2012年4月23日月曜日

第300話 口八丁に手八丁 (その2) にせどろ千夜一夜 Vol.6

森下は「はやふね食堂」の店先である。
うしろから怒鳴られて振り向くと、
狆くしゃフェイスのオッサンが今まさに入店するところ。
引き戸の建てつけが悪いんじゃなかった。
こっちが締めようとしているのに
オッサンは開けようとしていたわけだ。
「あっ、ゴメン、ゴメン!」とあわてて謝ったが
オッサンはムッとしたまま無言で壁向きのカウンター席へ。
ありゃあ、まだ怒ってるな。

その夜は生たらこと肉じゃがで
キリンラガーの大瓶と菊正の一合瓶を1本づつ飲って
早々に退散し、近所の「魚三酒場 森下店」に移動した。
いや、くわばら、くわばら。

後日、最終チェックに舞い戻る。
同伴者はドリンクメートのT村クンだ。
飲んだのはこの夜もラガーと菊正。
前回と異なるのはつまみを片っ端から注文していったこと。
まずは野菜入りおから(130円)と里芋煮(180円)。
ちょいと化調が勝っているが許容範囲であろう。

続いてはあれば頼むことの多いマカロニサラダ。

マカサラの130円は泣かせる

そして二人とも好物のたら子はチョイ焼きでお願いした。

250円なのか300円なのかは判らず

う~ん、やっぱりたら子は旨いや。

お次は野菜煮(180円)と厚揚げ焼き(200円)。
何をとっても学食より安いんじゃないかネ。
まだまだ行こうってんで目刺しとアジフライだ。

これだけは値段を忘れちゃった目刺し

2枚付けで300円のアジフライ

ともに良質である。
目刺しのあぶり加減よろしく、
小ぶりのアジはフライにうってつけのサイズ。
和洋折衷風の料理が大衆酒場の強みだ。

最後にさばの味噌煮(280円)を追加したら
口八丁に手八丁の女将サン、
アンタたちよく食べるねェ! ってな顔をしてた。
いや、ホントだなァ。
節操もクソもあったものではない。
安いからって飽食の限りをつくすのは威張れたことではない。

門仲の陰に隠れた感、なきにしもあらずの森下ながら
どちらか選べと言われたら
森下に軍配を挙げざるを得ないJ.C.であります。

「はやふね食堂」
 東京都江東区森下3-3-3
 03-3633-3230