2018年11月23日金曜日

第2009話 日暮里スクエアの夜は更けて (その2)

ここ数年は外国からの観光客にも人気の谷根千。
谷中と千駄木の境い目を走るよみせ通りにある、
スナック「G」はそこそこの客入りだった。
しばし、寛ぎのひとときを過ごす。
23時近くになって閉店。
ようやくわれらも何か食べたくなってきた。

谷根千の夜は浅い。
これといった店はみな扉を閉ざしている。
谷中銀座をそぞろ歩いて
突き当りの”夕やけだんだん”に到達した。

ありゃりゃ、昼間”裕やんだんだん”に行ったばかりで
今度は”夕やけだんだん”。
ベツに意図したわけでもないのに何たる偶然だろう。
スナック「Y」が居抜かれてなければ
迂回する予定のなかった谷中銀座である。

数えてみたら、こちらは踊り場をはさんで
上下18段づつの計36段だった。
おそらく草葉の陰で裕次郎が導いたのだ。
「アンタのネーミングはうれしいが
 本家にも顔を出して仁義を切っておいでヨ」
ってネ。

”夕やけだんだん”を上り切ってしばらく、
御殿坂を下ってJR日暮里駅の改札前を横切り、
エスカレーターを降れば、北口のロータリーである。
おお、日暮里スクエアの夜は更けていた。

谷根千と異なり、この界隈の夜はそこそこに深い。
さすがにチェーン店が幅を効かせているものの、
個人経営の中華屋が何軒か開けている。
すんなりと入店したのは「馬賊 日暮里店」だ。

浅草店は何度か利用しているが日暮里店は初めて。
ともに店頭の拉麺打ちが
道行く人の目を引くパフォーマンスとなっている。
日中のピーク時には行列ができるそうだ。

ビールはスーパードライの大瓶。
注文品は相談した結果、ラーメンと焼き餃子を一人前づつ。
相方には昼間、五反田の「志野」で食べたかったラーメン。
当方には「一風堂スタンド」のリベンジとなる餃子である。

シンプルな醤油ラーメンは太打ち麺に
バラチャーシュー・シナチク・わかめ。
じゅうぶんに水準をクリアしている。
焼き餃子は厚めの皮に肉主体の餡。
好みではないものの、存在感が際立って美味しい。

ストマックには負担をかけてしまったけれど、
相応に楽しめた長い一日でありました。

「馬賊 日暮里店」
 東京都荒川区西日暮里2-18-2
 03-3805-2430