2018年2月1日木曜日

第1800話 忘れ得ぬ March (その2)

be on Saturday」の”もういちど流行歌”
1971年3月、そのつづき。

「知床旅情」が圧倒的な支持を受けている。
昭和の名優・森繁久彌が作詞・作曲した、
不朽の名歌を知らぬ人はいないだろう。
お子ちゃまはベツとしてネ。

J.C.はこの曲をライヴで聴いたことがある。
それもマンハッタンのカーネギーホールで―。
あれは20数年前。
ステージではアンコール・ナンバーとして披露された。
お登紀サンがギターを抱えて登場したものだ。
好みのナンバーではないが、けっして嫌いではない。

先月亡くなったはしだのりひこの「花嫁」も素敵だ。
彼がからんだ「風」、同じく「悲しくてやりきれない」と合わせ、
マイ・ベスト3になるかな。

オリコンでは上位にランクされた「望郷」や「女の意地」、
そして「さいはての女」がランキング外なのは
いかに演歌離れが進んでいるかの表れだろう。
かと思えば「京都慕情」は根強い人気。
これはベンチャーズによるモダンな曲調の賜物といえよう。

例によってマイ・ベスト10を選んでみた。
3月には限定しかねるので
1971年の上半期ということにしたい。

① よこはま・たそがれ  五木ひろし
② ざんげの値打ちもない  北原ミレイ
③ さいはて慕情  渚ゆう子
④ 傷だらけの人生  鶴田浩二
⑤ ブラック・マジック・ウーマン  サンタナ
⑥ 女の意地  西田佐知子
⑦ わたしの城下町  小柳ルミ子
⑧ この胸のときめきを  エルヴィス・プレスリー
⑨ おんなの朝  美川憲一
⑩ 霧の中の二人  マッシュマッカーン

「よこはま・たそがれ」や「わたしの城下町」、
それに当年のレコ大受賞曲、
「また逢う日まで」(尾崎紀世彦)さえも春先の発売なので
3月のオリコンにはまだ反映されていない。

そして忘れ得ぬこの3月は、25日の午前11時だった。
J.C.はソ連船「ハバロフスク号」に乗って
横浜の大桟橋を離れ、人生最初の渡航を試みる。

船は大間崎の北を抜け、ひたすら津軽海峡を西へ、西へ。
遠くに函館の灯がチラチラと輝いている。
はるかクナシリはもとより、知床さえも見えなかったが
生まれて初めて目にする北海道であった。