2ヶ月に1度の理髪を済ませて渋谷駅。
この日のターゲットは川崎市・宮前区の鷺沼だ。
田園都市計画によって造成された新興住宅地である。
知らない場所を歩くのは大好き。
よってこの町に鷺のように舞い降りた。
いえ、実際は田園都市線の急行電車に乗ってネ。
中休みを終えた飲食店が夜の営業を始めるのは17時ごろ。
鷺沼駅に下車したのは16時だった。
1時間もあれば駅周辺は網羅できるハズ。
意気揚々と歩き始めた。
いや、ずいぶん坂の多いところだこと。
普段、埋め立て地中心の平坦な下町を基盤としているため、
余計にその印象が深い。
北へ行っても南に下っても坂道ばかりである。
これといった訪問先を決めてきたわけじゃないから
ちょいと歩いちゃ、店の前で立ち止まり、
店構えや品書きを値踏みしてゆく。
1軒目として目星をつけたのは焼き鳥の「近藤屋」。
ハス向かいにやはり焼き鳥主軸の大型店があったが
こういうものは小さいほうを択んだほうが間違いは少ない。
町を走破してもなお15分ほどの時間が余った。
駅前のスーパー・フレルの生鮮コーナーを物色することにした。
鮮魚・精肉・青果を見れば、その町の生活水準は一目瞭然。
鷺沼のレベルはそれなりに高かった。
17時10分、「近藤屋」に入店すると、先客がテーブル席に2組。
がら空きのカウンターに落ち着く。
生ビールの380円は安いがジョッキは小さめだ。
卓上に備え付けの壺みそを小皿にとってしばしのアテとする。
突き出し(300円)に山芋くし切りとなめこの三杯酢が供された。
ニセわさが添えられている。
焼き鳥は稀少部位からソリとオビを塩でお願い。
ソリはももの付け根でプリプリの食感。
ももの内側のオビはソリよりも柔らかい。
上質な素材に備長炭による焼き入れが丁寧。
文字通り、塩の塩梅もよろしく、期待以上である。
続いてレバをたれで―。
うむ、これも巧みな火の通しだ。
串はどれも130~200円と良心的価格。
近年、高級焼き鳥店が
大手を振って歩く東京から来ると、殊更にそう感じる。
そしてすべてが旨い。
かなりイケてますな、この店は―。
=つづく=
この日のターゲットは川崎市・宮前区の鷺沼だ。
田園都市計画によって造成された新興住宅地である。
知らない場所を歩くのは大好き。
よってこの町に鷺のように舞い降りた。
いえ、実際は田園都市線の急行電車に乗ってネ。
中休みを終えた飲食店が夜の営業を始めるのは17時ごろ。
鷺沼駅に下車したのは16時だった。
1時間もあれば駅周辺は網羅できるハズ。
意気揚々と歩き始めた。
いや、ずいぶん坂の多いところだこと。
普段、埋め立て地中心の平坦な下町を基盤としているため、
余計にその印象が深い。
北へ行っても南に下っても坂道ばかりである。
これといった訪問先を決めてきたわけじゃないから
ちょいと歩いちゃ、店の前で立ち止まり、
店構えや品書きを値踏みしてゆく。
1軒目として目星をつけたのは焼き鳥の「近藤屋」。
ハス向かいにやはり焼き鳥主軸の大型店があったが
こういうものは小さいほうを択んだほうが間違いは少ない。
町を走破してもなお15分ほどの時間が余った。
駅前のスーパー・フレルの生鮮コーナーを物色することにした。
鮮魚・精肉・青果を見れば、その町の生活水準は一目瞭然。
鷺沼のレベルはそれなりに高かった。
17時10分、「近藤屋」に入店すると、先客がテーブル席に2組。
がら空きのカウンターに落ち着く。
生ビールの380円は安いがジョッキは小さめだ。
卓上に備え付けの壺みそを小皿にとってしばしのアテとする。
突き出し(300円)に山芋くし切りとなめこの三杯酢が供された。
ニセわさが添えられている。
焼き鳥は稀少部位からソリとオビを塩でお願い。
ソリはももの付け根でプリプリの食感。
ももの内側のオビはソリよりも柔らかい。
上質な素材に備長炭による焼き入れが丁寧。
文字通り、塩の塩梅もよろしく、期待以上である。
続いてレバをたれで―。
うむ、これも巧みな火の通しだ。
串はどれも130~200円と良心的価格。
近年、高級焼き鳥店が
大手を振って歩く東京から来ると、殊更にそう感じる。
そしてすべてが旨い。
かなりイケてますな、この店は―。
=つづく=