス。
1996年に放映されたドラマ「鳥帰る」の再放送だった。
先月亡くなったスーちゃんこと、
田中好子を偲ぶ追悼番組である。
結局、散歩はそっちのけで見入ってしまった。
二人ともよかったし、母親役の香川京子もけっこうでした。
それにしても杉浦直樹の消息が気になって仕方がない。
ほかにも行方が心配な人たちがいっぱいいる。
日下武史は?
園井啓介は?
川地民夫は?
われながら古いや。
家庭に入った笹森礼子と桑野みゆきの追跡は
いささか野暮というものか。
そして誰よりも1963年12月12日、
小津安二郎の通夜の席で
最後の姿を見せた原節子はどうしているのだろう。
今、杉浦直樹のフィルモグラフィーを振り返って
記憶に残るのはTVドラマ(映画化もされた)の「図々しい奴」。
映画化第一作では主役の”図々しい奴”を演じたが
TVでは旧岡山城主の末裔役。
こちらのほうがピッタリで以後定着した。
「図々しい奴」の原作は柴田錬三郎の週刊誌連載小説。
絶頂時の1963年には視聴率45%をたたき出して
まさにオバケ番組である。
このときの主役・丸井太郎は国民的人気を博しながらも
当時の事情から映画界に引き戻され、
不遇をかこって数年後には自死してしまった。
事実上、映画会社・大映に殺されたも同然だった。
好きだった俳優・女優の訃報にふれるのはやるせない。
そのたびに自分自身の人生の一コマを
削り取られるような痛みを感じる。
誰にでもいつの日かお迎えが来るものだが
せめてその瞬間はこぞって幸せでいてほしい。
名優・杉浦直樹の最後の言葉は
「私の人生、メデタシ、メデタシ、
皆さんにありがとうと言ってください」
であったそうな。