2011年12月20日火曜日

第209話 パイを子守の歌と聞き (その2)

およそ半世紀前、
長野市で暮らした幼少時代は
麻雀における洗牌(シーパイ)のジャラジャラが
ララバイ代わりだった。

おかしなことに幼い子どもにとって
その騒音よりもメンバーのために母が揚げる、
カツレツの油の匂いのほうがイヤだった。

それが小学校の高学年あたりから
突如、トンカツが好物になったのだ。
育ち盛りになると、高タンパク・高脂肪を求めるのだろう。

その後も嗜好はどんどん変わり、
昔は駄目だったものが好きになったり、
気にならなくなったりするかと思えば、
逆に好物だったものが嫌いになったり、
ごくフツーの食べものに成り下がったりもする。
思いつくままに整理してみた。

①好き→フツー
 ハヤシライス お茶漬け お好み焼き 
 お汁粉 甘酒 インドりんご バナナ 


②好き→嫌い
 霜降り牛肉 ハンバーガー 焼き芋 
 フルーツ缶詰  


③嫌い→フツー
 親子丼 カレーパン キムチ 塩辛 
 納豆 豆類 海藻類 


④嫌い→好き
 鯨ベーコン まぐろ刺身 ひかりもの 

 酢のもの 筋子 豆腐 チーズ セロリ 
 西瓜

こうしてみると甘いものから見事に脱皮している。
甘味の代わりに酒を覚えたからだ。
ひかりもの・酢のもの・筋子・チーズなど、
よき酒の友はみんな好きになった。
子どもには刺激の強すぎたキムチ・塩辛・納豆も
成長過程で克服している。

青臭くてイヤだった西瓜は
みずみずしさを愛でるようになった。
国光や紅玉と違い、酸味の穏やかなインドりんごは
子どもにとって食べやすかったがトンとご無沙汰だ。
というのも近頃まったく見掛けなくなった。
1年ほど前、巣鴨駅前の果物店で目にしたものの、
りんごブラ下げて散歩でもあるまいて。

ことほどさように人の好き嫌いは変化するもの。
顔を見るのもイヤになった古女房でも
再び愛が芽生えることだってあるハズだ。

いや、これは世の奥様方にも忠告しておきたい。
お宅の粗大ゴミもそのうち変身するかもしれませんよ。
互いの不幸に拍車を掛けるだけの熟年離婚なんて
流行や勢いでするもんじゃありません。
そこのところは熟年らしく、熟慮に熟慮を重ねなくっちゃ!

昨日・今日と結局はハナシがごっちゃになって
子守歌が別れ歌に変身しちゃったヨ。