2017年9月8日金曜日

第1696話 一日違いの土用丑の日 (その2)

別海バター・・・??
別海ねェ・・・。
ふ~む、おう、やっと思い出したぜ。
すでに四半世紀も以前。
羽田から稚内に飛び、空港でレンタカーを調達し、
オホーツク海沿いを中心にあちこち立ち寄り、
釧路まで走らせたことがあった。

釧路には3日ほど滞在しただろうか―。
滞在中、根室に花咲蟹を食べに行った。
そのとき通ったのが別海町だった。
いや、懐かしいぞなもし。

別海は”べっかい”とも”べつかい”とも呼ばれる。
どちらも正しいらしい。
日本を”にほん”とも”にっぽん”とも呼ぶが如し。
何でもアイヌ語の”ベッ・カイェ”(川の曲がるところ)が
地名の由来だという。

そして初めて耳にした別海バターは
知る人ぞ知る優良バターなのだそうだ。
水産資源に恵まれる別海町はまた、
わが国有数の生乳を産出している。
何ともうらやましい土地柄で
海には鮭・帆立・北寄貝、
陸にはホルスタインが群れを成す。

まっ、以上の能書きは帰宅後に調べたこと。
とにかく別海バターに惹かれたし、
これまた初耳の赤巻きかまぼこにも興味をそそられた。
よって”別海バターたっぷり赤巻きかまぼこと青ねぎ”、
迷わずにお願いした。

チンで温められるのを自席で待っていると、
「赤巻きかまぼこのお客さま~っ!」
すぐに呼ばれたのだが、これがとてもいい。
赤巻きはバター炒めに適したかまぼこなのだろう、
板わさとは一味違った美味しさだ。
その後、何回か「味の笛」を訪れているが
ついぞ出逢っていない。
その日限りのスペシャリテであったらしい。

16時近くになり、店内が立て込んできた。
新潟は魚沼の銘酒、緑川の冷たいのを1杯飲って
河岸を替えることに―。
足が向いたのは東上野・稲荷町方面である。

三井アーバンホテルの角を右折して浅草通りをゆく。
ほどなくメトロ銀座線の稲荷町駅を通過。
ようやく空腹を感じ始めた。
小なすとかまぼこだけじゃ腹もへるわいな。

=つづく=

「味の笛」
 東京都台東区上野5-27-5
 03-3837-5828