2015年10月7日水曜日

第1202話 歩き続けて3万歩 (その2)

田端銀座をあとにして歩みゆく進路を北に取る。
やって来たのはわび・さびならぬ、
さびれ、うらぶれた尾久の町だ。
昭和11年、そう、二・二六事件が勃発した年に
ここでは阿部定事件が発生している。

邱永漢サンのサイトに連載していた、
「食べる歓び」で尾久を詳しく紹介したことがある。
ご興味のある方はご覧ください。
http://www.9393.co.jp/okazawa/kako_okazawa/2010/10_0903_okazawa.html

相変わらず人気のないオグトピアを歩き、
なおも北上して隅田川を小台橋で渡る。
行き着いたのは蛇行する隅田川と荒川に挟まれた三角州だ。
足立区の小台1・2丁目と宮城1・2丁目がそれで
工場や配送センターや都営住宅群に小・中・高校があるばかり。
ずいぶんと殺風景な土地である。

荒川の河川敷を風に吹かれながら歩く。
宮城土手上なる場所に到達した。
ここから東にゆけば江北橋、西なら豊島橋だ。
思案する時間もあらばこそ、すんなり西に向かった。

なぜか?
決め手はですネ、飲み屋街までの距離なのでした。
東へ行ったら西新井、西に行ったら東十条、
こりゃ、どう比べても十条のほうが近いもの。

そうしてたどり着いた東十条だった。
焼きとんのフルコースをウリとする、
「埼玉屋」はちょいとばかり敷居が高いから
気軽に立ち寄れる、同じ焼きとんの「新潟屋」に直行。
単なる偶然でも埼玉VS新潟の構図は
Jリーグを彷彿とさせるものがある。

時は開店間もない16時45分。
それでも店内に空席は数えるほどしかない。
かつては都内における一大軍都だった北区。
朝から昼から飲ませる酒場に不自由することなどない。

瓶ビールをお願いすると、突き出しに小さな新香。
大根と人参の浅漬けがちょっぴりだけだが
無料のサービス品にイチャモンをつける輩などいるわけもナシ。
焼きものは1種類2本からで
これが単身訪問者にはややキツいところだ。

例によってシロ&レバをたれで注文。
うむ、ウム、相変わらずの旨さであるぞヨ。
そしてあまりキノコを好まぬ身としてはめずらしくも椎茸を。
ここはモツだろうが、野菜・キノコ類だろうが、一律1本100也。
埼玉より新潟に軍配を挙げたくなる所以だ。

滞在時間は40分ほど。
再び都心に向かって歩き始める。
万歩計を腰のベルトから外して10年が経つけれど、
実感としてこの日の踏破は3万歩を軽く超えているハズ。
久々の長征でありました。

「新潟屋」
 東京都北区東十条2-14-18
 03-3914-6630