2014年1月24日金曜日

第759話 みちのくの麺処 盛岡へ (その3)

建物の隣りにわんこそば対応の別館が
併設された日本そば店「直利庵」。
冷たい風にさらされること40分、
やっとのことでひと息入れたところだ。
テーブルは9卓、そのうち1卓だけが小上がりの2人掛け。
何だか妙なレイアウトである。
J.C.は4人掛けに独り、そのうち相席になるだろう。

冷たい風には冷たいビール。
アサヒ・キリン・サッポロが揃ってさすがに老舗の名店だ。
客商売はこうでなくっちゃ!
おしんこ(100円)はきゅりとにんじんが入り混じった白菜漬。
それでビールを飲みながら基本のもりそば(570円)を待つ。
斜め向かいのカップル、その男のほうのカツ丼が美味しそう。
でも、ここは我慢、ガマン、あとで種物を1杯食べたいからネ。

品書きを吟味すると珍品が肩を並べている。
店内に立ち込めるカレーの匂いはカレー南蛮系が人気だからだ。
鴨カレー南蛮やカツカレーそばなんてのもあった。

いもの子そばっていったい何だろう?
おろし中華にカツ中華なんてのもあるゾ。
驚いたのはすじこそば(960円)。
おろし中華もそうだけど、生まれて初めて見るメニューだ。
冷たいすじこそばはまだ判るが
温かいすじこそばってのはなァ・・・ちょいと気色が悪いや。

頼んだもりそばが登場。
そばはやや柔らかめのごくフツー。
中(ちゅう)の上(じょう)って位置づけかな。
つゆは甘さ控えめであまり好きではないタイプだが水準に達している。
薬味は細かく刻んださらしねぎのみ。
これは丁寧なシゴトだった。

オニオンそば(1000円)とあゆそば(1100円)で迷いに迷った。
ともに他店では見掛けないものだ。
オニオンそばはおそらく玉ねぎのかき揚げが乗っているのだろう。
あゆそばはにしんそばの鮎版と推測した。

念のためにお運びのオバさんに訊ねると、
オニオンのほうは意外にもオニスラ主体のサラダそば風だという。
これはやめておこう。
ではあゆそばはというと、
やはりにしんそば風だがトッピングは炊いた鮎が丸一匹とのこと。
あゆをお願いした。

そうして現れたのがコレである。
頭に比べて腹のデカいこと
これでもかと真子を抱えていた。
魚卵好きにはまことにうれしい逸品である。
いわゆる落ち鮎だがありがちな甘露煮ではない。
そばつゆ同様に甘さを抑え、これが旨いのなんのっ!
ささがきのみょうがとの相性もよろしい。
頭からしっ尾の先まで丸ごといただき、
この旅ベストの一食となったのでした。

=つづく=