2012年4月6日金曜日

第289話 東京で飲むなら西より東 (その1)

3週前の木曜日。
翌日の当ブログ稿を書き上げるやいなや、
都営新宿線・大島へと出掛けて行った。
ここへは前週もやって来ている。
その折は昔の部下A子たちと
住吉の「山城屋酒場」で飲む手はず。
行き掛けの駄賃で酒場「ゑびす」を訪ねたのであった。

此度はその「ゑびす」にみちのくののみともR子を伴った。
彼女はペースさえ乱されなければ相当の飲み助である。
いわゆる長距離ランナーなのだ。
元部下A子が瞬発力のあるスプリンターだとしたら
R子は持久力に優れたステイヤーといえる。

ハナシはちょいとそれるが周知の通り、
J.C.の縄張りは一にも二にも下町である。
当節は、ニューヨークのブロードウェイになぞらえると
オフ・ブロードウェイやオフ・オフ・ブロードウェイ、
要するにオフ下町、オス・オフ下町まで脚を伸ばしている。
さしづめ大島・住吉界隈はオフ下町にくくられよう。

東京都23区を縦割りに一刀両断してその東側、
早いハナシが隅田川の両サイドを皮切りに
荒川から江戸川右岸までのエリアに精通することは
呑ん兵衛にとってきわめて有用である。
何となれば、行けども行けども行きつくせないほどに
優良な料理屋・酒亭・居酒屋・大衆酒場が
ひしめいているから、まず自分自身が楽しめる。
そしてこちらがより重要かもしれないが
老若男女を問わず、下町に誘ってやると
ほとんどの相方が瞳を輝かせて二つ返事のゴーサイン。
みんな好きなんだねェ、下町が!

「ええ~っ、ヤだァ、そんな遠いとこォ!」―
まっ、たまにはこういう馬鹿も居るには居やすがネ。
おおかたこの手は吉祥寺とか立川とか
大東京の西の彼方に棲んでる田舎者。
J.C.に言わせりゃ、
「オメエの棲んでるところが遠いんだヨ!」てなことになる。
(吉祥寺・立川方面にお棲みの方、
  ごめんなさい、言葉のアヤってもんです)

昨日のブログで杉並・西荻を賛美しといて
舌の根が乾く間もないのに恐縮ながら
東京で飲むなら断然、西より東。
安くて旨くて雰囲気がよく、何てったって現れる客に味がある。
年は食っちゃあいるが、亀の甲より年の功、
積み重ねた年輪から滲み出る出し昆布にも似た味がある。
常々思っていることは東東京と西東京の住民の平均年齢。
誰か調べちゃくれまいか、
おそらくべらぼうな年齢差が明らかになるだろう。

日本全国津々浦々、北に棲もうが南に棲もうが
年寄りが消えた土地に人が棲みよい場所はない。
ん、何だって?
「オメエ自身が年寄りだからだヨ!」ってか?
へっ、ごもっともで。

=つづく=