2018年9月14日金曜日

第1959話 落胆の人気焼き鳥 (その2)

20時ちょい前に到着した押上の「焼鳥 おみ乃」。
目黒の有名店「鳥しき」で修業した店主が昨年開き、
すでに絶大な人気を誇っている。
逆コの字形のカウンターは隣客との距離が保たれて
肩ひじ張ってもぶつかったりはしない。
快適な空間がスカイツリーのお膝元にあった。

アサヒビールの本拠地至近ながら瓶ビールはサッポロ赤星。
生もエビスだからサッポロ系列だ。
赤星で本日2度目の乾杯をして品書きに見入る。
当店は3人以上の来店だと必然的に
いや、強制的におまかせ一本やり。
2人まではお好みを択べるのがありがたい。

それが最近はすべておまかせを押っつけてくるらしい。
客の入りが安定して
いよいよ投資資金の回収期に入ったようだ。
おまかせなんて、やなこった。
あくまでもお好みに固執した。

お通しは瓜・蕪・大根のぬか漬けと大根の鬼おろし。
ぬか漬けがいい塩梅である。
アラカルトで頼んだ肝わさは
いわゆるハツとレバーのつなぎ部分。
独特の食感が楽しめ、食味もまことによろしい。

焼き鳥のラインナップは21種類。
こいつは楽しめそうだ。
ともに同じ串を食べ進めることにして
さっそく通したのが背肝とはらみである。
ところがどちらも売切れ。
ガッビ~ン!
はっきり言って当店を択んだ理由は第一に背肝だ。

何てこったい!
気を取り直して食道とちょうちんを―。
再び売切れの応えを聞いたときにゃ、わが耳を疑ったネ。
どうなってんだい、この店は!
4打数無安打ではお好みにした意味がない。

目の前のアンちゃんは
大ざるに盛りつけた野菜類を執拗にすすめてくる
あのネ、われわれ善良な市民は
野菜じゃなくって焼き鳥をいただきに参上つかまつったの。
おタクの屋号にも「焼鳥 おみ乃」って書いてあるじゃんか。

ため息交じりのはつもとがようやく初安打。
トンネルを抜け出して
さあ、ここから連続ヒットをと意気込んだものの、
ソリレスがまたもや空振り三振。
こうなると、もうヤケだわ。
焼き鳥だからこんなんでも商売できるが
鮨屋だったらレッドカード必至だぜ。

=つづく=