2011年11月14日月曜日

第183話 身重を送る送別会 (その2)

大井町の東小路飲食店街で
原料に何を使っているのか見当もつかない、
つみれとスジの洗礼を受け、
命からがら逃げ出して当初の目的地を目指す。

線路沿いを大森方面に少しく歩いて右折し、
ゆるやかな坂を上りつめて大井の三つ又交差点に到達した。
「燻製キッチン 大井町店」は交差点に面していても
大通りから奥まっており、何やら隠れ家風。
この店は五反田にも姉妹店がある。

ウエイターくんに案内されるまま半地下のソファ席へ。
すでに先着のO野チャンが独りビールを飲んでいた。
聞けば時間を間違え、もう1時間も飲っているとのこと。
おう、おう、それはまた難儀なこった。

彼は前回も連絡ミスの憂き目に会い、
汐留の「潮夢来」のはずが
芝大門の「新亜飯店」に行ってしまった。
何ともウッカリぐせの治らない人である。
だが、こういう人に悪人はいない。

ほどなく主賓のM央、仕切り屋のA子が到着し、
燻製三昧のディナーが始まった。
主賓は身重につきソフトドリンク、
他の3人はキリンハートランドの生で乾杯だ。

最初に頼んだのが燻製ナッツと燻製シーフード盛合わせ。
内容は前者がカシューナッツとピーナッツ、
後者がサーモン・さば・たら子の3種。
素材によってチップやスモークの時間を替えているようだ。
たら子などはごく軽いスモークであった。
サーモンはやはり燻製の王者と呼ぶべきか、
一頭抜きん出た感がある。

ビールは前の2軒で飲んできたから
ほどほどにしてワインに移行する。
選んだのはグルジアの赤、オールド・トビリシ。
ヴィンテージは忘れたが、フルボトルで金3300円也。
グルジアワインは値段のワリに飲み手を裏切らない。

身重のM央もいよいよ我慢ができずチロチロなめ始めた。
ところで飲酒は妊婦にとって本当にタブーなのかな。
そりゃ何事も度を超したらまずいだろうが
実のところ、どうなのだろうか?

ワインとともに今度は肉系の盛合わせ。
鴨ロース・鶏レバー・豚タン・豚ベーコン。
この顔ぶれが赤ワインに合わぬハズはない。
チーズとトマトの燻製までお願いすると、
トマトが存外によかったのは驚きだ。
そして唯一のノンスモークもの、
ポルチーニ・クリームのスパゲッティで締めた。

こうして身重の友を送り出したが
デトロイトで元気な赤ちゃんを”生産”してくれれば、
友人としてそれにまさる歓びはない。
あとは・・・
あとはイカズ後家・A子嬢の多幸を祈るばかりなり。

「燻製キッチン 大井町店」
 東京都品川区大井3-4-8
 03-5742-6172