さて、京都は新京極。
レコード店のあとは映画館だ。
足を止めたのは上映中の封切り映画、
「黒の奔流」の看板、ならびにポスターである。
監督は渡辺祐介、主演は山崎努と岡田茉莉子。
まだ初々しい松坂慶子も可愛い顔を見せている。
彼女の本格的デビューはおそらくこの作品ではなかろうか。
原作は松本清張の「種族同盟」で
清張モノといったら松竹映画のおハコ、
本作もご多分にもれない。
松本清張、山崎努、岡田茉莉子はそれぞれに好きだ。
この映画が封切られる6年前、J.C.は中学三年生だった。
夏休みに新大久保の海星学園で開講された、
東大学増教室に通っていた。
担任の先生に
「オカザワくんのオカはどっちの字?」―こう訊かれ、
思わず口をついて出たのが
「岡田茉莉子の”岡”です」―本人いたって真面目に応えたが
先生をはじめ、クラスの仲間にゲラゲラ笑われましたネ。
しかもそのときのクラスメートがJ.C.と同じ高校に進学し、
そこで言いふらしたものだから
しばらくは学窓の笑いものになっちまったぜ。
ヨタはさておき、「黒の奔流」である。
ヒマにまかせていつしか切符を買っていた。
映画のほぼ冒頭、
弁護士・山崎努と助手・谷口香が場末のラブホテルで
”事後”のけだるい時間と空間を共有している。
このときラジオから流れていたのが
藤圭子の「京都から博多まで」だったのだ。
情景と音楽とがピタリとシンクロナイズしていた。
以来、新京極を訪れるたびに
頭の中をこの曲が鳴り響くようになってしまった。
まるで条件反射ですな、こうなったら―。
好みの話題になると、
ついハナシが脇道にそれて駄文を綴ってしまう。
そろそろ本題に入らねばならない。
本題って何だったっけか? ってか?
あちこち回り道しているあいだに
読者とて何が何だか判らなくなったことだろう。
さもありなん。
それはまた、次話で明らかにいたしましょう。
=つづく=
レコード店のあとは映画館だ。
足を止めたのは上映中の封切り映画、
「黒の奔流」の看板、ならびにポスターである。
監督は渡辺祐介、主演は山崎努と岡田茉莉子。
まだ初々しい松坂慶子も可愛い顔を見せている。
彼女の本格的デビューはおそらくこの作品ではなかろうか。
原作は松本清張の「種族同盟」で
清張モノといったら松竹映画のおハコ、
本作もご多分にもれない。
松本清張、山崎努、岡田茉莉子はそれぞれに好きだ。
この映画が封切られる6年前、J.C.は中学三年生だった。
夏休みに新大久保の海星学園で開講された、
東大学増教室に通っていた。
担任の先生に
「オカザワくんのオカはどっちの字?」―こう訊かれ、
思わず口をついて出たのが
「岡田茉莉子の”岡”です」―本人いたって真面目に応えたが
先生をはじめ、クラスの仲間にゲラゲラ笑われましたネ。
しかもそのときのクラスメートがJ.C.と同じ高校に進学し、
そこで言いふらしたものだから
しばらくは学窓の笑いものになっちまったぜ。
ヨタはさておき、「黒の奔流」である。
ヒマにまかせていつしか切符を買っていた。
映画のほぼ冒頭、
弁護士・山崎努と助手・谷口香が場末のラブホテルで
”事後”のけだるい時間と空間を共有している。
このときラジオから流れていたのが
藤圭子の「京都から博多まで」だったのだ。
情景と音楽とがピタリとシンクロナイズしていた。
以来、新京極を訪れるたびに
頭の中をこの曲が鳴り響くようになってしまった。
まるで条件反射ですな、こうなったら―。
好みの話題になると、
ついハナシが脇道にそれて駄文を綴ってしまう。
そろそろ本題に入らねばならない。
本題って何だったっけか? ってか?
あちこち回り道しているあいだに
読者とて何が何だか判らなくなったことだろう。
さもありなん。
それはまた、次話で明らかにいたしましょう。
=つづく=