2018年5月23日水曜日

第1877話 時とまれども時間は厳守

その日のランチは北区・王子にて―。
かつては赤羽・十条とともに
帝国の軍都を形成した町である。
金原亭馬生や立川談志が演じた落語、
「王子の狐」の舞台としても世に知られている。

新幹線やら京浜東北線やら何本も走る線路と
王子本町にはさまれた細長い一画の岸町(きしまち)。
そこにレトロ感満載の洋食屋があると聞いて訪れた。
王子駅を西に出て有名なおでん屋を左に見ながら
狭い道を真っ直ぐ行くと右手に「キッチン ハマダ」はあった。

入店したのは13時半過ぎ。
なるほど、こりゃ古めかしい。
昭和30年代で時はとまっておるネ。
逆L字形のカウンターのみ、岸町同様にこちらも細長い。
白髪の女将さんと息子だろうか、
プロレスラーみたいに身体の分厚い料理人のツーオペだ。

王子からそう遠くない町に棲む相方と
ほぼカウンター中央に席をとった。
さっそくのビールはキリンラガーの中瓶。
古い店はこの銘柄であることが多い。

ランチメニューはほとんどが2種の料理のコンビネーション。
②番と⑥番を通した。

②―ポーク焼肉&チキンカツ
⑥―ハンバーグ&海老フライ

付合わせはともにキャベツ千切り。
具だくさんの味噌汁と皿盛りのライス。
卓上にはきゅうりのしば漬けが備え付け。
といった陣容である。
ライスの盛りがかなりと聞いており、少な目でお願いした。

料理もけっこうなボリュームで海老フライの2尾はともかく、
チキンカツの2枚はやり過ぎじゃないか―。
いや、若者にはこのくらいが適量なのかもしれないネ。
まったくもって歳はとりたくないもんだ。

プリリとした海老は期待以上。
ポークは肉質イマイチながら味付けは悪くない。
豚ひき100%のハンバーグもこれはこれでいい。
ライスはそこそこだったが
野菜の切れ端のごった煮みたいな味噌汁は
勘弁してほしかった。

14時ちょうどだったかな? 若者が独りで来店するも
ランチタイム終了の告知に踵を返して立ち去った。
同じ北区でも先日訪れた上中里の「力食堂」と違い、
岸町「ハマダ」は時間厳守をモットーとしている様子。
長く続けるために無理な延長は避けるに超したことはない

「キッチン ハマダ」
 東京都北区岸町1-3-4
 03-3909-6950