2018年5月3日木曜日

第1863話 「三州屋」転じてブラッスリー (その1)

もう二度とふれないと言いながら
またもや「三州屋 神田駅前店」。
いえ、これにはワケがあって
先述したが当夜は相方とJR神田駅での待合せ。
駅へ歩く途中、「三州屋」の脇を抜けたものの、
店先に立たなかったがため、
翌週閉店の貼り紙に気づかなかったワケであります。

さて、その夜。
目当ての店にフラれたわれわれは
日本の大衆酒場の代わりにフランスのブラッスリーを択んだ。
ブラッスリーとは何ぞや?
カフェ、ビストロ、レストランのように
飲食店の一業態を表すのがブラッスリーである。

J.C.的にはビストロからはワインの香り、
ブラッスリーからはビールの匂いを嗅ぎとっている。
もちろん、今となってはビール第一主義者となった身、
ブラッスリーは大好きだ。
しばらく訪れていないがパリに着いたら
真っ先にブラッスリーへ足を向けていた。

やって来たのはJR神田駅南口から日銀通りを進み、
すぐに左折した裏路地。
学生時代に世話になった酒場は「清龍 池袋店」だが
その神田店のある筋である。

しかし今宵は「清龍」の前を素通りして
「ブラッスリー・ザン」に入店。
まだ宵の口だというのに相当の繁盛ぶりだ。
カウンターの片隅に肩を寄せ合い、
ってゆうか~、椅子と椅子の間隔が狭いから致し方ない。
これをセクハラと言われたらやりきれんぜヨ。
だから満員電車に乗るのがイヤなんだ。

まっ、それはそれとして、このブラッスリー。
ビールの品揃えがあまりにお粗末。
プレモルにヴァイス(白ビール)、
そしてこれもサントリーのアルト。
もともとパリのブラッスリーは
アルザス・ロレーヌ地方から移住してきた人々が
ビール好きなドイツ系住民のために開いたのが始まり。
ヴァイスはともかくもプレモルやアルトが
ドイツ人の口に合うワケがないヨ。

文句を言ってても始まらないから
比較的好みに合うアルトを所望した。
相方はグラスの泡を選択。
ボードのメニューを眺めながら互いの近況を語り合う。
そのあいだにも香ばしいプーレ・ロティの匂いが
鼻腔をくすぐっていた。
そう、ここはプーレ・ロティの専門店であります。

=つづく=