2012年4月2日月曜日

第285話 世界にたくさんある花

日本の国花は桜と菊。
ただし、日本国政府が国花として制定したものではない。
国民にもっとも親しまれ、愛されている桜。
皇室の紋章、国家の象徴になっている菊。
この両花が法定化とは関係なく、
事実上の国花として広く認知されているわけだ。

諸外国も似たようなもので
正式な国花を定めている国もあれば、
事実上の国花すらない国もある。
今、世界の国花リストを眺めながら
この稿を認(したた)めているのだが、なかなかに面白い。
ちょいと実例を挙げてみようか。

アジア諸国で意外な人気を誇るのが蓮である。
お釈迦様が乗っかっちゃうくらいだからインドは判る。
ほかにはスリランカとベトナムの国花も蓮。
あとはバングラディッシュが蓮そっくりの睡蓮で
はては北朝鮮の木蓮ときたもんだ。

もっとも木蓮は蓮とは関係ない。
そもそも蘭の花に似ているので木蘭と呼ばれていたのが
蓮のほうがもっと似てるってんで木蓮になったのだそうだ。
ふ~ん、そんなものかネ。
蘭のほうがよっぽど似ていると思うんだけどな。

よく話題に上るが蓮と睡蓮はどこが違うのだろう。
周知の通りに花はそっくり。
違いは茎と葉にある。
蓮の茎は水面を貫いて伸びてゆくが
睡蓮は水面に出たらそこからは伸びない。
睡蓮の花が水に浮かんでいるように見えるのはそのためだ。
まっ、中には例外もあるけれど・・・。
そして蓮の葉は緑色の円形で水をよく弾く。
睡蓮の葉は赤茶けたり、まだらになることがあり、
水を弾かず、葉に細い鋭角の切れ込みがある。

植物学じゃなく国花のハナシであった。
アジアの外に目を転ずると、
国のイメージにピッタリの国花がいくつか存在する。
イギリス(ただしイングランドのみ)のバラ、
スイスとオーストリアのエーデルワイス、
オランダのチューリップ、スペインのカーネーションなどなど。
まあ、何だかんだ言っても日本の桜に勝る国花はあるまいて。

昨日の日曜日の昼下がり、墨堤を歩いた。
開業を間近に控えたスカイツリー効果で人出は急増だ。
いざ開業したらどういうことになっちゃうのかなァ。
まさか隅田川の花火みたいなことはなさそうだが・・・。

隅田川両岸の桜はいまだ五厘咲きといったところ。
それも陽当たりのよい右岸に限って―。
一昨日、吹き荒れる春の嵐の中で東京の開花が宣言された。
このぶんだと今週末は絶好の花見日和になろう。
夜桜ならば金曜と土曜、青空の下なら土曜と日曜であろうよ。