2023年3月17日金曜日

第3233話 珍魚の宝庫 神楽坂 (その2)

その夜のわが家の食卓は花盛り必至。
巷の一足先に花見とシャレこもう。
さっそく鱈場蟹を盛り付け始めて
ハッと気がついた。

てっきり北海道産と思い込んでいたが
どういうワケか千葉産の表示。
千葉で鱈場が獲れるハズがない。
こりゃ何かの間違いだろう。

思いあぐねてもラチがあかない。
仕方なく「SeinE」に電話を入れた。
そうして真相が明かされる。
驚いたことにコイツは鱈場蟹に非ず。
いや、たまげたネ。
なんと、なんと、高脚蟹だったのだ。
道理で安いワケだヨ。

高橋クンは、もとい、高脚クンは
世界最大の蟹にして最古とも目される、
言わば、生きた化石なのだ。
ただし、大味につき、あまり尊ばれない。

近年、西伊豆辺りでは地元の特産として
存在感を発揮しつつあるがネ。
しかし、房総でも獲れるとは知らなんだ。
思いもよらないことでした。

味わうと、やはり水っぽくて旨くない。
鱈場とは雲泥のギャップがある。
けれどミソにはさほどの差はなく、
九死に一生を得た。

J.C.は通常、
生酢に醤油を数滴落として蟹を食べる。
う~ん、物足りないなァ、何とかせねばー。
ケチャップ・ホースラディッシュ・レモン汁で
カクテルソースを作ってみた。

だいぶ良くなったがカクテルソースは
クラブミートよりシュリンプのほうが合うネ。
ちなみにホースラディッシュは生の備えなく、
SBのチューブで代用。

かなり残った高脚クンは翌日に回し、
当夜は玉クエのちり鍋。
その前に大きな肝を甘辛く煮付ける。
これは菊正の樽酒と楽しんだ。
おろし・きざみねぎ・ポン酢で味わう鍋ともども
ハタ科の混血魚を堪能したのでした。

そして翌日、ここからは次話であります。

=つづく=