2016年8月10日水曜日

第1422話 リオの男たち (その1)

「最近トンとスポーツ・ネタがないですネ」―
そう言われれば、そうですな・・・。
「リオのオリンピック、興味ないんですか?」―
いいえ、大ありですけれど―。

読者の方々からかようなメールを何通もいただいた。
リオ五輪を語り始めたらキリがないんで封印していたが
せっかくのご要望、遅ればせながら片肌脱ぐ気になりやした。
あんまり長くシツッコく引っ張らない程度に
軽い気持ちで綴ってみようと存じやす。

21年前、お隣りのアルゼンチンを訪れたが
ブラジルに行ったことは一度もない。
リオデジャネイロの街を初めて見たのはスクリーンだった。
映画はジャン=ポール・ベルモンド主演の「リオの男」。
製作は1964年、東京五輪の開催年である。

ヒロインはカトリーヌ・ドヌーヴのお姉さんで
若くして亡くなったフランソワーズ・ドルレアック。
わざわざ南米までロケに出掛けなくてもいいんじゃないの?
てなくらいに不出来な作品ではあった。
せっかく観たけれど、
街の様子も物語のあらすじもほとんど忘れてしまった。
まっ、仕方なかんべサ。

ただ今、8月10日の午前2時。
ビールを飲みながらNHK総合テレビを観ている。
競泳男子の200m平泳ぎ予選が進行している。

現時点で日本が獲得した金メダルは3つ。
どの競技であろうと金の重さに違いはないはずだが
ここまでの3つにはそれぞれ特別な重さがあろう。
内村クンも言っていた、「メチャメチャ重い!」って―。
そうでしょう、そうでしょう、
団体の金をずっと追いかけてきたんだからネ。

男子400m個人メドレーの勝者はキング・オヴ・スイマー。
その王座に日本人が着いたのは実に画期的だ。
萩野公介は身体も容貌も日本人離れしているとはいえ、
泳史に残る快挙であった。

前回のロンドン五輪で
男子柔道は金ゼロの屈辱的敗北にまみれた。
8年越しで大野将平(73キロ級)がつかんだ金メダルにも
特別な重みが加わっていよう。

そして前述の体操、男子団体総合である。
五輪における団体総合・個人総合・種目別のしくみを
把握していない向きは
鉄棒から転落した内村を見て悲鳴を上げたに違いない。

=つづく=