2016年8月2日火曜日

第1416話 立ち飲み 侮るべからず (その3)

愛媛県・松山市在住のT川サンよりメールをいただいた。
昨日ふれた灘の銘酒・櫻正宗についてである。
T川サンもこの酒が大好きで
「わが意を得たり!」とのことだった。
同朋の存在は心強いものがある。

櫻正宗は1717年(享保年)の創業。
おそらく日本最古の清酒銘柄の一つだ。
少なくとも”正宗”の元祖であることに間違いはない。
読者のみなさんも機会がございましたら
ぜひともお試しくだされ。

さて、門仲の「ますらお」である。
ないものねだりしても始まらないので
菊正の冷やをいただいている。
合いの手は真鯛昆布〆のにぎり(2カンで400円)だ。

この店には必ず、”本日のにぎり”が用意されている。
元鮨職人のにぎり鮨、
しかも低料金で生のわさびを惜しげもなく使う心意気。
こういう人のにぎる鮨が不味かろうハズはない。

はたして・・・
手渡された小皿に鎮座する2カンの鮨を目の当たりにし、
再び感心してしまった。
犬が歩いて当たるのは棒だが
J.C.が歩くと佳店に当たるんだよねェ。
と、自画自賛。
自賛は見苦しいので多くは語らずに先へ。

その日はそれだけで切り上げた。
二度目が先日チラリとふれた佃島の友人との訪問である。
このあと天竜川の天然鮎が待っていたので
ホンの小一時間つき合ってもらったのだった。
後日、奥浅草で一席設けるという条件付きでネ。

当夜、飲んだのは瓶ビールとへべす酎ハイ。
へべすって何だい? ってか?
そう、そのことである。

へべすは平兵衛酢と表し、宮崎県・日向市特産の柑橘で
酢橘より一回り大きく、かぼすより一回り小さい。
何でも江戸時代末期に当地の長曾我部平兵衛サンが
野生するこの樹木を発見し、栽培を始めたとのことだ。

徳島の酢橘、高知の柚子、大分のかぼすを
和風柑橘御三家とするならば、
ここにへべすを加えて四天王としたい。
おっと和歌山の橙(だいだい)もあったか!
それじゃ橙にも参加してもらって五人囃子とするかの?

=つづく=