2011年12月2日金曜日

第197話 3本のフランス映画

NHKのBSとひかりTVで
立て続けに3本ものフランス映画を観た。
1話で3本はキツいけれど、駆け足で紹介してみたい。

「海の牙」(1946年)  BSプレミアム
 監督: ルネ・クレマン
 出演: アンリ・ヴィダル  ポール・ベルナール
      ミシェル・オークレール


監督は「禁じられた遊び」・「太陽がいっぱい」のルネ・クレマン。
潜水艦映画のハシリとも言えるが出来はあまりよくない。
クレマンには名作が多くとも駄作が少なくない。
「生きる歓び」(当ブログと同タイトルですな)、
「危険がいっぱい」、「雨の訪問者」などはまったく感心しない。
奔放な人妻役(スウェーデン人の設定)を演じた、
ミシェル・オークレールの存在感が男だけの世界で際立っている。


「いぬ」(1963年)  ザ・シネマHD
 監督: ジャン=ピエール・メルヴィル
 出演: ジャン=ポール・ベルモンド  セルジュ・レジアニ
       ジャン・ドサイー  ファビエンヌ・ダリ


フレンチ・フィルム・ノワールの巨匠、メルヴィルの代表作の1つ。
この作品のベルモンド、同じメルヴィルの「サムライ」におけるドロン。
似たような役柄で、ともに帽子をかぶったトレンチコート姿だが
そこはフランス映画界を代表する2人、対極的に印象深い。
原題の「Le Doulos」は帽子のことで隠語は密偵(いぬ)。

「冒険者たち」のレジアニがシブく脇を固めて好演。
名脇役でありながら歌手としての才能にも恵まれ、
「マ・リべルテ(わたしの自由」など、
本家本元のジョルジュ・ムスタキよりはるかに格調高い。
今から37年前、フランス人のGFから教え込まれたのは
レジアニの歌唱とフランス煙草のジタン、この2つでありました。
今頃どうしているだろか?


「暗黒街のふたり」(1973年) シネフィル
 監督: ジョゼ・ジョヴァンニ
 出演: ジャン・ギャバン  アラン・ドロン
      ミムジー・ファーマー  ミシェル・ブーケ


「地下室のメロディー」、「シシリアン」に続き、
ギャバンとドロンが三たび競演。
「地下室の~」には及ばなくとも、なかなかの作品に仕上がった。
金髪ショートカットのミムジーがメッチャ可愛い。
名前も素敵で、もしもあと1匹猫を飼ったらミムジーと名付けたい。
まだ無名だった頃のジェラール・ドパルデューが
チンピラやくざのチョイ役で出ており、
その悪相たるや、のちの出世を誰が想像し得たであろうか。

昔、映画館で観たときのラストシーンは
ギロチンで断頭されるドロンの顔のどアップだったが
今回はあまりに残酷なためか、
あるいはカットだけにカットされていた。
ところで当時(1973年)、
フランスには何台のギロチンが存在していたのでしょうか?
正解は2台で、1台はパリに常駐、
もう1台は必要に応じ、地方周りをしていたんですと。
この映画でそれを知らされました。