2018年2月9日金曜日

第1806話 フラれぐせがついちゃいまして・・・ (その1)

カレー店、食堂、小料理屋に
三連続でフラれたその翌週であった。
日本橋の日本そば屋で軽い昼食を済ませ、
京橋から銀座へと歩いてきた。
寒がりではないから普通人より薄着のJ.C.だが
いや、この午後は寒かった。

帝国ホテルのロビーでビールの小瓶でもと
やって来たら順番待ちの人々多数。
かといって、すぐにオモテに出たら
再び木枯らしにさらされる。

とりあえず地下のトイレを借用し、
そのままショッピング・フロアをぶ~らぶら。
断っておくが、この際のぶ~らぶらは
タンタンたぬきのぶ~らぶらとは異なるので念のため。
(何か最近、シモネタ多いな、反省しまッス)

この日は旧知の若き友人と晩メシの予定。
相方はむかし一時期、銀座で一緒にシゴトをしたS口クン。
彼は現在、生まれ故郷の岩手県・洋野町で
木工細工の職人として働いている。
洋野町は岩手県沿岸部の最北端に位置して
県庁所在地・盛岡よりも青森県第二の市、八戸にずっと近い。

有楽町は東京フォーラムの「レバンテ」で待合せ。
冬場は三重県・的矢湾の牡蠣がウリのレストランとなる。
J.C.の大好きな店は通い始めて40年にもなろうか。
かつては駅の反対側でイトシアの辺りにあり
古く良かりし昭和の空気が濃密に漂っていた。
松本清張の出世作「点と線」の冒頭にも実名で登場している。

集合時間にまだ余裕があった。
同じ有楽町のビルの地下にある立ち飲み酒場で
この寒いのに冷たいビールを飲んで過ごす。
宵が浅いせいだろう、店内は閑散としている。
けだるい時間だけが流れてゆく。

昨秋、再び移転を余儀なくされた「レバンテ」。
といっても東京国際フォーラムの2階から
地下のコンコースへ至近距離の移動だ。
ところがこれが判りにくい。
東京駅とのあいだに新設されたコンコースは
界隈に慣れていてもかなりマゴつく。

およそ10年ぶりの再会をはたした。
彼の風貌はそんなに変わっていないが
鼻の頭の傷跡が目に入った。
ちょいとヤバいヨ。
職人は気が荒いっていうけど、
まさか刃傷沙汰じゃないだろうな。

=つづく=