2018年2月2日金曜日

第1801話 うなぎで暮れて うなぎで明けた (その1)

もう、ひと月以上も前のこと。
その日は小晦日(こつもごり)だった。
早いハナシが12月30日ですな。
旧年中はいろいろとお世話になった、
友人のT栄サンを感謝の意をこめて夕食に誘うと、
互いのスケジュールが合致したのが小晦日である。

相方のリクエストがうなぎときたので
ここぞという店の物色にかかる。
佳店が居並ぶ埼玉県・浦和に的を絞り、
当たってみたら有力店はみな28日、
せいぜい29日で年内の商売を終了する。
何とか射止めたのがレトロな小アーケード、
ナカギンザセブンに暖簾を掲げる「彦星」である。

JR京浜東北線・浦和駅で待合せた。
行き掛けの駄賃とばかり、
浦和レッズのサポーター御用達の「酒蔵 力 本店」に立ち寄る。
シーズンオフにつき、店内はわりと静か。
それでも席の八割方は埋まっていた。

北海道産赤しそを使用するレッズサワーに興味が湧いたものの、
長居するわけでもないから無難に瓶ビールを選択。
グラスを合わせておいて定番のもつ煮込み、
それに焼きとんはシロとレバをタレで注文。
どちらも東京の下町のレベルに達していた。

サッと切り上げ「彦星」へ。
前回、浦和でうなぎを食べたのは15年前。
東京・神田に支店を持つ「満寿家」だった。
とてもよいうな重に舌鼓を打ったっけ・・・。
そんな経緯があり、今回も楽しみにしていた。

小体な店内のカウンターに案内される。
先客は一人だったが次々に客が現れてほぼ満席に―。
ビールを頼むと、突き出しは切干し大根だ。
嫌いじゃないが、うなぎ屋で切干しってのも何だかなァ。

うな重よりも期待していた串焼きから攻める。
ヒレと肝をまず2本づつ。
ともにそこそこの焼き上がりながら大満足ではない。
硬い骨が気になるカブト(半助)は回避した。

地元の酒、旭正宗を常温で飲ってみたら、いま一つ。
熱燗に切り替えると、銘柄は松竹梅のみだ。
ふ~む、松竹梅かァ・・・
裕次郎と宇野重吉のTVコマーシャルが懐かしい。
けっして旨い酒ではないものの、熱めの燗が心地よい。

お次は肝わさでもいただこう。
そう思ったとき、隣客にソレが供された。
う~ん、見た目があんまりよくないねェ。

=つづく=

「酒造 力 浦和本店」
 埼玉県さいたま市浦和区仲町1-3-7
 048-822-9443