2018年5月18日金曜日

第1874話 鷺沼に舞い降りた (その2)

川崎市・宮前区の鷺沼に鷺の棲む沼はないようだ。
その町の焼き鳥店「近藤屋」のカウンターで独り、
ハイレベルの焼き鳥を生ビールと楽しんでいる。

日本酒に切り替えて”今週の地酒”から
地元・神奈川のカルガモ生(520円)を選択。
いづみ橋が銘柄でカルガモ・ラベルということらしい。
なるほど冷蔵ケースの一升瓶にはカルガモが描かれていた。

枡or徳利を択べるのもなかなかのアイデア。
燗酒は徳利&猪口、冷たいのは枡&グラスがよい。
甘いレバたれのあとだったせいか、
カルガモはスッキリ辛口に感じられた。

塩に戻ってハツとセセリを追加する。
うむ、どちらもけっこう。
そう、そう、書き忘れたが最初のソリ&オビには
バジルソースが添えられたのだった。
当店では塩モノには必ずバジルソース。
これがまた秀にして逸なのである。
おそらくバジルとチーズに塩とオリーヴ油。
まさしくイタリアンのジェノヴェーゼだネ。

芋焼酎の一刻者・赤をロックで―。
生モノはタコブツとイカソーメンのみとおざなり。
本日のおすすめにサバ塩焼きがあった。
備長炭で焼いたら、さぞ旨かろうと思うものの、
サバは食べでがあるからなァ。
おっと(小)もあったか・・・いや、やめとこう。
もう1軒行っときたいしネ。

さて、河岸替えである。
ところが狙った2軒に連続してフラれた。
1軒は満席、もう1軒はカウンターが満杯だった。
ここで記憶の片隅に置いといた店を思い出す。
「麺屋 直久」である。

「直久」といえば建て替わる前の銀座は旧東芝ビル地下。
ロンドンから帰国して新米サラリーマンになった頃、
たびたびお世話になった懐かしのラーメン店だ。
山梨県・甲府市での創業が大正3年というから
老舗中の老舗、その直系店に遭遇したのも縁だろう。

サッポロ黒ラベルの中ジョッキ、
純鶏醤油ラーメン、餃子3個を注文した。
純鶏醤油は名古屋コーチンの丸鶏使用とあったが
本当だろうか?

いただくと今は無き銀座店とはまったくの別モノである。
中細ストレートの麺、鶏油が浮いたスープ、
どちらにも懐かしみを覚えることはなかった。
皮が不出来の餃子は餡との一体感に乏しく1個残す始末。
壁に掲げられた銀座店の写真パネルのみが懐かしい。

救いは接客担当の娘さん。
サービス細やかにして気配りにも長けている。
綾瀬はるかを電子レンジでチンした感じの容姿も可愛い。
いきなりそんなこと言われたって理解不能でしょうが
ちょいとばかり、心が温まったのも事実でありました。

「近藤屋」
 神奈川県川崎市宮前区鷺沼3-1-22
 044-852-3323

「麺屋 直久」
 神奈川県川崎市宮前区鷺沼1-11-2
 044-866-5141