巣鴨はとげぬき地蔵(高岩寺)前の目抜き通りにある、
「すがも園」で中華そばを待っている。
昭和の時代には支那そばの名称で親しまれたラーメン。
あの頃は町の中華屋の品書きに
柳麺の表記をひんぱんに見掛けたものだが
近頃はトンと目にしなくなった。
むしろ拉麺が主流となっている。
拉麺はよくないなァ。
”拉”の字が”拉致”を連想させて
中国よりも北朝鮮のイメージがまとわりつく。
よくないねェ。
しばらくして運ばれたどんぶりにはチャーシュー、
シナチク、青梗菜(チンゲンサイ)が浮かんでいた。
往時はほうれん草だったのに青梗菜とは・・・
時代の移り変わりを実感した次第である。
もっとも他店で見ることはまずないから
巣鴨、いや、「すがも園」だけのアイデアか。
麺を一箸すすると、これが悪くない。
少なくとも予想を超える味わいがあった。
真うしろのテーブルでは二人の婆ちゃんが
もやしそばを楽しんでいる様子だ。
「美味しいネ」
「うん、美味しい」
そんなつぶやきが聞こえてきた。
すると隣りの卓に、これまた二人の婆ちゃんが着席に及んだ。
聞き耳を立てていたワケではないけれど、
注文品は天ざるが二つである。
ふ~む、天ざるかァ、巣鴨の婆ちゃんはリッチだなァ。
中華そばを食べ終えたJ.C.、即お勘定ではなかった。
隣りの天ざるを拝見してから席を立つつもりになっている。
はて、どんな天ざるが現れるものやら好奇心につまづいたのだ。
立ち上がって上から目線でのぞき見るのははばかれる。
仕方なく、チラリちらりとうかがうと、
ほう、なかなかの見てくれぶりである。
驚いたのは婆ちゃんの一人が箸をつける前に
天ぷらのテイクアウトの交渉に入ったことだった。
「おタクの天ぷら美味しいから二人前包んでいただけない?」
応えた中年女性のお運びさん、
「ごめんなさいネ、ウチはお持ち帰りしてないんですよォ」
へえ~ッ、人は見かけに、もとい、店は見かけによらぬもの。
そんなに旨いのかネ、ここの天ぷら。
中華そばはなかなかだったし、
天ぷらのレベルもかなり高いのかもしれない。
そろそろおいとまと、伝票をつかんだときに
先刻の接客係が隣りのテーブルに舞い戻ってきた。
=つづく=
「すがも園」で中華そばを待っている。
昭和の時代には支那そばの名称で親しまれたラーメン。
あの頃は町の中華屋の品書きに
柳麺の表記をひんぱんに見掛けたものだが
近頃はトンと目にしなくなった。
むしろ拉麺が主流となっている。
拉麺はよくないなァ。
”拉”の字が”拉致”を連想させて
中国よりも北朝鮮のイメージがまとわりつく。
よくないねェ。
しばらくして運ばれたどんぶりにはチャーシュー、
シナチク、青梗菜(チンゲンサイ)が浮かんでいた。
往時はほうれん草だったのに青梗菜とは・・・
時代の移り変わりを実感した次第である。
もっとも他店で見ることはまずないから
巣鴨、いや、「すがも園」だけのアイデアか。
麺を一箸すすると、これが悪くない。
少なくとも予想を超える味わいがあった。
真うしろのテーブルでは二人の婆ちゃんが
もやしそばを楽しんでいる様子だ。
「美味しいネ」
「うん、美味しい」
そんなつぶやきが聞こえてきた。
すると隣りの卓に、これまた二人の婆ちゃんが着席に及んだ。
聞き耳を立てていたワケではないけれど、
注文品は天ざるが二つである。
ふ~む、天ざるかァ、巣鴨の婆ちゃんはリッチだなァ。
中華そばを食べ終えたJ.C.、即お勘定ではなかった。
隣りの天ざるを拝見してから席を立つつもりになっている。
はて、どんな天ざるが現れるものやら好奇心につまづいたのだ。
立ち上がって上から目線でのぞき見るのははばかれる。
仕方なく、チラリちらりとうかがうと、
ほう、なかなかの見てくれぶりである。
驚いたのは婆ちゃんの一人が箸をつける前に
天ぷらのテイクアウトの交渉に入ったことだった。
「おタクの天ぷら美味しいから二人前包んでいただけない?」
応えた中年女性のお運びさん、
「ごめんなさいネ、ウチはお持ち帰りしてないんですよォ」
へえ~ッ、人は見かけに、もとい、店は見かけによらぬもの。
そんなに旨いのかネ、ここの天ぷら。
中華そばはなかなかだったし、
天ぷらのレベルもかなり高いのかもしれない。
そろそろおいとまと、伝票をつかんだときに
先刻の接客係が隣りのテーブルに舞い戻ってきた。
=つづく=